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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第百三十四話 今遥か遠い彼方

            第百三十四話 今遥か遠い彼方
 ケイサル=エフェスは忌々しげに言う。
「許さぬぞ、運命の戦士達」
「まだ言うのかよ」
「この状況で」
「汝等を葬り」
 実際にまだ言う神だった。
「無限力を」
「まだわかんねえのか!」
 マサキがその神に対して言う。
「無限力が何だってんだ!」
「俺達はアカシックレコードの僕じゃねえ!」
 カズマもく主張する。
「只の人間だ!」
「そしてな!」
「教えてあげるわよ!」
 ラウルとフィオナである。
「御前はその人間に負けるんだ!」
「あたし達にね!」
「この想いと力!」
「勇気!」
「怒り!」
 誰もが言う。
「人の心と光!」
「そして全てを現す!」
「歌に!」
「暗黒の世界に消えろ!」
 リュウセイも叫んだ。
「俺達の力でな!」
「では行きますよ」
 シュウもネオ=グランゾンから言う。
「貴方との戦いを終わらせます」
「おのれ、我は」
「総員集中攻撃!」
「了解!」
 攻撃がだ。早速はじまった。
 それが神を撃つ。それで受けた傷は。
「おのれ」
「どうだ、この攻撃!」
「効くだろ!」
「許さぬぞ」
 怒りの声がだ。その口から漏れた。
「運命の戦士達よ」
「ふん、まだな!」
「これで終わりじゃねえぜ!」
「俺達は勝つ!」
 だからだというのだ。
「これで終わりじゃねえ!」
「手前が倒れるまで!」
「やってやるぜ!」
「ケイサル=エフェス」
 またイルイが彼に言う。
「もう終わったのです」
「何がだというのだ」
「私達の為すべきことはです」
「馬鹿な、神に終わりがあるというのか」
「そうです。ですから」
「我に消えよというのか」
「そうです」
 まさにそうだというのだ。
「私と共に」
「消えるのは貴様だけだ」
「いえ、もう私達は」
「まだ言うのか」
「共に消えましょう」
 彼へのだ。最後の優しさだった。
「私達二人は」
「神は。神は消えぬ」
 しかし彼はだ。まだ言うのだった。
「この歌にも負けはしない」
「この歌を聴いてもわかりませんか」
「わかってたまるものか」
 意地での。それでの言葉だった。
「そうなってはだ」
「貴方が終わってしまうというのですね」
「我は神だ」
 まだこう言うのだった。
「まつろわぬ者達の王だ。その我が」
「ですがもう」
「黙れ!」
 意固地にだ。それを拒んだのだった。
「我は必ず。この世の全てを無に返し」
「そして新しい世界を」
「築く。だからこそ」
「ですからそれがです」
「できぬというのか」
「最初から。決まっていたのです」
 イルイはこうケイサル=エフェスに話した。
「そう、貴方も見ていましたね」
「あの。地球での戦いか」
「私はあの戦いで彼等に敗れました」
 封印の地、あの地においてだ。
「そしてその時にです」
「決まったというのか」
「決まっていたことがわかったのです」
 敗れて決まったのではないというのだ。敗れた時に見えたというのだ。
「そうなのです」
「ふん、では貴様は」
「私は。神であることを捨てます」
 彼女を彼女鱈しめているもの、それをだというのだ。
「ですから貴方もまた」
「何度も言わせるな。我が決して」
「決してですか」
「諦めはせぬ。何があろうともだ」
 こんな話をするのだった。そしてだ。
 その中でだ。クォヴレーが。
 ディスアストラナガンの腹部から。それを放ったのだった。
「これは貴様の為にあったものだ」
「ああ、クォヴレー!」
「決めるのよ!」
 アラドとゼオラがその彼に言う。
「御前がイングラム少佐なら」
「私達に見せてもらうわ」
「俺は」
 見ればだ。彼の髪の色が変わっていた。
 その青い髪でだ。彼はその光を放ったのだった。
「貴様を倒すにだ」
「その技を使うか」
「受けろ」
 相手を見据え。それが突き刺さる。
「デッドエンドシュート!」
「ぐっ・・・・・・」
 デッドエンドシュートが直撃した。しかしだった。
 まだ神は倒れない。ここでだ。
 トウマがだ。ミナキに叫んだ。
「これで最後だ!」
「終わらせるのねトウマ!」
「ああ、行くぞケイサル=エフェス!」
 こうだ。神に対しても叫ぶ。
「これで終わりだ!」
「いいわ、トウマ!」
 ミナキもだ。トウマに対して言う。
「大雷鳳も今!」
「ああ、感じる!」
「その全ての力を出して」
「俺と共にある!」
「この力なら!」
「やれる!」
 二人の心もだ。今合わさった。
「熱い・・・・・・。ここまでははじめて」
「俺もだ。こんなことはなかった」
「感じる、大雷鳳を通してトウマも」
「俺もだ。ミナキを感じる」
「ダイナミックライトニング!」
「オーバードライブ!」
「プラズマドライブ!」
「フルバースト!」
 二人同時に叫び。そして。
 今二人はだ。炎、いや光の鳥になった。
 その姿でだ。燃え上がりつつ神に突き進み。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「これで!」
「決める!」
 蹴りが炸裂し。そのうえで。
 ただひたすら突き進む。
「稼動効率百パーセント突破!」
「だが!」
「これならいけるわ!」
「俺と大雷鳳の限界を超えたこの一撃!」
「これなら!」
「終わりだケイサル=エフェス!」
 トウマが最後に叫んだ。
「命の全てを賭けた俺達の攻撃!」
「ぬううううううっ!!」
 吹き飛ばされた神は。遂に。
 動きを止め。そしてだった。
 全身を炎に包まれ。最後の蹴りを浴びたのだった。
「俺達の勝ちだ!」
「終わったわ!」
「馬鹿な、この様なことが」
「よし、終わったぜ!」
 バサラが今高らかに叫ぶ。
「俺達の戦いがな!」
「ええ。完全に」
「いや、待て」
 だがだ。ここでジェイが言う。
「安心するのはまだ早い」
「まさか。まだ」
「あいつ、立てるのか」
「戦えるっていうの?」
「想像を絶するバケモノだ」
 だからだと言うジェイだった。
「不用意には安心できない」
「じゃあまさか」
「あいつまだ」
「立てる?」
「ひょっとして」
「いや、終わった」
 だがここでサンドマンが言った。
「悪意を具現化する為の機体はだ」
「あの悪霊そのものの機体は」
「もうあれで」
「そうだ、機能を停止する」
 それはもう防げないというのだ。
「全ては終わるのだ」
「まだだ」
 だが、だ。ケイサル=エフェスはまだ諦めない。
 それでだ。こう言うのだった。
「我は零にして無だ」
「くっ、まだかよ」
「まだ戦うっていうの!?」
「何て執念なの」
「我を滅ぼすことなぞ」
 しかしその彼の前にだ。イルイが向かうのだった。
 そのイルイを見てだ。誰もが言った。
「イルイ、一体」
「何をする気なの?」
「ナシムか」
「ゲペル、もういいのです」
 これまで以上に優しい声でだ。彼に言うのだった。
「私達の使命は終わったのです」
「いや、それはまだだ」
「いずれ私も」
 自分もだ。どうなるかというのだ。
「この少女の中で朽ちていきます」
「それでいいのか」
「はい」
 そのことを受け入れて。それからだった。
「貴方一人を逝かせはしません」
「イルイちゃん、いや」
「そうね。あれはね」
「ガンエデンだ」
 アイビスにツグミ、スレイがそれぞれ話す。
「それが今だ」
「ああして話して」
「最後を迎えようとしているのか」
「ナシムとゲペル」
 ヴィレッタも話す。
「元々その祖を同じとするもの」
「あの二人は確か」
「そうだったわね」
 ライにアヤが応える。
「この宇宙に残された先史文明の」
「生き残りだったわね」
「だからなのか」
 リュウセイも言う。
「イルイはあいつを」
「説得するのか」
 マイもそのことがわかった。
「そうなのだな」
「それはおそらく」
 レーツェルも言ってきた。
「ナシムと同化したイルイの心の成せる業だ」
「そしてその業が」
「遂に全てを終わらせるのね」
「この長い戦いの全てを」
「今ここで」
 誰もがそう思った。しかしだ。
 ケイサル=エフェスはだ。まだ言うのだった。
「我は、滅びぬ」
「!?」
「イルイちゃん!」
「まさかあいつ!」
「イルイの力を!」
「汝のその力」
 闇そのものになりだ。イルイを取り込もうとしていた。
「我に」
「奴はまだ」
「その様だな」
 ゼンガーにレーツェルが応える。 
 その彼を見てだ。
「ケイサル=エフェス!」
「貴方には!」
「イルイは渡さない!」
「絶対に!」
 クスハとブリットが叫びだ。
 そして。
「俺は因果律の番人として」
「もうこれ以上ね!」
 クォヴレーとセレーナもだった。
「貴様を倒す」
「絶対にね!」
「ミナキ!」
 トウマもだった。
「俺は行く!」
「行くのねトウマ!」
「もう一度止めを刺す!」
 まさにその為だった。
「あいつを倒す!」
「わかったわトウマ!」
「これでだ!」
 四機のマシンが同時に攻撃を浴びせてであった。それで。
 神を止めた。しかし。
 今度はだ。その完全に止まった筈の身体からだった。
「何っ!?」
「今度は一体」
「どうなったんだ!?」
「黒い光!?」
「あれは!」
「最早こうなれば」
 神がだ。黒い光の中で言うのだ。
「ここで。滅び」
「イルイちゃんも俺達もか」
「巻き添えにしてか」
「滅びるつもりか!」
「そうだ。我は只では滅びぬ」
 まさにだ。死なば諸共だった。
「ここで汝等も」
「ゲペル、貴方は」
「ナシム、汝もだ」
 そのだ。イルイにもだというのだ。
「滅んでもらおう」
「くっ、そしてこの世界を」
「我が滅び。その力で」
「消し去るつもりですか」
「そうだ。全てを無にする」
 その為にだというのだ。
「我が滅び。そして」
「それなら・・・・・・」
 イルイはここで、だった。
 イデオンを見てだ。その力を放ったのだった。すると。
「!?コスモ!」
「な、何だ!?」
「これは!」
 イデオンのパイロット達が全員放り出されたのだった。
 そしてだ。操縦者のいなくなったイデオンは。
 神に突進してだ。その力で。
「なっ、クスハ達を救って!?」
「そして!?」
「まさか、あいつと」
「ケイサル=エフェスと!」
 そうしようとしていることがだ。誰にもわかった。
「相打ちになるつもりかよ」
「そうしてか」
「消えるんだな」
「そうなるんだな」
「いかん!」
 しかしだ。その力があまりにも強過ぎた。 
 イデオンと神の双方の力の激突を見てだ。大河が叫んだ。
「総員退避!」
「えっ、トウマ達は!」
「いいんですか!?」
「あのままですと!」
「助けられません!」
「彼等の力を信じるしかない!」
 そのだ。彼等をだというのだ。
「このままでは我々がだ!」
「あの爆発に巻き込まれて」
「それでだっていうんですね」
「ここで。終わってしまう」
「だからこそ」
「我々は生き残らなければならない!」
 まさにだ。その為にだった。
「だからだ。いいな!」
「りょ、了解!」
「わかりました!」
「それなら!」
 仕方がなかった。ここまで来てはだ。
 全員退避に入ろうとする。しかしここで。
 シュウはだ。そっとチカに囁くのだった。
「最後の最後の手段ですね」
「えっ、じゃあここは」
「はい。このネオ=グランゾンの力を使います」
 そしてだというのだ。
「彼等を救いそのうえで」
「皆をですね」
「元の世界に返しましょう」
「あたし達が。あの神を完全に消し去って」
「それと共にです」
「皆を元の世界に」
「このネオ=グランゾンの力を全て放出すれば」
 そうすればだった。
「可能です」
「ですね。けれどそれだけの力を放出したら」
「はい」
 すぐにだ。シュウは答えた。
「ネオ=グランゾンといえどもです」
「そしてあたし達も」
「消え去ります」
 まさにだ。そうなるというのだ。
 だがそれでもだ。シュウは言うのだった。
「しかしそれでもです」
「やらないといけませんね」
「このままでは誰も助かりません」
 シュウは何時になく険しい顔になっている。
「ですから。私達が」
「仕方ないですね」
 チカもだ。今は潔かった。
「それもまた」
「受け入れてくれますか」
「だって。そうしないと皆助からないんですよね」
「はい、そうです」
「あたし達が死んで皆が助かるんなら」
「答えは一つですね」
「そういうことですね」
 こう話してだった。彼等も決めたのだった。
 そしてだ。今まさにだった。
 ネオ=グランゾンが全ての力を放ちケイサル=エフェスに向かおうとする。しかしここで。
 イルイがだ。再びだった。
 光の球になりだ。ケイサル=エフェスに向かい。シュウに言うのだった。
「それには及びません」
「まさか貴方は」
「ここで」
「貴方はその力を使って」
 こうシュウに話す。
「皆さんを救われるおつもりですね」
「そんなところでしょうか」
「しかしそうすれば」
 どうなるか。イルイにもわかっていた。
「貴方達もまた」
「私達なら安いものでしょう」
「いえ、それは違います」
「違うというのですか」
「貴方もまた。元の世界に帰るべきなのです」
 シュウ達もだ。そうだというのだ。
「ですから。決して」
「だからですね」
「ここは私が」
 こう言ってだ。ガンエデンの最後の力を。ケイサル=エフェスにぶつけた。
 そのうえでだ。彼に言うのだった。
「これで。もう絶対に」
「ナシム、汝は」
「消えましょう。ゲペル」
 泣いていた。それと共の言葉だった。
「私達はもう」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「イルイ!」
「イルイちゃん!」
「皆、さようなら」
 イルイは微笑み、涙しながら言う。
「これでもう私達は」
「!?光が!」
「光が包み込む!」
「これは!」 
 ロンド=ベルを光が包み込み。そして。
 それが消えた時に彼等がいた場所は。
「ここは!?」
「ここは一体何処なんだ!?」
「銀河の中!?」
 銀河、あの百万年後の銀河はもう見えてはいなかった。
「じゃあまさか」
「あれは」
 そしてだ。彼等は見たのだった。あの星を。
「地球だ!」
「間違いない!」
「あの星だ!」
「俺達はじゃあ」
「帰って来た!?」
「時代は何時か」
 大河がそれを問うた。
「ここは何時の時代か」
「僕達の時代です」
 スワンがコンピューターで割り出してから答えた。
「僕達の。今の時代です」
「そうか、それではだ」
「はい、そうです」
「我々は戻って来たのだな」
 大河の言葉にも感慨が宿っていた。
「本当に」
「けれど」
「それでも」
「クスハ達は?」
「イルイちゃんは」
「一体何処に」
「姿が見えないけれど」
「ああ、いるぜ!」
 ここでだ。トウマの声がした。
「俺ならな!」
「俺もだ!」
「私もです!」
 ブリットとクスハだった。
「何とかな!」
「無事です!」
「俺もだ」
「私もね」
 クォヴレーとセレーナもだった。
「こうして戻って来られた」
「何とかね」
「けれどイルイは?」
「あの娘はどうなったの?」
 アラドとゼオラが二人のことを問う。
「姿が見えないけれどよ」
「まさか」
「いや、大丈夫だ」
 トウマがだ。二人に微笑んで答えた。
「イルイもいるぜ」
「えっ、何処に!?」
「何処にいるの!?」
「ここにいる」
 トウマが言うとだった。彼の腕の中に。
 彼女がいた。元の少女の姿に戻り安らかに眠っている。
 それを見てだ。誰もが言った。
「寝ているんだ」
「寝息まで立てて」
「それじゃあ」 
「皆、帰って来たんだな」
 イルイも含めての言葉だ。
「本当に。こうして」
「元の時代の地球に」
「この世界に」
「はい、その通りです」
 シュウもだ。今は微笑んでいる。
「最高の結末ですね」
「四神の魂も」
 ここでだ。クスハが言った。
「もう。これで」
「ああ、そうだな」
 ブリットは。これ以上はないまでに温かい顔でクスハのその言葉に応えた。
「皆、その役目を終えて」
「今、その魂を昇華させるのね」
 実際にだ。二人の乗る超機人は。
 そこから何かが消えようとしていた。それこそがだった。
「さようなら。皆」
「そして有り難う」
「雀王機」
「武王機」
 まずは彼等だった。
「貴方達がいてくれて」
「俺達は戦ってこれたんだ」
 そして。次は。
「虎王機」
 ブリットは彼に声をかけた。
「俺は御前がいたから今まで戦ってこれた」
「私も」
 クスハは龍王機にだった。
「ずっと一緒だったわね」
「だがこれでもう」
「御別れね。けれど」
 それでもだった。二人は。
「俺達は御前達を決して忘れない」
「後はゆっくりと休んでね」
 微笑みだ。彼等に声をかけたのだった。
 するとだ。彼等もまた。
 昇華していった。こうして彼等の戦いも終わった。
 そしてだ。あらためてだった。
「では諸君」
「はい」
「これで、ですね」
「そうだ。作戦終了だ」
 タシロが笑顔で全員に告げる。
「全ては守られたのだ」
「そして俺達は勝ったんだ」
「長い戦いがこれで」
「完全に終わったんだ」
 今がその時だった。彼等は遂にだ。その長い戦いを。完全に終えて今母なる地球に帰ってきたのである。


第百三十四話   完


                                      2011・7・4     
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