ファイアーエムブレム~ユグドラル動乱時代に転生~
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第四話
前書き
お気に入り登録していただいた方々ありがとうございます。
小説初挑戦だったりします。
「感動の場面を邪魔しに来た空気嫁ないヤツーーみたいな目で見ないでくれませんかーw」
さっきまでそんな所に泉なんてなかった場所になぜか泉とセットで登場した駄女神は俺にそう言うと続けて、
「ゆーきクン、こっちのイケメンボーイの紹介、可及的速攻でぷりーずw」
なんか、泣いた疲れが三倍増しになった気がしてきた。
「オマエこそこんなところで何しとるんだっての。」
そのせいだろうか、つい口調が現実に近かった頃に戻ってしまった。
「わたし寝てたし」駄女神は自分を指さしてから両手の手のひらをを合わせてから小首をかしげて頬に載せた。
「槍降ってきたし」右の手のひらを水平にしてから人差し指の側面を額に当ててなんか上を見上げてる。
「刺さったしw」傷は全然見えないんだが刺さったとおぼしき額を指さすが綺麗なもんだw
「痛かったしw」全くそうは見えないんだが・・・
と、会話をしていると兄上が騎士の礼をとって片膝をついた
「ミュアハ、ご無礼をしてはいけないよ。そして、槍を落としたのは私です。お美しい方、お許しください。」
「そーよ!そーよ!騎士ってのはこーゆーもんよ!アンタには特別価格で見習う権利を売ってあげますしーw」
なぜか勝ち誇った表情で駄女神は
「レンスターの騎士キュアンよ、正直に名乗り出るとは殊勝な心がけです。」
こういう時のコイツは本物の女神に見えるから困る。
(ちょwオマエ、兄上のこと紹介しろとか抜かしておきながら身元わかってんじゃん。なんなの?死ぬの?)と心の中で思っていると
【聞こえてまスよ、不心得者みゅあはちゃんw】
・・・テレパシーとか送ってきたよコワイヨにいさま;;
駄女神は続けて、
「キュアン、あなたが落としたのはこの鉄の槍ですか、それともこの銀の槍ですか?」
と、どこからともなく現れた2本の槍をそれぞれの手で持ったところ……
ヤツの佇立する水面からぶくぶくと気泡が上がってきているのが見える
おい、それってまさか……
いや、水面に立ってるから泉の女神かと思ってたが……
俺の推理が正しければ……
(わたしちゃんさー、実はオマエの足の下に本物の泉の女神が居るんじゃね?)って言いたいのを我慢していると兄上は
「いえ、そのどちらでもございません。」
見た目だけはしっかり女神オーラをまとった駄女神に頭を垂れ、かしづいている兄上の姿は一枚の絵画然としたもので、見ている俺が誇らしく感じて来るのは何故だろう。
【ゆーきくん、実はホモ?wナチュラルにキモぃです^^;】
………この毒電波の使い手を早くどうにかしなきゃと思った俺は足元の自分の槍を拾って、
「あにうえとわたくしは、槍の先をこのようにカバーをしっかりとかけてけいこをしていました。あなたさまはさきほど、ささったとおっしゃいましたがいずみのそこにはカバーのかかった槍がおちてはいませんでしたか?」
仕返しの質問をぶつけてやった。
駄女神はかわいそうなものを見るような顔つきをすると
「まーた子供ぶりっこした話し方しちゃってきもいデスネーwそれに今わたしちゃんはキュアン卿とのお話中ですしーw」
再び勝ち誇ったような顔をキメると
「キュアン卿、あなたの至誠の気持ちを試すような質問をしたことをわたくしはお詫びいたします。
そしてあなたの弟御もあなたを案じての先程の物言いだったのでしょう。
あなたが周りを大切にしてきた気持ちが伝わっているが故に、周りもあなたを大切にしたいと思うのです。それをお忘れ無きように・・・。
これは旅立つあなたへの餞です、お受け取りなさい。」
駄女神はそう言うと兄上に見事な槍を一振り手渡した。
受け取った兄上の表情が驚きのものへと変貌して、
「こ、これは勇者の槍!」
首を横に振ってから兄上は
「いえ、私よりも我が弟にこそお授けください、ミュアハにこそその資格がある。」
兄上の一言はとても嬉しかったけれどそんな訳にはいきません、それはいずれフィンに渡してあげてください。
俺にちらっと視線を向けてから見たことも無いような柔らかな表情を浮かべた今だけは女神は
「一度差し上げたものをどのようになさろうとあなたの御自由です。あなたとあなたの大切な人たち全てに神々の祝福あらんことを・・・。」
なんて言葉を残し、兄上に抱きつくような姿できらきらと光の粒になって消えていった。
「ふしぎなことってほんとうにあるんですね。」
俺はそう言ってアイツが居て、泉のあった場所---今はただの河原---に目をやった。
「これが残ったからね。本当にあったことなのだよ。」
兄上は勇者の槍を俺の方に向けて
「さきほど言った通り、そして今日のことを忘れないためにもミュアハ、これを受け取るんだ。」
「兄上のおおせなれど、わたくしにはその槍はおもすぎ、大きすぎます。そして、今日のことは終生わすれません。」
首を振った俺に対してすこし寂しそうな表情の兄上に、
「むしろ、おひとりでグランベルへいかれる兄上にはその槍を父上やわたくし、それにお帰りをお待ちする国のみなだと思ってはいただけないでしょうか?」
深く考えもせずに出た言葉だったけれど……
兄上は笑顔なのか泣き顔なのかそのどちらかへの途中なのか、そんな形容し難い表情を見せると俺に背を向けて、
「……そろそろ帰ろう。遅くなっては皆が心配するだろうから。」
いつもより足早なため、追いかける俺からは顔を見ることは出来なかったが兄上の肩がすこし震えていたように見えた。
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