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ヘタリア大帝国

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TURN57 頭を撃つその八

「USJでの戦いでもな」
「そうだな。まあ勝ち目はないさ」
「しかし勝ってみせる」
 東郷は飄々とした感じでキャヌホークに述べる。
「ソビエトと長い消耗戦に入ることは勘弁してもらう」
「そうか。じゃあ俺もな」
 キャヌホークは軽いが確かなものを含めてまた言った。
「USJでの戦いに参戦させてもらうな」
「勝ち目はないのにか?」
「面白そうだからな」
 伊達、それに酔狂というやつだった。キャヌホークはそれを見せてそのうえで東郷に対して言ってみせたのだ。
「それなら一緒にな」
「有り難いな。一個艦隊余計に増えたか」
「それで今すぐにか」
「太平洋方面に展開している全軍で攻め込む」
 そのUSJにというのだ。
「必ず勝つからな」
「じゃあその勝利を見せてもらうか」
「艦隊の整備が整い次第このゲイツランド、ハワイの二方向から攻め込む」
「二方向から攻め込んでも大して違わないけれどな」
「そうだな。普通にやればな」
「普通には、か」
「そこはもう考えてある。ではだ」
 東郷はあらためてキャヌホーク、そして日本に対して告げた。
「今度はUSJだ」
「はい、それでは」
 日本がキャヌホークに応える。
「整備が整い次第攻め込みましょう」
「正念場なら勝ってそれを迎えてやるさ」
 東郷の余裕はこの状況でも変わらない。そのうえでだった。
 太平洋軍は今度はUSJに入る。そこでガメリカ軍との第二の決戦に入るのだった。
 ワシントンではルースが難しい顔で今自分のところにいるハンナとクーにこんなことを言っていた。
「勝利は確実にしても」
「若しも敗れれば」
「その時はですね」
「折角シカゴとテキサスの守りも固めているからね」
「いえ、けれどそれでもね」
「若しもUSJで敗れれば」
 ハンナとクーも敗れた状況のことは考えている、そのうえでの言葉だった。
「もう終わりよ」
「講和するしかありません」
「講和、即ち敗戦だね」
 ルースは暗い顔で述べる。
「それだけは」
「気持ちはわかるわ、ミスターにしてもね」
「そう、私は共和国ではじめて戦いに敗れた大統領になる」
 この不名誉のことだった。ルースが危惧していることは。
「共和国にも不名誉な恥辱がついてしまう」
「その通りよ。けれどね」
「これ以上の戦争はというんだね」
「状況が状況よ。ソビエトも何時太平洋に来るかわからないわ」
「ドクツが劣勢になっています」
 ハンナとクーは東部戦線の状況も話す。
「ソビエトが介入してくれば」
「事態はより厄介なことになります」
「USJで勝てばもう日本には寛大な講和条件を出すわ」
 当初の予定よりも遥かなものをだというのだ。
「そしてすぐに講和をして」
「ソビエトに備えるというんだね」
「日本に頭を下げさせれば太平洋経済圏は転がり込むわ」
「勝った場合はそうなります」
 クーはルースを気遣う態度で彼に話す。
「そして敗れれば」
「その時は残念だけれど」
「敗者としての講和に席に就きます」
「そうなってしまうわ」
「何としても勝って欲しい」
 ルースの言葉は切実なものだった。
「何としても」
「それは私達も同じよ」
 ハンナも切実な顔だった。
 
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