スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第七十五話 隠れていた者
第七十五話 隠れていた者
ロンド=ベルは遂にポセイダルの本拠地まで来た。そうしてだった。
フラットがここでだ。彼等に告げた。
「ポセイダルの本拠地だが」
「はい」
「それは何処ですか?」
「この惑星の何処に」
「ここだ」
惑星の地図の一点を指差しての言葉だった。
「ここにある」
「そうですか。そこですか」
「そこなんですね」
「そうだ。ポセイダルはここにいる」」
フラットはこうも話した。
「わかったな」
「ええ、よく」
「わかりました」
皆フラットのその言葉に頷く。そうしてだった。
惑星に降下した彼等はその基地に向かう。その途中は海を進んでいた。
「海ならな」
「来る敵も少ないしね」
「ヘビーメタルは海ではあまり戦えないし」
「それに市街戦とかにもならないし」
「ここはこの方がいいよな」
「だよな」
だからなのだった。彼等は今は海中を進んでいた。無論警戒は怠らないがそれでもなのだった。進撃はかなり楽なものだった。
そしてだった。基地まで少しの場所まで来たのだった。ここでまた言うフラットだった。
「いいな」
「今からか」
「行くか」
「これからだよな」
「いよいよ」
「そうだ。それではだ」
フラットは彼等に対して告げてだ。そうしてだった。
「私はこれからまた沈黙に入らせてもらう」
「そういうことですね」
「あとは俺達の戦いだよな」
「そうね」
「遂に」
こうしてだった。彼等は海から出た。目の前には巨大な港があった。
そしてそこにだ。基地も見えた。それも巨大な基地だった。
「あそこにポセイダルがいるんだな」
「だよな」
「あいつを倒せば本当に」
「ポセイダルとの戦いも終わりだよ」
「遂に」
こう話したうえでだった。
彼等は港に向かう。するとすぐにだった。
「レーダーに反応!」
「その数百万!」
「基地まで続いています!」
こうした報告が矢次早に来た。
「既に陣を整えてきています!」」
「ここはやはり」
「すぐに」
「そうだ、総員戦闘用意!」
ブライトが応えた。
「港に上陸しそこから基地を目指す。いいな!」
「了解です!」
「それなら!」
こうしてだった。両軍の最後の戦闘がはじまったのだった。
ロンド=ベルはすぐに全機出撃しそのうえでだった。港を目指すのだった。
その中には無論ロジャーもいる。ビッグオーの中でドロシーの言葉を受けていた。
「ロジャー」
「どうした、ドロシー」
「目の前の敵だけれど」
「ポセイダル軍か」
「ええ、彼等」
その彼等のことを言うのだった。
「機械ね」
「実際に無人機が殆どだな」
「いえ」
「いえ?」
「そうじゃないわ」
こうその独特の無機質な声で話してきた。
「人間もいるけれど」
「彼等もか」
「ええ、機械」
そうだというのである。
「機械になっているわ」
「心がなくなっているか」
「それがポセイダルの統治なのね」
「そういうことになるな」
ロジャーもドロシーの今の言葉に頷いた。
「結局のところは」
「そういうことね」
「それがポセイダルという女か」
ロジャーもここでさらに悟ったのだった。
「そうだな」
「駄目ね」
ドロシーはこう言い切った。
「それじゃあ」
「そう思うか」
「私はアンドロイドだけれど」
このことを前置きしてだった。
「それでもわかるわ」
「それでは駄目ということがか」
「ええ」
ロジャーに対してこくりと頷いてみせてだった。また言うのだった。
「人は人だから」
「機械ではないな」
「そう、だから」
「その通りだな。人間とはだ」
「人間とは?」
「心があるものだ」
このことはロジャーもわかっていることだった。
そしてだ。こうも言うのだった。
「どんな形や姿をしていてもだ」
「していても?」
「心が人間ならばだ」
彼は言う。目の前に近付いてきた敵の大軍を見ながらだ。
「それで人間なのだ」
「それでだというのね」
「私はそう思う」
こうも言うのだった。
「それが人間だとな」
「そうなのね」
「そうだ。そしてだ」
「そして?」
「君もだ」
ドロシーを見てだった。
「ドロシー、君も人間なのだ」
「いえ、私は」
「心がある」
彼が指摘するのはこのことだった。
「だからだ。君は人間なのだ」
「そうなの」
「そう考えるが。違うか」
「わからない」
ドロシーは表情のない顔で述べた。
「私にはそれは」
「わからないか」
「けれど考えることはできる」
それはだというのだ。
「そうかも知れない」
「そう考えてくれるんだな」
「ええ。じゃあロジャー」
「行くか」
言いながらだ。ヘビーメタルの小隊に照準を合わせる。
そのうえでミサイルを放ってまとめて倒す。彼等もまた戦っていた。
戦局はロンド=ベル有利だった。百万の敵でもだ。
「所詮この程度じゃな」
「ああ、無人機じゃな」
「どうってことないな」
「今更ね」
そうなのだった。最早無人機では彼等の相手は無理だった。
それで次第に押していく。それでだった。
三時間程でもう敵基地の中枢に近付いてきていた。敵の数もだ。
「半分は倒したな」
「だよな、五十万な」
「後残りは五十万ってとこか」
「大したことないか?」
「雑魚はな」
とりあえず普通の軍はであった。
だが彼等は油断していなかった。何故ならだ。
「それでポセイダルだよな」
「何時出て来るんだ?」
「それで」
「今にも出てきそうだが」
「一体」
「おそらくは」
ここでまたダバが言うのだった。
「もうすぐか」
「もうすぐなの?」
「ああ、俺達は基地の中枢に近付いている」
こうリリスにも話す。
「それなら」
「ポセイダルが遂に」
「逃げるとは思えない」
ダバはその可能性はないと言うのだった。
「逃げるよりも」
「攻めて来るわよね」
「ポセイダルの性格を考えれば」
「そうよね。ポセイダルだから」
「ああ、絶対にうって出て来る」
ダバは確信していた。
「俺達の前に」
「じゃあ何処から出て来るかしら」
「多分」
「多分?」
「基地の中枢だ」
そこだというのだ。見れば中枢は無数の砲台やミサイルランチャーがある。そこからも攻撃を繰り出してきているのは言うまでもない。
「あそこだ」
「あそこに」
「あそこで己を護りながら戦う筈だ」
「じゃああそこに近付けば」
「間違いなく出て来る」
ダバはまた断言した。
「あそこに」
「じゃあ行こう」
「そう、そしてポセイダルを倒す」
皆ダバの言葉に応えてその基地の中枢に迫る。そしてだった。
最初に中枢に近付いたのは。彼等だった。
「よし、来たぜ!」
「いよいよだな」
「ポセイダルが」
アウルにスティング、それにステラだった。無論イライジャもいる。
彼等は中枢に近付くとだった。イライジャが指示を出した。
「まずはだ」
「ミサイルランチャーとか砲台ですね」
「それをですね」
「そういったものを潰す」
その通りだとスティングとアウルに答える。
「いいな、それで」
「了解」
「それならですね」
「ステラもだ」
彼女にも声をかけるイライジャだった。
「いいな」
「うん」
ステラはイライジャのその言葉にこくりと頷いた。
「それなら」
「余計なものをまず消す」
だからだというのだ。
「そうしてだな」
「はい、そうです」
ダバはここではイライジャに対して応えた。
「まずはそういったものを御願いします」
「了解した。ただ」
イライジャはしかしとも言う。
「今はだ」
「今は?」
「どうするんですか?」
「ここは」
「基地の中枢に迂闊に近付くな」
こう三人に告げた。
「いいな」
「ポセイダルが何時出て来るかわからない」
「そういうことですか」
「つまりは」
「その通りだ」
まさにそうだと言ってだった。彼も実際にビームライフルで砲台を一つ破壊した。三人もそれに続いて遠距離攻撃で砲台等を破壊していく。
砲台もミサイルランチャーも全て破壊した。するとだった。
「来たか」
「!?その声は」
「間違いない」
ネイとマクトミンが声をあげた。
「ポセイダルだよ」
「遂に出て来たか」
彼等が言うとであった。黄金のヘビーメタルが姿を現した。それを見てだった。
まずはアルトが言った。
「ネイのオージェに似ているな」
「そうだな」
ミシェイルがアルトの言葉に応える。
「というよりはそっくりだな」
「そうだな。ということは」
「そうさ、レプリカだよ」
ネイが二人に対して述べた。
「あたしのオージェはね」
「じゃああれですか」
ルカがネイに対して問うた。
「あの黄金のヘビーメタルがオリジナルですね」
「そうさ、名前はオージ」
その名前も言うネイだった。
「伝説のヘビーメタルだよ」
「まさかそれが残っていたとはな」
こう言ったのはマクトミンだった。
「そして動いているとは」
「あれっ、実在が疑われていた?」
「まさか」
「あのヘビーメタルって」
「そんなのだったんだ」
「そうさ」
ネイは今度は仲間達に答えた。
「ポセイダル自ら戦場に立つなんてことがもう考えれなかったからね」
「それでだ。まさかまだあるとはな」
マクトミンもまた言う。
「そう考えていてのことだった」
「それであのマシンの性能は?」
コウはそれが気になっていた。
「どんな感じなんだ?」
「絶対に洒落にならない強さだぜ」
キースがそのコウに返す。
「もうわかるだろ、それは」
「言われてみればそうだな」
コウもキースの言葉に納得した顔で頷く。
「それも」
「だろ?まあ碌でもない強さだぜ」
「それならばだ」
バニングは二人の会話から一つの決断を下した。
「ここはだ」
「はい、ここは」
「一体」
「どうされますか?」
「そうだ、周囲を囲んでそうして倒していく」
こうするのだった。
「それでいいな」
「まあそれしかないですね」
「結局はそうですね」
「敵は殆ど倒しましたし」
ヘイトにモンシア、アデルも言う。
「じゃあここは」
「周囲を包囲して」
「そのうえで」
「総員オージを包囲する」
バニングはあらためて指示を出した。
「しかしだ」
「バスターランチャーには注意ですね」
「そういうことですね」
「あれには」
「そうだ、密集はするな」
それはだというのだ。
「わかったな」
「はい、わかりました」
「それならです」
「散開しつつ包囲して」
「あのオージを」
こうしてだった。方針が決まったのだった。
全員でオージを散開しつつ包囲してだった。一気に攻めるのだった。
その中心にはだ。ダバがいた。彼はポセイダルに対して問う。
「ポセイダル?」
「カモン=マイロードか」
この名で問うのだった。
「遂にここまで来たか」
「そうだ、御前と戦う為にだ」
それでだというのだった。
「ここまで来たんだ」
「それはわかった」
「わかった!?」
「聞いた」
こうダバに言うのだった。
「話はな」
「しかしなんだな」
「貴様の言葉は覚えるに値しない」
ダバに言い返してきた。
「そういうことだ」
「ならそれでいい!」
「いいのだな」
「ポセイダル、貴様を倒してだ!」
「そうよ。ペンタゴナを解放するわ!」
リリスも言う。こうしてだった。
全員でポセイダルのオージに攻撃を仕掛ける。しかしだった。
「くっ、素早い!」
「何て速さなの!」
オージは巧みに攻撃をかわす。そうしてだった。
ロンド=ベルの攻撃をかわす。右に左に。
「甘いな」
「甘いかよ!」
「そうだ、甘い」
ムウのレジェンドのドラグーンをかわしながら彼に言い返す。
「この程度の攻撃で私はだ」
「倒せないって言うんだな」
「如何にも」
その通りだというのである。
「そういうことだ」
「くっ、流石はラスボスだな」
ムウは苦い顔で呟いた。
「そう簡単にはってことかよ」
「それはわかっているのでは?」
ガムリンがその彼に問う。
「ポセイダル軍との最後の戦いですし」
「まあそれはそうだけれどな」
「じゃあ別に今言っても」
「それでも言うんだよ」
まだ言うムウだった。
「ったくよ、最後の最後位な」
「楽にっていうんですね」
「そうだよ、勝ちたいよ」
また言う彼だった。
「この状況はな」
「まあそれでもだな」
今言ったのはキースだった。エメラルドグリーンのメビウスで突っ込む。
「数撃てばな」
「当たるってのかよ」
「弾幕だよ、弾幕」
ムウに具体的に話す。
「それで行こうぜ」
「ちっ、陳腐だがそれしかないか」
「そういうことさ。それじゃあな」
「ああ、じゃあな」
「やるか」
「そうするか」
こうしてだった。彼等はとにかく集中攻撃を浴びせていく。その中でだった。
「段々だけれどな」
「そうよね」
「あいつの動きが何か」
「わかってきたよな」
「ええ」
何度も何度もかわされているうちにだったのだ。
癖がわかってきた。そういうことだった。
「よく右に動く?」
「っていうかあれって」
「何か」
「クワサンの動きに似てる?」
このことに気付いたのである。
「クワサンのヘビーメタルの操縦がずっと上手くなったみたいな」
「そうした動きだよな」
「だよな」
「そういうことか」
ここで言ったのはナタルだった。
「クワサン=オリビーへの刷り込みはだ」
「それはポセイダルをベースにしていたのか」
「はい」
ヘンケンの問いにもこくりと頷いて返す。
「そうではないでしょうか」
「成程。それではだな」
「クワサン=オリビーの動きをサンプルとして考えて」
「それで攻撃を仕掛けるか」
「はい、そうしてはどうでしょうか」
「よし、わかった」
ヘンケンはナタルのその提案に頷いた。
「それではだ」
「そうしてくれますか」
「そうする。それではだ」
ヘンケンは今度はアドレアに声をかけた。
「いいか」
「了解、コンピューターで照合を出します」
こう言ってなのだった。すぐにコンピューターに入力をしてだった。
ラーディッシュにそのデータを入力してだ。オージにあらためて攻撃を放った。
「これなら!」
「むっ!?」
ラーディッシュの主砲がオージを撃った。まだ動きを止めないがそれでもだった。
「当たったよな」
「ああ、かわしきれなかったな」
「確かに」
ロンド=ベルの面々はそれを見て言う。
「じゃあこっちも」
「クワサンのデータを入れて」
「そうして戦うか」
「これから」
こうしてだった。彼等は全員自機にクワサンのデータを入力した。そのうえであらためて攻撃を仕掛けるとなのであった。
次々と当たるようになった。しかもだ。
オージの攻撃もだ。かわせた。
「本当にそうだったんだな」
「クワサンの洗脳はポセイダルだったんだ」
「やっぱり」
「そうだったの」
「そういえば」
ダバも気付いたのだった。
「ポセイダルはオリビーを通じて俺を見ていたな」
「だから余計になのね」
「ああ、だからだ」
こうリリスに話すのだった。
「だからオリビーは」
「何かポセイダルも」
「好きになれないな」
ダバはここで顔を曇らせて言った。
「こうしたやり方は」
「うん、私も」
それはリリスも同じだった。
「こんなやり方は」
「許せない、それならだ」
「ダバ、いいか」
ここでギャブレーが彼に声をかけてきた。
「クワサン殿の動きならばだ」
「ギャブレー君、何か考えがあるのか」
「あるからこう言ってきたのだ」
そうだというのである。
「それでだ。いいか」
「わかった」
ダバもギャブレーのその言葉に頷いた。
「それじゃあ今から」
「動きを合わせるぞ」
またダバに告げた。
「それでいいな」
「わかった。じゃあ合わせる」
「バスターランチャーだ」
ギャブレーは早速そのバスターランチャーを出した。ダバもだ。
それで二人で動きを合わせてだ。そうしてだった。
「これで!」
「この戦いは終わりだ!」
こう叫んでバスターランチャーを放った。それでだった。
二条の光がポセイダルに迫る。それは。
「くっ!」
「終わりだオルドナ=ポセイダル!」
「これでだ!」
二人は勝利を確信して叫んだ。そして。
二条の光がオージを貫いた。その動きが完全に止まった。
「やった!」
「これで!」
「ここでの戦いは終わりね!」
「いや」
勝利に沸き返ろうとする彼等にだ。フラットが言ってきたのだった。
「残念だがそうではない」
「えっ、フラットさんそれでも」
「もうオージは動きませんけれど」
「それでもですか?」
「まさかまだ」
「この時まで待っていた」
フラットはいぶかしむ彼等にまた言うのだった。
「実はだ」
「待っていたって」
「ポセイダルを倒すことを?」
「それなら別に何も言う必要ないんじゃ」
「ねえ」
「違う」
また言い返すフラットだった。
「あのポセイダルはポセイダルではない」
「!?まさか」
その言葉にだ。ショウがすぐに察した。
「影武者か」
「わかったようだな」
「よくあることだからな」
ショウはこうフラットに言った。
「そうしたことは」
「そうだ。それでだ。彼女は」
「その通りだ」
ここでだ。何処からか声がしてきた。
「フラット、やはり私を裏切ったな」
「貴方ね」
「そうだ」
そしてだった。角が生えた白いヘビーメタルが出て来た。それは。
「あれは」
「どうしたの、レッシィ」
「あのヘビーメタルは」
「そういえば見たことのないやつだけれど」
アムは強張る顔のレッシィとは違いいぶかしむ顔だった。
「何、あれ」
「ブラッドテンプルではないのか」
「ブラッドテンプルって確か」
「そうさ、ポセイダルが聖戦の時に使っていたっていうあれさ」
「あのA級ヘビーメタルが!?」
「まさか現存しているなんて」
「何っ、じゃああれは」
「そう、そのまさかだ」
そこに乗っていたのはだ。彼だった。
「アマンダラ=カマンダラ!」
「じゃああんたが!」
「本当のポセイダルっていうのかよ!」
「つまりは!」
「その通りだ」
その男アマンダラ、真のポセイダルからの言葉だった。
「私がオルドナ=ポセイダルなのだよ」
「じゃああの女は」
「一体」
「ミアン=クウ=ハウ=アッシャー」
フラットが言った。
「それが彼女の名前だ」
「何ッ、その名前は」
ギャブレーがその名前を聞いて言った。
「あのテンプルナイツの」
「かつての私と同じくな」
「自分の側近を影武者にしていたのかよ」
「つまりは」
「それでか」
「自分は影で」
皆それは納得した。しかしだった。
ここでだ。ダバが言うのだった。
「しかしだ」
「どうしたんだ、ダバ」
「どうして俺達に補給をしていたんだ」
こうキャオにも話す。
「ポセイダルが。どうしてなんだ」
「それを決まっている」
そのポセイダルの言葉だ。見ればその顔は若い。髭も付け髭だった。サングラスも外した彼は整った顔の青年に他ならなかった。
「カモン=マイロード君」
「その名前で呼ぶか!」
「そうだ。その理由はだ」
ポセイダルは話してきた。
「戦争をコントロールする為だ」
「戦争を!?」
「その通りだ。世界の活性化の為にはだ」
ポセイダルはそこから話すのだった。
「反乱勢力が必要なのだよ」
「それが俺達だっていうのか」
「そういうことだ」
傲然とした言葉だった。
「その通りだよ」
「おい、ふざけんじゃねえぞ!」
「そうよ!」
彼の言葉に真っ先に言ってきたのは甲児とアスカだった。
「手前何様なんだよ!」
「神にでもなったつもり!?」
「人間は人間だ!」
光もだった。
「そんな考えは間違ってる!」
「そうだ!」
ダバも言う。
「それは傲慢だ!」
「君もそう言うのか」
「その為に何人の命が失われたと思っているんだ!」
ダバは激昂していた。しかしだった。
ポセイダルは平然としてだ。こう言うのであった。
「そんなものはだ」
「何だというんだ!」
「感傷に過ぎんよ」
こう言うだけだった。
「全ては正しき支配に必要な行為なのだ」
「おいおい、こいつはよ」
「ああ、そうだよな」
「色々な意味で最低みたいだな」
ケーンにタップ、ライトも嫌悪を見せる。
「傲慢もここまで来るとな」
「もう服着てそれが歩いてるって感じだよな」
「全くだな」
「アマンダラ=カマンダラ」
ダバは彼をこの名前で呼んだ。
「神になったつもりか!」
「その通りだよ、カモン君」
アマンダラはこの名前で呼ぶ。
「私は神なのだ」
「言うものだな」
サンドマンの目に冷たいものが宿った。
「それを言ったものはだ」
「一つの種類しかない」
マイヨもだった。
「私達は見てきたのだからな」
「そうだ。しかしだ」
「あの男は気付いていない」
彼等はもうわかっていることだった。だがポセイダルだけはそれを知らずにだ。今度はその女、ポセイダルだった女に言うのであった。
「ミアンよ」
「・・・・・・・・・」
「神の鉄槌をだ」
「手前が下すっていうのかよ」
「その通りだよ」
忍にも同じく超だった。
「それを受けてもらうのだ、君達に」
「シャピロと同じだな」
「ああ、そうだね」
「全くね」
「そのままだな」
沙羅、雅人、亮も同じ考えだった。
「こいつは。何処までも」
「ああいう類の奴なんだね」
「同じ穴の狢か」
「藤原、しかしだ」
「ああ、わかってるさ」
忍はアランの言葉に応えた。目はその男を見据えたままだ。
「こいつは俺達の獲物じゃねえ」
「そういうことだ」
「やれよ、ダバ」
こう言ってだ。そのダバを見るのであった。
「ここはな」
「では行くのだ」
ポセイダルの声がミアンに向けられた。しかしだった。
ここでだ。フラットが言った。
「お待ちなさい」
「んっ!?」
「フラットさん!?」
「ミアン=クウ=ハウ=アッシャー!」
彼女への言葉だった。
「もうお止めなさい」
「フラットか」
「それ以上その男に尽くすことはありません」
こうミアンに告げるのだった。
「最早」
「フラット?」
そしてだった。ミアンも反応を見せたのだった。
「フル=フラット?」
「そう、私です」
また声をかけるフラットだった。
「貴女と共にテンプルナイツとして戦った」
「あの」
「そう、フル=フラットです」
「フラット・・・・・・」
その名前を聞いてだった。さらに言うミアンだった。
「ああ・・・・・・」
「あれっ、変わった!?」
「だよな」
「何か反応が」
「変わった!?」
「ここで」
ロンド=ベルの面々もそれに気付いた。そしてであった。
見続けているとだ。ミアンの言葉がさらに出た。
「何故私はここに」
「何っ、これは」
ここでポセイダルも言うのだった。
「バイオリレーションの効果が切れたというのか」
「そう、私は」
ミアンもポセイダルを見て呟く。ここでフラットはさらに彼女に話す。
「もう止めましょう」
「止める」
「そう、あのポセイダルは昔のポセイダルではありません」
こう話すのだった。
「己の野望の為に人を踏みにじり」
「だよなあ」
「どう見てもな」
「そういう奴にしかな」
「見えないわよ」
誰もがポセイダルを見抜いてしまっていた。
「あいつはな」
「最低の人間の一つよ」
「最早な」
「そうなってるわね」
「それを恥じない」
フラットの言葉はその中でも続いていた。
「その様な男にこれ以上自分の運命を委ねることはないのです」
「フラットよ」
ポセイダルはそのフラットを見据えて言ってきた。
「サードスターとその治外法権を与えていたな」
「はい」
フラットもそれは認めた。こくりと頷いてみせる。
「その通りです」
「それでか」
ポセイダルの言葉には怒りが含まれていた。
「永遠の若さも与えてやった恩を忘れて」
「与えてやる、ね」
「そこですね」
卯兎美が華都美に話していた。
「そこにこそですね」
「ええ、ポセイダルという人間の心が出ているわ」
見れば華都美の顔には嫌悪が出ていた。
「あからさまにね」
「そうですね、本当に」
そしてだった。フラットも言い返していた。
「それが傲慢だというのです」
「何っ!?」
「昔の貴方はそんなことはなかった」
「私に反逆するというのか」
「貴方を見ることがそれというのなら」
「おのれ・・・・・・」
フラットが今いるグランガランに向かおうとする。しかしであった。
彼は既に囲まれていた。完全にだ。
「おいおい、行かせないっての」
「行きたいってのならよ」
「俺達を倒してもらおうか」
「ここはね」
「おのれ、ミアン」
ミアンのオージを見る。しかしだった。
彼女もだ。動かないのだった。
「何をしている」
「ポセイダル様、私は」
「ロンド=ベルの者達に神の鉄槌を下すのだ」
「まだ言ってるのか、こいつは」
宙も完全に呆れていた。
「神様気取りもいい加減にしやがれってんだ」
「けれど自分ではわかっていないのね」
「ああ、そうだな」
美和にも答える宙だった。
「手前だけはな」
「今まで何度も見てきた姿だけれど」
「滑稽だな」
「ええ、そうね」
まさにそうだった。本人が気付かないだけでだ。
それでだった。ミアンも言うのであった。
「私はもう」
「何だというのだ」
「疲れました・・・・・・」
こう言ってだった。オージがブラッドテンプルから離れていく。
そしてそのうえでだ。動かなくなったのだった。
「これでもう・・・・・・」
「バイオリレーションの支配を受け付けないというのか」
「もう私は」
「これはどういうことだ」
「もうお止め下さい」
そのミアンの言葉だった。
「これ以上戦ってもです」
「どうだというのだ」
「何になりましょう。もう」
そしてだ。ミアンの次の言葉は。
「全ては終わったのです」
「終わったというのか」
「彼等には勝てません。それに仮に倒したところで」
「馬鹿な!」
そこから先の言葉は言わせなかった。彼自身の為に。
「まだ負けてはおらん!」
「おわかりになられませんか」
「この私にバイオリレーションがある限り」
あくまでそれにこだわるのだった。
「負けることは有り得ん!」
「まだおわかりになられませんか」
「邪魔立てするというのならだ!」
「だからよ」
「それはもうできないっての」
オージの周りもだった。ロンド=ベルの面々が囲んでしまった。それで彼女を攻撃させずポセイダルの動きを封じてみせたのである。
「もうあんたにはな」
「何の力もないっての」
「只の裸の王様なんだよ」
「もうな」
「おのれ、貴様等・・・・・・」
「バイオリレーション・・・・・・」
ミアンもその装置について言った。
「そんなものがなくとも私は貴方に・・・・・・」
「おのれ、おのれ!」
「さあ、もういいな」
「おっさん、覚悟はいいな」
「話したいことは終わったか?」
ロンド=ベルの面々が彼を囲んだうえで言ってきた。
「もう終わらせるからな」
「それでいいよな」
「これでな」
「貴様等・・・・・・」
「終わりだポセイダル!」
ダバが彼に告げた。
「貴様は完全にだ!」
「まだ言うのか」
「おい、ダバ!」
キャオがここでダバに言ってきた。
「見つけたぜ!」
「そうか、キャオ」
「ああ、後ろだ」
こうダバに告げるのである。
「あいつの後ろにあるぜ」
「そうか、それならだ!」
「何っ、まさか」
「そうだ、そのまさかだ!」
言いながらだった。素早い動きでブラッドテンプルの後ろに回った。その動きはポセイダルでも見切れないまでだった。
「速い!?この私よりも」
「だから言った筈だ!」
振り向こうとする彼への言葉であった。そして。
エルガイムマークツーの手にマインを持ってだ。それをブラッドテンプルの後ろにある巨大な装置に対して投げ付けたのであった。
「よし!」
「くっ、やらせはしない!」
ポセイダルは何とか防ごうとする。しかしそれは間に合わない。
マインがその装置を直撃してだ。破壊してしまったのだ。
装置が破壊された瞬間にだ。ポセイダルの様子が一変した。
「ぐわああああああああ・・・・・・!」
「えっ、まさか」
「ポセイダルが!?」
「急に老けていくけれど」
「これって」
「老化だ」
フラットが驚くロンド=ベルの面々に対して話した。
「バイオリレーションが破壊されたことによってそれを留めることができなくなったのだ」
「その永遠の若さを」
「それでか」
「ああなったんだ」
「今は」
「そうだ、それでだ」
また話すフラットだった。
「ああして。今まで止めていた老化が急激に進行しているのだ」
「じゃああのまま?」
「あいつは死ぬ?」
「年老いて」
「死ぬまではいかないがだ」
それでもだというのである。
「少なくともその力は相当落ちる」
「そうか、それなら」
「後はもう」
「止めをさすだけか」
「そうですよね」
「そういうことだ。それではだ」
フラットは今度はだ。ダバに顔を向けて言うのであった。
「わかっているな」
「はい」
ダバも彼女の言葉にこくりと頷く。
「俺がですね」
「君にはそれをする資格がある」
こうダバに告げるフラットだった。
「そして権利もだ」
「権利も」
「ヤーマン王家の者として」
権利の根拠はこれであった。
「そしてポセイダルに対して立ち上がった者として」
「だからこそ」
「そうだ、君が全てを終わらせるのだ」
ダバに言った。そしてダバもだ。
ここでもバスターランチャーを出した。そしてだ。
「これで!」
「くっ、カモン=マイロード!」
「終わりだ。行けーーーーーーーーーっ!」
その砲撃によってだった。ブラッドテンプルを撃ち抜いた。
光が貫きそうしてだった。ヘビーメタルは動きを完全に止めてしまった。
各部から火花を出しながらだ。ポセイダルは言う。
「このブラッドテンプルが、私が敗れるだと」
「御前はその傲慢さ故に敗れたんだ!」
こう言い返すダバだった。
「これで全ては終わりだ!」
「馬鹿な・・・・・・うおおおおおおおっ!!」
炎に包まれてだった。ポセイダルは姿を消した。
ブラッドテンプルも爆発し全ては消え去った。これがペンタゴナの戦いの終わるだった。
「終わったな」
「そうね」
「これでね」
皆このことにまずは一つの終焉を感じていた。
「それでフラットさん」
「貴女はどうされるんですか?」
「それで」
「前に言った通りだ」
こう返すフラットだった。
「私は人目につかない場所で隠棲させてもらう」
「そうされますか」
「もう」
「これで、ですか」
「そうだ。ミアンと共にゆっくりと過ごさせてもらう」
見ればミアンはまだ生きていた。オージもかろうじて動くようである。
「二人でな。静かに死に入ることにする」
「そうされるのか」
ギャブレーが感慨深い顔で彼女の言葉を聞いていた。
「貴女は」
「もう何も望むものはない」
全てを悟った達観した言葉だった。
「だからだ。それではな」
「ああ、それじゃあな」
「お元気で」
「これで」
ロンド=ベルの面々も別れの言葉を出す。そうしてであった。
フラットはミアンと共に何処かに消えた。残ったのはロンド=ベルだけだった。
生き残ったポセイダル軍の者達も投降し武装解除された後で基地に入る。そこで整備と補給を受けながらだった。ダバが言うのだった。
「オルドナ=ポセイダル」
「ああ、死んだな」
「これで遂にね」
キャオとアムが彼の言葉に応える。
「こえでもうな」
「終わったな」
「ペンタゴナを裏から操り全てを支配しようとしていた」
「とんでもない奴だな」
「ええ。けれど」
ここで言うのはアムだった。
「可哀想な人だったのかも知れないわね」
「えっ、何でだよそれって」
キャオはアムの今の言葉に思わず問い返した。
「あいつが可哀想なんだよ」
「だって。信じられるのはね」
アムはキャオに応える形でさらに話すのだった。
「誰もいなくて」
「それでか」
「愛していた筈のミアンまでああして操っていたのよ」
「信じられるのは」
レッシィがここまで聞いて言う。
「自分だけか」
「ええ、そうじゃない」
「独裁者の典型的なタイプね」
「だからそう思うんだけれどね」
「そうね。けれど」
今言ったのはリリスだった。
「ポセイダルも最初はああいう人じゃなかったと思うの」
「そうだな」
リリスの今の言葉に頷いたのはダバだった。
「バルマー人自体が。元々はな」
「そうよね、やっぱり」
「俺もそう思う」
こう話すダバだった。
「けれど権力を握ってそれに固執するあまり」
「それでね」
「ああなったしまったんだな」
そのことにだ。皆思うところがあった。そこに見たものはアムの言う通りのものだった。なれの果てを見て思ったことであった。
そしてだった。再び旅に出る時にだ。ブライトがダバ達に話してきた。
「ダバ君」
「はい」
「今まで協力してくれて有り難う」
「いえ、こちらこそ」
お互いへの礼からだった。
「これでペンタゴナは自由になります」
「そうだな。そして」
「そして?」
「これから先の戦いはだ」
「はい、わかっています」
ダバは確かな顔でブライトの言葉に頷いた。
「宇宙の為の戦いですね」
「ペンタゴナは解放されたがそれでもな」
「宇宙の為の戦いは続きますね」
「共に来てくれるか」
「勿論です」
返答は一つしかなかった。
「だからこそここにいるんですから」
「そうか、だからか」
「はい、それではこれからも」
「宜しくな」
こう言葉を交えさせてであった。
ペンタゴナを離れる彼等はだ。いよいよその目的地に向かうのだった。マクトミンがこの話をミリアリアから聞いて言うのであった。
「ふむ、三連のか」
「はい、そこで宇宙の危機が迫っていますので」
「ポセイダルの話が小さくなるな」
マクトミンは話を聞いてこう言った。
「かなり大きな話だと思っていたのだがな」
「全くだね」
ネイもそれに頷く。
「宇宙の危機かい。そう来るとね」
「途方もない話になるがな」
「しかしです」
「宇宙の危機はそのままペンタゴナの危機になります」
今言ったのはアントンとヘッケラーだった。
「このまま向かいです」
「そして我々も」
「それはわかってるよ」
ネイはすぐにその二人の言葉に応えた。
「充分にね」
「はい、それではです」
「我々も」
「乗りかかった船だよ」
これがネイの言葉だった。
「それでいいね」
「はい、こうなればです」
「最後までロンド=ベルにいましょう」
「ペンタゴナの護りも既にあるしな」
マクトミンはそれについては危惧していなかった。こう言うのであった。
「レジスタンスの者達がそのまま政府軍となった」
「それにポセイダル軍の残りも入ったしね」
「だからそれは気にしなくていい」
こうネイにも言う。
「確かに宇宙怪獣やプロトデビルン達もいるがな」
「それでもだね」
「その通りだ。何とかなる」
それでいいというのであった。そしてだった。
「さて、その三連太陽だが」
「これから向かいます」
遥が述べた。
「最早そこまでに何の障害もありません」
「いよいよですね」
綾人の顔が真剣なものになっていた。
「僕達のこの長い旅の一番の目的が遂に」
「そうね。いよいよだね」
エルフィが言ってきた。
「長かったね、ここまで」
「ええ、本当に」
それは八雲も言う。
「本当に長い戦いでしたけれど」
「とにかく色々な戦いがあったわね」
キムも今は感慨に耽っている。
「それでもいよいよ」
「まあそれで終わりじゃないけれどね」
今言ったのは海だった。
「バルマー帝国もいるし」
「プロトデビルンもだな」
「それとバッフ=クランもですわ」
光と風はそうした勢力のことを考えていた。
「戦いはまだまだだ」
「続きますわね」
「それによ」
プリメーラはその顔を怒らせていた。
「あの連中」
「あの連中?誰だ?」
「グラ何とかっていたじゃない。バルマーに」
その顔で光に返すのだった。
「あいつ等が一番むかつくわ」
「そうだな。あの連中もいたな」
ランティスがプリメーラのその言葉に応えた。
「グラドスが」
「あっ、こりゃまずいで」
カルディナがゴラオンのモニターを見ながら言った。
「丁度進路にグラドスの本星あるで」
「何っ、それならだ!」
それを聞いて叫んだのはジュドーだった。
「グラドスの奴等まとめて殺してやるぜ!」
「おいおい、また随分と過激だな」
カミーユがいささか引きながらそのジュドーに言った。
「殺すのか」
「あいつ等だけは許せないからな」
だからだと答えるジュドーだった。
「それはカミーユさんだって同じだろ?」
「確かにな」
それは否定しないカミーユだった。
「あの連中は俺も好きにはなれない」
「だからだよ。殺してやるんだよ」
ジュドーも怒りを露わにさせていた。
「地球でのことは忘れないからな」
「少なくとも捕虜を取るつもりはないな」
カミーユも言う。
「やってやるか」
「そうですね」
ラクスもだった。
「グラドス人は。銀河にとって有害でしかありません」
「ああした考えでいる限りはですね」
バルトフェルドもラクスと同じ考えだった。
「それじゃあ。グラドス軍が出て来たら」
「はい、倒しましょう」
ダコスタも頷く。そうしてだった。
彼等はグラドスとの戦いも念頭に置きながら三連惑星に向かうのであった。戦いは一つは終わったが。また一つの戦いがはじまろうとしていたのだった。
第七十五話 完
2010・11・18
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