スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第七十三話 フル=フラット
第七十三話 フル=フラット
フル=フラットのいるサードスターに向かうロンド=ベル。その途中でだ。
また、だ。ダバが言うのだった。
「サードスターにある戦力ですが」
「ああ、それな」
「一体どれだけ?」
「どれだけいるんだ、それで」
「おそらくだけれど」
確証のない予想である。それでも言うのだった。
「ポセイダルは主力は常に自分の手許に置いているから」
「今じゃその七個艦隊?」
「ジュデッカ=ゴッツォ達が率いているその連中?」
「その七個艦隊?」
「あの連中か」
「彼等は間違いなくポセイダルのところにいる」
ダバはこのことは断言できた。
「それがポセイダルの率いる軍の主力なのは間違いない」
「じゃあフル=フラットのところには」
「ポセイダルの主力はいない」
「そうだよな」
「やっぱり」
「そう思う」
また皆に話すダバだった。
「だから数はあまり気にしなくていい」
「数はか」
「それは大してか」
「気にしなくていい」
「そうなるのね」
「ただ」
数は大したことはないとした。しかしそれでもだった。ダバは言い加えるのだった。
「質は問題かも知れない」
「近衛兵だから」
「それでか」
「それでなのね」
「敵の質は」
「それは問題か」
「多分」
ここでもはっきりとは言えないダバだった。予想でしかない。
しかしその予想をだ。彼は言うのだった。
「そして一気に決着をつけないと」
「ポセイダルが兵を向けて来るか」
「そうなれば厄介だし」
「短期戦にしないと」
「まずいよな」
「そうよね」
「そういうことだから」
これがダバの言いたいことだった。
「皆、今度もまた激しい戦いになるだろうけれど」
「それでもか」
「ここは」
「行くか」
こう話してだった。彼等はそのサードスターに向かった。するとだった。
急に目の前にだ。宇宙怪獣の大軍が出て来たのだった。その数は。
「百二十万です」
「くそっ、よりによってかよ」
「こんな時に出て来るなんて」
「忌々しいな」
「しかしだ」
それでもだと。タシロが全員に告げる。
「宇宙怪獣は放ってはおけない」
「放っておくとそれだけ惑星を破壊していく」
「恒星を巣にして」
「だから」
「ここは戦闘に入る」
タシロは決断を下した。
「いいな、それでだ」
「わかりました」
「それしかありませんね」
「やっぱり」
皆もそれで納得した。そしてだった。
総員出撃してだ。宇宙怪獣に向かうのだった。
数は確かに多い。しかしだった。
「あれ?あの挟み撃ちにするのはいないな」
「合体型だよな」
「あれはいないわね」
「そうだな」
このことに気付いたのである。
「他にも強いのはあまり」
「数だけか、今度の宇宙怪獣」
「確かに数は多いけれど」
「質は大したことないか」
「そうよね」
このことがわかったのだ。するとだ。
タシロがまた皆に告げてきた。
「諸君、ここはだ」
「はい」
「どうされますか?」
「宇宙怪獣を倒す」
彼が選んだ選択肢はこれだった。
「それでいいな」
「そうですね」
「やっぱりそれしかありませんよね」
「それ以外には」
こうそれぞれ言ってだ。タシロの言葉に頷いた。
そしてそのうえでだった。すぐに出撃してだ。
宇宙海獣達に向かう。しかし彼等の動きは。
「?俺達には来ないな」
「サードスターに向かってるけれど」
「これってまさか」
「あの星を?」
サードスターを狙っていることを察知したのだった。見ればだ。
実際に彼等を無視してサードスターに向かっていた。
それを見てだ。副長がタシロに問うた。
「それでもですね」
「無論だ」
タシロの返答はここでも変わらない。
「サードスターにも一般市民がいるな」
「はい」
ダバがタシロの問いに答える。当然彼も出撃している。
「その通りです」
「ならばだ。ここはだ」
「やっぱり宇宙怪獣をですね」
「倒す」
やはり返答はこれだった。
「それでいこう」
「わかりました。それじゃあ」
「全軍突っ込め!」
タシロの声が強いものになった。
「そしてそのうえでだ」
「はい、サードスターの一般市民を」
「是非救いましょう」
「何があっても!」
ロンド=ベルは宇宙怪獣の大軍に突っ込んだ。その中にはガンバスターもあった。
ノリコがだ。カズミに対して言う。
「お姉様、それじゃあ」
「ええ、ノリコ」
カズミもその彼女の言葉に応える。
「今からね」
「行くのね」
「勿論よ。それでね」
「はい」
「わかっているわね」
そのノリコへの言葉だった。
「仕掛ける技はね」
「あれですね」
「あれをまず仕掛けるわ」
「わかりました」
ノリコはカズミのその言葉に頷く。そしてだった。
ガンバスターが身構える。その全身に力を込める。
ノリコもカズミも同じ構えになっている。ノリコが叫んだ。
「スーパー」
「稲妻」
カズミも続く。その技は。
「キーーーーーーーーーーーーーーーック!」
今渾身の蹴りを宇宙怪獣の大軍に向けて放ったのだった。
瞬く間に彼等の陣を突き破りその後ろに無数の火球を作り出す。それが合図になった。
「よし、行くぞ!」
「敵の数決して多くない!」
「このまま突き進め!」
「一機もサードスターには行かせるな!」
こう口々に叫んでだ。突撃しながら攻撃を繰り出していく。
それで宇宙海獣達を倒していく。するとだ。
ここでようやく宇宙海獣達も反転してきたのだった。
後方からの攻撃を無視できなくなった。それでだった。
彼等は反転をはじめたのだ。しかしだった。
「ここだ!」
「反転するところをですね」
「そうだ、狙い撃て!」
タシロは副長に応えながら全軍に指示を出す。
「そうしろ。いいな!」
「了解です。それでは」
「この艦も同じだ」
こうも言うのだった。
「いいな、反転する敵をだ」
「攻撃するのですね」
「一機でも多く沈める!」
彼の考えが如実に出た言葉だった。
「主砲及び魚雷発射用意!」
「了解!」
こうして彼等も攻撃を繰り出す。そうしてだった。
反転してくる宇宙海獣達をその隙があるところで撃墜し撃沈していく。これでロンド=ベルは戦場での主導権を完全に握った。
後はただひたすら攻めるだけだった。気付けばだ。
宇宙海獣達はその数を大きく減らしていた。タシロがそれを見てユングに問う。
「ユング君」
「はい」
「今敵はどれだけ残っているか」
「十万を切りました」
それだけだというのだ。
「そして残りもです」
「間も無くだな」
「ほぼ全て倒せるかと」
「わかった。それではだ」
「どうされますか、ここは」
「さらに攻めることにしよう」
これが彼の判断だった。
「やはりここはだ」
「徹底的にですね」
「そうするべきだ。それではだ」
こうして彼等はさらに攻撃を続けてだ。宇宙海獣達を殲滅してしまった。
残った。それこそ一万や二万にも満たない敵だけが戦場を離脱していく・その敵達を見てだ。タシロが言った。
「これで救われたな」
「はい、サードスターが」
「完全に」
「まずはよしとしよう」
満足してもいるのだった。
「宇宙怪獣達との戦いはまだ続くがな」
「それで艦長」
「いいでしょうか」
「ここは」
「むっ、何だ?」
周りの言葉を聞く。するとだった。
前にだ。今度はポセイダル軍の反応があった。それを言われたのだった。
「これか」
「はい」
「また戦闘ですね」
「ここは」
「そうだな」
落ち着いた声で応える彼であった。
「止むを得ん。それではだ」
「引き続き戦闘用意ですね」
「そういうことで」
彼等は戦いに入ろうとする。しかしだった。
ここでだ。そのポセイダル軍の方から通信が入って来たのだ。
「待ってくれ」
「待ってくれ?」
「待ってくれって?」
「一体何?」
「何があるんだ?」
「我々は戦うつもりはない」
こう言ってきたのである。
「君達とだ」
「おいおい、そりゃまたな」
「見え透いた謀略だよな」
カイとハヤトが言う。
「そんなこと言ってもな」
「すぐに後ろからだな」
「それは安心していい」
だがその相手はそれを否定してきた。
「我々は君達を相手にするのには数が足りない」
「数はか」
「それはなんだ」
「そうだ、だからだ」
それでだというのだ。
「君達を相手にするつもりはない」
「じゃあ何でなんだよ」
「どうして僕達の前に出て来たんだ」
カイとハヤトはその相手に問うた。
「大体あんたな」
「何者なんだ、一体」
「フル=フラット」
こう名乗ってきた。そしてだった。
「それが私の名前だ」
「フル=フラット!?」
「あのフル=フラットがここで出て来るなんて」
「一体これは」
「どういうことなんだ」
「まずは来てくれるだろうか」
全員のモニターに青い髪の女が出て来た。
「サードスターにだ」
「おいおい、また露骨だな」
「全くだな」
今度はジェリドとカクリコンが言う。
「そうしてそのサードスターでだな」
「仕掛けるんだな」
「安心するのだ。それはない」
それも否定する彼女だった。
「何ならだ」
「何なら?」
「何ならっていうと」
「一体」
「君達の艦の中に入ろう」
こう話してきたのだ。
「それなら信用できるか」
「あたし達の中に入ってみせてっていうんだね」
ライラの目がここで光った。
「自分をあえて敵の中に置いてみせてだね」
「信用してもらうってことかい」
ヤザンも言う。
「まあよくある話だな」
「しかし少佐、そこまで言うのなら」
「これはです」
ラムサスとダンケルがそのヤザンに話してきた。
「この女の言うことは」
「完全に信用できないという訳ではないのでは」
「そうかも知れないわね」
マウアーは二人の言葉に傾いてきた。
「それじゃあここは」
「話だけでも聞いてみるべきか」
マシュマーはこう考えた。
「やはり」
「そうだね。こっちの中にいるんならね」
キャラが言うのはこのことだった。
「何があってもすぐにやれるからね」
「また物騒な言葉ですね」
「けれど事実だよ」
キャラは笑ってゴットンに答えた。
「それもね」
「つまりそうしたらですか」
「安心できるんだよ。交渉もね」
「どうもあまり好きなやり方ではないがな」
マシュマーはここでは自分の主義をもとにしていた。
「だがそれもな」
「仕方ないってことですね」
「そういうことになる」
こうゴットンにも告げてだ。彼も賛成したのだった。
そしてであった。フラットはラー=カイラムの中に入った。その中において彼女の側近達と共にロンド=ベルの面々と会うのであった。
すぐにだ。アムが皆に話す。
「身体検査は念入りにしたから」
「何も持ってはいなかった」
レッシィも話す。
「まさか全部脱ぐなんて思わなかったけれどね」
「あたし以上だよ」
「そうでもしないと信じてもらえないだろう」
素っ気無く答えるフラットだった。
「違うか、それは」
「いや、その通りだな」
ダバがフラットのその言葉に頷いてみせた。
「やっぱり。そうでもしてもらわないと」
「だからだ」
フラットは落ち着いた声で述べた。
「そうさせてもらった」
「それはわかったわ」
「何も持っていないことはだ」
アムもレッシィもそれは認めた。
「けれどよ」
「だからといって信用したわけではない」
「それはわかっている」
フラットも返す。
「元より信用してもらうつもりはない」
「随分とドライだな」
アムロはそんな彼女の言葉を聞いて言った。
「割り切っていると言うべきか」
「私という人間を信用しなくともいい」
フラットは今度はこう言った。
「しかしだ」
「しかしなんだな」
「私の言葉は信じてくれ」
自分で言う彼女だった。
「それだけだ」
「言葉と人間性は同じじゃないのか?」
「なあ」
「それってな」
皆それを聞いてそれぞれ言う。
「けれど言葉だけか」
「それは信じろっていうのね」
「それだけは」
「そういうことだ。それで頼む」
フラットは落ち着いた言葉で話してきた。
「いいだろうか」
「そうだな」
マイヨがフラットのその言葉に応えた。
「私もそれは腑に落ちないが」
「それでもなのですね」
「大尉殿、ここは」
「この女の言葉を」
「そうだ、信じることにしよう」
そうするというのだった。プラクティーズに対して返す。
「私はそうする」
「私もだな」
クワトロもだった。
「少なくとも君の言葉には嘘はないな」
「君、か」
「何か不都合があるのか?」
クワトロは自分の二人称の話もした。彼女へのだ。
「見たところ君は私より年下のようだが」
「外見はそうだな」
それはだというのだ。
「確かにな。しかし」
「しかし?」
「実年齢は違う」
こう言うのであった。
「私はこれでもかなりの年齢だ」
「ああ、婆さんなんだな」
それを聞いたシンの言葉だ。
「つまりは。ナタルさんと同じだな・・・・・・ぐふっ!?」
「一つ言っておく」
ナタルがシンにスリーパーホールドをかけながら告げる。顔は阿修羅のものになっている。
「口の悪い者は長生きできはしない」
「あががががががが・・・・・・」
「こいつ何時になったら学習するのかしら」
「そうよね」
「本当に進歩ないから」
アサギ、マユラ、ジュリはそんなシンに完全に呆れていた。
「毎回毎回袋にされてるのに」
「そうやって女の人の年齢言うのって」
「禁句なのに」
「何、それはいい」
しかしだった。フラットはそれはいいというのだった。
「実際に私は相当な年齢なのだからな」
「一体幾つ位なのかしら」
アルシオーネが怪訝な顔になっていた。
「本当に外見からじゃわからないけれど」
「ううん、若作りとかとちゃうよな」
カルディナは自分で言ってそれを否定した。
「魔法とかやないし」
「私と同じ位の年齢かも知れないが」
クレフである。
「だが。それはどうして外見を保っているかだ」
「バイオリレーションだ」
それだと言ってきたのだった。
「実はな」
「バイオリレーション?」
「何、それ」
「若さを保つ機械?」
「そういう装置かな」
「やっぱり」
皆ここで話した。
「っていうことは」
「つまりは」
「そういうこと?」
「やっぱり」
「簡単に言えばそうなる」
実際にフラットもそうだと話してきた。
「肉体の若さを維持する装置だ」
「ああ、それを使ってなんだ」
「それでその若さなんだ」
「成程ね」
「それでだったんだ」
皆ここで納得したのだった。そしてだ。フラットはさらに話してきた。
「そしてこれはだ」
「そういえば」
ダバがふと気付いたのだった。
「ポセイダルも。かなり長い間ペンタゴナに君臨しているが」
「そうだ、彼女もだ」
「やはり」
「バイオリレーションを使っている」
そうだというのである。
「それで若さを保っているのだ」
「それでなのか」
「そしてポセイダルを倒すにはだ」
ここからが問題だった。
「そのバイオリレーションを破壊することだ」
「それか」
「それがあいつを倒す為にやるべきこと」
「そうするべきか」
「ここは」
「わかってくれただろうか」
フラットはロンド=ベルの面々に対してあらためて尋ねた。
「私の言葉は」
「少なくとも言葉は信じられるようになりました」
「それはな」
タトラとタータが彼女に返す。
「そのお顔を見れば」
「そしてバイオリレーションの話を聞けばな」
「事実って大きいからね」
今言ったのは海だった。
「まあ言っちゃいけない事実もあるけれど」
「シンさんって」
風はまだナタルに締められているシンを見ている。
「正直なんでしょうか」
「正直はいいことだ」
光は正論を話はした。それはだ。
「そうじゃないのか?シンさんは悪いことをしたのか?」
「本当のことを変に言うからああなるのよ」
今言ったのはプリメーラだった。
「私だってあんなこと言われたら怒るわ」
「そうそう」
プリメーラの言葉にアクアが頷く。
「その通りよ。私だって二十三だし」
「えっ、ハマーンさんより年上!?」
「嘘っ!?」
「ハマーンさんがまだ二十一っていうことが」
「嘘みたいだし」
「そこまで恐ろしいことなのか」
そのハマーンが驚く一同に突っ込みを入れる。
「私がまだ二十一ということが」
「いや、まあ。何ていうか」
「あまりにも貫禄がありますから」
「しかも指揮能力高いですし」
「そういうの見てたら」
「本当に」
「そうか」
今は静かに返すハマーンだった。
「認めたくないものだな。己の外見のことは」
「それは私の台詞の筈だな」
クワトロがそのハマーンに突っ込みを入れた。
「しかし。気にしているか」
「流石に実際の年齢より上には思われたくはない」
これがハマーンの本音だった。
「それはな」
「そうか」
「それで話を戻そう」
ハマーンはここでは仕切りを見せた。そしてフラットにまた顔を向けた。
「それでフラット殿」
「うむ」
「貴殿はポセイダルとの戦いに協力してくれるのか」
「いや」
「それはないか」
「協力はしない」
それはいいというのである。
「ただ。ポセイダルにも協力はしない」
「中立?」
「つまりは」
「そういうことですか」
「私の戦力は解体させる」
彼女のその権力基盤の一つについても話した。
「それもだ」
「戦力もって」
「それもって」
「そこまでするんですか」
「もう何の意味のないことだ」
だからだというのだ。
「最早ポセイダルの統治は終わるのだからな」
「だからですか」
「ここは」
「そうするんですね」
「戦力を解体ですか」
「将兵は全て故郷に戻ってもらう」
そうするともいうのである。
「そしてだ」
「中立を保つんですか」
「つまりは」
「そういうことだ。サードスターも放棄する」
今度はそれだった。
「そのうえで君達の戦いを見守ろう」
「それだけではありませんね」
今度はダバが問うた。
「貴女の考えは」
「ポセイダルとの戦いの時にまた言おう」
「その時にですね」
「また君達に話す」
そうするというのである。
「まずはポセイダルのところに行くのだな」
「わかりました」
ダバはフラットのその言葉に頷いた。そしてだった。
ロンド=ベルの方針が決まった。まずはだった。
「ポセイダルの星に向かうか」
「そうだよな」
「まずはな」
「それであいつの前に出るか」
そうするとしてだった。
彼等は一旦サードスターに入った。もうそこではフラットの言葉通り戦力が解体され星もフラットの手から離れていた。レジスタンスの勢力の手になっていた。
彼等はそこで補給と整備を受けてだった。
「じゃあここからな」
「ポセイダルの星かあ」
「いよいよだよな」
「ああ」
「それで」
しかもだった。ここでだ。
フラットを探すとだ。彼女は彼等の前にいたのだった。
そしてそのうえでだ。彼等に話してきた。
「それではだ」
「ええ」
「貴女は今は見守るんですね」
「俺達の戦いを」
「そうさせてもらう」
やはりこう答えるフラットだった。
「君達の健闘を祈る」
「わかりました」
「じゃあ今から行きますので」
「ポセイダルのところに」
「その時にわかる」
フラットは彼等にこうも話したのだった。
「全てがな」
「全てがですか」
「その時にですね」
「そういうことだ」
やはりここでは多くを言わないフラットだった。しかしである。
ロンド=ベルは出撃した。ポセイダルの星に向かってだ。
一応フラットも同行している。だが彼女は。
「あれっ、ヘビーメタルもですか」
「乗られないんですか」
「それも」
「そうだ、私は最早戦うことはない」
だからだというのである。
「それでだ」
「まあそれでいいですけれどね」
「それじゃあ」
「俺達が戦いますし」
「そうでしたら」
「あくまで私はだ」
またこのことを言うフラットだった。
「戦いはもう捨てたのだ」
「そして見るんですか」
「これからのことを」
「そうされますか」
「私のバイオレーションは持っている」
それはだというのだ。
「だが。もう長生きするつもりもない」
「じゃあどうするんですか?」
「そのバイオレーションは」
「捨てるんですか?」
「徐々に使う回数を減らして少しずつ老いていく」
そうするというのである。
「そして穏やかに死んでいくとしよう」
「この戦いの後はですか」
「そうされますか」
「もう」
「そうさせてもらう。全てが終わった後でな」
これがフラットの考えだった。彼女はその心を隠棲に向けていた。
そこに消えようとする中で言うのであった。彼女のこれからをだ。
その彼女を乗せたままポセイダルとの決戦に向かうロンド=ベルだった。また一つ戦いが終わろうとしていたのであった。それは確かだった。
第七十三話 完
2010・11・9
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