スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第七十話 猜疑心
第七十話 猜疑心
「うわっ、これはまた」
「何ていうか」
皆シェリルの水着姿に唖然となる。
「只の白のビキニなのに」
「もうはちきれんばかり」
「そこまでいく!?」
「っていうか規格外」
「グラビアの仕事にも自信があるのよ」
プールサイドのシェリルは実に誇らしげである。
「しかもこれでもバージンよ」
「えっ、そうだったんですか」
彼女の言葉に熊のキャラクター柄のビキニのゼオラが驚く。彼女もまたその胸はかなりのものだ。
「シェリルさんって」
「意外かしら」
「意外っていうか」
「嘘だよなあ」
「ねえ」
「それって」
殆どの面々がそれを信じようとしなかった。
「ランカちゃんならともかく」
「シェリルさんがって」
「それって」
「けれど事実よ」
少なくとも嘘を言うシェリルではなかった。
「これはね」
「ううん、そういえばロンド=ベルって」
「そういう経験のある人少ない?」
「ねえ」
「考えてみれば」
皆考えてみればだった。
「ある人もいるけれど」
「ない人は徹底してない」
「そうよね」
「例えば」
ここで皆ロゼを見た。彼女は黒い露出がやけに多い黒のワンピースだ。腹部がかなり露わになっている。それが目立っている。
「ロゼさんもやっぱり」
「どう考えてもだよな」
「ロゼさんって真面目だし」
「そうよね」
「は、はい」
そのロゼも真面目な顔で言ってきた。
「実は私は。まだ」
「やっぱりね」
「そういうことですか」
「予想通り」
「そういえば」
ここで言ったのはランカだった。彼女はフリルのついたピンクのビキニだ。実に可愛らしい。
「何処かで聞いたんですけれど」
「んっ、何が?」
「どうかしたの?」
「そういうことはルージュの色でわかる」
不意にこんなことを言う彼女だった。
「聞いたことがありますけれど」
「ああ、それね」
マーベルがランカのその言葉に応える。露出の多い黄色のビキニだ。
「よく言われることではあるわね」
「そうですよね」
「一説にはそうね」
こう話すマーベルだった。
「実際はどうかわからないけれど」
「そうなんですか」
「まああれよ」
ここでマーベルは言葉を変えてきた。
「他人のそういうことはね」
「検索するのってよくないよな」
「そうだよな」
「やっぱりね」
「そういうことはね」
皆ここでそういうことはどうかということになった。そしてだ。
あらためて女性陣が見られる。するとだった。
ラトゥーニは。何と。
「うわっ、スクール水着」
「それは反則だろ」
「せめてワンピースじゃないと」
「そうだよなあ」
皆それを話す。しかし当人はこう言うだけだった。
「おかしい?」
「おかしいっていうかやばい」
「そうだよな」
「どう考えてもね」
「これって」
皆こう話す。そのラトゥーニを見ながらだ。
そしてそのうえでさらに見るとであった。やはりその姿は。
「危ないよなあ」
「下手なビキニよりもなあ」
「危険な香りがするし」
「やばいって」
「そうなの」
「そうした意見もあるわ」
レイが出て来た。彼女は黒ビキニだ。胸が結構ある。スタイルはいい。
「そう、水着は体形がはっきり出るから」
「そういう綾波もな」
「そうだよね」
そのレイの後ろでトウジとケイスケが話す。
「スタイルよくなったよな」
「それもかなりね」
「そう」
だがレイには自覚がなかった。こう返すだけだった。
「私、そうなの」
「スタイルがいいことはそれだけで武器よ」
アスカは見事な白のワンピースだ。胸が半分以上見えている。
「胸が大きい小さいだけじゃなくてね」
「胸かあ」
「小さくてもなあ」
「そうそう、いいよな」
「確かにね」
皆胸の小さいこともまたいいということもわかってきた。
ラトゥーニを見てだ。また話すのだった。
「胸が大きいことは素晴しい」
「けれど胸が小さいこともまた」
「同じだけ素晴しい」
「そういうことよね」
「そうだよな」
「ふん、胸だけじゃないのよ」
アスカはその目立つ胸を前に大きく出していた。
「全体を見て言うべきなのよ」
「けれどアスカちゃんはね」
横からレインが来た。コバルトブルーのビキニから見事な胸と脚が出ている。
「胸を張り過ぎよ」
「そうですか?」
「そういう姿勢なのね」
「まあ。何ていうか」
「こいついつも威張ってるからな」
ここで言ったのは甲児だった。
「だから自然とそんな姿勢になるんだよ」
「そんな訳ないでしょ」
アスカは甲児のその言葉に反論した。
「あたしが何時威張ってるのよ」
「って御前自覚ないのかな」
「そんなのないわよ」
堂々と言うアスカだった。
「最初からそんなことないんだし」
「あの、アスカ」
シンジがたまりかねた顔でアスカに告げてきた。
「あまりそういうことは」
「何よ、言うなっていうの?」
「ここは謙虚にね」
「あたしは何時でも謙虚よ」
やはりアスカである。
「こんなレディーを捕まえてね」
「レディーなのか?」
タスクも思わず突っ込みを入れる今の言葉だった。
「どう考えてもな」
「何だっていうのよ」
「ジャジャ馬だろ」
「ジャジャ馬!?」
「そうだろ、どう考えてもな」
「失礼なこと言うわね」
アスカはタスクのその言葉に突っ込みを入れた。
「よくもまあそんなことを」
「いや、それは」
「かなり当たってるだろ」
「なあ」
「アスカってどう考えてもな」
「ジャジャ馬だろ」
「なあ」
皆こう話す。まさにそうだというのだ。
そしてだ。アスカ自身にだ。こう話すのだった。
「なあ、落ち着いてな」
「毎回毎回喧嘩しても仕方ないだろ」
「だからな」
「何だっていうのよ」
皆に止められていささか面白くないアスカだった。
「あたしってそんなにトラブル起こしてるの?」
「起こしてるよな」
「なあ」
「どう考えてもな」
「すぐ突っかかるしな」
それがまさにアスカだった。
「特にシンとな」
「殆ど毎日喧嘩してるしな」
「よく続くよ」
「他にもケーンとか甲児とか」
「相手も多いし」
「けれどそれでも」
ここでシンジがこんなことを言った。
「あれだよね。何か険悪なものはないんだよね」
「実は」
レイがぽつりとした口調で話す。
「アスカは」
「アスカは?」
「皆が好きだから」
こう指摘するのだった。
「険悪なものはないの」
「そんな訳ないでしょっ」
アスカは白々しい言葉で打ち消そうとした。
「あたしはね、そんなことは全然」
「いや、あるだろ」
「そうだよな」
「どう見てもな」
「そうよね」
皆わかっていた。そのうえで言うのだった。
「アスカは素直じゃないからなあ」
「それもかなり」
「何て言えばいいのかな」
「つむじ曲がり?」
今言ったのは斗牙だった。
「それかな」
「こういう場合は臍曲がりっていうのよ」
ルナがその斗牙に話す。
「どっちかっていうとね」
「ああ、そうなるんだ」
「そういうこと」
「まあアスカのお臍は曲がっていないけれど」
今言ったのはミヅキである。
「それでも性格がね」
「根はいい人なんですけれどね」
エイナは既にこのことがわかっていた。
「そこがどうしても」
「何か滅茶苦茶言われてるわね」
アスカもそれはよくわかった。
「何でそこまでなのよ」
「っていうかさ」
シンジもその彼女に言う。
「アスカってやっぱり」
「何よ、今度は」
「少し素直になったらいいんじゃないかな」
こう言うのだった。
「それで大分違うと思うけれど」
「そうね」
レイもシンジのその言葉に頷く。
「そうしたら本当に」
「そうだよね、本当に」
「ふん、あたしはあたしよ」
やはりこう言うアスカだった。
「あくまで我が道を行くわ」
「そうなんですかあ」
今出て来たのはグレースだった。
「アスカちゃんってしっかりしてるんですねえ」
「有り難う、グレースさん」
アスカは彼女には笑顔だった。
「何かグレースさんに言ってもらえたら凄く嬉しいわ」
「いえいえ、それは」
「あたしもやっとわかってきたわ」
笑顔のまま言うアスカだった。
「似ている相手がいてくれてるってね」
「有り難いですよね」
「それはね」
レイがアスカのその言葉に頷いた。
「私もわかるわ」
「そうよね」
クリスがレイの言葉に笑顔で応える。
「私もレイちゃんと一緒だとね」
「何かさ。クリスさんってさ」
シーブックの言葉だ。
「あれだよね。レイちゃんと全然個性が違うけれど」
「似てるでしょ」
「はい、そっくりです」
まさにそうだと返すシーブックだった。
「そういうことですね」
「そうだよな。俺も何か」
バーニィはシーブックを見ていた。
「シーブックとはな」
「ええ、親近感沸きますよね」
「ははは、そうだよな」
「それで」
レイはクリスを見た。見ればだ。
彼女と同じ水着だ。サイズが違うだけだった。それを見てだった。
「お揃い」
「意識した訳じゃないけれどね」
「無意識のうちにそうなった」
こう言うレイだった。
「つまりはこういうこと」
「そうよね、とどのつまりはね」
「似ている相手がいるって有り難いよな」
今言ったのはヘクトールだった。
「俺もつくづく思うよ」
「そうだな」
アーウィンが彼のその言葉に頷く。
「寂しくなくなる」
「ううん、それでもよ」
「複雑な気持ちになる時はあるわね」
パットとミーナが言う。パットはコバルトブルーのビキニ、ミーナは紫のワンピースだ。ミーナのワンピースはかなりのハイレグだ。
「どうしてもね」
「自分がわからなくなったり」
「ううん、私にはそれはわからないけれど」
黄緑のワンピースのスメラギは難しい顔でベンチにいる。
「ただ。皆」
「皆?」
「皆って?」
「スタイルいいわね」
嘆息と共の言葉だった。
「本当にね」
「そう言うスメラギさんだってね」
「そうよね」
「何ていうか大人の女性?」
「その雰囲気醸し出してて」
「色気が」
「そうかしら」
スメラギは皆のその言葉には首を傾げさせて返す。
「私は別に」
「いえ、かなりですよ」
留美がそのスメラギに言う。彼女は紅のビキニだ。そう言う彼女にしてもだ。スタイルは暴力的なまでにいいのであった。彼女もなのだ。
「それは事実です」
「けれどもう歳だしね」
「って何言ってるのよ」
「そうよ」
ミサトとリツコだった。ミサトは白のビキニ、リツコは黒のビキニである。
「私達なんてそれ言ったらよ」
「かなりまずいのよ」
「そういえば私達って」
「そう、同年代じゃない」
「そこのところ宜しくね」
こうスメラギに返す二人だった。
「その貴女がそんなこと言ったらよ」
「私達の立つ瀬がないから」
「けれど二人共」
スメラギはその二人のスタイルを見ていた。そのうえでの言葉だった。
「かなり」
「どうなの?」
「どうっていうの?」
「いいじゃない」
これがスメラギの感想だった。
「グラビアできるわよ」
「まさか。そこまではね」
「いかないわよ」
今度は二人が苦笑いになった。
「私達じゃあね」
「とてもね」
「いえ、ミサトもそうだけれど」
スメラギは今はどちらかというとリツコを見てだ。こう言うのであった。
「その黒ビキニとね」
「黒ビキニと?」
「白のお医者さんの服はまずいでしょ」
「そうかしら」
「目のやり場に困るわ」
実際にスメラギの顔は少し苦笑いになっていた。
「どうしてもね」
「そうなの」
「そうよ。女の私だってそうだから」
「ええ」
「男の子だったら余計にそうなるわ」
「水着と白衣ってそんなに効果あるのかしら」
「ええ、間違いないわ」
メネシスがリツコに言ってきた。彼女は白のワンピースである。
「何となくわかるわ、私にもね」
「メネシスが言うのなら」
何故かここですぐに納得したリツコだった。
「そうなのね」
「納得してくれたのね」
「何となくだけれど」
そうだというメネシスだった。
「わかるわ」
「そうなのね」
「それでだけれど」
メネシスはここで話題を変えてきた。
「これからだけれど」
「これから?」
「泳ぎましょう」
リツコを誘う言葉だった。
「これからね」
「あっ、そうね。折角プールに来たんだし」
「泳ぎましょう。身体を動かすのもいいことよ」
「そうね。スポーツも美容にいいしね」
「それで身体動かして筋肉痛なんだな」
シンがここでも余計なことを言う。
「もういい歳だからな。二日後辺りに来てそっから苦しみ抜くな」
「はい、死んでなさい」
リツコはそのシンを即座に蹴り飛ばした。そのでプールに放り込んだ。
そしてその頭を掴んでだ。水の中に沈めるのだった。
「何が言いたいのかしら、一体」
「ガブ、ゲボッ」
「お姉さんわからないわ。言ってくれるかしら」
暗い怒りをたたえた笑みでそうしている。
「早く。言ってくれないかしら」
「やっぱりこうなるのよねえ」
黒ビキニのルナマリアが呆れている。下着そっくりのビキニだ。
「シンって。本当に口悪いんだから」
「っていうか毎回言うなこいつは」
カガリも言う。黄色のワンピースである。
「本当に懲りないな」
「まあ溺れて死ぬ奴じゃないし」
「いい薬だな」
こんなことをしながらプールで骨休みをした一同だった。そしてだ。
偵察に出ていたフェイからだ。報告が来た。
「基地、見つけたわよ」
「おっ、見つけたか」
「早いな」
「はい、見つけました」
ボルフォッグも出て来て皆に報告する。
「場所はサードスター近辺の小惑星です」
「そこにか」
「そこにいるのか」
「規模にして二個艦隊」
その数も既にわかっているというのだ。
「それだけの戦力がいます」
「そうか、わかった」
ダグラスがその報告に頷いた。そしてだった。
一同に対してだ。こう言うのだった。
「では諸君、今よりだ」
「その小惑星に向かって」
「そのうえで、ですね」
「十三人衆を倒すべきだ」
こう話すのだった。
「すぐにな」
「けれど」
「そうだな」
ここでアムとギャブレーが難しい顔を見せた。
「サードスターの近くね」
「そこなのか」
二人が問題にしているのはそこだった。
「あそこは」
「少しまずいな」
「どうしてなんだい?」
大介がその二人に尋ねる。
「そのサードスターに」
「そこにはポセイダルの腹心の一人がいる」
こう話したのはレッシィだった。
「フル=フラットという女がいるのだ」
「フル=フラット?」
「っていうと」
「誰、それ」
「あっ、話してなかったか」
レッシィはここで意外といった顔を見せた。
「あの女のことは」
「初耳?」
「そうだよな」
「ちょっと」
皆こうレッシィに返すのだった。
「どういう奴なの、それで」
「ポセイダルの腹心っていうけれど」
「それで」
「動いたことはない」
こう話すレッシィだった。
「だが、だ。多くの戦力も持っている」
「その戦力でか」
「俺達を攻めてきかねない」
「そういうことなのね」
「そうだ。それが問題だ」
その通りだと話すレッシィだった。
「あの女の動向がだ」
「しかしだ」
今言ったのはスレッガーだった。
「どっちにしろ十三人衆は潰しておくべきだろ」
「それはその通りだ」
レッシィもスレッガーの言葉に応える。
「放置してはおけないからな」
「じゃあここはどうするんだ?」
「やはり行くべきだろうな」
リュウはこう主張する。
「放ってはおけないだろう」
「ですが私達が十三人衆と戦ってる間に」
セイラはあえて最悪の事態を想定して述べた。
「後方から来たら」
「挟み撃ちかよ」
「そうなるな」
カイとハヤトも言う。
「そうなったらやばいな」
「そうだな。その危険もあるよな」
「いや、ここは」
「そうだな」
だがここでアポリーとロベルトが言う。
「あえて虎穴に入るか」
「そうして戦うべきじゃないのか」
「おいおい、またそりゃ」
「過激にいくんだな」
カイとハヤトは二人のその主張に驚いた。
「挟み撃ちになってもか」
「それでも十三人衆の軍を叩くのか」
「そうでもなければ駄目だな」
クワトロはかつての部下達の意見に賛成したのだった。
「ここはな」
「そう言うんだな」
「そうだ」
アムロに対しても言った。
「さもないと十三人衆が何時隙を見せて窺うかわからない」
「それを防ぐ為にも」
「今あえて危険を冒して」
「そういうことか」
「ここは」
皆クワトロの話を聞いて述べた。
「あえて危険を承知で」
「一気に叩くか」
「そうするべきか」
「それが妥当だと思う」
また言うクワトロだった。
「後ろから敵が来ればだ」
「その時は」
「どうするんですか?」
「一体」
「まずその前に十三人衆の軍を全て倒す」
クワトロの主張はここでは過激だった。
「そしてそのうえでだ」
「フル=フラットの軍をですね」
「返す刀で」
「そうするのはどうだ」
ここでは一同に問うのだった。
「迅速に戦うということだ」
「失敗した時のことは考えない、か」
「どちらにしても敗北すれば終わりだ」
アムロにこの現実を話した。
「違うか、それは」
「いや、その通りだ」
アムロもそれは否定しない。
「俺達の戦い自体がな」
「では答えは出たな」
「そうだな」
アムロもここで頷いた。そうしてだった。
彼等は十三人衆のその隠された基地に向かった。そこに近付くとだ。
すぐに敵が出て来た。アステロイド帯に入るとすぐだった。
左右からだ。伏兵だった。
「迎撃に出て来たな」
「そうだな」
キャオがダバの言葉に頷く。
「こういう展開はいつもだな」
「そうだな。それじゃあ」
「勿論総員出撃だ」
今言ったのはカイである。
「いいな」
「ええ、それじゃあ」
まずはダバが彼に対して頷いた。
「行かせてもらいます」
「頑張れよ、ダバ」
パイロットでないキャオは彼を見送るのだった。そうしてだった。
ロンド=ベルは迎撃に来た軍勢に向かう。その数はだ。
「数はそんなに多くないな」
「そうだな。二万?」
「それ位だよな」
「援軍が来るかも知れないけれど」
その危惧はしていたがだった。
「けれどさしあたっては」
「二万?」
「それ位よね」
「やっぱり少ないな」
こう話すのだった。そしてだ。
左右から来る敵に対して備える。その指揮官は。
「ネイだね」
「ああ、そうさ」
不敵な声がレッシィに返ってきた。オージェがいた。
「久し振りだね」
「ふん、生きていたんだね」
「生憎ぴんぴんしてるさ」
こう言うネイだった。
「この通りね」
「誰も喜んではいない」
「そうよ」
レッシィだけでなくアムも彼女に言う。
「ずっと見なくて清々していたのにね」
「そういえばそうだよな」
キャオもここで言う。
「地球での戦いからこのかたずっとだったからな」
「そもそも十三人衆自体がな」
「久し振りに戦うよな」
「そうよね」
「確かに」
皆もここで言うのだった。そうなのだった。
「それでも全員健在?」
「チャイ=チャーとかリョクレイ=ロンとか」
「テッド=デビラスもいたっけ」
「ワザン=ルーンも」
「ああ、そうそう」
勝平も言う。
「あの妖怪人間みたいなのいたよな」
「誰だそれ」
「顔は何か思い浮かべるけれど」
宇宙太と恵子も首を傾げさせていた。
「ええと、名前は」
「何とかいったわよね」
「リィリィのことだね」
ネイがその三人に答える。
「リィリィ=ハッシーだね」
「ああ、それそれ」
「そいつだよ」
「名前忘れてたわ」
ザンボットチームはネイのその言葉に頷く。
「あいつな。何かいやらしくてな」
「顔は覚えてたんだよ」
「けれど名前は」
「あいつも健在だよ」
こう言うネイだった。
「勿論他の連中もね」
「チャイ=チャー死んでなかったか?」
「生きてたのかよ」
「しぶといなあ」
「死んでてもいいのに」
実に冷たい彼等である。十三人衆には。しかもである。
ここでまた、だ。一人思い出したのだ。
「あの変なのいたよな」
「何か戦いになると急にハイテンションになる」
「どっかオカマめいた」
「あいつは?」
「マフ=マクトミンかい」
また答えるネイだった。
「あいつもいるさ」
「本当に十三人衆全員健在かあ」
「いなくてもいいのに」
「全く」
「全然困らないし」
「ふん、勝手に言ってるんだね」
ネイはここではこう言った。
「それでだよ。覚悟はいいね」
「来るか」
「やっぱりな」
「攻めて来るってんだな」
「そうね」
「死んでもらうよ」
サイズを一閃させてからの言葉だった。
「いいね、それじゃあ」
「ネイ様、それでは」
「我々も」
アントンとヘッケラーもいた。ネイの左右に控えている。
「行きましょう」
「そしてこの者達を退け」
「ああ、頼むよ」
ネイは彼等には穏やかだった。
「この連中を倒してそれでね」
「そうしてポセイダルも倒して」
「そのうえで」
「ギワザ様の為にね」
彼の名前も出した。
「やるんだよ、いいね」
「わかりました。それでは」
「今より」
「全軍攻撃開始」
ネイが指示を出した。
「サードスターに連絡を取ってるね」
「はい、それは既に」
「フラット様には」
「わかったよ。じゃあね」
こうしてだった。彼等は戦闘に入ったのだった。
アステロイドに入りそうしてそこからゲリラ戦めいた戦術を展開する。それに対してだ。
ロンド=ベルはその彼等にだ。ここは散開したのだった。
「小隊ごとに散開です」
「はい」
「そうしてですね」
「個々で敵にあたります」
エキセドルはこう美穂とサリーに話す。
「それでいいですね」
「わかりました、それでは」
「マクロス7も」
「マクロス、マクロスクウォーターと共にです」
決して一隻にはなろうとしなかった。
「彼等にあたります」
「それで一気にですね」
「倒すのですね」
「こうした相手にはその方が速く済みます」
だからだというのだ。
「この戦術でいきましょう」
「はい、それでは」
「それで」
こうしてだった。彼等もまた散開して敵に挑む。その中でだ。
「撃て!撃て!」
「狙いは外すな!」
「正確にだ」
カットナル、ケルナグール、ブンドルが指示を出していた。
「一機も逃すな!」
「いざとなれば体当たりだ!」
「美しくかつエレガントにだ」
それぞれの言葉でだ。倒せというのである。
その中でだ。ブンドルはふと言うのだった。
「しかしだ」
「んっ、ブンドル」
「どうしたのだ、一体」
「うむ。サードスターだったな」
彼はそこの話をするのだった。
「まだ動きはないな」
「そうだな、そういえば」
「来ないな」
カットナルとケルナグールも彼の言葉に頷く。
「まだな」
「来ないな」
「若しかしたらだ」
ブンドルはここで一つの仮定を口にした。
「最初からそうなのかもな」
「動かないというのか」
「そうだというのだな」
「若しかするとだがな」
あくまで仮定だというのであった。
「そうなのかもな」
「何か意図があってか」
「それでなのか」
「だとすればだ」
ここでさらに言うブンドルだった。
「その意図も気になるところだ」
「ううむ、そうだな」
「言われてみればだ」
二人も彼の言葉に考える。
「我等はそのフル=フラットにとっては敵だ」
「それは間違いない」
「若しギワザが反乱を企てているならだ」
「そのギワザ共々我等を討つ好機」
二人はこう考える。これは当然のことだ。
「若しギワザと組んでいるならばだ」
「友軍を助けるもの」
「そうだな」
その通りだとだ。ブンドルも言うのだった。
「しかしフル=フラットはそれをしないな」
「どちらのケースであっても動かない」
「それは何故だ」
「何を考えてだ」
「一体」
「それはまだわからないがだ」
それでもだとだ。ブンドルは言うのだった。
「だが。フル=フラットにはフル=フラットの考えがある」
「だから今は動かない」
「そういうことか」
「そしてどうやらだ」
ここでまた言うブンドルだった。
「ポセイダルの求心力は明らかに低下している」
「反乱を企てられるということ自体がそうだな」
「その証明だな」
二人もこのことはよくわかったのだった。
「だが。それ以上にだな」
「あのギワザという男」
次はだ。彼について考えられていく。答えはすぐに出た。
「切れ者なのは確かだがな」
「人望はないな」
このことをだ。見抜いたのだ。
「器は小さいな」
「そうだな」
「では、だ」
「大した敵ではないな」
「この数がその証だ」
ブンドルは周りのヘビーメタル達を見て言う。確かにその数は彼らがこれまで戦ってきた中ではごく少数の規模でしかなかった。
それを見てだ。彼はまた言うのだった。
「器にはそれだけの水しか入らないものだ」
「そういうことだな」
「それではだ」
「この戦いは楽に勝てる」
ブンドルは素っ気無く言った。
「どうということはない」
「そしてか」
「返す刀でポセイダルをだな」
「その通りだ。行くとしよう」
こう話してであった。彼等は目の前の敵にだ。
「よし!」
「突撃を仕掛けよ!」
「あの戦艦を狙うのだ」
こう言ってラムで前方にいる敵艦に突き進む。そうしてだった。
ラムで一気に突き崩し真っ二つにしたのであった。
戦いはロンド=ベル有利だった。しかしだ。
ネイは果敢に戦う。一歩も退く素振りは見せない。
「まだまだ!」
「くっ!」
ダバのエルガイムマークツーにビームを連射する。ダバはそれを何とかかわした。
「何て速さだ」
「ダバ、しかも」
リリスが横から彼に言う。
「狙いがかなり」
「ああ、正確だな」
「腕、あげてるわよね」
リリスはこのことを指摘した。
「間違いなく」
「そうだな。以前よりもな」
「もう戦いは決着がついてるのに」
既にその軍はかなり減っている。勝手に戦場を離脱する者も出ていた。
「ネイ様、申し訳ありません!」
「最早これ以上はです!」
「もちません!」
こう言ってであった。次々に戦場を離脱していっていた。
軍は崩壊していた。だがそれでもだった。ネイは残っていた。
「ネイ様がおられるなら」
「我等もだ!」
アントンとヘッケラーもだった。残っている。そのうえでネイと共に戦っているのだ。
「悪いね」
「いえ、ネイ様の為ならです」
「例え何処であろうとも」
彼等はネイへのその絶対の忠誠を見せるのだった。
「残りそしてです」
「戦います」
「私もね」
そしてそれはネイもであった。
「ギワザ様の為ならね」
「はい、戦いましょう」
「まだ」
「まだ戦うつもりかよ」
キャオはそんな彼等を見て呆れた言葉を出した。
「何て奴等だ」
「けれどキャオ」
「これはまずいぞ」
アムとレッシィがそのキャオに言ってきた。
「あの三人、何とかしないと」
「先に進めないのだが」
「いや、それには及ばん」
しかしだ。ここでギャブレーが言うのだった。
「全くだ。及ばん」
「ギャブレー、それはどうしてなんだ?」
「知れたこと。エネルギーも弾薬もなくなる」
彼はこうダバの問いに返した。
「そうなればオージェといえどだ」
「そうか、そうだったな」
ダバも言われてそれに気付いた。
「どんなマシンもエネルギーがなくなれば」
「これでわかったな」
「ああ、よくわかった」
「ではだ」
「エネルギー切れまでやらせるか」
「ここは」
こうしてだった。ネイにはとにかく攻撃させた。ダバはそれを避けるのだった。
避けるだけでもだ。それは至難の技だった。
「流石だな」
「そうね」
リリスがダバに言う。
「もうかなりね」
「辛いものがあるな」
こう言いながらだった。かわすので必死だった。
「流石にネイが相手だとな」
「うん、けれどね」
「かわすだけなら」
できるというのだった。
「やってみせる」
「一発でも当たったらまずいけれどね」
それでもだった。ダバはネイの攻撃をかわし続けた。そしてだった。
遂にだ。ネイのオージェで異変が起こったのだった。
「ちっ、もうエネルギーがないね」
「ではネイ様」
「これで」
「仕方ないね」
忌々しげな口調だがヘッケラーとアントンに答えた。
「退くよ」
「はい、それでは」
「今より」
「残ってる奴等にも伝えるんだよ」
こう言うのも忘れなかった。
「いいね」
「はい、既にです」
「退かせています」
二人はこうネイに答えた。
「では」
「これで我等も」
「撤退するよ」
こうしてだった。彼等も戦場から離脱しようとする。しかしであった。
「今だな」
「攻撃?」
「ここでするんだね」
「戦術で最も難しいのは撤退だ」
ギャブレーはアムとレッシィにこう話した。
「だからだ。今こそだ」
「ネイ達を捕まえる」
「そういうことだね」
「あの女を捕虜にできれば大きい」
ギャブレーもまたネイの実力はよくわかっているのである。
「パイロットとしてだけでなく戦術指揮官としてもね」
「そうね。それじゃあ」
「今こそね」
「ダバ、まだいけるか」
ギャブレーはここでダバに対して問うた。
「ネイのオージェだ。捕らえられるか」
「やってみる」
これがダバの返答だった。
「とりあえずは」
「私も行こう」
ギャブレーも自らのアシュラテンプルを出した。
「後の二人も厄介だしな」
「そうね。ここはね」
「私達もだな」
アムとレッシィも出る。そうしてだった。
彼等は一気にネイ達を囲もうとする。そうしてだった。
一気に取り囲む。そのうえで言うのだった。
「ネイ=モー=ハン、降伏するんだ!」
「降伏!?この私がかい」
「そうだ」
ダバはこうネイに告げるのだった。
「もう囲まれている。無駄な抵抗をしても」
「ふん、ふざけるんじゃないよ」
ネイはきつい顔でダバに返す。
「私を誰だと思ってるんだい」
「何っ!?」
「ネイ=モー=ハンだよ」
これが彼女の返答だった。
「降伏なんてするものか」
「それが御前の考えか」
「ああ、そうさ」
その通りだというのである。
「そうじゃないって言えば嘘になるね」
「そうなのか」
「それでもね」
「完全に包囲はした」
アムとギャブレーがネイに対して言う。
「あんたもう終わりよ」
「それでは撃墜するだけだ」
「撃墜される位ならしてやるよ」
包囲されてもだ。やはりネイは強気だった。
「さあ、どいつから死にたいんだい?」
「流石だな」
これにはレッシィも関心するしかなかった。思わず言ったのだった。
「この状況でこう言うとはな」
「けれどレッシィ」
キーンがそのレッシィに対して言う。
「このままじゃ何にもならないわよ」
「そうだ。降伏しないというならだ」
ニーはこの場合採られる対策を述べた。
「撃墜するだけだ」
「そのうえで生きてたら捕虜にだな」
トッドはクールに述べた。
「まあ生き残るさ、普通にな」
「それならだ」
ショウも前に出る。
「ここは一気に」
「いや、皆待ってくれ」
しかしだった。ここでダバが言うのだった。
「ネイ、どうしても降伏しないんだな」
「そうさ」
その通りだとだ。はっきりと返すネイだった。
「何度も言うよ」
「そうか、わかった」
「わかったならどうするんだい?」
「帰るといい」
何とだ。ダバはこうネイに対して言うのだった。
「ギワザのところにな。そしてまた会おう」
「っておい」
「敵をか!?」
「敵を返すのか!?」
「ここで」
「ここで撃墜するのが妥当だけれど」
驚く仲間達にだ。ダバはまずこう言った。
「けれど。それよりも今は」
「こいつとこのまま戦っても下手に暴れるだけだしな」
「損害でかくなるよな」
「ああ、エネルギー切れでも鎌振り回されたらやばいしな」
「そういうことか」
「あっ、ちょっと違うんだ」
ダバはそれは否定した。
「つまり。俺は」
「あたしの時と同じだね」
ここで言ったのはレッシィだった。
「つまり。そういうことだね」
「うん、それでいきたいんだ」
ダバはそのレッシィに対して答えた。
「どうかな、それで」
「やばいと思うけれどね」
まずはこう返すレッシィだった。
「こいつは虎みたいなものだよ。倒せる時に倒さないとね」
「けれど無理矢理捕虜にしても何か」
よくないというのである。
「責任は俺が持つ。今度戦場で会ったら俺が相手をする」
「言うねえ」
「そう来たのね」
ここで功を奏したのはダバの人徳だった。仲間達の彼への信頼だった。
「じゃあ乗った」
「あんたのその考えにな」
「それでいくからね」
「そういうことでな」
「皆、有り難う」
ダバも彼等に対して礼を述べた。
「それじゃあネイ達は」
「ああ、次に会った時はな」
「宜しく頼むわよ」
「任せたからな」
「わかってるさ。じゃあネイ」
あらためてネイに顔を向けてだ。そして言うのだった。
「ここは帰るといいよ」
「逃がすっていうのかい」
「ああ、そうなるな」
それを否定しないダバだった。
「それじゃあ」
「礼は言わないよ」
ネイは傲然としてダバに返した。
「それは言っておくよ」
「それでいいさ」
それに構わないダバだった。
「けれどまた会った時は」
「ふん、絶対に殺してやるからね」
敵意を露わにしてだった。ダバに告げた。そうしてであった。
ネイ達は戦場を離脱したのだった。誰もそれを追わなかった。
そのうえでだ。ロンド=ベルは一旦集結しそのうえで先に進むのだった。
その中でだ。リリスがダバに言ってきた。
「ねえ、ダバ」
「次の戦いのことだよな」
「うん、絶対にね」
まずはこう言うリリスだった。
「出て来るから、ネイが」
「間違いないね」
それはわかっているダバだった。
「先陣を切ってやって来るだろうな」
「それでもいいのね」
「わかってのことだから」
だからだというのである。
「それは」
「そう。それならいいけれど」
「それでだけれどよ」
ここでキャオが言う。
「連中そろそろ主力出してくるよな」
「ああ、そうだよな」
「そろそろだな」
キャオの言葉にキースとビルギットが応えた。
「奴等も負ける訳にはいかないからな」
「そうだよな」
「じゃあそろそろ決戦か?」
今言ったのはアルフレドだ。
「腕が鳴るな」
「小悪党だけれどな、相手は」
今言ったのはディアッカだった。
「ただ。そこそこ強かったからな」
「あっ、そういえば私達って」
「そうよね」
フィリスとエルフィがあることに気付いた。
「ポセイダル軍とは殆ど」
「戦ってないし」
「今こうして激しく戦ってますけれど」
「十三人衆とここまで戦うのは」
シホとジャックも話す。
「ありませんでしたし」
「ギワザって奴もあまり知らないし」
「しかしそれでもだ」
イザークは目をきつくさせて話す。
「ヘビーメタルのことはおおよそわかった」
「それはそうですね」
ニコルはイザークのその言葉に頷く。
「確かに」
「まあそんなに無闇に怖がる必要はないな」
「それはしなくていい」
ハイネがミゲルに話す。
「しかしだ」
「油断はか」
「へっ、相手が誰だろうとな」
シンはいつも通りだった。
「一気に叩き潰すだけだぜ」
「なあ、こいつってな」
「そうだよね。俺達もだけれど」
「確か士官だよね」
そんなシンを見てビーチェとモンド、イーノが話す。
「それでこんなに作戦立案能力ないのってな」
「相手のことを全然調べない感じだし」
「いいのかな、こんなので」
「パイロット以前にね」
「無茶苦茶やるしね、いつも」
ルーとエルも呆れている。
「突き進むだけだし」
「困った話よね」
「ああ、こいつ実技だけだから」
ルナマリアも言う。
「学校の成績は酷いのよ」
「それでアカデミートップか?」
ジュドーはこの現実に首を傾げさせた。
「それもかなり凄い話だな」
「お兄ちゃんも似たようなものじゃない」
リィナが兄に突っ込みを入れる。
「この前のテストの補習は?」
「再テストになったよ」
「それじゃあ全然同じじゃない」
「気にするな、それは」
「それでだが」
今度はレイが言う。
「次の戦いだが」
「ああ、それな」
「それだよな」
シンとジュドーがレイの言葉に返す。
「やっぱりあの金色が出て来るよな」
「間違いなくな」
「いや」
だが、だった。ここでレイは言うのだった。
「若しかしたら違うかもな」
「違う?」
「違うって?」
「そのギワザという男だ」
レイはダバに対して問うていた。
「確か猜疑心が深い男だったな」
「ああ、その通りだ」
こう答えるダバだった。
「それはな」
「それならだ」
「それなら?」
「あの女はもう前線には出ないかもな」
こう言うのであった。
「二度とな」
「っていうと」
「粛清?」
「それ?」
「そう、それだ」
こう話す皆にも話すのだった。
「敵に囲まれてそれで逃がされたのだ」
「敵に寝返ったと考えて」
「それでか」
「ああ、そういえば」
ここで言ったのはコウだった。
「そんな作戦もあったよな」
「あれっ、心当たりあるのね」
ダイアンがそのコウに問い返す。
「ひょっとして」
「ダイアンさんもそうじゃないかな」
こう返すコウだった。
「それは」
「ああ、銀河とか英雄とかの世界ね」
「そっちの世界の話でさ」
「おい、ここでその話か」
二人に突っ込みを入れたのは鉄也だった。
「心当たりがあるから止めておけ」
「その通りだな」
何故か大文字も出て来た。
「ううむ。私もその記憶があるがな」
「だからそれは言わないでおくことだ」
今言ったのはジェリドだった。
「さもないと洒落にならないぞ」
「そうだな。まああの金色の女は確かにやばいな」
カイも言う。
「ギワザってのが疑い深い奴だとな」
「それはそれで好都合じゃないのか?」
今言ったのはトッドだった。
「敵同士殺し合ってくれるんならな」
「そうよね。あまり奇麗な話じゃないけれど」
「敵同士戦ってくれるのならね」
「いいのね」
「それで」
皆それに納得しかける。しかしだった。
ダバはだ。難しい顔になっていた。そのうえで言うのだった。
「ううん、どうもそういうのは」
「いい話じゃない」
「敵同士が争うって」
「この場合はね」
「いい流れじゃない」
「いや、それはどうも」
そうではないとだ。ダバは言うのだった。
「ネイがそれによって疑われて死ぬのなら」
「それか」
「そのことなのね」
「ああ、どうもな」
彼が気にかけているのはこのことだった。
「それがどうしても」
「ううん、けれどそれもよ」
キャオがまたダバに言う。
「仕方ねえだろ。ギワザの奴がそういう奴なんだからな」
「けれど」
「気にするなって」
こう言ってダバをフォローする彼だった。
「気にしても仕方ねえぞ」
「そういうものかな」
「そうさ。まあとにかくな」
「ああ」
「行こうぜ」
ここではダバを引っ張った。
「次の戦いにな」
「わかったよ、キャオ」
ここでは彼の言葉に頷くダバだった。そのうえで戦いに向かうのだった。
そしてだった。レイの予想は当たった。基地に戻ったネイはだ。すぐに取り囲まれたのだった。
「!?何だこれは」
「一体」
まずはヘッケラーとアントンが声をあげる。
「どういうことだ」
「何のつもりだ」
「残念なのだが」
マクトミンが三人に対して言う。彼が銃を向けている兵士達を率いているのだ。
「君達に少し聞きたいことができたのだよ」
「聞きたいこと!?」
「何だそれは」
「とぼけるつもりか」
ここでだ。ギワザが出て来た。後ろには他の十三人衆が連なって控えている。
「御前達は寝返ったな」
「寝返った!?」
「ギワザ様、どうしてその様なことを」
「まだ言うか」
ギワザの言葉は冷たかった。
「貴様等はロンド=ベルに包囲されたな」
「それはそうですが」
「しかしです」
「何故あそこで捕虜にされなかった」
ギワザが言うのはこのことだった。
「それは内通していたからだな」
「馬鹿な、そんな」
ネイが声をあげた。
「ギワザ様、我々は」
「言い訳無用!」
ギワザはネイに対しても告げた。
「騙されはせぬ。今よりだ」
「今より」
「まさか」
「貴様等三人を処刑する」
こう彼等に告げたギワザだった。
「敵に内通した罪だ、覚悟しろ」
「馬鹿な、これは」
ネイもこの展開には呆然となった。だが銃口は明らかに彼女に向けられていた。絶体絶命の危機に陥っていることは間違いなかった。
第七十話 完
2010・10・29
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