スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第六十三話 ムゲ宇宙での戦い
第六十三話 ムゲ宇宙での戦い
そこにはだ。紫と銀の機械を思わせる男がいた。
そしてその前にだ。三将軍が集まっていた。
「ご苦労だったな」
「はい」
「有り難きお言葉」
まずはこう返す三人だった。
「しかし陛下」
「我々はあの者達との戦いで」
「相当数の戦力を失いました」
このことには項垂れる彼等だった。
「これは我等の失態」
「真に申し訳ありません」
「だが目的は果たした」
皇帝はそれでいいというのだった。
「それならばだ」
「よいのですか」
「それでは」
「そうだ。あの男」
シャピロのことである。
「所詮はな」
「はい、最後の最後までです」
「気付きませんでした」
「全くもって」
こうそれぞれ言うのだった。
「陛下の手の中で踊っていたことには」
「馬鹿な男よ」
「全くだ」
三人共シャピロへの嫌悪と侮蔑を隠そうともしない。
「案内役の地球人ごときがだ」
「裏切り者風情が」
「我等を指揮するなぞ」
こう言っていってだった。
「我々を指揮するなぞ」
「分不相応にも程がある」
「何が神だ」
まさに全否定であった。
「思い上がりもはなはだしい」
「全くだ」
「無様な末路を遂げたようで何よりだ」
「それでだ」
ここでまた皇帝が言った。
「もうすぐだ」
「はい、もうすぐ」
「何が」
「ロッサがあの娘を連れて戻って来る」
言うのはこのことだった。
「そうなればあの宇宙に用はなくなる」
「では」
「最早」
「そうだ、二つの世界をつなぐ回廊をだ」
それをだというのだ。
「閉じるとしよう」
「はっ」
「わかりました」
「そしてだ」
皇帝の言葉がここで変わった。
「御前達もだ」
「むっ、まだ何かありますか」
「それは」
「長旅の疲れもあろう」
落ち着いた言葉になっていた。
「御前達もゆっくりと休むがいい」
「はっ、それでは」
「御言葉に甘えて」
ギルドロームとヘルマットはこれで下がった。しかしだった。
デスガイヤーだけは残っていた。皇帝はその彼に声をかけた。
「デスガイヤーよ」
「はい」
「不満があるようだな」
こう彼に声をかけたのである。
「そうだな」
「いえ、その様なことは」
「隠す必要はない」
皇帝はその彼にまた言った。
「長い付き合いではないか」
「勿体なき御言葉」
「貴様の考えていることはわかる」
そうだというのだ。
「あのダンクーガなるマシン」
「御存知でしたか」
「そしてロンド=ベルだったな」
彼等の名前も出すのだった。
「あの者達と決着を着けたいのだな」
「いえ、ですがそれは」
デスガイヤーは己を押し殺してそのうえで答えた。
「諦めております」
「いや」
「いや?」
「貴様のその望みだが」
皇帝はその彼に告げるのだった。
「どうやら叶えられそうだ」
「何ですと!?」
「我々は奴等を見くびり過ぎていたようだ」
こう彼に話すのだった。
「奴等はこの宇宙に向かって来ている」
「そういえば奴等は」
「何度か他の世界にも行っているようだな」
「はい、それが窺えます」
「数が急に増えているからな」
「はい、一瞬で」
そこからわかるというのだ。
「ですから」
「面白いではないか」
皇帝の声が笑っていた。
「あの宇宙にこれ程までの強敵がいようとは」
「では陛下」
「二人も入れてだ」
皇帝はさらに話した。
「四人でまた思う存分戦おうではないか」
「我等で再び」
「さあ立てデスガイヤー」
「はっ」
控えていたが今ここで立つのだった。そしてだった。
「有り難き御言葉」
「嬉しいのだな」
「身に余る光栄です」
ここまで言う彼だった。そしてだった。
「このデスガイヤー若き日を思い出し」
「うむ」
「思う存分戦う覚悟」
「ふふふ、言ったな」
「はい、ダンクーガよ」
立ち上がるとだ。そこにダンクーガを見ていた。
「貴様等はこのデスガイヤーが倒す!必ず叩き潰すぞ!」
「それでこそデスガイヤーだ」
「燃える、燃えるぞ!」
その喜びを完全に解き放っていた。
「戦いの血が騒ぐ!」
「ギルドロームとヘルマットにも伝えよ」
「はっ」
「奴等を盛大に迎えるとしよう」
こうしてだった。全軍で出るのだった。
そこにだ。ロッサも来た。
「ロッサよ」
「はっ、陛下」
皇帝の言葉に応えたのだった。
「ルーナ=ロッサ只今帰還しました」
「御苦労だったな」
「有り難うございます」
まずはこのやり取りからだった。
「ご所望の娘はここに」
「その娘だな」
「はい、その通りです」
「よくやった」
皇帝はロッサにまた労いの言葉をかけた。
「褒めてつかわそう」
「有り難き御言葉。それでは」
イルイを皇帝の下に届けようとする。しかしだった。
突如としてだ。暗黒の世界が動いた。
「!?」
「何だこれは」
「一体」
三将軍達がいぶかしむ声をあげた。そこにだった。
「ま、まさか」
「あの連中、もうか」
「来たか」
「なっ、何だ!?」
ロッサは己の艦の中で驚きの声をあげていた。
「これではもたない!」
「!あれは」
「光!」
ムゲ帝国軍の将兵が前を見て言う。そこから。
ゲートが開きだった。そこから。
ロンド=ベルが来た。すぐに布陣する。
ロッサはその彼等を見てだ。また叫んだ。
「な、何故ここに」
「・・・・・・・・・」
そしてイルイは光の玉になって艦の外に出た。そうしてだった。
「!?一体何処に!」
「あれは!」
レーツェルその光の玉を見て言う。
「イルイか」
「あれがだな」
そしてそれは皇帝もだった。
「鍵となる娘か」
「イルイちゃん!」
クスハも叫ぶ。その光の玉はだ。
何処かに消えた。そしてだった。
ロッサはその一部始終を見て呆然となっていた。
「鍵が、陛下が求めておられた鍵が」
「最後の最後でか」
皇帝はそれを見ても冷静だった。
「鍵は去ったか」
「しかしよ」
甲児が言った。
「イルイの奴は何処に行ったんだよ」
「いや、それよりも今はだ」
だがここでアムロが言った。
「目の前の敵だ」
「ああ、そうだな」
甲児もその言葉に頷く。見るとだった。
既にかなりの数の敵がだ。展開していた。
「おいおい、すげえなこりゃ」
「そうね」
ジュドーとルーが言う。
「着いた途端にお出迎えかよ」
「準備万端ね」
「しかしここって」
「何?」
ビーチャとイーノは眉を顰めさせている。
「ねっとりとしたな」
「嫌な感じがするけれど」
「人がいないってのに」
「人の感覚がして」
エルとモンドも言う。
「悪意っていうかね」
「真っ暗な中にね」
「悪意の塊・・・・・・だな」
「そうね」
カミーユとフォウも気付いていた。
「憎しみや悲しみ、怒り」
「そういったマイナスの想念が渦巻いてるわ」
「別にな」
忍もだった。
「太陽が輝いて花が咲き乱れてるとかな」
「そういうのは考えなかったのね」
「ああ、そうだ」
ヒメにもこう返す。
「しかしここはあまりにもな」
「まるで地獄だね」
沙羅も顔を顰めさせる。
「死神達がパーティーをはじめそうだよ」
「ちょっと、沙羅」
雅人は怖がっていた。
「止めてよ、そんなの」
「辿り着いた場所がだ」
亮も暗い声であった。
「ここか」
「戦ってそれで辿り着いたのがね」
「地獄ってわけだな」
沙羅と忍がまた言った。
「地獄を見る為に戦ってきたんじゃないけれどな」
「戦いの向こうには幸せがな」
「ああ。明るい光がね」
「あるんじゃないかって思ってたんだがな」
「いや、それは違う」
アランがここで二人に言った。
「この先にそれはある」
「そうですね」
シーブックはアランのその言葉に頷いた。
「ここでの戦いに勝って」
「そうだよな。さっさとこんなところはよ」
ビルギットが言う。
「おさらばしようぜ」
「悪意があまりにも渦巻いていて」
セシリーも表情を暗くさせている。
「気持ち悪いし」
「来たなダンクーガ」
その彼等にギルドロームが告げてきた。
「そしてロンド=ベルよ!」
「ギルドロームか」
「そして他の三人も」
「勢揃いか」
「如何にも」
「その通りだ」
ギルドロームとヘルマットも言ってきた。デスガイヤーとギルドロームはそれぞれのマシンに乗っておりヘルマットは戦艦の中にいた。
「これまでの敗北はだ」
「この戦いでだ」
「必ずや注ぐ」
「今!」
特にデスガイヤーが燃えていた。
「貴様たちをこの地獄の底へ!」
「また地獄かよ」
「もうわかってるのにね」
「永遠の苦しみの中へ沈めてくれる!」
「やれるもんならやってみやがれ!」
忍はそのデスガイヤーの言葉に返した。
「地獄とか悪夢とかそんなハッタリに騙されてたまるか!」
「藤原中尉」
アンナマリーが彼に言う。
「いつものあれを」
「頼んだぜ!」
ハッターも言ってきた。
「ここはな!」
「ああ、ここ一番だ!」
忍もリクエストに応える。
「行くぜ皆!」
「よし!」
「それじゃあ!」
「ムゲ野郎、覚悟しろ!」
そうしてだった。
「やってやるぜ!」
「よし来た!」
こうしてムゲ帝国軍と最後の戦いに入ろうとする。しかしだった。
暫く戦っているうちにだ。あることに気付いたのだ。
「!?何か」
「これって」
「身体の自由が」
このことに気付きだしたのだ。
「まさかこれは」
「またあいつが」
「あのギルドロームが」
「どうだ、地球人よ」
実際にだ。彼はこう言ってきたのだった。
「我等の宇宙と我が術の力は」
「くっ、やはりか」
「あいつが」
「そうして」
「その通りだ」
まさにそうだというのだった。
「我が術でだ。貴様等を倒そう」
「あの機体からか」
カミーユも言う。
「何らかの力で俺達の精神を攻撃しているのか」
「けれどそれなら」
ウッソがカミーユに続く。
「僕達の精神力で押し切れば」
「いや、それはどうもだ」
だがそれにだ。オリファーが言う。
「望み薄だな」
「えっ、どうしてですか、それは」
「ここは俺達の宇宙じゃない」
だからだというのだ。
「この悪意に満ちた宇宙の力をだ」
「この宇宙の力を」
「奴が利用しているならだ」
「くっ、そうですね」
ここでウッソもわかったのだった。
「その効力は以前の比ではありませんね」
「だからだ、ここはだ」
「地の利は向こうにあるのね」
マーベットも言った。
「そういうことね」
「中々以上に厄介な話ね」
ジュンコも顔を曇らせて言う。
「それは」
「そしてだ」
ギルドロームはさらに言ってきた。
「我が術はこれだけではないぞ」
「!!」
「ぐっ!!」
何人かの動きが止まったのだった。
「だ、駄目だ・・・・・・」
「仲間は・・・・・・」
「仲間は攻撃できない」
「!?おいオルガ」
「クロトもシャニも」
「急にどうしたのよ」
まずはその三人に異変を見たのだった。
「いきなり動きを止めて」
「何があったんだ?」
「あんた達も活躍してもらわないと困るんだけれど」
「ふむ、流石に味方を攻撃することはないか」
ギルドロームがここで言った。
「そうか」
「!?手前まさか」
「今度は」
「そうだ、仲間内を仕向けさせたのだがな」
それだというのである。
「だがそれには耐えるか」
「ブライト艦長」
クレフが不吉な顔でブライトに言ってきた。
「これはだ」
「まさかあのギルドロームが」
「そうだ、間違いない」
こう話すのだった。
「強力な志向性の思念を送ってだ」
「それによって」
「我々の頭の中に敵の印象を刷り込みだ」
そうしているというのである。
「無差別な攻撃衝動を引き出している」
「このままでは危険です」
プレセアも言ってきた。
「今は皆耐えてくれていますが」
「このまま続けば」
アルシオーネも話すのだった。
「同士討ちになります」
「その危険は否定できません」
「その前にだな」
ランディスが言った。
「あの男を討つしかないな」
「そうよ、やっちゃいましょう」
プリメーラがランディスの横で彼に告げた。
「さもないと皆が」
「そうだな。だが」
「だが?」
「あの男に辿り着くまでがだ」
それまでがだと言うのだ。
「厄介なことだ」
「じゃあどうすればいいの?」
「まずはあの男の前の敵を倒す」
剣を手にして言う。
「全てはそれからだ」
「そうだ、やるんだ!」
光が彼の言葉に応えた。
「さもないとこの戦い!」
「そうね。意地の見せどころね」
海も言う。
「あいつをやっつけないとね」
「私達が」
風もだった。
「負けてしまいますから」
「精神攻撃とは不届き千万なのじゃ!」
アスカには流石に効いていなかった。童夢の中で足をばたばたさせて怒っている。
「あの緑の男、容赦せぬぞ!」
「はい、ではアスカ様」
「ここは」
そのアスカにシャンアンとサンユンが言う。
「あの男を倒しましょう」
「まずはそうしないと」
「当然じゃ。行くのじゃ!」
アスカが言うとであった。
イーグルもだ。ジェオとザズに話す。
「意識を保つだけでも大変ですが」
「確かにな」
「おいら頭が凄く重いよ」
こう返す二人だった。
「だがそれでもな」
「ここはね」
「攻撃目標はあの男です」
こう言ってだった。NSXを前に出す。
タータとタトラも無事だった。二人もであった。
「いったらんかい!」
「あら、タータも平気なのね」
「当たり前や!あんな気色悪い攻撃に負けるかい!」
こう姉に返すタータだった。
「あの連中、さっさといてこましたる!」
「そうね。じゃあ私達もね」
「いてこましたるわ!覚悟せんかい!」
三隻の戦艦が最初に動いてだった。攻めるのだった。
その中でだ。カルディナがアスコットとラファーガに話す。
「なあ、この戦いな」
「そうだね」
「想像以上に辛い戦いになるな」
「とにかくや」
カルディナは珍しく暗い顔になって話す。
「あのひび割れた顔の奴何とかせんとな」
「そうだね、蝙蝠みたいなのも赤いのも気になるけれど」
「まずはあの男だな」
「そういうこっちゃな。ここは正念場やな」
こう話してだった。彼等も精神を使うのだった。
何とか前進する。しかしそこにムゲ帝国の大軍が来る。
「くっ、何て数なんだ!」
「やっぱり多いな!」
「数こそが力だ!」
ヘルマットが言ってきた。
「この数でだ。押し潰してやる!」
「五月蝿いんだよ!」
闘志也がヘルマットに言い返す。
「いちいちな!手前なんかに言われなくてもな!」
「まあ待て闘志也」
「ここは落ち着け」
ジュディと謙作が彼に言う。
「動揺したらまた仕掛けられるぞ」
「それを忘れるな」
「くっ、忌々しい奴等だぜ」
それを聞いて静かになるしかない謙作だった。しかしである。
ダイターンがだ。何とかギルドロームの前に来たのである。
そしてだ。こう彼に言うのだった。
「中々面白い真似をしてくれたね」
「気に入ってもらえたか」
「嫌な思いはさせてもらったよ」
これが万丈の返事だった。
「さて、それじゃあね」
「それではだと?」
「決めさせてもらうよ」
「ふん、馬鹿め!」
ギルドロームが攻撃を放った。
「貴様にこのわしが倒せるか!」
「倒すよ、絶対に」
こう彼に言うのだった。
「何があってもね」
「ほざけ!」
万丈とギルドロームの戦いになっていた。
そしてだ。クサナギがヘルマットの戦艦と対峙していた。
キサカとトダカがだ。こうユウナに言ってきた。
「まさかと思いましたが」
「我々が敵の将軍の一人の相手です」
「ううん、何かあまり有り難くないねえ」
弱気な顔を見せるユウナだった。
「っていうかさ。貧乏くじじゃないかな」
「はっきり言えばそうですね」
アズラエルがその通りだと答える。
「戦艦対戦艦自体が珍しいですし」
「誰でもいいから相手を譲れるかな」
「おい、待て」
カガリがそのユウナにクレームをつけてきた。
「何で御前はそんなに弱気なんだ?」
「あっ、カガリ」
「敵の将軍を一人倒せるんだぞ。絶好の機会なんだぞ」
「武勲を挙げるってことかな」
「強い敵と戦いたくはないのか」
「戦艦の役目はマシンのフォローなんだけれど」
ユウナは正論を言っていた。
「それで何で戦艦と戦うのかと」
「いいだろう。クサナギだってこれまで戦艦を沈めてきている」
「それはそうだけれどね」
「じゃあ何でそんなに弱気なんだ?」
「だってエネルギーが減ってるから」
それが今の弱気の理由だった。
「ここでまずったら。動けなくなるけれど」
「そんなことは気にするな!」
実にカガリらしい言葉だった。
「一撃で決めろ!それはいけるな!」
「まあそれはね」
ユウナもそれは大丈夫だと答える。しかしだ。こうも言うのだった。
「ただね」
「ただ。何だ?」
「外すとだよ、その攻撃を」
「ああ、どうなるんだ?その場合は」
「終わりなんだよ」
そうだというのである。
「それで。エネルギー切れになって」
「後は弾数の兵器だけか」
「それも今かなり使っちゃってるしねえ。だから今は」
「それでも戦うしかないだろう?」
カガリの辞書に退くという言葉はない。
「違うのか?」
「簡単に言ってくれるね」
「いえ、ここはカガリさんの言う通りですね」
ところがだった。アズラエルは彼女のその言葉に頷いたのだった。
「やはり」
「あの、それじゃあ」
「一撃にかけましょう」
こうユウナに話した。
「ここは」
「それしかないんだね」
「はい、まさにそれしかです」
「仕方ないね。けれど」
ここでユウナの顔が川変わった。
「それならね」
「はい、では」
「よし、エネルギーを集中させて」
ユウナは遂に指示を出した。
「本当に決めるよ」
「はい、それでは」
「今より」
キサカとトダカが応えてだった。
クサナギはヘルマットの戦艦に照準を合わせた。そうしてであった。
デスガイヤーの相手はだ。彼だった。
「確かダルタニアスだったな」
「ああ、そうだ!」
「俺達だ」
盾人と弾児が答える。
「俺達で不足とは言わせないからな!」
「ここで倒してやる!」
「ガオオオンン!」
獅子も吼える。三者一体になっていた。
デスガイヤーはその彼等を見て言うのだった。
「そうだな」
「どうなんだ、それでよ」
「相手にとって不足はない」
これが彼の言葉だった。
「俺の全力の相手にな」
「容赦はしねえぜ!」
盾人は完全に燃え上がっていた。
「力と力の勝負だ!いいな!」
「望むところだ。来い!」
「おう!ダルタニアスの力見せてやるぜ!」
三将軍達との決戦もはじまった。そうしてだった。
ロンド=ベルはエネルギーの減少に動けなくなったメンバーを抱えながらも善戦していた。そうして遂にであった。彼が倒れたのだった。
「よし、今だ!」
「むっ!?」
万丈はギルドロームの一瞬の隙を見つけて動いた。
出すのは。あの技だった。
「日輪の力を借りて今!必殺の!」
「ええ、万丈!」
「決めて!」
ビューティとレイカが彼の動きを見て言う。
「それで」
「この戦いを終わらせて!」
「サンアタアアアアアアアアアアアック!」
ダイターンの額から日輪が放たれた。それはギルドロームを撃った。
そしてその彼にだ。止めが来た。
「ダイタアアアーーーーーーーーーーーンクラアーーーーーーーーーーーッシュ!」
これで決まりだった。ギルドロームはその動きを完全に止めてしまった。
「ば、馬鹿な!」
「馬鹿なじゃないよ、これは現実だよ」
こう返す万丈だった。
「御前は負けた。この僕にね」
「この宇宙でわしが負けるなどと」
「悪意を操る者の末路はこんなものさ」
万丈はまだ諦めない彼に告げた。
「じゃあ諦めるんだね」
「うおおおおおおおおおっ!」
「御前の思い通りになる理性なんてね」
万丈は断末魔の彼に最後に告げた。
「僕達は最初から持ってはいないのさ」
「ふ、ふう」
「これで何とかね」
「助かった」
オルガ達動けなくなった三人がこれで楽になった。
そしてだ。次はだ。
デスガイヤーだった。ダルタニアスと激しい死闘を繰り広げている。
だがここでだ。盾人は仲間達に言うのだった。
「おい」
「あれだな」
「ガオオオオン!」
「そうだ、あれで決めるぜ!」
こう彼等に返してだった。
そのうえでだ。必殺技に入った。
「行くぜモヒカン野郎!」
「むっ!?」
「これがダルタニアス最大の攻撃だ!」
こう叫んでであった。その攻撃を放った。
「超空間エネルギー解放!」
「くっ、これは!」
「喰らえええええええええええーーーーーーーーーーっ!!」
恐ろしいまでのエネルギーがデスガイヤーを襲う。それは彼をしても到底さけきれるものではなかった。
それを受けてだ。デスガイヤーも動きを止めた。
「さ、再生が追いつかん!」
「よし、やったぜ!」
「ああ、これでな!」
「このままでは!」
「観念しな!」
盾人がその彼に言う。
「手前の望む力と力の真っ向勝負」
「貴様等は勝ったというのか」
「ああ、そうだ!」
その通りだと返したのであった。
「勝ったのは俺達だ!」
「これで全ては終わりだ」
弾児も言う。
「観念するのだな」
「うおおおおっ!!」
デスガイヤーも断末魔の声をあげる。
「ムゲ陛下に栄光あれーーーーーーーーっ!!」
これで終わったのだった。彼もまた。
そしてだ。クサナギもまただった。照準を合わせそのうえで。
「撃て!」
「撃て!」
一斉射撃を放った。まさに渾身の攻撃だ。
それはだ。ヘルマットの旗艦を撃ち抜いた。ユウナはそれを見て叫んだ。
「よし、やった!」
「はい、確かに」
「間違いありません」
トダカとキサカが彼に言う。
「これで」
「あの戦艦も終わりです」
「うん、一時はどうなるかと思ったけれどね」
ユウナもほっとした顔になっていた。
「いやあ、上手くいってよかったよ」
「全くです。さて」
ここでアズラエルが言ってきた。
「後は最後の言葉を聞くとしましょう」
「ああ、いつものあれだね」
「敵の最後の言葉を聞く」
アズラエルは微笑んでユウナに話す。
「これは勝者の務めですから」
「アズラエルさんが仰ると意地が悪いようですね」
「ふふふ、そうでしょうか」
そしてだ。ヘルマットは実際にこう言ってきたのだった。
「おのれロンド=ベル!」
「ふむ、やはりですね」
アズラエルはヘルマットのその言葉を聞いて言った。
「こうして最後には」
「そうですね。断末魔の」
「言葉が」
キサカもトダカもそのアズラエルに返す。
「聞こえますね」
「では。我々は務めを果たしましょう」
「覚えているのだ!」
旗艦が爆発した。そうして。
「ぎゃああああああっ!!」
ヘルマットも死んだのだった。三将軍は全滅した。
既にムゲ帝国軍の戦力も殆どなくなっていた。しかしだった。
ロンド=ベルは油断していなかった。彼を待っていた。
「さて、それではだ」
「そうだね」
大介が鉄也の言葉に応える。
「ムゲ=ゾルバトス皇帝」
「彼だけですね」
「とんでもねえ奴なのは間違いねえな」
甲児もいつもの強気ではなかった。
「あれだけの連中を束ねていたんだからな」
「そうね。どんな能力かしらね」
マリアも強気はのトーンが弱くなっていた。
「悪意の塊とかじゃないかしら」
「だとしたらこの戦いは」
「そうね」
ジュンはさやかの言葉に頷いた。
「さっきの戦いが前座みたいなものになるでしょうね」
「ええ、そうよね」
「来るわね」
そしてひかるも言った。
「いよいよ」
「うっ・・・・・・」
ここでフォウが声をあげた。
「何これは。この意志は」
「あの城から」
ファも一同もだ。ここで暗闇の前に城があることが気付いた。彼等の世界の西欧の城に似ている。
「来ているわ。これまでとは比べ物にならない位の悪意の覇道が」
「くっ、私達も」
「ええ」
ニュータイプでないノインとヒルダも感じ取っていた。
「この悪意を」
「感じ取って・・・・・・」
「ここまで来れば」
マリーメイアも言った。
「物理的な力ですね」
「そうだな。遂に来るか」
ゼクスも言った。
「ムゲ=ゾルバトス皇帝」
「来るよ忍!」
「ああ」
忍は沙羅の言葉に応えた。
「遂にね!」
「ラスボスのお出ましかよ!」
そしてであった。遂にだ。彼が出て来たのだった。
「愚か者達が」
「あいつがか」
「あの機械みたいな奴がか」
皆その男を見て言うのだった。
「ムゲ=ゾルバトス皇帝」
「遂に出て来たってわけか」
「この私の宇宙の聖域に踏み込み」
皇帝は言うのだった。
「この私を怒らせてしまったことを後悔させてやろう」
「いや、まだだ」
「俺達は」
「手前を倒す!」
必死に闘志を振り起こしての言葉だった。
そうしてだ。向かおうとする。しかしであった。
皇帝はだ。その彼等に言うのだった。
「肉体よ滅びるがいい」
「むっ!?」
「何だって!?」
「獣性を超え人知を超え」
そしてだった。
「神とならん」
「それは俺達の」
「そうだな」
雅人と亮が気付いた。
「ダンクーガの」
「それを言うのか」
「それが御前達の精一杯の進化、ダンクーガに託した願いであったとしたら」
そうだったらというのだ。
「それは地球人の底知れぬ無知というもの」
「俺達がそうだというのか」
「そうだ。何故ならだ」
アランに返しての言葉だった。
「御前達地球人の理想の進化の究極こそがだ」
「何だというのだ?」
「この私だからだ」
こう言うのであった。
「その証を今見せよう」
「!?」
「これは」
「まさか!」
落雷と共にであった。彼等が出て来たのだった。
「闇の帝王、ドクターヘル」
「竜魔帝王」
「無敵戦艦ダイ、じゃあ帝王ゴールも」
「ダリウス大帝まで」
彼等が出て来たのである。
「まさか生きていた!?」
「いや、違う」
「それはないだろ」
ケーンの言葉をタップとライトが否定する。
「ここは宇宙が違うんだぜ」
「それを考えたらな」
「じゃあこれは何なんだよ」
「蘇ったのか」
マイヨが言った。
「つまりは」
「ということは」
「これは」
「あの皇帝が」
プラクティーズの三人は皇帝を見ながら話した。
「蘇らせたというのですか」
「そんなことができる」
「有り得ないことですが」
「そうだよ。俺達は不死身だけれどな」
「そう言っても問題ないからな」
スティングとアウルの言葉だ。
「けれど蘇るっていうのは幾ら何でもな」
「反則だろ、それは」
「確かにやっつけた筈なのに」
ステラも言う。
「どうして」
「これは手品だ!」
断言したのは豹馬だった。
「幾ら何でも有り得ねえだろ!」
「ああ、そうだ!」
健一も彼の言葉に同意して頷く。
「そうでないと説明がつかない!」
「撃墜されても生き残るのは俺の十八番だがな」
ジェリドも当然ながら言う。
「死んだら終わりだぞ!」
「その通りだ。何故生きている」
マシュマーもいぶかしんでいる。
「ゴットン、御前も何度か撃墜されているがわからないか」
「何でそこで撃墜される話が出て来るんですか」
「死にそうになってからこそわかることだと思うが」
「わかる筈ないじゃないですか」
こう返すゴットンだった。
「実際に死んでないんですから」
「それもそうか」
「死ぬのは一回だけですよ」
彼もその考えだった。
「何処かの聖闘士の世界じゃわからないですけれどね」
「そうだな」
ゴットンの言葉に頷いたのはアムロだった。
「俺達が今までに倒した敵が蘇ったのか」
「ムゲ野郎!」
忍が叫ぶ。
「どんな手品を使いやがった!」
「この宇宙にはだ」
皇帝は忍の言葉に答えてきた。
「現世に恨みを残し死んでいった者達の魂が集まる」
「えっ、それって」
「まさか」
「つまり」
「御前達に理解できる言葉を使うなら」
実際にこう返してきた皇帝だった。
「ここは悪霊の集う世界だ」
「そういえばよ」
トッドも敵軍を見て眉を顰めさせている。
「ゲア=ガリングもいるな」
「ビショット=ハッタは諦めていないか」
ショウもその巨大な戦艦を見て言った。
「まだ」
「ドレイクやショットはいないね」
チャムはそれを確かめた。
「これって成仏したっていうのかな、日本の言葉じゃ」
「ああ、そうだ」
その通りだと返すショウだった。
「そういうことだ」
「糞っ、ジェリルもいるな」
「やっぱり成仏してなかったのかよ」
アレンとフェイは暗い顔になっていた。
「どうしたものだ、これは」
「ここでもケリをつけろってことかよ」
「シロッコか」
カミーユはジ=オマークツーを見ていた。
「彷徨っているのかよ、まだ」
「ドゴス=ギアは二隻だね」
ライラも普段の落ち着きが少し消えている。
「面倒な相手だね、気分的に」
「幸いなのはザビ家の方々がおられないことか」
ハマーンはこのことに安堵していた。
「ミネバ様のことを思えばそれでいい」
「ってよハマーンさんよ、そんなこと言ってる場合じゃねえぜ」
「あのドルチェノフいるんだぜ」
「あのギルガザムネでよ」
ケーン、タップ、ライトがここでまた言う。
「あの連中やっつけないといけないんだぜ」
「いいのかよ、それは」
「洒落にならない相手なんだけれどよ」
「大した相手ではなかろう」
ハマーンはその三人に落ち着いて返す。
「所詮小者だ」
「糞っ、シンクレアまでいやがるか」
黄金は彼を見ていた。
「鬱陶しいな」
「イノベイターに風見博士、ヴィンデル=マウザーにアーチボルト」
ある意味において錚々たる顔触れであった。
「ゼゼーナンにウェンドロ、何だグレースまでいるぜ」
「嫌な奴ばっかりね」
「全く」
皆この顔触れに辟易さえしていた。
「よくもこれだけ集めたっていうか」
「そういう奴だからここにいるんでしょうけれど」
「それでも」
「この戦い、嫌らしい戦いになりそうだよな」
「この者達はだ」
また皇帝が言ってきた。
「その恨みと憎しみによりだ」
「成仏せずにかよ」
「それで」
「そうだ、決して安らぎを得ることはない」
そうだというのである。
「私はその者達に器を用意してやっただけだ」
「ズールまでもが」
タケルが嫌悪感に満ちた顔を見せていた。
「いるなんて」
「死んでいった者を蘇らせる」
マーグが言う。
「その気様は何者だ」
「私が何者かということか」
「そうだ、私達の宇宙の者はないことはわかった」
それはだというのだ。
「だが。それだけでは説明にならない」
「そう考えているのだな」
「その通りだ。そしてだ」
マーグはまた皇帝に問うた。
「貴様は一体何者なのだ」
「私はだ」
皇帝はマーグの言葉に応えて話してきた。
「怨念を力に変えることができる者だ」
「怨念をか」
「そうだ、言うならばだ」
そして自ら言うのだった。
「究極の進化を遂げた者だ」
「究極の進化だと?」
隼人がその言葉に反応を見せる。
「そう言うのか」
「如何にも」
その通りだというのだ。
「この私がだ」
「それでは」
今度はロゼが問うた。
「御前は神とでもいうのか」
「いや、それは」
「違うわ!」
ブリットとクスハがロゼの今の言葉を否定する。
「そんな筈がない!」
「こんな邪悪の塊みたいな人が神だなんて」
「その通りだ」
皇帝も自らこのことを認めた。
「私は神ではない」
「では何なのですか!」
慎悟が言った。
「貴方は一体」
「神とは別の力」
それが何かというとだった。
「真理の下に辿り着けなかった者の力を使っているだけに過ぎない」
「真理の下に辿り着けなかった」
神代はそれを聞いていぶかしんだ。
「何なの、それは」
「我が力は強大ではあるが」
これは言う。
「だが運命という真理の前にはだ」
「運命!?」
「まさか」
「それにふあふれ伏さざるを得ない」
こう言ってであった。
「銀河の終焉という運命の前には」
「それじゃあ」
ここで兎卯美が気付いた。
「それこそがアポカリュプシス」
「そしてそれを導く運命」
華都美も言う。
「それこそがアカシック=レコード」
「だからだ」
皇帝の言葉は続く。
「私は次元を超えて鍵を求めたのだ」
「鍵!?」
「それは」
「強念の力」
それであるというのだ。
「私はそれを欲する」
「それでイルイちゃんを!?」
「手に入れようと」
「あの娘の力を使えば因果律を操り」
「そしてか」
「それによって」
「運命を変えられる。私は死と再生の輪廻を超えた永遠の存在となる」
ここまで聞いてであった。アズラエルが言った。
「結局は絶対者になるということですね」
「そうだよな、これって」
「つまりは」
誰もがここでわかった。
「シャピロとは違った意味で」
「とんでもねえ奴じゃねえか」
「こりゃ放ってはおけないな」
「どっちにしろね」
「ああ」
皆このことを確かめ合った。そしてだ。
忍がここでまた叫んだ。
「五月蝿え!」
「むっ?」
「さっきから聞いてりゃ手前勝手なことばかり言いやがって!」
「ダンクーガの者か」
「要するにあれだろうが!」
皇帝を指差しての糾弾だった。
「手前は自分が助かりたいから地球を襲いイルイをさらったんじゃねえか!」
「それの何が悪い」
「確かに手前は神じゃねえ」
忍の言葉は続く。
「悪魔でもねえ」
「私はどちらでもない」
「そうだ、手前は只の」
そして言った言葉は。
「下衆野郎だ!」
「そうだな」
「その通りだよな」
「こいつは」
ロンド=ベルの者達もここでわかったのだった。
「只の悪霊だ」
「それ以外の何でもない」
「それなら」
こう話してだった。
「負けてたまるか!」
「こんな奴に!」
「絶対に!」
こう言ってであった。再び戦いに向かうのだった。
皇帝はその彼等に言った。
「話は終わりか」
「何っ!?」
「何ですって!?」
「無力な人間達よ」
「無力はどうかはだ」
鉄也が言った。
「御前自身が確かめるのだな」
「行くぜ幽霊の大将!」
甲児も叫ぶ。
「お仲間の亡霊達と一緒にあの世に送ってやるぜ!」
「そうだな。ここはだ」
大介もだった。
「この悪霊達を倒そう」
「そしてそのうえで」
「あいつも」
「あの悪霊の親玉を!」
当然皇帝を見ていた。
「倒してやる!」
「絶対にだ!」
「あいつの後ろにな」
忍がまた言った。
「悪霊は渦巻いているんならな」
「ああ」
「そうだったら」
「俺は祈るぜ」
こう言うのである。
「力を借りるぜ!」
「力を?」
「誰に」
「俺達の為に死んでいった人達の力をな!」
それをだと言うのだ。
「そしてあいつを潰してやるぜ!」
「よし、それなら!」
「私達も!」
「やってやるぜ!」
またこの言葉が出た。
「これがムゲとの最後の戦いだ!」
「そうね、これで!」
「終わりだぜ!」
こう話してだった。彼等は戦うのだった。ムゲ帝国との最後の戦いを。
第六十三話 完
2010・10・3
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