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万華鏡

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第十八話 プールその十一

「一回練習試合で一緒になった他の中学のバスケ部が酷かったのよ」
「どんな部活だったの?」
「顧問の先生が私達の前で生徒にちょっとしたことで何度もビンタしたり」
「ちょっとしたことって?」
「その子が動きが悪いって言って」
「いや。それでビンタは」
「ないでしょ」
 琴乃は顔を顰めさせて自分と同じ顔になっている里香に話した。
「そこまでするのって」
「厳しいっていうかそれって」
 里香は琴乃の話を聞いて顔を曇らせてこう言った。
「虐待じゃない」
「話を聞いたらその先生ちょっとしたことですぐに生徒を殴ったり蹴ったりしてね」
 しかもだった。
「一回暴力振るうとしつこいらしいのよ」
「何度も殴ったり蹴ったりするのね」
「そうした先生らしいのよ」
「酷い先生ね。それ何処の何ていう先生?」
 里香は目を怒らせてそのうえで琴乃に問うた。
「覚えてたら教えて」
「ええ、その人はね」
 琴乃も里香の気持ちを察してその先生のことを知っている限り話した、里香はその聞いたことをすぐにメモした。
 そのうえでこう言ったのだった。
「わかったわ。それじゃあね」
「その先生のこと通報するのね」
「そこまでいったら立派な暴力だから」
 だからだというのだ。
「県警と教育委員会と新聞社、あと市会議員や国会議員の人に通報するから」
「徹底してるわね」
「あとネットでも個人情報消して書くから」
 そうしたこともすると言う里香だった。
「暴力は振るわなくてもやり方はあるのよ」
「そうした先生って潰せるのね」
「ええ、制裁を与えられるわ」  
 社会的、人道的制裁である。
「それを与えらえるわよ」
「そう、じゃあお願いするわね」 
 琴乃も里香のその行動を応援した。これで一人の暴力教師が破滅するがそれはまた五人のものとは別の話である。
「本当に酷い先生だったから」
「その部活は先生のせいで酷かったのね」
「そうなの。私達の部活とは違ってね」
「そういうことよね。スイミングスクールと部活でも」
「同じことをしてもよね」
「違うのね」
「うん、そうみたいね」
 里香もその言葉に頷く。
「それぞれでね」
「里香ちゃんのスイミングスクールはいい場所だったのね」
「そうなの。先生も生徒の子もよかったし」
「そうなのね」
「だから気持ちよく泳げたわ」
「環境がよかったのね」
「凄くね」
 里香はにこりとして琴乃に話す。
「この学校もそうだけれど」
「そうよね。もう入学して数ヶ月だけれど」
「いい高校よね」
「私最初不安だったの」
 琴乃はその不安だったことも述べた。
「やっていけるかどうかってね」
「琴乃ちゃんもなのね」
「あっ、里香ちゃんもなの」
「この高校に来た時は本当に一人だったから」
 友達がいなかった、そうだったというのだ。
「だからね」
「不安だったのね、里香ちゃんも」
「お友達ができるとも思っていなかったし」
 そもそもそれもだったのだ。
「ずっと一人じゃないかって思ってたわ」
「ずっとだったの」
「子供の頃からお友達って少なくて」
 過去のことも話す。
「それで一人でいることも多くて」
「高校でもそうだって思ってたのね」
「うん、けれど違ったわ
 こう笑顔で琴乃に話すのだった。 
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