万華鏡
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第十八話 プールその十
「頑張ってね」
「ええ、それじゃあね」
琴乃は里香のその言葉に頷いてからまた自分でターンをしてみた、里香はその琴乃を見て今度はこう言った。
「やっぱりいいわ」
「いけてるのね」
「こういう時琴乃ちゃんって凄いわね」
「凄い?私が?」
「ええ、運動神経がいいから」
それで凄いというのだ。
「すぐ出来る様になったじゃない」
「ううん、だといいけれど」
「出来てるわよ」
里香は微笑んで太鼓判も押す。
「ちゃんとね。私これが出来るまで結構苦労したけれど」
「何かこれってお鼻にお水が入ったりするわよね」
「するわよ。それにね」
「それによね」
「目にお水が入るから」
「ゴーグルあった方がいいわね」
琴乃はこのことも考えた。
「やっぱり」
「その方がいいわね。スイミングスクールだとゴーグル必須だから」
里香の通っていたスイミングスクールではそうだったというのだ。
「八条スイミングスクールだとね」
「通ってたスイミングスクールあそこだったの」
「そうだったの」
やはり八条グループが経営している。
「幼稚園から中三まで通ってたの」
「高校入学してそれでなの」
「そう、卒業じゃないけれど」
それでもだというのだ。
「辞めたの。今でも会員だけれどね」
「講習は受けなくなったのね」
「そうなったの」
それでだというのだ。
「今は会員としているだけなの」
「そうなの」
「最近そこにも行ってないし」
「もう行かないの?」
「気が向いたら行こうと思ってるけれど」
今はその程度だった。
「それでも今はね」
「気が向かないのね」
「バンドがあるから」
だからだというのだ。
「そっちについつい行ってね」
「ああ、プラネッツね」
「泳ぐことも好きだけれど」
それでもだというのだ。
「バンドも好きだしね」
「両立させるとかは?」
琴乃は里香にそうしてはどうかと話した。
「バンドも水泳もね」
「どっちもなの」
「そう、水泳部には入らないのよね」
「水泳部はね」
それはどうかというと。
「あまり興味がないのよ」
「そうなのね」
「うん、スイミングスクールと部活ってまた違うのよ」
「また別なの」
「そう、同じことをしてもね」
それぞれ場所が違えばというのだ。
「やることも違うのよ」
「じゃあバンドもなのね」
「そう、そっちもよ」
バンドもまたそうだというのだ。
「多分違うわ」
「ううん、そうなのね」
「部活もそれぞれみたいだし」
「あっ、同じことをしてもその部活によって雰囲気違うわよ」
このことは琴乃もわかった。
「私中学ではバスケ部だったけれど」
「同じバスケットボールをしていてもなのね」
「雰囲気のいい部と悪い部があって」
それでだというのだ。
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