スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第三十六話 混乱の宇宙
第三十六話 混乱の宇宙
バルマー軍に向かうロンド=ベル。その時彼等は隠密裏に進んでいた。
「しかしな」
「そうね」
「気付いているかどうか」
「気付かれたらいけない」
「確かに」
こう話してだった。彼等はそのバルマー軍に向かうのだった。
ここでだ。ふとラトゥーニが言った。
「ただ」
「ただ?」
「どうしたの?」
その彼女にアラドとゼオラが問う。
「リュウセイさんにしたことです」
「あれか」
「あの時ね」
「はい、あれはわからないところがあります」
こう二人に話すのだった。
「あの時。リュウセイさんを殺そうと思えば殺せました」
「ああ、何時でもな」
「それは楽に」
「しかししませんでした」
言うのはこのことだった。
「それはどうしてでしょうか」
「遊び?」
シャインはそれではないかというのだ。
「それでなのかしら」
「有り得るんじゃないのか?」
「そうですね」
カチーナとタスクがそれに頷く。
「あいつの行動を見てたらな」
「そうした屑みたいなこともするよな」
「いや、それでもあれはおかしいわ」
それに意を唱えたのはレオナだった。
「それにしては。何かを無理に引き出したいみたいな」
「そしてそれを奪うか」
今言ったのはクォヴレーだった。
「そういうことか」
「奪う?」
「あそこで手に入れられたんじゃ?」
「それなら余計に」
「その手に入れたいものをさらに引き出す」
ここでまた話す彼等だった。
まさかとは思うけれど」
「それって」
「まさか」
「そのまさかかも知れない」
クォヴレーは言った。
「あの男の考えではな」
「腹黒いのは事実ね」
オウカはハザルをこう見ていた。
「それもかなり。ただ」
「ただ?」
「何かあります?」
「器は小さいわね」
オウカはハザルをこうも評した。
「あれでね」
「器は、ですか」
「小さいですか」
「心に余裕がないわ」
こうも言う。
「そして部下を信用しない」
「だからああして」
「自分で動く」
「人望がないのは自分でも気付いているのでしょうね」
辛辣だがその通りだった。
「実際のところね」
「しかしそれでも」
「そうよね」
だがここでアラドとゼオラが言う。
「指揮官としてもパイロットとしても」
「手強いですよ」
「いえ、それでも」
その二人にラトゥーニが話す。
「戦争は一人でするものじゃないから」
「そうね」
オウカも彼女のその言葉に頷く。
「例えハザルだけが残っても仕方ないわ」
「一人になったら」
「その時こそ」
「そういうことよ。わかったかしら」
これがオウカが出した結論だった。
「それにハザルが幾ら強くてもね」
「これまでの敵には」
「あれ位の強さは」
「いたわね、答えはまた出たわね」
「ええ、確かに」
「その通りです」
アラドとゼオラはオウカのその言葉に頷く。
「そういうことですか」
「つまりは」
「特に恐れることはないわ。焦ったらかえって駄目よ」
「そうですわね」
シャインはオウカのその言葉に頷いた。
「ここはあえて落ち着いて」
「いきましょう」
こう話すのだった。そのうえで帝国軍に向かう。
帝国軍は惑星の裏側にいた。ロンド=ベルはそこに回り込む。
そうしてだ。一気に攻めた。
「よし、今だ!」
「全軍突撃!」
こう叫んでだ。まさに一気だった。
敵の指揮官は。これといった者ではなかった。
「司令、敵です!」
「敵が来ました!」
「何っ!」
実際にだ。敵襲と聞いて狼狽する始末だった。
「何処から来た!」
「惑星の裏側からです!」
「そこからです!」
部下達が彼に報告する。
「そして来たのは」
「何だ?プロトデビルンか?」
「いえ、ロンド=ベルです」
「あの者達です」
「くっ、気付かれたか」
司令はそれを聞いて歯噛みした。
「我等が急襲を仕掛けるつもりだったが」
「どうしますか、ここは」
「援軍を要請しますか」
「ハザル司令に」
「いや、それには及ばん」
彼はそれは否定した。
「我等だけで充分だ」
「左様ですか」
「そうだ、数においては勝っている」
彼はそれを頼りとしていた。
「だからだ。このまま迎え撃つぞ」
「はい、わかりました」
「それでは」
こうして彼等はロンド=ベルと戦う。しかしであった。
ロンド=ベルは強かった。彼の予想以上にだ。
「駄目です、第一陣突破されました!」
「第二陣もです!」
次々に悲観的な報告が来る。
「間も無く本陣にまで迫ります!」
「どうしましょうか!」
「うろたえるな!」
かろうじてこう言うだけだった。
「ここはだ。うろたえるな!」
「は、はい」
「それでは」
「大丈夫だ、まだ数では勝っている」
こう言うので精一杯であった。
「だからだ。ここは踏み止まれ」
「は、はい」
「それでは」
「今はその時だ」
こうしてだった。帝国軍は劣勢のまま戦う。しかしここで。
またしてもだ。敵が来たのだった。
「今度は宇宙怪獣です!」
「彼等もです!」
バルマーから見て後方に出て来たのであった。
「その数六十万!」
「それだけいます!」
「六十万だと」
「はい、そうです」
「それだけいます」
こう報告があがるのだった。
「どうされますか、ここは」
「ロンド=ベルの攻撃もさらに強まっていますが」
撤退も考えた。しかしであった。
「戦う」
「戦われますか」
「まだ」
「ここで撤退してもハザル司令はお許しになられない」
だからだというのだ。
「我等全員処刑されるぞ」
「確かに」
「ハザル司令ならば」
「あの方は恐ろしい方だ」
部下には恐れられているのである。恐れられているだけだ。
「このまま退けば我等全員だ」
「兵士達はともかく」
「我等指揮官や参謀だ」
「そうだ、処刑される」
部下を手駒としてしか扱わないハザルの性格はその部下達が最もよく知っていた。
「わかったな。だからな」
「はい、それでは」
「今は」
「戦うしかない」
また言う司令だった。
「わかったな」
「それでは」
「今は」
こうしてだった。帝国軍は挟み撃ちに遭いながらも戦い続ける。そしてロンド=ベルは。
「今度は宇宙怪獣か」
「また出て来たな」
「本当によく出るわね」
今更彼等にはこれといって驚いていなかった。
そしてだ。タシロに問う。
「ここはどうしますか?」
「宇宙怪獣がまた来ましたけれど」
「ここでは」
「案ずることはない」
彼も落ち着き払っている。
「宇宙怪獣が来ればその時はだ」
「はい、その時は」
「いつも通りですね」
「倒す」
一言であった。
「わかったな」
「はい、それじゃあ」
「バルマー共々」
「全軍バルマーに対するのと同じだ!」
タシロはこう指示を出した。
「このまま敵を迎え撃つぞ!」
「はい!」
「了解です!」
こう話してであった。彼等は戦闘を続ける。そこに宇宙怪獣が来た。
彼等はまず帝国軍を蹴散らしてしまった。
その司令が乗っていた戦艦はだ。宇宙怪獣の攻撃であえなく沈んだ。
「そ、総員退艦!!」
「は、はい!」
「脱出を」
「ここに至っては止むを得ない!」
軍がほぼ消滅してからの判断だった。
「全軍撤退だ!」
「了解です!」
「それでは!」
こうして全軍撤退する。後は宇宙怪獣との戦いだった。
だがここでだ。グレイスがこっそり笑った。
「もっと面白くなるわよ」
この笑みと共にであった。また出て来た。
今度はバジュラだった。彼等であった。
「来たぞ!」
「今度はバジュラかよ!」
「やっぱりまだ巣があったのか!」
「バジュラを甘く見ないことね」
彼等の言葉を何処からか聞きながらの言葉だった。
「そう簡単にはね」
「バジュラは右からか」
「そこからか」
それでもだった。ロンド=ベルは冷静だった。
タシロはだ。ここで指示を出した。
「まずは宇宙怪獣の陣を正面から突破する」
「宇宙怪獣をですか」
「このままですね」
「そうだ、そしてだ」
さらに話すのだった。
「そこから右旋回しバジュラの軍をだ」
「彼等を叩く」
「そうするのですね」
「その通りだ」
これが彼の戦術だった。
「わかったな。機動力を活用してだ」
「はい、それなら」
「今から」
「この戦いも勝てる」
タシロはこのことを確信していた。
「だからだ。行くぞ」
「はい、それでは」
「今から」
こうしてだった。まずは正面突破を行った。
それからだった。右から来ていたバジュラのその右から攻めるのだった。
「よし、これなら!」
「いける!」
そのままありったけの攻撃をぶつける。それによってだ。
宇宙怪獣だけでなくバジュラにも打撃を与えた。これで戦争は決まった。
宇宙怪獣とバジュラは衝突し戦争になっていた。その両者にであった。
もう一度攻撃を与える。それで、だった。
「勝敗は決したな」
「はい」
副長はタシロのその言葉に頷く。
「これで」
「戦術だ」
タシロは言った。
「それを使えばだ」
「例えどれだけ強敵であっても」
「勝てるのだ」
こう言うのであった。
「こうしてな」
「そうですね。今敵はお互いに衝突していますし」
「そこを狙えばいい」
その三つ巴の戦場の中での言葉だった。
「そういうことだ」
「その通りですね。それではこの戦いは」
「もらった」
言い切った。
「この戦い、完全にだ」
「はい、それでは」
「今から双方に攻撃を加える!」
タシロはこう命じた。
「それで勝敗を決する。いいな!」
「はい!」
「わかりました!」
こうして宇宙怪獣とバジュラが衝突したそこに攻めた。それで勝敗を決し戦いを終わらせた。双方共かなりの損害を出し僅かな数だけが戦場を離脱した。
戦いが終わりだ。まず言ったのはマリーメイアだった。
「勝利の後は御馳走ですね」
「ええ、そうね」
カズミが彼女の言葉に応える。
「さて、それなら」
「人参のケーキがあるわよ」
「今焼けたわよ」
ニナとラーダが出て来た。
「皆でそれ食べましょう」
「今からね」
「あっ、人参のケーキ最高だニャ」
それに声をあげたのはクロだった。
「じゃあ頂きます」
「おい」
ここでマサキが突っ込みを入れる。
「誰が誰か全然わからねえぞ」
「えっ、そうかニャ」
「わかると思うけれど」
クロにタチヤナが加勢する。
「顔は全然違うし」
「その通りだニャ」
「だから声が同じにしか聞こえないんだよ」
マサキはそれを理由にする。
「あんた達本当に別人同士か?」
「そうですけれど」
「違うように見えるかしら」
そのマリーメイアとカズミの言葉だ。
「それは御承知頂けると思っていましたが」
「そうよね」
今度はミスティも加わった。
「この通りよ。私達は別人同士よ」
「いや、絶対に違う」
刹那はそんな彼女達を見て断言する。
「あんた達は間違いなく同一人物だ」
「そうとしか思えないな」
ロックオンも刹那の言葉に頷く。そうしてだ。
「そう思うよな、あんたも」
「ああ」
頷いたのはクルツだった。
「どう見てもな」
「そうだよ、あんた達本当はクローンか何かじゃないのか?」
「そうとしか思えないがな」
ラッセとサブロウタも言う。
「世の中似てる人間が多いにしてもだ」
「似過ぎっていうかな」
「いや、あんた等もかなり」
その彼等にはアレックスが突っ込みを入れる。
「あれだけれどな」
「そうだよな。同じ人間に見える時あるからな」
応えるのはスティングだった。
「世の中おかしなことがあるものだ」
「全くだぜ」
「それはギャグで言っているのか?」
彼等に問うたのは黄金だった。
「あんた達もな」
「ああ、同じだろうがよ」
ジェリドが出て来た。
「どっからどう見たってな」
「そうだな、同じにしか見えないな」
ヤンロンも二人の言葉に頷く。
「これはな」
「全くですね」
エイジまで出て来た。
「何かミイラ取りがミイラになってますね」
「それ自分で言ってておかしいと思わない?」
「あんた達も自覚ないでしょ」
リューネとアレンビーであった。
「あんた達も同じだから」
「誰がどう見てもね」
「話がわからなくなってきたな」
ヒイロがぽつりと言う。
「これは」
「そうだよな。何か声が似ている奴等ばかりだぜ」
「というか何かおかしいのでは?」
今言ったのはテッサだった。
「世の中声が似ている人達もいます」
「そうよね。それはね」
スメラギが何故か出て来た。
「言いっこなしでね」
「そうしないと」
「あれっ、テッサさんとスメラギさんって」
「そうよね」
「この組み合わせって」
ところがこの二人もこの二人で、であった。
「プリキュア?」
「そんな感じ?」
「誰もそれ言ったらスネに傷ありませんか?」
ユンの言葉である。
「ですからそれは」
「そうだよなあ、包丁とか」
「スクールだけでサマー、クロスじゃ脇役とか」
「そういうのは」
「だからなしにして下さい」
ユンが一番困った顔になっていた。
「困りますから」
「それはそうとしてだけれどな」
ムウが言う。
「とりあえずバジュラが出たよな」
「ああ、あれ」
「また出て来ましたね」
「ここで」
「それだ。あの時かなりやっつけたがな」
ガリア4での戦いの時の話だ。
「それでもまだ出て来るなんてな、あれだけな」
「近くに巣がありますね」
ルカの言葉だ。
「これは」
「問題はそれが何処か、だけれど」
エルフィはそのことを指摘した。
「さて、何処かしら」
「近くの惑星かしら」
キャシーがふと呟く。
「テレポートしてきたわけじゃないようだったし」
「それなら何処から」
「来たかだな」
ドニーとジャンも話す。
「近辺の惑星の様だが」
「何処から来たか」
「少し調べてみる必要があるわね」
ここで遥が言う。
「あれだけの数が来たから。すぐにわかるわ」
「よし、じゃあ今から」
「調べてですね」
「ええ、そうよ」
遥はこう一同に話す。
「時間は少しだけで済むと思うわ」
「よし、じゃあそれまでは」
「一時休憩ですね」
「私だけでやっておくから」
遥は皆に気を使ってこう申し出た。
「少しだけ待っておいてね」
「はい、それじゃあ」
「今から」
「さて、問題はどの惑星かだけれど」
「そうですよね」
綾人がその遥に言う。
「またガリア4みたいな惑星でしょうか」
「今回はこの近辺には人がいる惑星はないけれどね」
この場合はゼントラーディもメルトランディも入れての話だ。
「それでも。何処にいるか」
「それが問題ですか」
「さて、暫く部屋に入るから」
こう言って立ち上がる。
「まあジュースでも飲みながら調べるわ」
「じゃあ僕も」
綾人はすぐに協力を申し出た。
「お手伝いさせて下さい」
「いいわよ、それは」
しかし遥は微笑んでそれはいいとしたのだった。
「私一人で充分だから」
「充分ですか」
「そう、充分よ」
人手はいらないというのだ。
「だからね。綾人君も休んでいて」
「はあ、それじゃあ」
「多分調べるのに三十分もかからなくて」
その程度だというのである。
「そしてそれが終わったらね」
「終わったら」
「その惑星のことを葛城三佐に話して終わりね」
「ミサトさんにですか」
「そう、それで終わりだから」
にこりと笑って綾人に話す。
「一人で充分よ」
「わかりました、それじゃあ」
「さて、と」
ここまで話してであった。遥は微笑んで言う。
「コーラでも飲みながらパソコンを打っているわ」
「コーラより野菜ジュースの方がいいんじゃねえのか?」
シンの言葉である。
「二十九歳なんていう立派なお年寄りなんだからよ」
その瞬間だった。遥の目が赤く光ってた。
十メートルはあった間合いを無視してだ。拳を繰り出したのである。
それはシンの後頭部を打ちだ。一撃で終わらせた。
気絶するシンを見てだ。一同は呆れた顔で言う。
「こいつは本当に」
「言わなくていいことばかり言って」
「いつもこうなるわね」
こう言うのだった。
「やっぱり馬鹿なんだな」
「そうね」
「本当に」
「とりあえず医務室に放り込んでおくか」
目を回して倒れている彼を見ての言葉だ。
「死なないまでも」
「そうだよな」
「一応はね」
そうしてであった。シンは引き摺られて医務室に連行される。両手が床に引き摺られ実に無惨な姿のまま運ばれていくのであった。
それが終わってからだ。遥はあらためて言った。
「じゃあ行って来るから」
「はい、じゃあ」
「御願いします」
「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
遥は楽しそうに言う。
「どの惑星なのかね。問題は」
「できれば普通の惑星がいいですけれどね」
「本当に」
「火山が噴火しまくってるとか超惑星とかじゃなくて」
「すっきりした星が」
「けれどいい星だったら」
ここでこうも話される。
「そもそもバルマーか誰かいるだろうけれど」
「まあそれはね」
「その場合はね」
皆マリューのその言葉に頷く。しかし何はともあれだった。
「とりあえず今は」
「遥さん、御願いします」
「そういうことで」
「わかってるわ。それじゃあね」
「はい、じゃあ」
「後で」
こうしてであった、遥は一人自分の部屋で調べるのだった。その結果その星のことがわかったのだった。本当にすぐのことだった。
第三十六話 完
2010・6・11
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