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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第三十五話 混戦

                 第三十五話 混戦
「で、今度は」
「何処に行ってるんだ?」
「進路は?」
「今のところ新天地を探している」
 ジェフリーがロンド=ベルの面々に答える。
「これまで通りだ」
「これまで通りですか」
「それは」
「そうだ、これまで通りだ」
 何も変わらないというのである。
「これでわかったな」
「ええ、そういうことですか」
「じゃあまた敵が来ればその時に、ですね」
「戦うってことですね」
「成程ね」
 エヴィータはここまで聞いて頷いた。
「敵が来ればまた叩く。誰であっても」
「とりあえずバルマー軍の勢力圏じゃないですよね、これから入るのは」
「違いますね」
「一応いないわね」
 ボビーが答える。
「あくまで今のところはだけれど」
「帝国軍は方面軍を二つ失っているわね」
 アマリアはそれを指摘した。
「残るは三つね」
「近銀河方面軍、外銀河方面軍、そして帝都防衛軍だな」
 ヴィレッタが述べた。
「残るはこの三つだ」
「この三つだけ」
「そしてそのうちの二つは動けない」
「そういうことか」
「そうだ、まさにその通りだ」
 また答えるヴィレッタだった。
「今動けるのは外銀河方面軍だけだ」
「じゃあ今は安心していい?」
「バルマーに対しては」
「少なくとも」
「だとすると」
 今度言ったのはオリヴィエである。
「プロトデビルンと宇宙怪獣になるかな」
「そうだな、バジュラも今のところ大きな巣はないみたいだしな」
 ムハンマドがこのことを指摘する。
「今はやはりプロトデビルンと宇宙怪獣だな」
「それとバッフクランかしら」
 シルヴィアは彼等も警戒していた。
「つまり神出鬼没の勢力が相手になるのね」
「それと」
 ハサンも述べる。
「ムゲ帝国かな、出てきそうなのは」
「そういえば」
「そうね」
 雲儀と走影が顔を見合わせる。
「何か動きがおかしかったな」
「このところどうもね」
「動きがおかしいか」
「そういえば」
 ザイオンとレイがそれに頷く。
「何かフロンティアを狙ってる?」
「確かに」
「そんな感じだよな」
「どういうこと?」
「少なくとも今はね」
 ここで言ったのは華都美だった。
「迂闊な行動を避けて慎重にね」
「そうあるべきですね」
「まだ誰も出ていないし」
「それにだ」
 今度言ったのはクリアリアだ。
「まだ何が出て来るかわからない」
「絶対に何かが出て来るにしても」
「どの勢力がか」
 ここでギルとレドンも話す。
「ではどの勢力が出て来てもいいように」
「備えはしておくか」
「よし、それならだ」
 テムジンが言った。
「あらゆる場合と想定するべきだな」
「何か面倒臭そう」
 フェイはその言葉には反論する。
「もっと楽にいかない?」
「戦いに楽も何もあるものか」
 ハッターはそれにはかなり懐疑的に返した。
「苦労して勝つものだ」
「けれど苦労して負けてもね」
「仕方がないわよ」
「それはね」
 ジェニファーとシルビー、それにデボラが言ってきた。
「あらゆるケースを考えることは大事でもね」
「苦労しても負けるわよ」
「それは覚えておかないと」
「何だ、じゃあどうすればいいんだ」
 ハッターは三姉妹の言葉を受けて困惑しだした。
「苦労しないと勝てないのにか」
「的確な苦労をすることだ」
 だがここでテムジンが話した、
「そうすればいい」
「的確な苦労ねえ」
「それですか」
「今はそれなんですね」
「そうだ、的確な苦労だ」
 テムジンはまた話した。
「それでわかったな」
「じゃああらゆるケースを想定して」
「どんな敵が来ても」
「そうしますか」
「そうだな」
 こんな話をしてであった。彼等はそれぞれ話すのであった。
 そしてそんな話をしているとだった。二日後その敵が来た。
「敵です」
 ヒカリが報告する。
「宇宙怪獣です」
「奴等か」
「あいつ等が来たのか」
「そしてです」
 今度は美穂からだった。
「別の敵も来ています」
「げっ、もう一つ!?」
「今度は何処!?」
「バッフクランです」
 彼等だというのである。
「それぞれ我々に来ます」
「そして彼等同士でも小競り合いをしています」
 サリーが報告するのはこのことだった。
「つまりこのままですと」
「三つ巴ですね」
 エキセドルが冷静に述べた。
「これは」
「そのケースも考えていたがな」
 カムジンは少しぼやく感じである。
「しかし実際にこう来るとな」
「ああ、悪い話がまた来たぜ」
 今度はカチーナからの報告だった。
「後ろから今度はな」
「今度は?」
「どの勢力が?」
「プロトデビルンが来たぜ」
 そうだというのであった。
「あの美意識野郎とデカブツのコンビだぜ」
「おい、またか」
「またあのコンビか」
 皆カチーナの言葉にうんざりとしているとであった。早速ガビルが言っていた。
「行け!進撃美!」
「ゴガアッ!!」
 グラビルがそれに応えて叫ぶ。
「今度こそロンド=ベルを倒すのだ!」
「何かかなりやばいんじゃ」
「全く」
「そうよね」
「案ずることはない」
 だがここでだ。リーは一同に冷静に告げた。
「この程度のことはいつもの筈だ」
「確かに。言われてみれば」
「それじゃあここは?」
「方陣ですか」
「そうだ、守る」
 それだというのである。
「わかったな、それではだ」
「はい、それなら」
「今は」
 こう話してであった。彼等はすぐに方陣を組んだ。リーはハガネの艦橋からその陣を見てだ。冷静な顔でそのまま言うのであった。
「これでいい」
「冷静だな」
「いつものことだ」
 リーはブレスフィールドにも冷静に返す。
「最早な。この程度のことはだ」
「いつものことか」
「敵の数は」
「二百万です」
 ホリスが答える。
「三つの勢力を合わせてそれだけです」
「その三つも互いに争っている」
 リーはここでも冷静だった。
「我々はそれにも付け入ればいい」
「本当に慣れた感じね」
 アカネはそんなリーの言葉を聞いて頷いた。
「何かいつも通りで」
「そうよね」
 シホミもそう見ていた。
「けれど落ち着いていていいわね」
「戦場での狼狽は死に直結する」
 こうも言うリーだった。
「これはもう常識のことだ」
「それなら今は」
「余計に」
「そうだ、冷静にだ」
 また言うのであった。
「わかったな。後は各自に任せる」
「小隊単位で、ですね」
「それで各自」
「攻撃については任せる」
 リーの言葉は続く。
「わかったな」
「はい、了解です」
「それなら」
 こうしてだった。接近してくる三つの勢力を待ち構えるのだった。
 そして来た敵をだ。それぞれ攻撃する。
 戦闘がはじまるとだ。リーはここでもまた述べた。
「この方陣を回せ」
「回す!?」
「ここで」
「そうだ、回せ」
 また言うのであった。
「回転させる。それで三つの勢力にそれぞれ新手を繰り出す」
「そうか、あれか」
 テツヤがそれを聞いてすぐに頷く。
「カラコールか」
「そうだ、車懸かりだ」
 リーはテツヤにこう返した。
「それでわかったな」
「わかった。確かに今はあれがいいな」
「それで全ての戦力で敵に対する」
「そうだな。それではだ」
「総攻撃だ」
 こうしてであった。その方陣が動いた。
 陣はまさに台風であった。そしてだ。
「始終動け!」
「時計回りだ!」
「いいわね!」
 こう指示が飛びそうしてだった。
 ロンド=ベルは全軍右から左に回転してそうして敵を絶え間なく攻撃する。
 それにより三つの勢力を同時に相手にしていた。
「むうっ!」
「ゴガアッ!」
 ガビルとグラビルもそれを見て言う。
「これこそまさに」
「ガウ?」
「回転美!」
 それだというのだ。
「そういう戦術もあるのか」
「また貴様か!」
 ガムリンがそのガビルに対して返す。
「何処までも出て来るか!」
「何度でも出て来る!」
 そうだと返すガビルだった。
「不屈美!それを極める!」
「へっ、じゃあそうしな!」
 バサラは彼のその考えは認めた。
「俺も俺の歌を聴かせてやるぜ!」
「歌?」
 ガビルは歌には疑問の言葉で返した。
「御前はいつもそれを言うが」
「俺の歌を聴くか?」
「美なのか、それは」
 ガビルは今一ついぶかしむ感じだった。
「そうなのか?」
「美しいかどうかは聴いてみて理解しな!」
 これがバサラの言葉だった。
「俺の歌をな!」
「そうしたいけれどね」
 しかしだ。ここでミレーヌが言う。
「次の相手に向かうわよ」
「何っ!?」
「バッフクラン軍に向かいましょう」
 こう言うのであった。
「だって。この陣は右より左に回転して動いてるじゃない」
「おい、ここまで来てかよ」
「だから陣だから仕方ないのよ」
「俺は聴かせてやるんだよ!」
「だから人の話は聞きなさい」
 今更であった。
「いいわね、行くわよ」
「俺はここに残るぜ」
 やはり人の話を聞こうとしない。
「そしてこいつにな!」
「ああ、わかったわよ」
 ミレーヌも遂に諦めた。
「じゃあそうしておいて」
「おうよ!俺の歌を聴けーーーーーーっ!」
 こうして彼はプロトデビルンの相手に専念する。結果としてファイアーボンバー全員がそうしたのだった。
 そしてだ。他の者はそのままだった。
「よし、次だな!」
「はい、そうです」
 ディアッカにニコルが話す。
「次は宇宙怪獣です」
「それで今度は連中をこれでか」
 フリーダムの照準を見ながらの言葉だった。
「吹き飛ばすか」
「ミサイルでもいいのでは?」
 ニコルはディアッカのフリーダムを見て話す。
「まとめて撃破するのなら」
「ミーティアだからか」
「はい、どうでしょうか」
「そうだな」
 ディアッカもそれに頷いた。
「それもいいな」
「そう思われますね」
「ああ、デカブツは流石に無理だがな」
 それは置いておいて、だった。
「それでも雑魚をまとめて消そうと思ったらな」
「はい、そうしましょう」
「わかった」
 イザークも応えてきた。彼のジャスティスもミーティアと合体している。
「それならだ。ミサイルだな」
「ジャスティスは接近戦向きだけれどな」
「それもしてみせる」
 こう話すイザークだった。
「敵の戦艦にはな」
「戦艦は僕がやらせてもらいます」
 ニコルはそちらだというのだ。
「このデスティニーなら」
「ああ、頼むぜ」
「そちらはな」
 ディアッカもイザークもそれでいいとした。
「こっちはこっちで敵の数減らしておくからな」
「そちらは任せた」
「はい、それなら」
 その宇宙怪獣のところに来た。するとだ。
 ニコルは巨大なライフルを出してだ。大型の宇宙怪獣を一撃で沈めたのだった。
 その中でだ。ふとビーチャが言う。
「今回宇宙怪獣のあのデカブツいないな」
「ああ、そうね」
「合体型だね」
「あれはいないわね」
 エル、モンド、イーノがそれに頷く。
「そういえば確かにね」
「あれが宇宙怪獣では一番手強いけれど」
「それがいないのはいいね」
「ああ、それは助かるな」
「あれが一番厄介なのよね」
 ルーもそれにはほっとしていた。
「手強いししぶといし」
「あれがいないと全然違うね」
「ああ、楽になる」
 プルとプルツーも話す。
「高速型とかはいるけれど」
「あれがいないのはいいことだ」
「向こうのラスボスみたいなものなのか?」
 ジュドーはそれではないかという。
「あの戦艦ってよ」
「ああ、そうかもな」
「言われてみればそうですね」
「私達まだ見ていませんし」
 ジャックにエルフィ、フィリスも攻撃を加えながら話す。
「戦艦って言っていいのかわからないけれどな」
「何かそういう感じですね」
「ここぞという時に来ますし」
「宇宙怪獣は本能だけだけれど」
 カズミもここで話す。
「それでも。強弱によってランクはあるみたいだから」
「だから一番強いあれがですか」
「一番上になるんですね」
「そういうことですね」
「そうみたいね」
 カズミはまた話した。
「どうやらね」
「そうね。感じられる力も全く違うし」
 ラーダもそれを言う。
「何か違うわね」
「それにあの種類の個体自体も少ないわね」
 カズミはそこも見ていた。
「どうやら」
「まああんなのがうじゃうじゃ出て来ても困るけれど」
「確かに」
「それだけは」
 皆このことには納得した。
 そしてだ。彼等はそのまま車懸かりの攻撃を続けていく。そうしてだ。
 まずはプロトデビルンが退いた。
「これ以上の戦闘は意味がないが」
「ガウ」
「ならばだ。執るべき方法は一つ」
 ガビルはすぐに指示を出した。
「撤退!撤退美だ!」
「ガオオオオオオン!」 
 グラビルが応えてであった。全員戻る。そしてそれによって敵はあと二つになった。
 そしてだ。次はだった。
「ふむ」
「閣下、損害が七割に達しました」
「最早」
「わかっている」
 ハンニバルが答えた。
「撤退する、いいな」
「わかりました」
「それでは」
「宇宙怪獣まで出たとあってはな」
 それが理由だというのだ。
「それではだ」
「今は撤退ですね」
「これで」
「そうだ、全軍一旦下がる。 
 彼はまた話した。
「それではだ」
「はい、それでは」
「その様に」
 こう話してだった。バッフクランも撤退する。そして後に残ったのは。
「おいおい」
「連中が残ったのかよ」
「何だよ、これって」
「面倒ね」
「しかし仕方がないね」
 ここで言ったのは万丈である。
「最後まで残る勢力が出るのは当然だし」
「仕方ないですか」
「それじゃあ」
「うん、だからね」
 こう皆に話してだった。
「じゃあそろそろ車懸かりもいいかな」
「そうだな」
 それを指示したリーが応える。
「もうな」
「よし、それなら」
「もうこれで」
「後は」
「全軍突撃だ」
 リーが次に下した命令はこれだった。
「いいな、まずは一斉射撃だ」
「そしてそれから」
「全軍で突撃して」
「そして勝敗を」
「そうだ、そうする」
 まさにそれだというのだ。
「行くぞ、いいな」
「了解、それじゃあ」
「まずは一斉射撃で」
「そしてそれから」
「行くぞ」
 こうしてだった。すぐに陣を整えた。
 そのうえでだ。リーの指示通り一斉射撃を放った。
 それで敵の数を減らし動きを止めてからだ。突撃に移った。
「これで決まりだ!」
「一気にな!」
「決める!」
 その突撃でだ。勝敗は決した。
 宇宙海獣達はそのまま全滅した。残ったのは一体もなかった。
「宇宙怪獣はなあ」
「撤退しないからねえ」
「最後まで戦うから」
 皆戦いが終わってから疲れた顔になっていた。
「疲れるのよね」
「全く」
「大変よ」
 こう話すのだった。
「しかし戦いは終わったし」
「じゃあそれなら」
「一旦フロンティアに帰るか」
「そうね」
 こう話してであった。フロンティアに戻った。
 するとだ。レオンが言うのであった。
「悪いがだ」
「またですか」
「また来たんですか」
「そうだ、今度は帝国軍だ」
 敵が来たというのである。
「丁度ここから二日のところに来ているそうだ」
「そうですか、そこにですか」
「そこにいるんですね」
「私は文官だが」
 レオンは一応こう前置きする。
「しかしだ。それでもここはだ」
「そうですね、急襲ですね」
「今のうちに」
「そうだ。今のうちだ」
 ここで大河も言った。
「今のうちに攻める」
「そして一気に倒す」
「そういうことですね」
「よし、それならだ」
 皆もそれに頷いてだった。
「一気に決着をつけましょう」
「それでその帝国軍はですけれど」
「ハザルの軍ですか?」
「それとも他の方面軍ですか?」
「それが実はまだよくわかっていない」
 レオンの言葉はここで微妙なものになった。
「申し訳ないがな」
「ハザルの軍が他の軍か」
「それはよくわからないんですか」
「じゃあ一体どの軍なんだ?」
「それが問題ですけれど」
「それでもおおよその察しはつく」
 ここで言ったのはマーグだった。
「帝国軍はそれぞれの管轄区があるからな」
「あっ、それですか」
「それがありましたね」
「本国を護る軍は絶対に動けはしない」
 マーグが指摘するのはこのことだった。
「そしてここは中銀河方面軍の管轄ではない」
「というとここは」
「ハザルですか」
「連中ですね」
「おそらくな。壊滅した二個方面軍の再建にはまだ時間がかかる」
 マーグはこのことも話す。
「だとすればだ」
「ハザルしかない」
「そういうことですか」
「そうだ、そうなる」
 マーグはこう結論付けた。
「あそこにいるのはハザル=ゴッツォの軍だ」
「そうですか、ただ」
「そうよね。気になることはね」
「それね」
 ここでロンド=ベルの面々はふと気付いたのだった。
「ハザルも管轄があるのに」
「それで何で私達にここまで」
「本来の護りは?」
「していないように見えるよな」
「そうだな。おそらくそれはおざなりにしている」
 マーグもこのことを指摘した。
「外銀河の護りはな。だからこそバッフクランもここまで入ってきている」
「それってまずいよな」
「地球よりもバルマーにとって」
「絶対にな」
「それはそうだけれど」
 皆このことに気付いてさらに話す。
「バッフクランって銀河単位の勢力だしな」
「全力で向かわないといけないのに」
「けれど何で私達にここまでこだわるのかしら」
「それがわからないけれど」
「そうですよね」
 ロゼもだった。首を傾げさせていた。
「普通は。私達のことは誰かに任せて」
「そうしてバッフクランにあたる」
「そうなる筈なのに」
「どうして?」
「私達に戦力の殆どを」
「一つ仮定するとだが」
 ここで言うのはクワトロだった。
「外銀河にそれだけの備えがある」
「俺達に戦力を向けられるだけの」
「それだけのものが」
「そう、ある」
 こう話すのだった。
「だからこそ私達に戦力を向けているのだ」
「外銀河方面軍にもロンド=ベル討伐の命は下されている」
 マーグはここでこのことも話した。
「辺境方面軍の次にだ」
「ならそれですか?」
「その為に軍を?」
「備えを管轄区に置いたうえで」
「そうも考えられる」
 しかしここでだ。クワトロはさらに言ってみせた。
「しかしだ」
「しかし?」
「っていいますと」
「それではバッフクラン軍を防いでいる」
 クワトロもこのことを指摘する。
「既にだ」
「しかしそれはできていない」
「こんな場所にまで来られている」
「ということは」
 彼等はすぐに察した。となるとだ。
「バッフクランはあえて放置されていますね」
「そうなるよな」
「確かに」
 皆でこのことを話すのであった。
「それでいいのかな」
「よくないだろ」
「なあ」
「普通に」
「しかしそうしても手に入れたいものがあれば」
 今度はアムロが言ってきた。
「そうするんじゃないか」
「手に入れたいものがある」
「軍事技術?」
「ゲストやインスペクターと同じで」
「それ狙いかしら」
「いや、それならね」
 ここでケーラは異論を述べてきた。
「あの時SRX手に入れてない?」
「ああ、あの時に」
「そういえば」
 これに気付くのだった。
「言われてみれば」
「けれどリュウセイを挑発するみたいに言って終わり」
「そうだよなあ」
「SRX強奪とかしなかったし」
「アヤさんだけ手に入れたし」
「あれも不思議よね」
 今度はセシリーが話す。
「どうしてアヤさんを拉致したのかしら」
「あいつが凄い女好きとか?」
 今言ったのはビルギットだった。
「それはないよな」
「そうした話はな」
「聞いていません」
 マーグとロゼがそれは否定する。
「ハザル=ゴッツォは傲岸不遜な男だ」
「ですが個人的には清潔なのです」
 ハザルの数少ない美点だった。
「汚職や女色には縁がない」
「そして生活自体も極めて質素です」
「そうしたことで美女を手に入れる男ではない」
「それは絶対にありません」
「そうですか、それはないんですね」
 シーブックもそれを聞いて頷く。
「あの男にそれは」
「じゃああの時どうしてアヤさんを?」
「それに私達をどうして」
「ここまで狙うか」
「しかも」
 そしてであった。このことにも気付いたのだった。
「フロンティアを狙ってるよな」
「どうしてかな」
「それもわからないし」
「何かがあるのは間違いないしても」
「どうして?」
 そしてであった。さらに話すのだった。
「彼等は一体」
「何を考えているのかしら」
「それを確かめる為にも急襲を仕掛けるか」
 今言ったのはアムロだった。
「やはりここは」
「そうするか」
「そうね」
「ここは」
 皆もそれに頷く。そうしてだった。
「じゃあすぐに敵に向かいましょう」
「それで決着をつけましょう」
「そのうえで」
「よし、決まりだ」
 ブライトもここで言う。
「今からすぐにだ。帝国軍に向かう」
「了解です」
「今から」
 こう話してだった。彼等はまた戦いに向かうのであった。


第三十五話   完


                         2010・6・9 
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