ソードアート・オンライン stylish・story
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第三十話 協力
キリトとシュウはリーファに連れられて、一軒の小さな店に入った。
幸いにもその店に他のプレイヤーは居らず、店を営んでいるNPCだけのようだった。三人が席に着くとリーファはキリトとシュウとユイに食べたい物を注文するように促した。しかし食べ過ぎるとリアルに戻った時に満腹感が出る事を注意した。
リーファはババロア、キリトはタルト、ユイはクッキー、シュウはティラミスを頼み、それらが届くと一緒に頼んでおいたワインの入ったグラスを三人が持つと・・・
「それじゃあ改めて。助けてくれてありがと」
コツン
と乾杯をすると一口ワインを飲んだ。そしてそれぞれのデザートを軽く口にした所でシュウがリーファに尋ねる。
「それにしてもあの連中・・・サラマンダーだったか?えらい好戦的だったな・・・ああ言った集団PKって良くあるのか?」
「元々サラマンダーとシルフは仲悪いのは確かなんだけどね。でもああいう組織的なPKが出るようになったのは最近だよ。きっと近いうちに世界樹攻略を狙ってるんじゃないかな」
キリトが世界樹と言う単語を聞いた途端に思い出したかのようにリーファに尋ねる。
「それだ。リーファ、世界樹の上に行きたいんだけど・・・どうすれば良いんだ?」
「それは全プレイヤーがそう思ってるよきっと・・・と言うより、それがこのALOっていうゲームの【グランド・クエスト】なのよ」
「グランド・クエストって言うとゲームの中の最重要のクエストで、達成される事で完全なクリアとなるクエストの事だよな。それと何か関係があるのか?リーファ」
シュウの言葉にリーファは頷きながら続ける。
「滞空制限があるのは知ってるでしょ?どんな種族でも、連続して飛べるのはせいぜい十分が限界なの。でも、世界樹の上にある空中都市に最初に到達して【妖精王オベイロン】に謁見した種族は全員【アルフ】っていう高位種族に生まれ変われる。そうなれば、滞空制限はなくなっていつまでも自由に空を飛ぶ事が出来るようになる」
「なるほどな。んで、世界樹の頂上に行くためにはどうしたら良いんだ?」
「世界中の根元がドームになっていてそこから行く事が出来るんだけど、そこを守っているガーディアン軍団が凄い強さなのよ。それで、今何かをキークエストを見落としてるんじゃないかって懸命に探している最中なの」
シュウはその話を目を細めながら聞いていた。
魅力的な話だがシュウにとってはそれが大きく引っ掛かっていた。まずは最初に謁見した種族のみがアルフに生まれ変わると言う事で【協力】が出てこないのも無理がないと思った。そしてそんな状態でガーディアンに挑もうとする事は無理に等しかった。
(簡単にクリアされたくないって気持ちは分かんなくもねぇが、これじゃまるで嫌がらせと同じだな・・・性質が悪いぜ!!開発チームは何やってんだ!!・・・まさかこれも須郷の)
シュウは須郷を思い出しながら苦虫を噛み締めた表情を小さく浮べ、右手に持っていたグラスを圧迫し始めた。
「でも諦めきれないよ。一度飛ぶと言う楽しさを覚えたら何年掛かってもやり遂げたいって言う・・・」
「それじゃ遅すぎるんだ!!!」
リーファの夢を語っている言葉を遮り、キリトは怒りを込めた声を張り上げる。それを聞いたシュウは落ち着くように言い聞かせる。
「落ち着けキリト・・・ここでキレたって何の意味もねぇぞ」
「でも!!」
「早く助けたいって気持ちはある。けどな・・・ここでキレて叫んでも『あいつ』は帰って来ねぇ」
シュウは鋭い目付きでキリトを見るとキリトは落ち着いたのかリーファに謝った。
「驚かせてごめん・・・でも俺達はどうしても世界樹の上に行かないといけないんだ」
「何で・・・そこまで?」
落ち着いたと言ってもやはり心配なのかキリトは目を暗くする。それを見たリーファは何かを思い出したのか彼女も俯く。シュウはリーファの今の表情には見覚えがあった。
(今の表情、何処かで・・・っ!!まさか彼女は・・・)
シュウは考えを一旦切ると説明する。
「俺達は人を探しているんだ。このALOに来たのもそれが理由だ」
簡単に説明するとキリトとシュウはご馳走になったお礼を言うと席を外そうとするがリーファが引き止める。
「待ってよ!もしかして君達だけで世界樹に挑むつもりなの?」
「ああ。この目で確かめないと」
「世界樹まで物凄く遠いし、途中で強いモンスターもいっぱい出るし・・・無茶だよ」
キリトが答え、それにリーファが反論したがここでシュウがケリを付ける。
「かもしれねぇ。けどな、リーファ。生きている内は無茶をやってまでもやり遂げなきゃならねぇ事があるんだ・・・今がその時なんだよ」
シュウがリーファに言い聞かせると二人は出入り口のドアノブに手をかけ様としたその時・・・
「じゃあ、あたしが連れて行って上げる!!」
「え?」「何?」
リーファの言葉に二人はその場に棒立ちになってしまったがキリトが反論する。
「いやでも・・・会ったばかりの人にそこまで世話になる訳には」
「世界樹までの道は知ってるの?それにガーディアンはどうするつもり?」
リーファは二人に言い寄ったが、キリトとシュウは正論に反論する事が出来なかった。
ガーディアンに関してはステータスは問題ないとして、装備はスイルベーン(ここ)で整えたら良いかもしれないが世界樹までの道程は全く分からなかった。
「しかしそれじゃ、リーファに迷惑がかかるんじゃねぇのか?」
「良いの!もう決めたの!!」
(おいおい・・・俺達の意見はないのかよ?)
リーファはそっぽ向きながら自分の意見を述べていたがキリトとシュウの意見を聞こうとしていなかった。しかしありがたい話ではあった。
「あの、明日も入れる?」
「あ、うん」「No problem(問題ねぇよ)」
「じゃあ午後3時にここでね。あたしもう落ちなきゃいけないから。あの、ログアウトには上の宿屋を使ってね。じゃあ、また明日ね!」
「あ、リーファ!!」
リーファがメニュー欄からログアウトを選択し、落ちようとするがシュウが引き止める。そして・・・
「・・・ありがとな」
シュウは笑顔でお礼を言った。リーファは少し顔を赤らめながら笑顔で返して、落ちた。
「俺もそろそろ落ちるけど、シュウはどうするんだ?」
「俺はもう少しインしてるぜ。この世界に慣れておきたいしな。んじゃこれで一旦解散だな」
シュウの考えにキリトは頷き、宿屋の方へと進んでいった。
後書き
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