| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十八話 ギシン星での戦い

                 第二十八話 ギシン星での戦い
 ロンド=ベルはギシン星に近付いている。その中でだ。
「来るか?」
「そろそろだよな」
「ああ、来るな」
「絶対にね」
 誰が緊張の中にいた。
「絶対に来るぞ」
「周辺の星域に」
「かなりの軍が」
「おそらく宇宙での戦いになる」
 シナプスもそう見ていた。
「間違いなくだ」
「ええ、そうですね」
「間違いなく」
「それなら」
「諸君、いいか」
 シナプスはまた全員に告げた。
「宇宙での戦いの用意だ」
「はい」
 皆それに応える。そのうえで決戦の準備に入る。
 その中でだ。タケルはふと言うのだった。
「いよいよだけれど」
「どうしたの、タケル」
「いや、バルマー帝国だけれど」
 ここでミカにも話すのだった。
「思ったより雑多な軍だって思ってね」
「色々な勢力を取り込んできた国だからな」
 ケンジはこうタケルに言うのだった。
「それも当然だろうな」
「当然か」
「そうだな、征服が国是の国だからな」
「考えてみれば当然だね」
 アキラとナオトも話す。
「ギシン星の勢力もだ」
「いるだろうね」
「けれどさ。今のタケル兄ちゃんの言葉って」
 ナミダがそこを指摘した。
「それとは別のことに聞こえるけれど」
「うん、実はね」
 その通りだというタケルだった。
「皇帝の下に絶対の権力でまとまっている訳じゃないんだね」
「その通りだ」
 マーグがタケルの今の言葉に答えた。
「バルマー帝国は確かに専制国家だ」
「うん」
「しかし皇帝の下に全てがまとまっている訳ではないのだ」
「つまり様々な勢力がある」
「そういうことになるんですね」
「そうだ、例えばユーゼス=ゴッツォだが」
 マーグは彼の話もした。
「あの男についても知っているな」
「はい、確かに」
「それは」
「帝国に対する造反を考えていたな」
 ここでユーゼスのことを話すのだった。
「帝国の支配は実際のところ弱まってもきている」
「キャンベルもボアザンも独立したし」
「考えてみれば」
「長年に渡るゼントラーディ、メルトランディとの戦いもあった」
 それもだというのだ。
「当然宇宙怪獣やガイゾックとの戦いもあった」
「戦争をそれだけしていれば」
「勢力も弱まるか」
「そういうことですね」
「その通りだ。バルマー帝国は長年に渡る戦争で勢力を弱めているのだ」
 それは間違いないというのだった。
「そしてズールもまた」
「ああ、そういえばあいつ」
「何か宇宙の支配者になるとか言ってるし」
「それなら」
 そうしたことを考えればだった。
「じゃああいつもやっぱり」
「造反を考えているのか」
「地方領主から」
「そうだと思う」
 また言うマーグだった。
「戦略的にはお互いに争ってくれてもいいが」
「それもいいですけれどね」
「けれど今は」
「もう戦うしかないしな」
「ここまで来たら」
 それはもうないというのだった。それでだった。
 彼等はそのままギシン星に向かう。しかしあった。
 ギシン星周辺の宙域には誰もいなかった。そう、誰もいなかったのだ。
「あれっ!?」
「いない!?」
「どういうこと!?」
 皆このことにまずは唖然となった。
「まさか逃げたとか」
「いや、それはないだろ」
「流石に」
 撤退の可能性はすぐに否定された。
「じゃあ一体」
「何処に?」
「敵は」
「惑星にいるみたいデス」
 スワンが報告する。
「どうやら」
「じゃあ惑星での戦い?」
「まさか」
「いえ、そのまさかの様です」
 今度はスタリオンが言ってきた。
「彼等はそれを望んでいるようです」
「そこまで戦力がないとか?」
「まさか」
「まだかなりある筈だよな」
「ええ」
 それも考えられなかった。
「それで何でなんだ?」
「惑星での戦いなんて」
「ズールは何を考えてるんだ」
「それはわからないが」
 それでもであった。
「行くか、それなら」
「ええ、そうね」
「それならそれで」
 しかし決断は必要だった。そうしてだった。
「全軍いいか」
「はい」
「降下ですね」
 このことをお互いに確認し合う。
「今から」
「行きますか」
「ただしね」
 ここで言ったのはルネだった。
「絶対に何かあるよ」
「そうよね」
「この場合は常にですね」
 光竜と闇竜が彼女の言葉に応える。
「それならここは」
「慎重にですか」
「警戒するけれど派手にいくよ」
 そうするというのだった。
「虎穴に入らずばっていうじゃないか」
「そうするの」
「ここは」
「ええ、そうよ」
 また言うルネだった。
「降下、周りに気をつけてね」
「はあい」
「わかりました」
「では諸君!」
 大河が命じる。
「総員降下に移る!」
「了解!」
「殴り込みだぜ!」
 こうして全軍で降下する。その場所は市街地だった。そこはだ。
「この星の首都ですね」
「そうか、ここがか」
「はい、ここです」
 ロゼがマーグに答える。
「早速いい場所に着きましたね」
「そうだな。それではだ」
「来たよ!」
 ヒメがここで叫ぶ。
「敵がもう来たよ!」
「ああ、四方八方からな!」
「もう待っていたって感じね」
 勇とカナンが言う。
「それならすぐに」
「ここはもう」
「面白い、派手に暴れてやるか!」
「ジョナサン、派手にやるのはいいが」
 シラーがジョナサンに対して言ってきた。
「わかっているな」
「ああ、慎重さもってことだな」
「そういうことだ」
 まさにその通りだというのである。
「わかっているな」
「わかってるさ。しかし」
「しかし?」
「やっぱりあの皇帝陛下はいないな」
 それを見ての言葉だった。
「来ているのは雑魚連中だけだな」
「そうだな」
 クインシィもそれを見て言う。
「ここでの戦いは楽か」
「数は多いですよ」
「それはな」
 カントとナッキィがこのことを注意する。
「それは忘れたら駄目ですけれど」
「これといった指揮官はいないな」
「どういうことだ」
 ヒギンズもそれを見て難しい顔になっている。
「ここでズールがいないのは」
「逃げたとかじゃないな」
「ああ、それはないな」
 ナンガとラッセはそれを否定した。
「ここにいるか」
「隠れているか」
「隠れている、かな」
 勇はそれではないかと考えたのだった。
「ここは」
「そうなの」
「ああ。そして俺達を見ているんだ」
 険しい顔でヒメにも答えるのだった。
「それで何か仕掛けて来るんだろうな」
「コロニー落としでもするのかね」
 今言ったのはハッターだった。
「それだったら」
「それもあるな」
 テムジンはその可能性を否定しなかった。
「我々を惑星ごとだ」
「惑星ごとかよ」
「ここの市民はどうなるんだよ」
「そんなのはどうでもいいのだろう」
 テムジンは感情を込めない言葉で言った。
「それはだ」
「何て野郎だ」
「そういう奴かよ」
「そういう手合いも一杯いるけれどね」
 フェイもそれは素っ気無く告げた。
「さて、どうしようかしら」
「コロニーが来てもな!」
 今叫んだのはエイジだった。
「俺が速攻で叩き落してやるぜ!」
「それは絶対に無理でしょ」
 ルナが素っ気無く突っ込みを入れた。素っ気無い言葉がそれぞれの口から続く。
「幾ら何でもコロニーを撃ち落すのは」
「いや、俺が止める」
 アポロがいた。
「アクエリオンでだ」
「そうだな。アクエリオンならな」
 シリウスもそれに同意できた。
「それも可能だ」
「そういえばそうだったよな」
「確かにね」
 エイジとアポロもそれに頷く。
「じゃあそうした時は」
「御願いするわね」
「任せておくんだな」
 こう返すアポロだった。
「ここはだ」
「アクエリオンならできるかもね」
 シルヴィアは今一つ自信がないようではある。
「多分だけれど」
「いや、できる」
 不動は断言した。
「だからだ。それは安心していい」
「そうなんですか」
「できますか」
「人はやろうと思えば何でもできる!」
 暴論だった。
「だからだ!できるのだ!」
「そういうものですか」
「そういうものだ!」
 テッサにも断言するのだった。
「だからだ。まずはやるということを考えるのだ!」
「作戦以前の問題では?」
「作戦はまず思うことからはじまる」
 不動の強引な言葉は続く。
「なればなる!」
「はあ」
「だからだ!まずは戦いそして来たら止める!」
「止まらなければその時は」
「撃ち落す!」
 強引な言葉は続く。
「わかったな。それで行く!」
「バルディオスもある」
 マリンは冷静に述べた。
「それならいけるか」
「頼みましたよ、その時は」
「絶対に」
「わかったよ。それじゃあ」
「全軍攻撃開始!」
「やってやるか!」
 こうしてギシン星においての決戦がはじまった。その戦いはというとだ。
 かなり激しい戦いになった。敵の数は流石に多かった。
 しかしであった。敵には弱点があった。 
 これといった指揮官がいないのだ。宗介は冷静に敵に照準を合わせてだった。
 射撃を行いそれで倒すのだった。まずは一機だった。
「動きが悪いな」
「ああ、そうだね」
 メリッサが応える。頷きながら彼女も射程を合わせてそのうえで一機撃墜した。
「狙いを定めて安心して撃てるね」
「この戦いはな」
「楽だね」
 それを言うのだった。
「ただ」
「ただ?」
「敵の数は相変わらずだね」
 カントとナッキィの指摘通りだった。
「それはね」
「確かにな」
 それにクルツも頷く。当然彼も戦闘の中にいる。
「それはあるな」
「やっぱり用心は必要だってことだね」
「しかしだ」
 だがここで宗介が言った。
「勝てる」
「ああ、そうだね」
「この戦いはね」
「戦いには勝てるな」
 ベルファルガンはこう述べた。
「それはな」
「しかしそれからか」
「ああ。やはりそうなるだろうな」
 ベルファルガンもそう見ているのだった。
「この戦いは」
「そうか、それなら」
「ここは」
「守りを固めた方がいいな」
 宗介は冷静に述べた。
「そのうえで戦う方がいいか」
「はい、その通りだと思います」
 テッサから通信が入ってきた。
「皆さんここはそうして下さい。陣を組んでです」
「そのうえで戦う」
「そういうことなら」
 全軍すぐに陣を組んだ。円陣になる。そうしてだった。
 そのうえで敵を防ぎながら戦う。敵はそれに対して無闇に攻撃を浴びせるだけであった。これではもう勝敗は明らかであった。
 半日程戦ってだ。敵はもう殆どいなくなっていた。それでだった。
 既に正面に千程度いるだけだった。その千の敵もだ。
 一気に潰した。それで終わりだった。
「終わりか」
「そうよね」
「これで」
「一応は」 
 しかしだった。ここで彼等は身構えていた。
 するとだった。ここでだ。
「ふふふふふ」
「来たな!」
「来やがったな!」
「やっぱりね!」
 その声を聞いてもだ。誰もが言うのだった。
「ズール皇帝!」
「遂にここで!」
「そうだ、私だ」
 まさにその彼だった。彼がいたのはだ。
 ギシン星の空にいた。そこを覆って巨大な姿をさらしていた。それは。
「ホノグラフィーか」
「そうね」
「あれは」
「その通りだ」
 ズールもそれは否定しなかった。
「これは私の幻影だ」
「やっぱりそうかよ」
「はったりだっていうのね」
「それでどうするつもりだ!」
「一つ言っておこう」
 そのズールからの言葉である。
「私は今宇宙にいる」
「宇宙に!?」
「じゃあ今ここにいるのは」
「貴様等の戦いは全て見せてもらった」
 ズールは既にその言葉を勝ち誇ったものにさせていた。
「全てだ」
「手の内を見る為に!?」
「その為に」
「その通りだ」
 まさにそうだというのだった。
「それによってだ」
「くっ、しまった」
「そんなことを」
「そうだ、最早貴様等に勝利はない」
 こう告げるのだった。
「万に一つもだ」
「おいおい、万に一つだって?」
「じゃあ確実ね」
「そういうことだな」
 ゴーショーグンの面々は今のズールの言葉にも明るく返す。
「俺達に無理だっていうのなら」
「せめて兆分の一って言わないとね」
「まあそれでも無理だけれどな」
「余裕か」
 ズールは三人のその言葉を聞いて返した。
「それでもか」
「そういうことさ。じゃあ今から」
「余裕で勝ってあげるから」
「楽しみにしておいてくれな」
「その通りだ。万に一つだと?」
「それがどうしたというのだ」
「所詮その程度ということか」
 カットナル、ケルナグール、ブンドルの三人も言う。
「では今から宇宙に行く」
「少し待っておくがいい」
「せめて兆分の一の危機でなければ乗り越えるに値する美しさではないな」
「それじゃあ。ズールだったわね」
 シルヴィアも上を見上げて問う。
「今からそっちに行ってあげるからね」
「首を洗って待ってなさい!」
 ゼオラも言い返す。
「今からね!」
「既に港は発見しています」
 フェアリは既にそれを押さえていた。
「それでは今すぐに」
「よし、じゃあな」
「行きましょう」
 男秋水と女秋水が言った。そうしてだった。
 二人だけでなく全員がだ。その港に向かいだ。
 すぐに向かおうとする。しかしズールは何もしようとはしないのだった。
「動かない!?」
「これは一体」
「何故!?」
「言った筈だ」
 ズールはそのまま宙に己の姿を見せている。
「貴様等は宇宙で倒すとな」
「だからだってのかよ」
「それで」
「それでなの」
「そうだ、私の力を見せてやろう」
 余裕に満ちた言葉は変わらない。
「そこでだ」
「ズール、今度こそ貴様を」
 タケルは怒りに満ちた目でそのズールを見上げていた。
「倒す、何があろうとも!」
「マーズか」
「そうだ、御前を倒す男だ」
「ここで一つ貴様に言っておくことがある」
「何っ!?」
「マーグもいるな。ならば余計にいい」
 彼も見て言うのだった。
「御前達の両親を殺したのは私だ」
「何っ!?」
「まさか」
「霊帝は殺すつもりはなかった」
「しかし貴様は」
「まさか」
「そうだ、私が隙を見て殺したのだ」
 そうしたというのである。
「そして私は今この星を己のものにしている」
「貴様!」
 そこまで聞いてだった。激昂する声をあげるタケルだった。
「父さんと母さんの仇!」
「私が憎いか」
「そうだ、憎い!」
 怒りに満ちた声だった。
「何があろうとも!貴様を倒す!」
「倒すというのか」
「今からそこに行く!そして!」
「ならば来るがいい」
 ここでも自信に満ちている言葉だった。
「私の前にだ」
「その言葉、忘れるな」
 こう言ってだった。そうしてであった。
 彼等はそのままそれぞれの艦に入る。すぐに大河が指示を出す。
「では諸君」
「はい」
「それじゃあ」
「行くとしよう。この惑星での最後の戦いだ」
 こう告げるのだった。
「いいな、それではだ」
「タケルさん、それじゃあ」
「今から」
「うん」
 今は冷静さを取り戻していた。そのうえで応えていた。
「わかってるよ」
「マーズ、いいか」
 マーグもここで言う。
「私もいる」
「兄さんも」
「両親を殺されたのは私も同じだ」
 双子である。それは当然のことだった。
「だからだ」
「そうだね。それじゃあ」
「共に行こう」
 また言う彼だった。
「それでいいな」
「そうだね。だったら」
「ズールは私達で倒す」
 マーグははっきりと言い切った。
「いいな、それではだ」
「そうだね。俺だけじゃない」
「そして御前は一人でもない」
 マーグはこのことも告げた。
「わかったな、それではだ」
「じゃあ行こう」
「ズールとの最後の戦いだ」
 それはもうはっきりしていた。そうしてだった。
 宇宙に向かう。その動きは早かった。
 ディアッカはその中で言うのであった。
「しかしよ。俺気になるんだけれどよ」
「何がなんだ?」
「いや、あのズールっておっさんな」
 彼のことだとアスランに返す。
「宇宙空間にも出てたよな」
「ああ」
「普通の人間じゃないよな」
 このことを言うのだった。
「あれがパイロットじゃないとなるとな」
「ガルーダみたいに機械とか?」
 今言ったのはジャックだった。
「そういうのかな」
「何か人間だというのではなかったか?」
 イザークはこのことを指摘した。
「そういうことではなかったのか」
「そうでしょうか。若しかしたら」
 ニコルは首を傾げさせながら述べた。
「ゴッドマーズと同じではないでしょうか」
「ゴッドマーズとですか?」
「同じっていいますと」
「少し考えていますけれど」
 ニコルはフィリスとエルフィに対して述べた。
「それは」
「どういうことですか?」
「いえ、六体のマシンが集まっているとか」
 ニコルはその可能性を考えていた。
「そういうことじゃないですかね」
「マシンがですか。確かに」
 シホもここで言った。
「その可能性はありますね」
「ギシン星の兵器の最大の技術だからな」
「それは」
 今度はミゲルとハイネが話す。
「それがあの男に使われていないとは」
「少し思えないか」
「ではズールのマシンもか」
 イザークもここで言う。
「ゴッドマーズと同じくそれぞれのパーツに分かれてか」
「そうだとしたらそれを操るズールは」
 アスランは考える顔で述べる。
「かなりの超能力者か」
「じゃあ前の戦いの時は」
「手加減していた!?」
「そういうこと?」
 皆ここでこうそれぞれ言った。
「あんなものじゃない」
「それだけ恐ろしい相手なの」
「その可能性はある」
 また言うアスランだった。
「少なくともあそこで出した本気はまだ本気じゃなかった」
「それはかなり
「洒落にならないし」
「そうよね」
 誰もが口々に言って行く。そうしてだった。
 そのズールが待っている宇宙に出た。すぐにだ。
「敵は!?」
「まだ!?」
「はい、いました」
 マヤが報告する。そうしてだった。
「よし、今からそこに」
「向かって」
「叩き潰してやるぜ、ズール!」
 今ズールとの決戦が近付いていた。戦いも一つの山場に入ろうとしていた。


第二十八話   完


                          2010・5・15 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧