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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第八話 バッフ=クランとの出会い

             第八話 バッフ=クランとの出会い
 
また宇宙に出ようとする。しかしここで。
「まさかなまた襲い掛かって来ないよな」
「ああ、それね」
「いつもだからな」
「こういう時に来るからねえ」
「どいつもこいつも」
「だから」
誰もが警戒はしていた。何度もあったことだからだ。
「これで何があってもね」
「おかしくはないっていうか」
「本当にね。いざって時は」
「出られるように」
実際にしていた。そうしてだった。
「来るか?」
「それなら」
「何時でも」
「皆警戒はしておいてくれ」
ヘンケンがそれを言った。
「何が出て来るかわからないからな」
「そうですよね、それは」
「何が出て来てもね」
「何時でも」
「何もないことを祈るが」
ヘンケンはそれは信じてはいた。
「だが。敵には敵の事情があるからな」
「何時出て来ても」
「というかこの時にこそ」
「宇宙へ行く時と降下の時」
「その時にこそ」
それがわかっているからだった。全員警戒していた。そうしてであった。今宇宙に出ようとする。しかしそれが終わった時であった。
「あれっ、結局」
「何も出なかった?」
「そうよね」
「意外っていうか」
「滅多にないけれど」
「そうなのか」
コスモが周りの話を聞いて驚いていた。
「いつもこうした時に狙われるのか」
「そうなんだよ、もうな」
彼に応えたのはジュドーであった。
「こうした時にこそ出て来るんだよ」
「そうだったのか」
「だからなんだよ。いつも警戒してるんだよ」
また言うジュドーだった。
「けれど何もなくてよかったな」
「そうだよな。それじゃあこれからは」
「ああ、これから」
「ボアザンに向かうか」
とりあえずはボアザンを倒そうと考えている彼等だった。しかしであった。
「んっ!?」
「レーダーに反応!?」
「まさか」
それに気付いたのである。
「またバロータ軍!?」
「じゃあここで待っていた!?」
「だったら!」
「いや」
しかしだった。ここでベスが言った。
「間違いない!」
「ああ、その通りだ!」
コスモもそれに続く。
「バッフ=クランだ!」
「あれは!」
「どうなってるんだ!?」
ベスは思わず言った。
「何故連中がここに」
「まさか」
「これも」
シェリルとカララがここで言う。
「イデによって」
「導かれたというの!?」
「イデ、何かそれは」
イーグルが目を鋭くさせて述べた。
「何なのでしょうね」
「ああ、それはな」
「話を聞いただけじゃわからないよね」
ジェオもザズも目を鋭くさせて応える。
「色々な力が集まってきてないか?」
「そんな気もするよね」
「そうじゃのう」
アスカも考える顔になっていた。
「この状況は何なのじゃ?イデとは」
「ふむ、それは」
「神の様な存在でしょうか」
シャンアンとサンユンもわからないことだった。
「ちと。そこまでは」
「わかりませんな」
「イデに取り込まれてるのは俺達だけじゃなさそうだな」
コスモもここでまた言った。
「バッフ=クランの奴等もか」
「そんなことよりよ」
カーシャはここでコスモに言ってきた。
「今は一緒に飛ばされてきた連中をどうするかよ」
「そうだな、それはな」
「向こうだってそう考えてるし」
そしてバッフ=クランの面々もであった。
「ギジェ様」
「一体ここは」
「わからん」
彼等の指揮官はギジェだった。だが彼にしても今の状況がわかりかねていた。それで眉を顰めさせながらそのうえで部下達に応えるのだった。
「だが」
「だが?」
「それでは」
「目の前にあの巨神がいる」
そのことを言うのであった。
「それならばだ」
「はい、それでは」
「やはり」
「我々は戦わなくてはならん!」
「了解です!」
「それでは!」
部下達はそれに応える。そうしてだった。
彼等も戦闘態勢に入る。ギジェはその中でまた言うのだった。
「そしてだ」
これは呟きだった。
「この星には以前戦ったロゴ=ダウの異星人の戦闘部隊までいる」
それを見ての呟きであった。
「我々バッフ=クランもその中に取り込まれているのか?イデに」
「皆、ここはだ」
「えっ、じゃああの連中とは」
「会話が不可能?」
「そうなの」
誰もがベスの言葉に問うた。
「何か白旗掲げたら攻撃してきたっていうけれど」
「それなら」
「やっぱり」
「そうだ、とんでもなく野蛮な奴等だ」
これがベス達のバッフ=クランへの見方だった。
「だからだ。気をつけてくれ」
「了解」
「それじゃあ」
「そうか、やはりな」
そしてギジェも彼等も見て言うのだった。
「彼等は好戦的な文明だ」
「はい、全くです」
「何しろいきなり白旗を出してきたのですから」
「とんでもない奴等です」
彼等は彼等でこう考えていた。
「我々としては戦闘は決して好まないというのに」
「それでも戦うとは」
「恐ろしい奴等です」
「それでは」
「攻撃だ」
こうして彼等はそのまま攻める。両軍の戦闘がはじまった。
「コスモ」
「ああ」
コスモはモエラの言葉に頷く。
「俺達はまた」
「戦って生き延びる」
そうするというのだった。
「ここはだ」
「そうだな。それしかない」
こうして彼等もまた戦いの中に身を置いた。そしてであった。
「不思議だ」
「んっ!?こいつ」
竜馬はギジェと対しながら彼の言葉に気付いたのだ。
「何か言っている」
「リョウ、どうしたんだ?」
「何かあるのか?」
「ああ、この敵は何かを言っている」
このことを隼人と武蔵に言うのだった。
「それは間違いない」
「だとすれば一体」
「何を言ってやがるんだ?」
「宇宙にはこうした力が多いのか?」
ギジェは三人に察せられながらも呟いていた。
「本当に」
「コスモ!」
「ああ、わかってる!」
コスモがカーシャの言葉に応えていた。
「あいつは!」
「バッフ=クランの中でもいつも私達を追い掛けてる奴よ!」
「ギジェだったな!」
「巨神もいるか」
ギジェはイデオンも見逃さなかった。
「ここに飛ばされたのがイデの力だとするのなら」
「それでだ!」
「何だっていうのよ!」
「益々その力に興味が出て来た」
こう言うのだった。
「その力にな!」
「くそっ!」
それを聞いたコスモが歯噛みして叫ぶ。
「俺達は御前の好奇心を満たす為のオモチャじゃないんだぞ!」
「行くぞ!」
ギジェはイデオンに向かうのだった。
「そしてだ、その力見させてもらう!」
「待ちやがれ!」
ここでもバサラが出て来てギジェの前に立ちはだかってきた。
「手前もな!」
「何だ御前は」
「俺の歌を聴けーーーーーーーーーっ!」
彼に対してもこう叫ぶのであった。
「俺の歌をな!」
「何だこいつは」
ギジェはその彼を驚きながら見つつ言うのだった。
「戦場で歌う道化か?」
「いきなり一曲いくぜ!俺の歌をな!」
「地球人とはわからんものだ」
これはギジェの偽らざる本音だった。
「いきなり歌うというのか」
「ギジェ様」
しかしここで部下達が言うのだった。
「戦力が」
「どうした?」
「既に戦力の三割を消耗してしまいました」
報告はこれであった。
「既にです」
「何っ、もうか」
「はい、如何しますか?」
「まだだ」
ここで彼は言った。
「まだ戦うぞ」
「まだですか」
「そうだ、まだいける」
その戦局を見ながらの言葉であった。
「正面からではなく兵を二手に分けよ」
「そのうえで、ですね」
「そうだ。挟み撃ちにする」
戦術の基本であった。
「それぞれ左右に兵を向けてだ」
「わかりました、それでは」
「地球人も強いか」
ギジェはここでこんなことも言った。
「そしてだ」
「うおおおおーーーーーーーっ!」
バサラが曲の間に絶叫していた。ギジェはそれを聞いても言うのだった。
「変わった男だ。実にな」
「俺の歌で戦争なんて終わらせてやるぜーーーーーーーーっ!!」
このまま兵を二つに分ける。しかしであった。
ロンド=ベルはそれを見てだ。瞬時に動いたのだった。
「右だ!」
「まずは右の敵を叩く!」
「そしてだ!」
そのうえでだった。
敵の右を叩いた。それからすぐに軍を旋回させて左翼の敵軍も叩いたのであった。
こうしてギジェの作戦は瞬く間に破綻してしまったのだった。
「くっ、まさかこう簡単に」
「ギジェ様、ここは」
「どうしましょうか」
「ダラム様に通信を送れ」
ギジェの判断はこれであった。
「我が軍は一時撤退する」
「撤退ですね」
「そのうえで救援を要請する」
「了解です」
「それでは」
こうして彼等も撤退した。ロンド=ベルはこの戦いも勝利を収めることができた。
「周囲にバッフ=クランの反応はないな」
「そうだな」
ハタリがジョリバの言葉に応えていた。
「とりあえずは、だがな」
「助かったな」
「そうだな」
「しかしいきなりとはいえ」
「そうだよな」
「派手な戦いになったわね」
皆このことを噛み締めていた。
「いきなりな」
「これはまた」
「それでは今は」
「とりあえず移動です」
エキセドルがジェフリーに告げる。
「ここにいてはまたバロータ軍の攻撃を受けかねません」
「その通りだ。それではだ」
「はい」
「わかりました」
モニカとミーナが彼の言葉に応える。
「今からですね」
「移動しましょう」
「そして艦長」
ラムは彼に問うた。
「どのポイントにでしょうか」
「一一〇一だ」
そこだというのであった。
「全軍そこに移動する」
「じゃあ行くわよ」
ボビーがそれを聞いて述べた。
「そのポイントに今からね」
こうして彼等は移動をはじめた。しかしそれを見る影があった。
「禁断の惑星でのプロトデビルン、アニマスピリチア、そしてイデ」
こう言うのであった。
「やはりこの星にはアポカリュプシスの秘密を解く鍵があるようだねえ」
その言葉を続けていく。
「そして、それを統べる者」
不意に存在のことが出て来た。
「それこそが無限力。うふふふふふ・・・・・・」
謎の笑みであった。しかし今また戦いが終わった。
「しかし戦いが終わったが」
「まだ大分いますね」
「そうだな」
「バロータの大軍が」
彼等がまだ展開していたのだ。
「すぐ近くにいる」
「脱出しようにも」
それもまた問題があるのだった。
「あれだけの大軍がまだ近くにいるとなると」
「フォールドインも最終手段ですね」
「隙を狙われたら」
「参ったな」
その苦境が強く認識されていた。しかしであった。
「!?」
「何だありゃ」
「バロータの機体?」
「まだ誰か残っているのか?」
「いや、あれは」
ここで気付いたのはミレーヌだった。
「柿崎さんのバルキリーじゃないかしら」
「えっ!?」
「嘘・・・・・・」
「生きてたのかよ」
皆それを聞いて一斉に驚いた。
「まさかと思うけれど」
「生きていたって」
「そういえば捕虜になったけれど」
死んではいない。そのことにも気付いたのであった。
「大丈夫だったのね」
「何とか」
「生きていたの」
「すぐに回収しよう」
グローバルが言った。
「本人がいるかどうかはまだよくわからないがな」
「そうですね。それじゃあ」
「すぐに」
こうして彼のバルキリーがすぐに回収された。その中にいたのは。
「いやあ、参ったぜ」
「まさか生きていたなんて」
「奇跡ってあるんだ」
「本当に」
彼を笑顔で迎えはするが皆驚いていた。
「前の戦いでも撃墜されても生きていたし」
「まさかと思ったけれど」
「今度もなんて」
「どうやらだ」
ここで大文字が皆に説明する。
「彼は精神制御を受けてバロータ軍の一員とされるところだった」
「バロータの!?」
「それでは」
「そうだ。バロータ軍はだ」
ここで一同に説明する大文字だった。
「他の星の者達を捕虜に精神制御を行い兵とするのだ」
「じゃあ私達が今まで戦ってきた相手にも」
「そうした地球人がいた」
「そういうことに」
「おそらくはな」
こう述べるのだった。
「そういうことだ」
「何てことだ」
輝はそれを聞いて歯噛みした。
「俺達はこんなところでも同じ地球人と戦っていたのか」
「因果なことですね」
霧生も同じ顔になっていた。
「まさかと思いますよね」
「そうだな。しかしだ」
ここでフォッカーも言った。
「俺達が生き残る為にはだ」
「はい」
「わかっています」
それはもう言うまでもなかった。彼等も戦うしかなかったのだ。
そしてであった。格納庫ではだ。バサラがガムリンに笑いながら声をかけてきたのだった。
「よお、ガムリン」
「何だ?」
「ちょっと手をあげてみな」
「手をか」
「ああ、それでだ」
手と手と合わせて叩くのだった。それであった。
「こういうことさ」
「そうか、こういうことさ」
「わかった」
そしてここにだ。ロンド=ベルの面々が来るのだった。
「やったな、バサラ!」
「あらためてですけれど」
豹馬と洸が笑顔で彼に告げる。
「よくやったぜ」
「いい歌でした!俺感動しました!」
「ありがとよ」
「なあ」
しかしであった。コスモは深刻な顔で彼に言ってきたのであった。
「どういう訳かわからないけれどな」
「あのイデか?」
「あんたの歌とイデは何か反応してるみたいだな」
こう言うのであった。
「だからあの連中が来たみたいだな」
「そうかもな」
バサラもそれは否定しなかった。
「俺にもよくわからねえがな」
「それでもこれはだ」
「ああ」
「考えておく必要があるな」
コスモはさらに言ってきた。
「おまけにまだあのバケモノ共に囲まれてるしな」
「バロータか」
「あんたの歌はあの連中に効果があるんだな」
それは見たからわかることだった。
「じゃあ精々頑張って歌ってくれよ」
「歌をなんだな」
「俺が言いたかったのはそれだけだ」
ここまで話して話を止めるコスモだった。
「それじゃあな」」
「ああ、じゃあな」
こうしてコスモも去った。その次は。
「やったね、バサラ!」
「ミレーヌかよ」
「あの化け物を一発で追い返すなんて!」
「ちょっと待てよ」
しかしであった。バサラはミレーヌの今の言葉に怪訝な顔で返すのだった。
「俺の歌はな」
「あんたの歌は?」
「人殺しの道具じゃねえ」
それを言うのだった。
「それはな。違う」
「人殺しって」
だがミレーヌはそれを言われてもきょとんとなるだけだった。そのうえでバサラに返すのだった。
「何言ってるのよ」
「何っていうのかよ」
「そうよ、相手は化け物だったじゃない」
彼女にとってはそうした認識だった。
「それで何でそんなこと言うのよ」
「・・・・・・そうか」
バサラはそれ以上言わなかった。ただ立ち去るだけであった。
ミレーヌはその後姿を見送ってだ。きょとんとなるしかなかった。
「何なの?一体」
「まあバサラだから」
「ああいう奴だからな」
「何か考えがあるんだろうがな」
しかしそれが常人には到底わからないのがバサラであった。
「ただ、また飛び出ていきそうだな」
「そうね、それは」
「今にもって感じで」
そうして実際にであった。バサラはこの後すぐに飛び出したのであった。
それを聞いたナタルと未沙がだ。呆れた声で言った。
「営巣に入れてもすぐにこじ開けるしな」
「参ったわね」
二人の偽らない本音だった。
「それで今度は何処に行ったのだ?」
「まさかバロータ軍の方?」
「残念ですがそうです」
キムが二人に答えた。
「今物凄い勢いで飛んでいっています」
「わかった。それではだ」
「どのみち戦わないといけなかったでしょうし」
二人はここで作戦の変換にかかった。
「行くとしよう」
「今すぐね」
こうして作戦が決まった。ロンド=ベルはすぐにバロータ軍に向かうことになった。
「やられるよりやれ」
「そういうことにもなるし」
「それなら」
全員それならそれだと乗り気だった。消極案は彼等には似合わなかった。
そのままバロータ軍に向かう準備に入る。そしてそのバサラは。
「行くぜシビル!」
バロータの大軍に向かいながら既にハイテンションになっていた。
「俺の歌をもっと聴かせてやるぜ!」
そのまま突き進む。彼はその道を突き進んでいた。

第八話完

2010・3・2


 
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