スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第三話 激突!!勇者対勇者
第三話 激突!!勇者対勇者
ロンド=ベルは地球に戻った。その行く先はGアイランドシティであった。
「ここに来るのも久し振りだな」
「そうね」
ヒメが勇の言葉に頷いていた。
「凄く色々なことがあったから」
「全くだ」
勇はヒメのその言葉に頷いた。
「本当に色々なことがな」
「まずはここで刻印のことを調べてもらうんだね」
「既にデータは取ってあるわ」
命がこのことを話してきた。
「だからそれは安心して」
「そうか。だったらすぐにわかるんだな」
光はそれを聞いて明るい声になった。
「そしてアヤさんが生きているのなら本当に」
「ええ、そうね」
「助け出しましょう」
彼女のその言葉に海と風が続く。
「今までずっと一緒に戦ってきたんだしね」
「大切な方ですから」
「アヤさんが生きているのなら」
「プウ」
「絶対に私達の手で助け出さないと」
アクアにモコナ、プリメーラが言う。この三人が揃うとだった。
「誰が誰かわからんな」
「全くだ」
マイヨがランティスの言葉に頷いていた。
「三人揃うとな」
「区別がつかない」
「ははは、確かにな」
そして二人の会話にヘンケンが笑うのだった。
「どうしてもそうなるな」
「我々もだが」
「声のことはだ」
「困ってしまう時がある」
「それは贅沢な悩みだぞ」
光がランティス達やモコナ達に話す。
「私は一人なんだからな」
「わたくしもですわ」
そしてそれは風もであった。
「海ちゃんがその点では羨ましいんだ」
「ナナさんがおられますし」
「ま、まあそれはね」
二人に言われて少しばかり戸惑いを見せる海だった。
「縁ってことで」
「私にもそうした相手が出て欲しい」
「届かない思いにしましても」
「私もレインちゃんがいるから」
アルシオーネにもしっかりといた。
「かなり助かってるわね」
「そうだよ、それっていいことだよ」
「うち等一人やで」
「いいことではないか」
アスコットとカルディナとクリフが言ってきた。
「もっとも僕はカティさんが出て来てくれたけれど」
「この裏切りモン。ラファーガに続いて」
「あはは、御免ね」
「私は何も言っていないが」
ラファーガは賢明にも沈黙を守っていた。
「しかし。最近ジェオの声が悪役にも聞こえるのだが」
「自覚はしている」
彼自身もそれはあった。
「害地大臣だな」
「そういえば似てるんだよね」
ザズも親友のその言葉に頷く。
「もうね。なりとか付けてユウキと一緒に喋ったらそれこそね」
「それはそれで羨ましい話ですね」
イーグルはそれを羨ましがっているようである。
「僕はそちらには疎いのですが」
「イーグルさんはセーラー服でしたっけ」
サンユンが言ってきた。
「僕はプリシラさんに声が似てるって言われますけれど」
「どうしてそっくりなのじゃ?」
主君のアスカがこのことについて問うた。
「わらわものう。相手がおらんからのう」
「アスカ様、御気になされぬよう」
シャンアンが溜息をつく主に述べた。
「それは特に困ったことではありませぬ」
「そういうものか?」
「アスカ様は寂しいと思われたことはありますか?」
「ロンド=ベルに入ってからはない」
これがアスカの返答だった。
「特にじゃ」
「そういうことでございます」
「しんくろが合う相手がいなくともじゃな」
「さびしくなければそれでいいではありませんか」
「ふむ、そういうものか」
そしてアスカもその考えに頷くのであった。
「わらわはそれでよいと」
「そう思います」
「ううむ。しかしチゼータはじゃな」
そちらはだ。しっかりといるのだった。
「二人共じゃからな。しかもセーラー服がどうとか」
「うちかい」
タータが出て来て言う。
「そらうちはプリセラさんやエルやマリュー艦長やサフィーネさんと仲良しや」
「多いわね」
「姉様も出てなかったか?」
「そうだったかしら」
タトラの返事は彼女らしいぼんやりとしたものだった。
「あまり覚えてないわ」
「そうか。うちはよお覚えとるんやけれどな」
「それは主役級だったからじゃないの?」
ミサトが微笑んでタータに言ってきた。
「私もその世界のことはよくわかるわ」
「何から何まで一緒になってないかしら」
タトラはミサトの言葉を聞きながら首を捻っていた。
「最近は」
「いや、なっとるやろ」
タータはそれはその通りだと答えた。
「どう見てもな。色々な世界の記憶が出て来てるで」
「何かあるのか?」
今言ったのは凱だった。彼にも心当たりのあることだった。
「やはりこれは」
「何かないとおかしいわね」
プレセアも真剣な顔で述べた。
「導師クリフ、これは」
「そうだな。私の記憶も別の世界のものが混ざってきている」
「やはり」
「プレセア、そなたは別の世界では翼を持つ竜だったな」
「はい、そうです」
まさにその通りだと述べるのである。
「その記憶が最近」
「私は荒ぶる神だった」
「そういえば俺もだ」
ヒイロが言って来た。
「白く大きな翼竜だったな」
「複数の世界が混ざり合い何かが起ころうとしているのか」
クリフは考える目で述べた。
「そして何が起こるというのだ」
「それはまだわかりません」
「そう、わからぬのだ」
プレセアの言葉にまた応えた。
「それが何かがだ」
「ああ、皆ここにいたのか」
話す彼等のところに雷牙が来た。ミスマルやアデナウヤー、イゴールといった連邦軍の重鎮達も一緒である。
「ちょっと探したよ」
「どうしたんですか?一体」
アクアが彼の言葉に応えた。
「私達を探していたって」
「許可は下りそうだよ」
こうアクアの問いに答える雷牙だった。
「宇宙に出るね」
「宇宙にですか」
「私としてはだ」
ミスマルがここで言う。
「娘が気掛かりだがだ」
「お父様、またそんな」
「そう言うがだユリカ!」
厳しい顔がまた涙まみれの顔になる。
「お父さんはな!ユリカだけでなくユリカのお友達も地球も何もかもが大事なんだよ!どれ一つとしてなかったら辛くて辛くてだな!」
「さらに凄いことになってないか?」
金竜がそのミスマルを見て呟く。
「前はただの子煩悩だったのにな」
「それが今じゃ博愛主義者って」
アーサーもかなり引いていた。
「この人の身に何が」
「何かがあったのは間違いないな」
ヒューゴも言う。
「それが何かが問題だが」
「君達も親になればわかるよ」
アデナウヤーが微笑んで三人に話した。
「しかし君達もまた実に」
「雰囲気が似ているのは自覚しています」
「我々もそういう関係なのはです」
「わかっているから安心してくれ」
「ならいいがね。とにかくだね」
アデナウヤーは落ち着いた物腰で話すのだった。
「子供を持って手元から離れると。色々なものが見えてくるんだよ」
「パパもだっていうの?」
「全く。御前にはいつも手を焼かされたが」
クェスには少し苦笑いを浮かべて述べるのだった。
「元気でやっているようで何よりだよ」
「私は何時だって元気よ」
親の気持ちはまだよくわかっていないクェスだった。
「だから安心してよ」
「だといいがね」
「それでだ」
イゴールも口を開いてきた。
「地球圏の守りは連邦軍とブリタイ司令の艦隊で行う」
「じゃあその間は」
「我々は」
「バルマー帝国、宇宙怪獣を頼む」
こう告げるのだった。
「是非な」
「わかりました」
「それなら」
「さて、許可は下りたよ」
雷牙が微笑んでまた皆に告げた。
「後は技術的な問題だけれど」
「そう、刻印は」
「あそこは一体」
「それで使えるんですか!?」
「それだけれどね」
雷牙は彼等のその問いにも応えて言った。
「順調だよ」
「順調ってことは」
「つまり」
「博士」
そうしてだった。翡翠色の髪と瞳に褐色の肌の美少女が出て来た。そうして雷牙に対して言ってきたのである。
「残りの解析も無事完了しました」
「おう、御苦労パピヨン君」
「パピヨン!?」
サコンがその名前に反応した。
「若しかしてシャッセールのパピヨン=ノワール博士ですか?」
「はい」
その通りだという返答だった。
「今はGGGでオペレーターを務めています」
「元気そうだね」
その彼女にルネが微笑んで声をかけてきた。
「何よりだよ」
「ええ、ルネ」
パピヨンもまたルネのその言葉に微笑みで返した。
「貴女もね」
「何かねえ」
雷牙はそんな二人を見て言う。
「僕ちゃんと再会した時と反応が違うじゃないか」
「まあまあそれは」
「御気になさらずに」
ミスマルとアデナウヤーが彼を慰める。
「娘さんも博士のことは大切に思っています」
「言葉には出さないだけで」
「だったらいいんだがね」
慰めを受けても今一つ安心できないようだった。
「いや、本当に」
「シャッセールの生体医学者にして」
サコンの言葉は続いていた。
「予知能力『センシング=マインドの持ち主」
「あまり買い被らないで下さい」
しかし当のパピヨンはこう言うのだった。
「私のセンシング=マインドでも今回の事件の全貌は掴めていないのですから」
「気にすることはないよ」
猿頭寺が優しく彼女に声をかけた。
「君の力が必要な時が必ず来るから」
「有り難う、耕助」
「ふん」
親しげに言葉を交わす二人に火麻が忌々しげに言った。
「勤務中にイチャつきやがってよ」
「二人は恋人同士なんデス」
スワンが皆に話す。
「そのことを覚えておいて下さい」
「へえ、そうだったんだ」
「成程」
皆それを聞いて頷いた。
「何かこんな美人が恋人なんて」
「案外隅に置けないっていうか」
「全く」
「仲がいいことはいいことだよ」
ルネもそんな二人を見て笑顔になっている。
「このまま幸せにな」
「有り難う、ルネ」
「じゃあ僕ちゃんとサコン君は後で向かうから」
雷牙がパピヨンに告げた。
「最終解析をね」
「わかりました」
「じゃあパピヨン」
猿頭寺が最後に彼女に告げた。
「頑張ってね」
「ええ。じゃあ研究モジュールで」
こうした話の暫く後でだ。基地に警報音が鳴り響いた。
「な、何だ!?」
「敵か!?」
「バルマーか!?」
皆即座に身構えた。
「まさか今ここに」
「いや待て!」
だがここでイルムが全員に言った。
「ここは落ち着け!」
「落ち着く」
「それじゃあ」
「そうだ、皆落ち着くんだ」
こう仲間達に言うのだ。
「まずは場所を調べることだ」
「その場所は」
「それじゃあ」
「エリア特定完了!」
スワンが言うのだった。
「研究モジュールデス!」
「よし、そこか!」
「まさか」
ここで猿頭寺の脳裏に不安がよぎった。
「パピヨン・・・・・・」
「研究モジュール内の映像、こちらに回しマス!」
そしてであった。そこに映っていたのは。
「何っ!?」
「嘘だ!」
雷牙と凱がここで同時に叫んだ。
「まさか。そんな・・・・・・」
「護・・・・・・」
映像に映っていたのは護だった。誰もが信じられなかった。
「おう、嘘だろ」
「そう思いたいデス」
火麻に応えるスワンの言葉が何よりも雄弁に物語っていた。
「護が何でここに」
「ジーザス・・・・・・」
「だが」
ここでサコンがふと言った。
「彼はギャレオンと共にギャレオリア彗星で銀河に旅立った筈では」
「くっ!」
「凱!」
凱は何処かに向かった。すぐにその場を駆け去った。
そしてである。牛山も言う。
「護君はオービットベースを離脱!」
「Qパーツも持ってマス!」
スワンも叫ぶ。
「これは」
「まさか」
「ルネ!」
ここでサコンがルネに声をかけてきた。
「俺達も追うぞ!」
「待ってくれサコン!」
だがここでルネは言うのだった。
「その前にパピヨンを!」
「何っ!?」
「パピヨンーーーーーッ!」
猿頭寺が叫ぶ。そうしてであった。
パピヨンを医務室に運ぶ。しかしであった。
「それで容態は」
「駄目デス・・・・・・」
スワンが悲しい声で雷牙に応える。
「お別れデス・・・・・・」
「おい!」
火麻は今よりも激昂していた。
「何がどうなってんだよ、これはよ!」
「わかったことがあります」
だがここでその手遅れのパピヨンが言うのだった。
「銀河規模で起こっている異常気象ですが」
「それが」
「何か関係が」
「Qパーツにも同じ磁場の流れを感じます」
それを感じるというのである。
「あのパーツから」
「パピヨン・・・・・・」
「ルネ・・・・・・」
猿頭寺に応えながらなおも言うのだった。
「あの子には気をつけて」
「あの子って護のことかい?」
「ええ、あの子から生命の息吹が感じられない」
「生命の!?」
「ええ」
まさにそうだというのだ。
「全く感じられなかったわ」
「それはどういうことだい?」
怪訝な顔で親友に問い返した。
「それは一体」
「うう・・・・・・」
「わかったよ」
猿頭寺がここで彼女に優しく言うのだった。
「後でゆっくりと聞かせてくれ」
「いえ、もう私は」
ここでパピヨンは言った。
「もう・・・・・・」
「もうってまさか」
「一足先に精霊達の下へ」
その目をゆっくりと閉じていくのだった。
「帰ります・・・・・・」
「パピヨン!?」
猿寺が必死に彼女に声をかける。
「パピヨン!?」
「・・・・・・・・・」
しかしであった。もう返事はなかった。
「パピヨン!?パピヨンーーーーーーーッ!!」
「許さないよ」
ルネが怒りの声をあげた。
「許さないよ護!」
「ルネさん・・・・・・」
「あたしは御前を絶対に許さないよ!」
そしてであった。Gアイランドシティにおいても異変が起こっていた。
何とGGG開発のメカライオンが出て来ていた。そうしてだった。
大河がそれを見て言うのだった。
「あれは!?」
「GGG管轄のメカライオン!」
「何故ここに」
ミスマルやアデナウヤーもそれを見て言う。
「どうしてここに」
「あれは」
ここで華が言った。
「護君と一緒にいたライオンさん」
「うむ、間違いない」
大河もそれは認める。
「護君、帰って来たのね」
「だが君は何故」
大河にとってもとても信じられないことだった。
「あんなことを」
「護!」
その彼の前にだ。凱がガオファイガーで出て来たのである。
「何故だ!何故こんなことをする!」
「凱兄ちゃん」
「何故パピヨンさんを殺しQパーツを奪い取った!」
彼が問うのはこのことだった。
「それは何故だ!」
「今宇宙では大変なことが起きているんだ」
「大変なことだと!?」
「そう、そして」
彼はさらに言うのである。
「その為にはどうしてもこれが必要なんだ」
「何がだ!」
「バスキューマシンがだよ」
「パスキューマシン」
それが何かは凱にもわかっていた。
「四個のQパーツを合わせたものか」
「多少犠牲は出たかも知れないけれど」
「待て」
クワトロが今の言葉に気付いた。
「あれは護君なのか!?」
「じゃああいつは」
「違うんですか!?」
「護君は何があってもあんなことは言わない」
彼はそれはよく知っていた。そしてであった。
「しかもだ」
「!?そういえば」
「このプレッシャーは」
「護君のものではない」
ギュネイとクェスも同じものを感じていた。
「そうだな」
「は、はい」
「これは」
「あれは護君ではない」
また言うクワトロだった。
「だとすればあれは何だ」
「これで僕達の宇宙は救われるよ」
「待て護!」
その護に突き進む凱だった。
「聞きたいことはまだある!」
「邪魔しないで凱兄ちゃん!」
「まただな」
クワトロは再度言った。
「彼は凱君にああしたことを言ったりはしない」
「じゃあ一体あいつは」
「何者・・・・・・」
「わからん。だが」
クワトロはさらに言う。
「彼は護君であないのは確かだ」
「時間がないんだ!」
「人が死んでるんだ!」
尚も言う凱だった。
「説明しろ護!」
「そっちがその気なら」
そしてであった。
「力づくでも行くよ!」
「止めろ!」
「邪魔するなら仕方ない!フュージョン!」
「何っ!?」
何とであった。
「ガイガー!」
そしてさらに叫ぶ護だった。
「来い!ガオマシーン!」
「ガオマシーンだと!」
「そうさ!」
驚く凱にまた答えるのだった。
「このガオマシーンは凱兄ちゃんが原種との戦いで使っていたものだよ!」
「おい!あれかよ!」
「またあんな戦いが」
「起こる」
オルガ、クロト、シャニの顔が忌々しげに歪む。
「ちっ、護!」
「御前どう見ても護じゃないな!」
「御前は何だ」
「ファイナル!フュージョンッ!」
そうしてであった。
「ガオ!ガイ!ガーーーーーーーーッ!」
「護がガオガイガーを・・・・・・」
凱もこれには唖然となった。そして。
「スターガオガイガーとガオファイガーだと!?」
「どういうことだ、これは」
ジェリドもカクリコンも今起こったことが理解できなかった。
「何がどうなってんだ」
「夢じゃないのは確かだが」
「真ん中に鏡があるとか?」
フェイがここで言った。
「それじゃないわよね」
「よく見ろ!」
だがハッターが言うのだった。
「背中についているものが違うぞ!」
「こういう時は片方が偽者なんだがな」
「しかしだ」
デュオにヒイロが答える。
「センサーはどちらも本物だと言っている」
「何っ!?」
「それは本当か」
デュオだけでなくウーヒェイも問うた。
「どちらもなのか」
「本当です」
カトルも調べてから答えてきた。
「どちらも」
「ではあれはだ」
トロワも今は普段の冷静さが僅かに崩れていた。
「何者なのだ」
「そうさ」
ここでまた言う護だった。
「僕は勇者王の力を手に入れたんだ」
「護君!」
クスハがその彼に問うた。
「スターガオガイガーに乗っているのは護l君なの!?」
「護隊員が」
「宇宙から戻ってきただけでも驚くというのに」
氷竜も炎竜も今は唖然となっていた。
「それだけでなく」
「この事態は」
「信じられない」
「僕もだ」
風龍と雷龍も言う。
「この事態は」
「どうだというのだ」
「おかしいよ護!」
マイクは護に抗議する。
「どうしてパピヨンさんを!」
「そいつが誰だろうと関係ない!」
最早ルネはそれにはこだわっていなかった。
「あたしはパピヨンの仇を取る!」
「けれどあの護君は」
「そうだな」
クスハとブリットが言う。
「確かに何も感じない」
「人形か?」
「プレッシャーもないし」
「何だ、あいつは」
プルとプルツーもだった。
「護じゃない!?」
「人形なのか?」
「それにだ」
「そうよね」
今度はジュドーとルーも話す。
「あの護が間違ってもあんなことを言うか?」
「全然考えられないわよ」
「というか絶対にあれはね」
「護じゃない」
「何かな、あいつは」
「僕もプレッシャー感じないし」
エルにビーチャ、モンド、イーノも話す。
「偽者っぽいわね」
「ああ、絶対に護じゃねえ」
「外見はそっくりだけれど」
「あれは一体」
「僕の邪魔をするなら!」
その護がまた言う。
「ここは通らせてもらうよ!」
「!?しかも」
「こいつ等!」
護のスターガオガイガーの周りにだった。無数のモビルスーツや機械獣、そうしたものが姿を現わしてきたのである。その数は。
「三万!」
「数はどうってことはないが」
「それでもこれは」
「ゾンダーですか!?」
ボルフォッグが言った。
「彼等と同じ様に他の組織の機体を複製したのですか」
「皆の相手は彼等がするよ」
「絶対に違いますね」
トビアもわかった。
「あれは護君じゃ」
「あんな力はなかったよ」
ウッソもだった。
「だからどう考えても」
「そして僕は」
「待て護!」
「さよなら、凱兄ちゃん」
護は去ろうとする。しかしだった。
凱は追う。そうしてだった。
「ここは行かせる訳にはいかない!」
「ああ、そうだ!」
宙が追おうとするその彼に言った。
「それでいい!」
「他の敵は俺達が相手をする」
アムロも言う。
「君はその間に護を追って真相を明らかにするんだ」
「しかしだ」
「ああ、わかっている」
アムロはブライトの言葉に応えて頷いた。
「あれはやはり」
「護ではないな」
「その通りだ」
それはアムロが察しない筈のないことだった。
「あれはだ」
「こっちの方は任せておいてくれ」
真吾も凱に告げた。
「存分にな」
「私達だって護は信じたいしね」
「冗談抜きにな」
レミーもキリーも今は真剣だ。
「だからね、早くね」
「行ってくれ」
「頼んだ、勇者」
万丈も言った。
「護の目を覚まさせてやってくれ」
「皆・・・・・・」
「けれど凱」
最後にルネが言ってきた。
「余計な手心を加えたら許さないよ!」
「わかっている!」
「よし、ガオファイガー!」
ゴルディマーグも言ってきた。
「俺も付き合うぜ!」
「よし・・・・・・行くぞ!」
「ああ、どけどけーーーーーーーーっ!」
こうして彼等は合流してだった。護を追うのだった。
「さて、それでだけれど」
「いいわね、皆」
リツコとミサトがほぼ同時に言った。
「あのごった煮軍団はよ」
「ああ、わかってるさ!」
「殲滅よね!」
「そうよ。目標は全機撃墜!」
まさにそれだという。
「いいわね、それで!」
「了解!」
「言われなくてもね!」
「さて、それでよ」
また言うミサトだった。
「非戦闘員は安全な場所に避難してもらうわ」
「護君・・・・・・」
華は悲しい顔で彼が行った方向を見ていた。
「本当なの?そんな・・・・・・」
「ここは危険だ」
だがここで、であった。
「君は何処かに避難した方がいい」
「貴方は?」
「全軍攻撃用意!」
大河が指示を出す。
「基地を守り抜く!」
「よし!」
こうして戦ってである。しかしであった。
混成軍団との戦いは終わった。しかしである。
「あっ、嘘!?」
「そんな筈がないよ!」
ヒカリとケンスケが叫んだ。
「パターンが、そんな」
「これってない筈じゃ」
「どうしたの?」
「何かあったの?」
エルとベルが真っ青になっている二人に尋ねた。
「急に青い顔になって」
「戦いは終わったのに」
「使徒!?こんなところで!」
だがミサトが言った。
「また出て来るなんて!」
「これでこの使徒三回目ですけれど」
「使徒は復活するんですか?」
「一回は復活するのはわかっていたわ」
ミサトはにこりともせず二人に返した。
「何せそれがこの戦いでのエヴァのデビューだったからね」
「けれどどうしてなんだ?」
加持も流石にわかりかねていた。
「奴等の目的はネルフ本部への侵入だったんだろ?」
「ええ、そうよ」
ミサトはいぶかしむ顔で彼に返した。
「けれどどうして」
「けれど放っておくわけにはいきません」
シーラが冷静に述べた。
「彼等を放っておいては」
「その通りですね」
それにエレも応える。
「使徒もまた脅威ですから」
「まさか」
ここで言ったのはダバだった。
「あの使徒も護に」
「それは違うわ」
彼にダバが答えた。
「あれはまさしく」
「詮索は後回しだ!」
今叫んだのはフォッカーだった。
「まずは奴を叩くぞ!」
「そうですね」
今頷いたのはシンジだった。
「ここは」
「そうだ、シンジ君」
ダバが彼に対して応えた。
「さもないと多くの人達が」
「それなら」
「遠距離からの援護は任せてくれ」
ダバが言ってきた。
「バスターランチャーを使う」
「そうだな」
それにギャブレーも頷いた。
「あれならばだ」
「遠距離攻撃の機体は一斉射撃だ!」
アムロも指示を出した。
「そしてだ!」
「はい!」
「そして!」
「防御力の高い機体を盾にして使徒に接近戦を挑むんだ」
「よし!」
「それで!」
こうしてだった。戦いに入る。そして凱は。
「やっぱり来たんだね」
「護・・・・・・」
「凱兄ちゃん」
あらためて対峙する二人だった。
「僕はね」
「何故ガオガイガーに」
「パスキューマシンのおかげだよ」
そのせいだというのだ。
「それで僕はね」
「御前は?」
「最強の勇者王になれたんだよ」
「違う!」
凱は護の今の言葉を否定した。
「それは違う!」
「違うって?」
「そうだ、違う!」
こう叫ぶのだ。
「間違ってる・・・・・・」
「間違ってるって僕が?」
「そうだ!そんなものは力じゃない!」
こう護に告げる。
「そんなものはだ!」
「僕は間違っていないよ」
「護!」
「間違っているのは凱兄ちゃんの方だ!」
「止めろ!」
「うおおおおおおおおおっ!」
その護が攻撃に入った。
「ブロウクン!ファントム!」
「くっ!」
「ガオファイガー!」
「だ、大丈夫だ」
攻撃は受けた。しかし凱は健在だった。
こうゴルディマーグに応えたのだ。
「手を出すな」
「何っ!?」
「護は・・・・・・」
そして言うのだった。
「俺が止める!」
「ガオファイガー!」
「何があってもだ!」
「望むところだよ凱兄ちゃん」
そして護も応えた。
「さあ、はじめようか」
「護、何故だ」
凱はまだ信じられなかった。
「何故なんだ、一体・・・・・・」
「けれどよ、ここは」
「わかっている、それでもだ!」
その拳を繰り出しての言葉だった。
「俺は護を!うおおおおおおーーーーーーーーーっ!」
「ガオファイガー!」
拳を繰り出した。それで護のスイターガオガイガーを撃った。しかしだった。
「まだだよ」
「何っ!?」
「戦いはまだだよ」
こう言って立っているのだ。
「まだ僕はね」
「馬鹿な、まだ戦うのか」
「そうだよ、まだだよ」
護は凱にこう言ってきた。
「僕はまだ」
「くっ、それならだ!」
「ああ、やれ凱!」
ゴルディマーグがその凱に言う。
「ここはな!」
「護!」
凱も言う。
「言った筈だ!俺は何としても御前を止める!」
「ことは一刻を争うんだ!」
しかし護はまた言うのだった。
「それだから!」
「宇宙に危機が迫っているならだ!」
その言葉へだった。
「何故俺たちに相談しない!?」
「そんな時間だってないんだよ!」
「くっ、仕方ない!」
今度の技は。
「ガトリングドライバアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーッ!!」
「うわああああーーーーーーーーっ!」
それで一気に止めようとする。
「やったか!?」
「まだだよ!」
しかしであった。まだ護は立っていた。そうして。
一気に体力を回復させてきたのだ。
「何っ!?」
「僕は負けない!」
そしてまだ言う。
「相手が凱兄ちゃんだろうと!」
「くっ、まだ闘うのか!」
「まさかあれが」
ここでゴルディマーグが言った。
「パスキューマシンだってのか?」
「ゴルディマーグ!」
凱が声をかけてきた。
「やるぞ!」
「相手は護だぞ!」
ゴルディマーグはこのことを問うた。
「それでもかよ」
「急げっ!」
「わかった、しかしな!」
言わずにはいられなかった。
「俺は知らねえぞ!」
「これしかない!」
凱もまた覚悟を決めていたのだ。
「護を止めるにはだ!」
「わかった、ここは任せるぜ!」
「そうはいかないよ!」
しかしだった。ここで護は動いた。そして。
「ヘルアンドヘブン!」
「何っ!?」
「うおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーっ!」
何とだった。ヘルアンドヘブンを出してきた。そうして。
そのままガオファイガーに体当たりするのだった。
「ううっ!」
「凱!」
「どういうことだ!」
ガオファイガーは爆発しながら大きく後ろに吹き飛ばされた。そこから立ち直って言うのだった。
「まさか、何故だ!」
「僕には出来るんだ」
その護の言葉だ。
「真のヘルアンドヘブンが!」
「おい凱!」
ゴルディマーグがすぐに彼に声をかけてきた。
「大丈夫か!」
「ああ、何とかな。だがな」
「そうだな。こいつはまさに」
「だが!」
しかしだった。まだ立っている。
そしてその足で立ちだった。彼は言った。
「決着は俺の手でつける!」
「凱・・・・・・」
「だからだ!護!」
「勝負だよ凱兄ちゃん!」
「俺の拳で!」
こう言ってだった。彼もヘルアンドヘブンに入る。
「護!御前を!」
「行くよ!」
「うおおおおおおおーーーーーーーーーーーーっ!!」
そのヘルアンドヘブンとヘルアンドヘブンが激突する。そして。
スターガオガイガーの動きが止まったのだった。
「そんな。僕が・・・・・・」
「忘れたのか護」
その凱が満身創痍で護に告げる。
「勝利するのは」
「勝利するのは」
「勇気ある者だあああああああああっ!!」
こうしてスターガオガイガーは爆発して消えた。
ゴルディマーグはその爆発を見ながら。無念そうに言うのだった。
「護は・・・・・・」
「いや」
しかしだった。凱が答えた。
「大丈夫だ」
「生きてるのか?」
「コアとして出した」
だからだというのだ。
「大丈夫だ」
「そうだったのか」
見ればだった。護はいた。ガオファイガーのその腕の中にだ。
そしてであった。傷だかけの身体で彼に言ってきた。
「痛い、痛いよ・・・・・・」
「すまん・・・・・・」
凱も今は謝ることしかできなかった。わかっていたからこそだ。
「宇宙が危ないのに、どうして邪魔をするの?」
「護、俺は・・・・・・」
「駄目だ!」
しかしであった。ここで声がした。そうして。
護に攻撃が炸裂した。エネルギー波だった。
「うわ!」
「護!」
「そいつに騙されちゃいけない」
戒道が出て来た。そのうえで凱に言ってきたのだ。
「そいつはだ」
「君は・・・・・・生きていたのか!」
「そいつは本物のラティオじゃない」
「何っ!?」
「イミテーションだ」
その言葉と共にだ。攻撃を受けたその護は。
静かに消えていった。後には何も残らなかった。
「護が。消えていく・・・・・・」
「やはりそうなのか」
そしてであった。謎の男が出て来た。四角い顔の不気味hな男が。
「・・・・・・・・・」
「ソール11遊星主か」
「知っていたか」
「パルパレーパ!」
彼を見ての言葉であった。
「この地球にまで!」
「パスキューマシン、返してもらおう」
この時使徒もまた。倒されていた。
「行くぞ、シンジ君!」
「はい、ダバさん!」
二人が射程を合わせていた。そうして。
バスターランチャーとその超長距離ライフルでだ。使徒を撃ち抜いたのだ。
そのATフィールドすら貫通して。まさに一撃だった。
「よし!」
「やりました!」
使徒はこれで活動を停止し爆発の中に消えた。しかしであった。
「シーラ様!」
「はい」
シーラがカワッセの言葉に応えていた。
「来ました」
「上空に機影」
それであった。
「戦艦クラスです!」
「バルマー!?」
「まさか」
「ピア=デケム!」
ここでまた戒道が言った。
「来たのか!」
「我等は使命を全うするもの」
ここでそのパルパレーパが言って来た。
「邪魔をするのなら御前も消去する」
「Jは!?」
「この宇宙にはいない」
「やっと追いついたね!」
「うん!」
「凱さん!」
ルネに光竜、闇竜が応援に来た。
「それで護は!?」
「一体何処なの!?」
「まさかと思いますが」
「詳しい話は後だ」
だが凱は今はその彼女達にこう返すだけだった。
「今は」
「それでは我はだ」
「待て!」
ルネがパルパレーパを追おうとする。
「何かわからないけれど逃がす訳にはいかないよ!」
「そうはいかないわよ」
「何っ!?」
そのルネに攻撃が来た。
彼女は紙一重でそれをかわしてみせた。しかしだった。
「ルネ!」
「大丈夫さ。けれどね」
その相手を見回して探すのだった。
「誰だい。今のは!」
「私よ」
今度は女だった。
「残念だったわね、子猫ちゃん」
「御前は一体」
「ピルナス」
こう余裕の言葉と共に名乗ってきたのだった。
「覚えておいて欲しいわ」
「ピルナス」
パルパレーパは彼女にも声をかけてきた。
「引き上げるぞ」
「ええ、わかったわ」
「待て!」
今度は凱が彼等を追おうとする。
しかしだった。パルパレーパはその彼に対しても言うのだった。
「もう一度言う」
「何っ!?」
「邪魔をするなら御前も消去する」
完全に本気の言葉だった。
「それをだ」
「くっ!」
「駄目だ、今は」
戒道がここは凱達を制止した。
「落ち着くんだ。下手に攻めてはいけない」
「しかしそれでも」
「今はね!」
「慎重にならないといけない」
しかしそれでも戒道は言う。
「相手が強いだけにだ」
「だからなのね」
「今は」
「うん、行かせるしかない」
戒道は光竜と闇竜にも話した。
「ここはね」
「わかったわ、じゃあ」
「本意ではありませんが」
「ソール11遊星主」
その彼等についての言葉だった。
「太陽系の守護神」
戦いは終わった。だがだ。戒道はここでロンド=ベルの面々に話すのだった。
「僕達は」
「そうでしたね」
ボルフォッグが戒道に応えていた。
「貴方達はあの時に」
「あの時にザ=パワーの力を借りてZマスターと対消滅する筈だった」
「はい」
「Zマスターは滅んだ」
彼等はだというのだ。
「けれど僕達は気がつくと星一つ見えない宇宙の果てに飛ばされていたんだ」
「宇宙の果て!?」
「そこに」
「そう」
そしてさらに話すのだった。
「ザ=パワーの反発作用によって」
「それによって」
「そこまで
「そこはトモロの計算によれば」
話はさらに続けられていく。
「この銀河から遥か離れた場所」
「そこには」
「飛ばされたのね」
「銀河全体を見回せる場所だった」
そうした場所だったというのだ。
「そして僕達は見たんだ」
その見たことを話した。
「銀河が間違いなく光速を超えるスピードで収縮しているのを」
「宇宙が」
「収縮している!?」
誰もがそれを聞いて唖然となった。
「まさかそんな」
「そんなことが」
「いや、事実だ」
だが戒道は言うのだった。
「僕はこの目で見たんだ」
「じゃあ本当に」
「宇宙は」
「そう、そして」
その言葉が続けられていく。
「朴達はこのの真相を突き止める為にESドライブでその中心に向かったんだ」
「その宇宙収縮現象の」
「その中心になのね」
「そこで僕は見つけたんだ」
ここで話が核心に入った。
「あのパスキューマシンとラティオを」
「ラティオ」
竜馬がそれを聞いて述べた。
「護君のことか」
「ラティオはそこで戦っていた」
「あの歯医者みたいな奴か」
ルネが言った。
「あいつがそうだったのか。それに」
「そう、彼女もなんだ」
ルネと戦ったあの女についても話された。
「ソール11遊星主と」
「ソール11遊星主」
「それが奴等の名前なのか」
「その通り、Jは僕とパスキューマシンをESウィンドウで青の星」
「この星か」
「つまりは」
ここからはわかる話だった。
「地球へ送り込み自分は残ったんだ」
「ここに来なかったのか」
「どうして?それは」
「ラティオと共に戦う為に」
だからだというのだ。
「その為に」
「それなら」
万丈はここまで話を聞いたうえであらためて戒道に問うた。
「あのスターガオガイガーで戦った護君の正体は」
「あれは気配がなかった」
「そうよね」
「それも全く」
感じ取った面々がそれぞれ話す。
「そうしたものが何もなかった」
「あれは一体」
「何だというの?」
「あいつは多分」
戒道は怪訝な顔になった一同にも歯案した。
「パスキューマシンを回収する為に送り込まれたレプリジン」
「複製か」
凱はそれを聞いてすぐに察した。
「それなのか」
「ラティオがパスキューマシンに触れた時」
戒道はまた話してきた。
「偶然生み出されたものだ」
「偶然」
「あいつが」
「本来はラティオと同じ心を持っていて」
このことも話されるのだった。
「彼とともに遊星主と戦っていた」
「それがどうして」
「ああいう風に」
「捕まり」
これは戒道の予想だった。
「そして精神制御をされていたらしい」
「そうだったのか」
「確かにあれはだ」
ここでクワトロが言ってきた。
「護君ではなかった」
「わかった人もいるのか」
「さっきも誰かが言ったが気配がなかった」
それがわかった根拠だというのだ。
「それでわかった」
「そうか。それでなのか」
「そしてだが」
エイブが戒道に問うた。
「そのソール11遊星主とは一体」
「不吉なものを感じました」
エレの言葉である。
「それだけは」
「元々は三重連太陽系を復元する為に造られた制御プログラム」
「プログラムってことは」
「つまりは」
これでわかった面々もいた。
「奴等も人造の」
「そうした存在」
「それは間違いない」
戒道もその通りだという。
「彼等はそうした存在なんだ」
「ところでだけれどな」
勝平が問うてきた。
「その三重連太陽系って何だ?」
「太陽が三つあるのかしら」
「その様だな」
恵子と宇宙太も話す。
「そうよね。名前を聞いたら」
「そんな感じだが」
「僕達の故郷なんだ」
戒道はその三重連太陽についてこう話した。
「実は」
「というと」
「護やJの」
「その故郷か」
「そう、僕達の故郷」
語る戒道の顔がいささか暗いものになった。
「そこの復元プログラムなんだ」
「それならだ」
ここまで聞いた凱が彼に問うた。
「護の故郷を復元する為のプログラムなんだな」
「うん」
戒道はその問いに頷いて答えた。
「その通りだよ」
「それなら何故」
それを聞いてさらに首を傾げさせる彼だった。
「それがどうして俺達の地球を脅かすんだ?」
「恐らく」
こう前置きしたうえでの言葉だった。
「彼等は自分達の使命を果たそうとしているに過ぎない」
「使命を!?」
「それで地球を?」
「そう、パスキューマシンを使って」
「それではだ」
サコンはここまで聞いてあることを理解した。
「あのパスキューマシンは宇宙収縮現象を起こしているのか」
「あのマシンは」
戒道はサコンのその言葉にも応えて述べた。
「物質復元マシンの中枢回路なんだ」
「それでは」
また言う万丈だった。
「あのギャレオンも複製されたものなのか」
「そう」
「それで」
凱は心配する顔で言ってきた。
「本物の護は無事なのか!?」
「全ての謎を解き明かす為には」
だがここで戒道は言った。
「三重連太陽系に行くしかない」
「その通りだな」
サンドマンがそれを聞いて述べた。
「ここはだ」
「そして」
宙の言葉だ。
「その宇宙収縮現象を放っておくとどうなるんだ?」
「簡単な理屈だ」
サコンが彼の言葉に答えた。
「風船がしぼむのと同じだ」
「何っ!?それじゃあ」
「そうだ。中の空気が全て抜けるのと同じだ」
まさにそれだというのだ。
「つまりは」
「俺達の銀河が消滅するのか」
カミーユもその顔を強張らせてしまった。
「つまりは」
「そんなことを放っておいたら」
トビアは青くなっている。
「恐ろしいことに」
「つまりはだ」
シーブックも眉をしかめさせている。
「そのソール11遊星主は自分達の故郷を復元させる為に銀河全てを」
「それが彼等の結論らしい」
「若しかすると」
エキセドルはここであることに気付いた。
「銀河の宙域ごとに時間軸がずれていたり空間が不安定なのは」
「ですよね」
「私達も」
美穂とサリーも気付いた。
「それはつまり」
「それが」
「そうね」
セニアも何時になく真剣な顔になっている。
「その現象が関係している可能性が高いわね」
「放っておくわけにはいかないね」
万丈はまた言った。
「これはね」
「それじゃあその為にも」
「宇宙に」
「待ってろよ護」
凱は意を決していた。
「必ず御前を」
彼等は宇宙に行く決意をあらためて固めた。戦いはいよいよ宇宙に向かおうとしていた。
第三話完
2010・2・16
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