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遊戯王GX ~水と氷の交響曲~

作者:久本誠一
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ターン12 野性!SuperAnimalLearning!

 
前書き
久しぶりの投稿です。無事……かどうかはともかく、少なくともテストは終わったので。今回ちょい短めですが。 

 
 その知らせは、いきなりやってきました。

「大変だー、万丈目君が行方不明になっちゃったー!」
「………へ?」

 どうも話を聞くと、今朝早くに荷物をまとめてデュエルアカデミアから出ていく姿が何人かに見られていたらしい。…………見てたんなら止めてやれよお前ら。

「まさか、この前のデュエルに負けたのを苦にして岸壁から飛び降りたとか」
「馬鹿野郎、そんなことあるワケない………よな、清明?」
「いやなんでそこ僕に振るの。ない、よね?」
『ノーコメント』

 今回のことに関しては、ユーノも答える気はないらしい。だ、大丈夫かなぁ………。



「しっかし十代、よくまあこんな所見つけたね」

 今僕たちがいるのは、なんでもこの学校から安全に出られる先生も知らない抜け道、というかただの穴の中。ホントにいつの間にこんのもの見つけたんだろう。

「ああ、これか?この道は、俺たちの部屋に置いてあった何年も前の先輩のノートに書いてあったんだ。俺も最初に見た時はビックリしたぜ、まさかこんなものを作ってあったなんてな」
「実際に使うのはこれが初めてなんスけどねー。ちゃんと外につながっててよかったッスよ」
『マジか、この道そんないわくつきのだったのかよ。つーかんなことやってる間にデュエルの腕でも磨いてりゃいいのに』

 と、そんなことを言いながら外に這い出る。ユーノ、多分そこは言っちゃいけないかと。さてと、万丈目を探し出しますかね。

「ちょっと待ちなさい、貴方達」
「げえ、あ、明日香!?」
「なによ、人を化け物か何かみたいに。それで貴方達、一体どこに行くつもりなの?」

 また出たよこの人。なんかちょいちょいこの明日香、ジュンコ、ももえのコンビには会うけど、実はかなりの暇人なんじゃないだろか。

「さすがにほっとけないし、万丈目見つけて首根っこひっつかんででもアカデミアに戻すつもりだったんだけど。そっちこそ何やってんのさ」
「私たちも同じよ。放っておくわけにもいかないでしょう?」
「なるほど、つまりそっちもサボりだと」
「うるさいわね」

 う、マズイ。一言余計だったか。と、とりあえず別の話題をっと。

「あ、あれ、そういえば今日は夢想はいないの?」
「本当は彼女もついてくるつもりだったんだけど、途中であの子だけ見つかって捕まっちゃって………」
『………あー、じゃあ今回は欠席か』

 かわいそうに………捕まえたのがクロノス先生あたりならまだブルー寮補正がかかって大したおとがめなしで済むかもしれないけど、どうなんだろうか。とりあえず今は無事に済むようにお祈りでもしておこう。



「おーい、万丈目ー!!」
『声も姿も聞こえず見えず、か』
「うーん、探す場所が悪いのかな?」
『さあな。それより十代はどこだ、十代は』

 それとなく隣でふわふわしてるユーノに鎌をかけてみるけど、引っかかってはくれなかった。残念。というか、真剣な話十代達は今頃どこにいるんだろう。さっきまで一緒にいたんだけど、ねえ。いやあのその、ほら。

『十代、翔、明日香、ジュンコ、ももえー。迷子になりやがったこの馬鹿が探してますよー』
「るっさい!」

 だって!なんか歩いてたら草むらが動いた気がしたんだもん!ちょっと見に行っただけなのに!というかユーノも別に止めなかったじゃん、それを馬鹿扱いはいくらなんでも理不尽だと思うんだけどなぁ………。

『見に行くのは別に止めねえけど、迷子になれなんて誰も言ってねえよ!』
「んな無茶な!子供か!!」
『幽霊に年は関係ねーよーだ!』
「そゆこと言ってんじゃないよ!」
「『…………ハァ』」

 力いっぱい怒鳴り合ってちょっと気持ちが落ち着いたところで、改めてユーノに声をかける。

「んでさ、結局どうしよっか。アカデミアどっちかなぁ」
『んー、もうそろそろだと思うんだけどな』
「もうそろそろ?何が?」

 そう尋ねた瞬間。

「キャー、助けて明日香さーん!!」
「悲鳴!?あっちの方か!」
『ほらな』
「ちょっと、いい加減に降ろしてよ~!!」

 あれ?なんかさっきより声が近くなってるような?気のせいかな、どんどんこっちに来てるような………。

「キャー!ってあれ、あなたは」
「ジュンコ………だよね?何やってんのこんなところで」
「ウキ」
「えっと、あのさ。なにがなんだかさっぱりわからないんだけど、この猿何者?」

 目の前の木の枝にいるのは、なんかサイボーグっぽい猿。そして片手で抱えられたジュンコ。何この絵面。

「ちょっとあなた!そんなところでぼうっとしてないで、早く私を助けなさい!」
「いやそんなこと言われましてもどうやって、ってねえ猿」
「ウキー?」
「その腕についているもの、もしかしなくてもデュエルディスクでしょ」
「ウキーウキー」
「………えっと。お前、デュエルできるの?」
「ウキ」
「うーん、じゃあこうしよっか。猿、今から僕とデュエルだ。僕が勝ったらその子は返してもらうよ」
『んで、お前が負けたら?』
「あーそっか、じゃあ僕が負けたら………負けたら……負けたら…もう、とりあえずデュエルだ!」
『なにその理不尽』
「ウキー!」
「なんでもいいですけど、頼んだわよー!」

「【デュエル!!】」

「………ってちょっと待って、何今の声」
『あの機械からだな。さすがに相手がウキーウキー言ってるだけじゃデュエルにならんだろ。それからな清明、アイツは猿じゃない』
「え、どこが?猿にしか見えないんだけど」
『あいつは正式名称SuperAnimalLearning…………通称SALだ』
「おお、なんかかっこいい!じゃあSAL、僕が先行をもらう!シャクトパスを攻撃表示で召喚!」
『(カッコいい………?)』

 シャクトパス 攻1600

「これでターンエンド」
【私のターン、ドロー。私は、怒れる類人猿(バーサークゴリラ)を召喚、シャクトパスに攻撃】

 怒れる類人猿
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻2000/守1000
このカードが表側守備表示でフィールド上に存在する場合、このカードを破壊する。
このカードのコントローラーは、このカードが攻撃可能な状態であれば
必ず攻撃しなければならない。

 怒れる類人猿 攻2000→シャクトパス 攻1600(破壊)
 清明 LP4000→3600

「くっ、だけどこの時、シャクトパスの特殊効果発動!このカードを怒れる類人猿に装備!」

 ゴリラがその怪力をフルに使ってシャクトパスをぶん殴るも、かろうじて堪えたシャクトパスが8本のタコ足でゴリラをぐいぐいと締め付ける。そのままゴリラに引っ付いて猿のフィールドまで行ってしまった。

 シャクトパス
効果モンスター
星4/水属性/魚族/攻1600/守 800
このカードが相手モンスターとの戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
このカードを装備カード扱いとしてその相手モンスターに装備できる。
この効果によってこのカードを装備したモンスターは
攻撃力が0になり、表示形式を変更できない。

 怒れる類人猿 攻2000→0

「どうだ!」
【私は魔法カード、おろかな埋葬を発動。デッキからADチェンジャーを墓地に送る。そしてADチェンジャーの効果により、このカードを除外して怒れる類人猿の表示形式を守備表示に変更する。そしてこのカードのデメリット効果によって怒れる類人猿が自壊、ここで1000ライフポイントを払って手札から森の番人グリーン・バブーンを特殊召喚する】
「シャクトパスの効果が無駄になった!?」

 おろかな埋葬
通常魔法(制限カード)
自分のデッキからモンスター1体を選択して墓地へ送る。

 ADチェンジャー
効果モンスター
星1/光属性/戦士族/攻 100/守 100
墓地に存在するこのカードをゲームから除外し、
フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターの表示形式を変更する。

 怒れる類人猿 攻0→守1000(破壊)
 SAL LP4000→3000

 森の番人グリーン・バブーン
効果モンスター
星7/地属性/獣族/攻2600/守1800
自分フィールド上に表側表示で存在する獣族モンスターが
カードの効果によって破壊され墓地へ送られた時、
1000ライフポイントを払って発動できる。
このカードを手札または墓地から特殊召喚する。

【カードを二枚セットし、ターンエンド】

 清明 LP3600 手札:5 モンスター:なし 魔法・罠:なし
 SAL LP3000 手札:2 モンスター:森の番人グリーン・バブーン(攻) 魔法・罠:2(伏せ)

「思ったより強いね、SAL………でも負けないよ、僕のターン、ドロー!キラー・ラブカを通常召喚して、そのままリリース!シャークラーケンを特殊召喚!」

 キラー・ラブカ 攻700

 シャークラーケン
効果モンスター
星6/水属性/魚族/攻2400/守2100
このカードは自分フィールド上の水属性モンスター1体をリリースし、
手札から特殊召喚できる。

「ちょっと、何をやっているの!?そのモンスターの攻撃力じゃあ、次のターンにやられるだけよ!?」
「そんなことわかってるさ、ウォーターワールド発動!」

 ウォーターワールド
フィールド魔法
フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、
守備力は400ポイントダウンする。

 シャークラーケン 攻2400→2900 守2100→1700

「このままグリーン・バブーンに攻撃!」

 シャークラーケン 攻2900→森の番人グリーン・バブーン 攻2600(破壊)
 SAL LP3000→2700

「僕はこのまま、ターンエンド」
【私のターン、ドロー。そしてリバースカード、リビングデッドの呼び声を発動。墓地のグリーン・バブーンを特殊召喚、そのままリリースしてツインへデッド・ビーストを通常召喚する。そしてもう一枚のトラップカード、血の代償を発動。ライフポイントを500払い、手札のアクロバットモンキーを通常召喚】

 リビングデッドの呼び声
永続罠
自分の墓地のモンスター1体を選択し、表側攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

 ツインへデッド・ビースト
効果モンスター
星6/炎属性/獣族/攻1700/守1900
このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

 血の代償
永続罠(制限カード)
500ライフポイントを払う事で、モンスター1体を通常召喚する。
この効果は自分のメインフェイズ時及び
相手のバトルフェイズ時にのみ発動する事ができる。

 SAL LP2700→2200

 アクロバットモンキー
通常モンスター
星3/地属性/機械族/攻1000/守1800
超最先端技術により開発されたモンキータイプの自律型ロボット。
非常にアクロバティックな動きをする。

【そして速攻魔法、野性解放を発動。対象はもちろんツインへデッド・ビースト】

 野性解放
通常魔法
フィールド上の獣族・獣戦士族モンスター1体を選択して発動できる。
選択した獣族・獣戦士族モンスターの攻撃力は、
そのモンスターの守備力分アップする。
この効果を受けたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 ツインへデッド・ビースト 攻1700→3600

【バトル。ツインへデッド・ビーストで、シャークラーケンを攻撃】
「待って、ここで墓地のキラー・ラブカの効果発動!」

 墓地から一瞬だけ姿を見せた半透明のキラー・ラブカが、触ったら痛そうな尻尾を振り回してツインへデッド・ビーストの二つある頭のうち片方をはたいて怯ませる。

 ツインへデッド・ビースト 攻3600→3100

【だが、このカードは自身の効果で一ターンに二回の攻撃を行える。もう一度シャークラーケンに攻撃】
「………それは止められないよ」

 ツインへデッド・ビースト 攻3100→シャークラーケン 攻2900(破壊)
 清明 LP3600→3400

【アクロバットモンキーでダイレクトアタック。アクロバット・ウッキー】

 アクロバットモンキー 攻1000→清明(直接攻撃)
 清明 LP 3400→2400

【そしてこのエンドフェイズ時、ツインへデッド・ビーストは野性解放のデメリット効果で破壊される。ライフを1000払い、墓地のグリーン・バブーンを特殊召喚】
『ここでバブーン出すか…………やっぱまだコンピューターが不完全なのか?』

 SAL LP2200→1200

 森の番人グリーン・バブーン 攻2600

 清明 LP2400 手札:2 モンスター:なし 魔法・罠:なし 場:ウォーターワールド
 SAL LP1200 手札:なし モンスター:森の番人グリーン・バブーン(攻)、アクロバットモンキー(攻) 魔法・罠:リビングデッドの呼び声(無)、血の代償

「僕のターン、ドロー!」

 SALの場に発動できるカードは無いし、血の代償を使おうとしても手札がない、か。よし、このデュエルはもらっt「ウキー、ウキー」………な、なんだ?「ウッキー」「ウキウキー」「キーッ」ねえなんかどんどん聞こえる数が増えてきてるんだけど、この鳴き声ってもしかしてさあ。

『猿だな』
「やっぱりー!というかさ、SALってこんなにいっぱいいるの!?」
『とりあえず後ろを見てから物を言え。今度来たのはSALじゃない、猿だ』
「発音が一緒だからわかんないんだよ!」

 そう言いながら後ろをチラッと振り返ると………あ、本当だ。確かに猿だ。ごくごく普通の、どうってことない猿。なんだもう、びっくりしたなぁ。

「でも、なんでこんなに猿がいるの?」
『そこはSALに聞いてみな』
「ねえSAL、もしかしてあっちの猿達は知り合いだったりする?」
「ウッキー」
「………野生に帰りたい、って?」
「ウキ」
「なるほどねえ。じゃあどうしよっか」
「ウキウッキ~」
「ん~、じゃあこうしよっか。いい?まずこのデュエル、僕が勝ったらその人質は放してもらう。それでSAL、お前が勝ったらお前が野生に帰るのに協力するよ」
「ウキッ!?」
「なに、疑ってんの?だいじょーぶだって、このおにーさんに任せときなさい。でもまあ、それはそれでこれはこれ。デュエルは本気で行くよ!まずそっちの場に地属性モンスターが二体いることで、手札の神禽王アレクトールを特殊召喚!それから魔法カード死者蘇生、この効果でシャークラーケンを蘇生!二体のモンスターをリリースして、来い、マイフェイバリット!霧の王(キングミスト)を召喚!!」
「というか、なんであの人はナチュラルにあの猿と会話できるのかしら。レッド生だから?」

 神禽王アレクトール
効果モンスター
星6/風属性/鳥獣族/攻2400/守2000
相手フィールド上に同じ属性のモンスターが表側表示で2体以上存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択する。
選択されたカードの効果はそのターン中無効になる。
「神禽王アレクトール」はフィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

 死者蘇生
通常魔法(制限カード)
自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 シャークラーケン 攻2400→2900

 霧の王
効果モンスター
星7/水属性/魔法使い族/攻 0/守 0
このカードを召喚する場合、生け贄1体
または生け贄なしで召喚する事ができる。
このカードの攻撃力は、生け贄召喚時に生け贄に捧げた
モンスターの元々の攻撃力を合計した数値になる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
いかなる場合による生け贄も行う事ができなくなる。

 霧の王 攻0→4800→5300

「霧の王、アクロバットモンキーに攻撃!ミスト・ストラングル!!」
「ウッキー!!」

 霧の王 攻5300→アクロバットモンキー 攻1000(破壊)
 SAL LP1200→0



「さてとSAL、僕が勝ったんだから、まず最初に人質を返してくれる?」
「ウッキー………」

 しょんぼりと肩を落としながらも、木の上までするりと登ってジュンコを小脇に抱えて降りてくるSAL。降りてきた辺りを見計らって、もう一度声をかける。

「そういえばさ、その機械類って自力で取れるもんなの?」

 この質問には、無言で首を横に振った。なるほど、無理なのか。

「だったらほら、こっちおいで。多分とれると思、う…………あ、取れた。というかこれ、スイッチ一つで簡単に取れるじゃん」

誰がこんなものつけたのか知らないけど、雑な装置もあったもんだ。いやむしろ、こんな取り外し簡単な装置で猿がSALになるんだから大したものなのかもしれない。ま、そんなこと今はどうでもいいか。どうしてただの猿がSALになってるかの理由は知ったこっちゃないけど、本人(?)が戻りたいならそれが一番いいと思うし。

「ということで、バイバイSAL。ほら、僕もまだ人探しの最中でやることあるんだから、行った行った」
「ウ……ウキー?」
「助けてくれたことには一応お礼を言っておきますけど、勝手に外したりしていいのかしら?」
「いいのいいの。『勝ったら協力』とは言ったけど、『負けたら協力しない』なんて一言も言ってないんだから。僕はここで偶然ジュンコと再会した、体中に機械を付けたデュエリスト猿なんてこれっぽっちも見てない。それでいいじゃないの。ジュンコ、そっちもそれでいいね?」
『なんっつーかお前、お人よしだよなぁ………ま、その屁理屈には大いに賛成するがね』
「レッドの言うことを聞くのも癪ですが、まあそれくらいならいいでしょう。明日香さんやももえには話しておきますけど、それ以外には黙っておくわ」
「ウキー!」

 最後に一声上げ、身軽な動きで仲間の猿と一緒に森の中へひょいひょいと去っていく猿たち。

「これで一件落着、かな?」
「あ、いたいた!おーい清明!」
「ジュンコ、貴女こんなところにいたの?」
「やっほー十代、迷惑かけて悪かったね」
「明日香さん!一時はどうなるかと思いましたよー!」

 無事に感動のを再会を果たし、これでアカデミアに帰れると思って安心したのもつかの間、十代達の後ろに見覚えのない黒スーツの銃を構えた人たちが走ってきた。

「ああそこの君、こっちの方に我々のSAL………いや、体中に機械を付けた猿が来なかったかね?」

 なんかずいぶんと物騒なもの持ってるし、ここはすっとぼけるのが得策だろう。ということで、猿たちが走っていったのとは真逆の方向を指さしておいた。

「え、えーっと、そういえば見ましたよ。た、確か僕に気付いたらこっちの子を降ろしてすぐにあっちの方に走ってっちゃったんじゃないですかー?」
『嘘下手だコイツー!?』

 うん、自分でも今のはちょっとないな、って思った。でま、そんなのでもあっさり騙されてくれたらしい。

「そうか、わかった!よしお前ら、追うぞ!」
「はっ!」

 そして十代がポツリと漏らした一言、

「いったいこりゃ、何の騒ぎだったんだ?」

 っていうのが今日の全てを物語ってると思う。ちなみにその後結局万丈目は見つからず、しかも帰りにはレッド寮前でわざわざ張り込みしてたクロノス先生に捕まってしまい、かなり辛い一日を過ごすことになったとだけ言っておく。というかそれ以上思い出したくない…………。 
 

 
後書き
マスターガイドのパールさんがイケメン過ぎて困る。エクシーズ・ソウルのイラストは最後の輝き的な何かだったのかね。 
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