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IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~

作者:白さん
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第十六話『代表候補生』

 
前書き
更新を近日中にやると言ったな、あれは本当だ。

すいません、慣れないネタをやるものではありませんでしたね…… 

 
授業開始を告げるチャイムが鳴り、一年一組の教室に千冬と副担任の『山田 真耶』が入ってくる。教壇に千冬が立つと最初に


「では、授業を始める……。だが、その前に決めることがある。再来週あるクラス対抗戦に向けてクラス代表を決めなければならない。誰かを推薦するものはいるか? 自薦でも構わんが」


その千冬の言葉に一人の女子が


「はい! 織斑君を推薦します!」

「え!? 俺!?」


突然の推薦により、一夏は思わず声を出す。すると他の女子が


「じゃあ、私はカルバヤン君を推薦します!」

「……俺か」


どんどん二人の名前が女子の口から推薦の言葉が出てくる。千冬は腕を組み


「織斑とカルバヤンか……では他には」

「待ってください! 納得がいきませんわ!」
 

バンッと机を叩いて先程まで何も喋らなかったセシリアが勢い良く立ち上がった。


「そのような選出は認められませんわ! 大体男がクラス代表なんていい恥さらしですわ! このセシリア・オルコットにそんな屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
 

怒声を放ちながら、尚止まる事のないセシリア。スウェンは頬杖を付き黙って聞いていた。


「実力からすればこのわたくしがなるのが必然。それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります! わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」


スウェンは横目でセシリアを見た後、ふと一夏を見る。


(……我慢の限界、みたいだな)

「大体!文化として後進的な国で暮らさなければ行けないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で――」

「イギリスだってたいした自慢なんかねぇだろ、世界一まずい料理で何年覇者だよ!」
 

セシリアの言葉を遮り、一夏も机を強く叩いて立ち上がるとそう言い放つ。案の定、セシリアは一夏の言動に反論する。


「あ、あなた! わたくしの祖国を侮辱すると言うのですか!?」

「先に侮辱をしたのはお前のほうだろ。イギリスも日本と同じ島国だろ」

「うっ……」


言葉に詰まるセシリア。千冬の表情を見ると、まるで一夏を誇っているような顔だ。

一方のスウェンは言葉に詰まっているセシリアを見て「ふん…」と鼻で笑った。それを見逃すセシリアではなかった。


「あなた!! 今、鼻で笑いましたわね!!」

「ああ、すまない。気分を害したなら謝罪しよう」

「ええ! 謝って貰おうではありませんか!! 今すぐにでも!!」

「と言いたい所だが、他人の事を見下すような人間に謝罪の言葉を持ち合わせていないものでな」

「!? ぐぐぐ!!」


拳を震わせ、スウェンの事を思いっきり指を刺し


「あなた方! この私と決闘なさい!!」

「相手が決闘を望むのであれば、断る理由も無い。そうだろう? 織斑」

「ああ、その決闘受けて立つぜ!」

「決まりだな」



千冬の言葉に、スウェン、一夏、セシリアはそちらを向く。


「ならば来週の月曜日に第三アリーナで総当たり戦を行い、その結果で決める。構わないな」

「はい」

「了解」

「わたくしもそれでいいですわ」


よし、と千冬は応答を受けると、


「では、授業を始める」





/※/




「代表……か。勢いというのは我ながら恐ろしいものだ」


今日の授業が終わり、スウェンは学生寮の中を歩いていた。


「1021……此処か」


自分に割り当てられた部屋の前に立ち、部屋のドアの開け室内に入ると


「?」


スウェンの目の前には、狐…のような着ぐるみを着ている女子が居た。


「あ~同じ部屋だったんだね~。『布仏 本音』だよー」


随分と間延びした自己紹介であったが、スウェンは


「確か同じクラスだったな。もう知っていると思うが、スウェン・カル・バヤンだ。よろしく頼む、布仏」

「よろしくー、スッチー」

「ス、スッチー?」


妙な呼ばれ方をしたため、スウェンはそう聞き返す。


「うん、スウェンだからスッチー。ダメー?」

「……いや、構わない」

「よかったー。あ、ベッドどっち使うー?」

「まあどちらでも構わないが……あえて言うなら出口側だな」

「わかったー」


どちらのベッドで寝るか決めた後、スウェンは着替えを持ってシャワールームに入ろうとする。


「シャワーはもう使ったか?」

「使ったよー。だから、スッチーは安心してゆっくり使ってねー」


本音は着ぐるみの余った袖を揺らしながら言う。


「感謝する」


礼を言い、スウェンはそのままシャワールームに入る。


基本的に長くは入らないスウェンのため、4、5分で上がった。


「スッチー、スッチー」

「? うっ……」


本音のベッドの半分以上を占める量の菓子を見て、スウェンは思わず顔を引きつらせる。


「何だその量は……」

「えへへースッチーにもあげるー」

「あ、ああ」


スウェンは本音から手渡された菓子を開け、一口。


「む……いけるものだな」

「そうでしょー? まだあるから遠慮しないで食べてー」

「悪いな」

スウェンはベッドに腰をかけ、菓子を口に運ぶ。


(菓子と言うものはあまり食べたことがないからな……味も悪くないな、この棒の中にチョコレートが詰まったものは)


そして菓子を幸せな表情で頬張る本音を見て、スウェンは自然に口元が綻び


(この娘と話していて妙な感覚になるな。裏がなく、表しか存在しないような……束とは違ったタイプの不思議な娘だ)


そうこう考えていと、本音が思い出したかのように


「そういえば、セッシーと決闘するんだよねー」

「セッシー?……セシリアの事か。そうだが」

「スッチーはセッシーに勝つ自信はあるのー?」

「どうかな……だが、やるからには勝つ、それだけだ。無論、織斑も同じ考えだろう」

「うーん……じゃー私はスッチー応援するねー」

「ふっ……ああ、ありがとう。そろそろ俺は寝るとする」

「明かり消すねー」

「頼む」


本音が部屋の明かりを消すと、スウェンの方を向き


「スッチーおやすみー」

「ああ、おやすみ」


スウェンと本音はベッドに寝転がる。

(今考えると、男女同じ部屋で一緒に寝ると言うのはどういうものか……せめて一夏と同室なのではないか? まあいい、考えていても埒があかない、今日は寝るとするか……)


頭の中で直ぐに結論を出し、スウェンは静かに睡眠に入ったのであった。



 
 

 
後書き
次回、スウェンVSセシリア

お楽しみに! 
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