スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
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第百八十五話 ホワイトスターの決戦
第百八十五話 ホワイトスターの決戦
ホワイトスターへ間も無くの距離で。タケルは緊張の中にあった。
その彼にだ。ミカが声をかけてきた。
「タケル」
「あっ、うん」
「大丈夫よ」
微笑んで彼に告げていた。
「お兄さんはね」
「うん、何があっても」
タケルも言葉を返す。
「兄さんは絶対に」
「タケルのところに来るわよ」
「絶対そうなるよ」
ナミダも笑顔で出て来て言う。
「だってタケル兄ちゃんマーグさんのことが」
「この世で二人だけの兄弟だ」
タケルの言葉が強いものになった。
「だから。絶対に」
「そうだ、その意気だ」
ケンジが励ますようにして言ってきた。
「それでこそ御前もお兄さんをだ」
「そうだよな」
「そうじゃないとな」
アキラとナオトも言う。
「逆にその意気だとな」
「絶対にいけるぜ」
「いける、兄さんを」
それを聞いて確かな顔になるタケルだった。
「本当に」
「そうだ、それは間も無くだ」
ケンジはまた彼に言ってきた。
「わかるな。落ち着いていけばだ」
「有り難う、それじゃあ」
タケルもそれを聞いて言うのだった。
「俺は兄さんを」
「ああ、行こうぜ」
「戦いにな」
またアキラとケンジが言ってきた。
「お兄さんを取り戻す戦いにな」
「行くか」
こう話をしながらホワイトスターに向かう。その頃そのホワイトスターでは。
マーグはバランと会っていた。バランが大声で告げる。
「いいか、マーグよ」
「はい」
「まさに決戦の時だ」
戦いのことを言うのである。
「いいな、だからこそだ」
「それはわかっています」
マーグもそれはよくわかっていた。
「それでは」
「左様、司令はそなただ」
まさに彼だというのである。
「ギシン家の主でもあるそなたがだ」
「はい、それでは」
「わしはそなたの指揮下に入る」
そうするというのである。
「是非命令をするようにだ」
「わかりました。それでは」
「それでドバン様」
ロゼが彼に声をかけてきた。
「ホワイトスターの戦いですが」
「うむ」
「全軍であたります」
そうするというのである。
「それで宜しいですね」
「当然のことだな」
それは当たり前だというのである。
「それもだ」
「そう言って頂けますか」
「無論だ、この戦いは地球を罰せられるかどうかの瀬戸際だ」
「はい」
「銀河辺境方面軍はかつて二つの艦隊を失った」
「残念なことに」
「しかしだ」
さらに言う彼であった。
「この戦いに勝てばその屈辱も晴らすことができる」
「だからこそ」
「無論わしも出る」
彼自身もだとまた言った。
「さらにだ」
「さらに」
「あの二人も出すのだ」
こう言うとであった。キャリコとスペクトラが出て来たのであった。
「我々もまた」
「戦わせてもらいます」
「その言葉しかと聞いたぞ」
バランが二人に対して述べた。
「今な」
「では。我等は銀河辺境方面軍として」
「この戦いに」
「ところでだ」
ここでバランはふと二人に問うのであった。
「ハザル坊は元気か」
「ハザル様ですか」
「あの方ですか」
「そうだ。坊は元気か」
こう彼等に問うのであった。
「それはどうなのだ?」
「はい、お元気です」
「外銀河方面軍を無事統率されておられます」
「ならばよい」
それを聞いて安心した顔になる彼であった。
「坊も元気ならばな。それでだ」
「はい、それで」
「さらにですか」
「あの男もいるな」
ここでバランの顔が険しくなった。
「あの男も」
「?そういえば」
ここでロゼはあることに気付いて述べた。
「今は姿が見えませんが」
「今度は何処に行ったのだ」
バランは顔を顰めさせて言う。
「全く。すぐに出たり消えたりする男だ。胡散臭いと言うかな」
「おやおや」
しかしここで声が聞こえてきた。
「それは心外ですね」
「いたのか」
「はい、先程から」
こう言ってであった。孫光龍が出て来たのであった。
「こちらに」
「いたというのか」
「最初からいましたよ」
飄々とした面持ちでの言葉であった。
「僕はね」
「その割には姿が見えなかったがな」
「確かにな」
キャリコとスペクトラも言う。
「何時の間にここにだ」
「いたというのだ?」
「ですから最初からいましたよ」
相変わらずこう言う彼であった。
「本当ですよ」
「まあよい」
バランもこれ以上は聞こうとしなかった。これで止めるのだった。
「そしてだ」
「はい、そして」
「御主も出撃するのだな」
このことを確かめるのであった。
「今回はだ」
「はい、御命令とあれば」
涼しい顔で笑っての言葉であった。
「そうさせてもらいますよ」
「そうか。ならばよいがな」
「そろそろですね」
また笑って話す孫だった。
「それじゃあ。出ますね」
「あの龍でか」
「僕の愛機というかパートナーですから」
「パートナーというのか」
「僕にとってはです」
孫は笑いながら話す。
「その通りなのですよ」
「そうか。それではだ」
「はい」
「マーグよ、出撃命令を出すのだ」
マーグに向けた言葉だった。
「わかったな」
「はい、それでは」
「まだ冥王星があるにしてもだ」
そのことは彼もわかっていた。
「しかしだ。よいな」
「ホワイトスターで、ですね」
「そうだ、行くぞ」
こう話してである。彼等も戦いに向かう。そうして出撃するとであった。
バルマー軍が出た時にはだ。既にロンド=ベルも来ていた。彼等も既に出撃して布陣していた。ハザルがその彼等の中にトウマを見て言った。
「いたな、小童」
「あんたもいるんだな」
「左様、どれだけ腕をあげたか見せてもらおう」
敵に対する言葉とは少し違っていた。
「これからだ」
「ああ、見せてやるぜ」
トウマも彼の言葉を受けて述べた。
「俺のこれまでの戦いを!」
「来るがいい!」
二人は早速対峙していた。そうして。
「御前もいるのだな」
「そういうことだ」
クォヴレーはキャリコと対していた。
「因縁というものらしいな」
「因縁か」
「どうやらな」
こう言うキャリコだった。
「それならばだ」
「来い」
クォヴレーからの言葉である。
「ここで終わらせてやる」
「こちらもだ」
そしてセレーナとスペクトラもであった。心で対峙していた。
そのうえで二人もまた言い合っていた。
「あんたともね」
「何だというのだ?」
「腐れ縁ね」
こちらはセレーナから言うのだった。
「どうやらね」
「腐れ縁か」
「そうとしか言い様がないわね」
こうスペクトラに言うのである。
「それだったらよ」
「そんなものは断ち切るに限るな」
「そういうことよ。それじゃあね」
「ここで死んでもらう」
「それはこっちの台詞よ」
二人で言い合って戦いに向かうのだった。
クスハ、ブリットと孫もであった。向かい合っている。そうしてそれぞれ話すのだった。
「まあお会いできるとは思ってましたが」
「何ですか、それで」
「また出て来たのか」
クスハとブリットには余裕はなかった。
「貴方は本当に一体」
「何を考えているんだ?」
「何を、ですか」
「そうです、地球人なのにバルマーに味方して」
「どういうつもりなんだ?」
二人が言うのはこのことだった。
「あの時はガンエデンにいて」
「そして今そこにいるのはだ」
「それは見ればわかることなんだがねえ」
こう返す孫であった。
「まあわからなくてもいいけれどね」
「またそうして言葉をはぐらかすのですか?」
「またしてもか」
「いやいや、そういうつもりはないよ」
しかし言いはしないのであった。
「それじゃあ。話をしても何だし」
「今度こそです」
「聞き出してやる、その理由を」
こうして二人も孫に向かうのであった。そうして。
「いいな、諸君」
「はい」
「それじゃあ」
皆大河の言葉に応える。
「ホワイトスターを陥落させる」
まさにそうするというのである。
「では総攻撃に移る」
「はい、わかりました」
「それでバルマーとも」
「まずはこれで」
「これで地球圏の敵勢力が全ていなくなる」
また言う大河であった。
「我々の平穏はまずは訪れる」
「その通りですね」
彼のその言葉にスタリオンが頷く。
「まだ宇宙怪獣やバルマー本国があるにしてもです」
「平和の為にだな」
火麻も言う。
「ここはだ。勝たねえとな」
「その通りだ。総攻撃を開始する!」
「了解!」
「じゃあ一気に!」
こう言って総攻撃に移るロンド=ベルだった。一気にホワイトスターに迫る。
バルマー軍はそれに迎え撃つ。数は圧倒的に彼等が優勢である。
しかしマーグは。その一際巨大な旗艦の艦橋で言うのだった。
「ここはだ」
「そうですね。ここは」
ロゼが彼に応えて言う。
「油断できません」
「決してだ」
それを言うのだった。
「何があってもだ」
「はい、ですから」
「ホワイトスターにある軍は全て出しているね」
「はい、それはもう」
出しているというのである。
「出していますので」
「よし、ならその戦力でだ」
こう話すマーグだった。
「守りきる」
「ただしですね」
「そう、いざという時はね」
そのことも既に考えているのだった。
「冥王星があるから」
「いざとなればそこまで退いて」
「戦う。そして最後には」
「勝つ」
それはもう絶対なのだった。
「それでいいね」
「はい、それでは」
こうして迎え撃つ彼等だった。七個艦隊とマーグが直接率いる軍がある。その圧倒的な数で彼等を一気に潰そうとするのであった。
だがであった。ロンド=ベルは今回はとりわけ強かった。
「ダブルブリザアアアアアアアアアド!」
一矢は戦艦の一隻にいきなりこれを放った。
「ファイアーストオオオオオオオオム!」
そしてである。今度はこれを放ち氷と炎の中で動けなくしてであった。
「行くぞ!必殺!烈風!」
拳を構え一気に突き出し。
「正拳突きイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!」
戦艦を一撃で潰したのだった。それで敵艦は撃沈された。
「何だと!」
「いきなり戦艦をだと!」
「まだだ!」
技を放った一矢は今度はファイブシューターを敵の小隊に放った。
「ファイブシュウウウウウウタアアアアアアアアアッ!!」
それでまとめて倒す。これが戦いのはじまりであった。
ロンド=ベルは勢いのままバルマー軍を押す。忽ちのうちに一個艦隊規模の戦力を倒してしまった。まさに一瞬のうちの出来事なのだった。
「よし、このままだ!」
「このままいけば!」
「いける!」
「やってやらあ!」
彼等はそのまま突き進む。ホワイトスターにも近付いていく。
その中でだ。ブライトが言う。
「いいか」
「はい、艦長」
「ここは」
「ホワイトスターはまずはいい」
いいというのである。
「今はだ。それよりもだ」
「敵軍をですね」
「彼等を」
「その通りだ」
こうトーレスとサエグサに答えた。
「わかったな。ここはだ」
「はい、わかりました」
「それでは」
「今は敵を倒す」
こう言うのである。
「いいな、まずはだ」
「了解です」
「それでは」
「まずは敵を掃討する」
そうするというのである。
「わかったな」
「そうだな」
アムロがいつもの様に彼に応えた。
「敵軍を倒す方が先決だ」
「その通りだ」
ブライトも彼の言葉に頷く。
「ここはだ」
「よし、そこだ!」
アムロはビームライフルを乱射して敵を倒すのだった。一気に数機撃墜する。
「このまま行くぞ!」
「それでだ」
さらに言ってきたブライトであった。
「あのヘルモーズだが」
「あの戦艦か」
「あれですね」
カイとハヤトが応える。
「あの戦艦はあの連中の象徴みたいなものだったな」
「確か撃沈すると」
「そうだ、出て来るからな」
スレッガーが二人に話す。
「奴等の切り札がな」
「ズフィルード」
「あれが」
セイラとリュウが話す。
「あれが出て来るとなると」
「用心が必要だな」
「その通りだ」
それこそがブライトの言いたいことであった。
「だからここはだ」
「ああ、わかったぜ」
「それで」
カイとハヤトが応える。
「後回しってことだな」
「とりあえずは」
「そうしてくれ。少なくとも今はだ」
「敵を倒す」
「それで」
そう言って今はヘルモーズは攻撃しなかった。あくまでバルマーの軍勢に向かうだけだった。そうしてまずは敵の数を減らしていた。
それはマーグも見ていた。ここで彼は言うのだった。
「よし、それではだ」
「どうされますか?」
「私の直属部隊を前線に出す」
そうするとロゼに答えるのである。
「ここはだ」
「はい、それでは」
そしてそれに答えるロゼだった。
「ここはそうして」
「そうしよう」
「わかった」
バランがモニターに出て来て言う。
「それでは行こう」
「頼みます」
「何度も言うが気にすることはない」
ここでこう返すバランだった。
「これは戦いだ。それに」
「それに」
「指揮官は御主だ」
だからだというのである。
「その指示に従っているだけだからな」
「左様ですか」
「そうだ。それではだ」
「はい」
「前線に参る」
彼は言い切った。
「このままだ」
「わかりました、それでは」
「行くぞ」
バランは他の者達にも述べた。
「それでいいな」
「わかってますよ」
孫が飄々として彼に返してきた。
「じゃあ僕も行きますか」
「孫光龍よ」
バランは彼には不穏なものを感じている目であった。
「御主はまだここにいるのだな」
「まだとは?」
「バルマーにだ」
このことを問うのである。
「地球人でありながら何故だ」
「地球人だからですよ」
「何っ!?」
「だからなのですよ」
こう言うのである。
「それが何か」
「何かだと。御主はそれでも」
「おっと、来ましたよ」
バランにはそれ以上言わせなかった。
「早速ですね」
「くっ、こんな時にか」
「では行きましょう」
こう彼に声をかける。逆になっていた。
「それでは」
「わかった。ではな」
バランはまだ言いたげだったがそれでも言うのだった。
「参るとしよう」
「それでは我々も」
「行きましょう」
キャリコとスペクトラも言ってきた。こうして四人が前線に出る。そしてマーグ直属の部隊もである。彼等も前線に出て来たのであった。
「来たか!」
「トウマ、気をつけて」
ミナキがトウマに声をかけてきた。
「あの人も来たわよ」
「わかってるさ」
毅然とした声でミナキに返すトウマだった。
「それはな」
「そう、それじゃあ」
「勝つ!」
彼は言い切った。
「ここで決着をつけてやる」
「私も」
「行こう、クスハ」
ブリットがクスハに声をかける。
「あいつも来た」
「孫光龍、貴方は一体」
クスハは怪訝な顔で彼を見続けていた。
「どうして地球ではなく」
「あいつは何を考えてるんだ?」
ブリットもそれはわかりかねていた。
「そもそも」
「それがわからないわよね」
クスハもである。
「あの人は何を」
「けれど今は」
「ええ」
ここから先の言葉は不要だった。
「行こう、ブリット君」
「それじゃあな」
「ははは、やっぱり来たねえ」
真龍虎王を見て言ってきた孫だった。
「やっぱり君達は僕と戦うんだね」
「貴方が何を考えているのかわかりません」
本人にも言うのだった。
「けれどそれでもです」
「ああ、それはね」
「それは?」
「僕も言うつもりはないからね」
こう言うのであった。
「そんなことはね」
「言うつもりはないのか」
「その通りさ」
軽い調子でブリットにも返す。
「ただし。ヒントを言うよ」
「ヒントだと?」
「どういうことですか?」
「僕は審判なんだよ」
こう言うのである。
「それは言っておくよ」
「審判!?」
「どういうことなんだ、それは」
「だからさ。言った通りだよ」
そうだというのである。
「僕は審判なんだよ」
「審判」
「何だっていうんだ」
「さて、ヒントは言い終わったよ」
ここで話を切る彼だった。
「じゃあ戦うとするか」
「そうですね。今はそれしかないようですし」
「それならだ」
二人も孫との戦いに入る。クォヴレー、セレーナは既にキャリコ、スペクトラルとの戦闘に入っていた。戦いは既にバルマーにとって著しく不利になっていた。
「マーグ様」
「ここはです」
「我等が」
ジュデッカ=ゴッツォ達がそれぞれ彼に言ってきた。
「引き受けます」
「マーグ様はその間にです」
「冥王星へ」
「いや、まだだ」
しかしマーグは今の彼等の言葉を退けた。
「それはまだだ」
「まだだと仰るのですか」
「それは」
「私もまだ残る」
毅然とした顔での言葉である。
「まだだ」
「それではだ」
それを聞いたバランがここでも話に入って来た。
「わしも残ろう」
「バラン殿もですか」
「そうだ、そうさせてもらう」
彼は重厚な言葉だった。
「よいな、それで」
「はい、命令とあらば」
「それで」
キャリコとスペクトラはそれでいいと返した。
「その様にです」
「させてもらいます」
「わかった。それではだ」
バランは次に孫に顔を向けて問うた。
「御主もそれでいいな」
「ええ、いいですよ」
彼の返答は軽いものであった。
「時間潰しにはいいですしね」
「戦いをそう言うか。まあいい」
バランは今はそれ以上は言おうとしなかった。
「とにかくだ。我等も残る」
「そうされますか」
「退くことは何時でもできる」
それはできるというのである。
「しかしだ。ここはまだ残るべきだ」
「はい、確かに」
「マーグよ」
またマーグに対して言う。
「そなたのヘルモーズにはズフィルードはなかったな」
「はい、この大型のヘルモーズはただの指揮艦です」
そうであるというのである。
「本来はゴッドマーズがあるのですが」
「そうだったな。ハザル坊のもそうだ」
「あれはまた違う機体だそうですね」
「シヴァーが造ったものだ」
ロゼに対しても話す。
「だからそれはだ」
「違うのですね」
「ゴッドマーズは乗れる人間が限られています」
マーグの言葉である。
「私とタケルしかいません」
「その二人だけだな」
「はい、ですから」
「わかった」
そこまで聞いて、であった。彼等は頷きそのうえで戦場に留まる。マーグの旗艦が前線に出てそのうえで戦いに赴く。遂に彼もであった。
「いいか。全軍このままだ!」
「はい!」
「わかりました!」
「このまま踏み止まり戦う」
自ら前線に立ち言う。
「最後まで諦めるな」
「その通りです、マーグ様」
ロゼが彼女に応えていた。
「確かに冥王星への退路はまだありますが」
「それでもだね」
「そうです。最後の最後まで戦いましょう」
こう言って今は前線に留まる。その巨大戦艦でなおも戦うのだった。
「あのとりわけ大きなヘルモーズは」
「あれがマーグの」
「タケルのお兄さんの」
ロンド=ベルの面々もそれを悟った。
「それなら、あれは」
「どうしようかしら」
「あの巨大戦艦は」
「撃沈する」
タケルがその巨大戦艦を見据えて言った。
「そうじゃないとこの戦いは」
「その通りだ」
ケンジも彼の言葉に応えて言う。
「ここはあの戦艦を沈めないとホワイトスターを陥落させられない」
「そうですね」
「ここはな」
アキラとナオトも同じ意見だった。
「そうでなければとても」
「他に七隻もいるしな」
「タケル、お兄さんは」
「兄さんは死なない」
彼はそのことを確信していた。
「何があっても」
「それじゃあいいわね」
「うん、やってみせる」
ミカにもはっきりと答えるタケルだった。
「ここは何があっても」
「よし、それじゃあね」
最後にナミダが言った。
「タケル兄ちゃん、行こう」
「兄さん!」
タケルはすぐにマーグに対して声をかける。
「まだ戦うというのか」
「そうだ」
まさにそうだというのである。
「私はバルマーの司令官だ。だからこそ」
「戦うというのか」
「言っておく」
マーグはタケルに対して言葉を返してきた。
「マーズよ」
「何だっていうんだ?」
「私は御前を倒す」
こう言うのである。
「バルマーの司令官として御前をだ」
「何故だ、何故わからないんだ」
「地球の勢力を殲滅する!何があろうともだ!」
「そうはさせない!」
その彼に返すタケルだった。
「俺は兄さんを!何があろうとも!」
「この男」
バランはタケルを見て思った。
「戦士だな。間違いない」
「俺の手で取り戻す!絶対に!」
「まだ言うのか」
しかし今のマーグには彼の言葉は届かない。
「ならば冥土で言うのだ。攻撃を開始せよ!」
「はい!」
ロゼが応える。そうしてだった。
全軍で攻撃してそのうえでロンド=ベルを退けようとする。
それに対してロンド=ベルは作戦を変えてきた。マーグの旗艦に火力を集めたのだ。
だがそれでも戦艦は中々ダメージを受けない。びくともしていない。
「くっ、流石にあの大きさだと」
「中々ダメージが出ないわね」
「どうすれば」
「方法はあるぜ」
マサキがここで出て来て言う。
「一発しかねえがな」
「マサキ、あれかニャ」
「あれをやるんだニャ」
「ああ、その通りだ」
こうシロとクロに返したうえでだ。
「あれならデカブツでも一発だぜ」
「けれどこっちも一発だけだニャ」
「外すことはできないニャぞ」
「ああ、わかってるさ」
それは既にというのである。
「一撃で決めてやるぜ」
「それじゃあやるニャ」
「本当にニャ」
「皆、どいてろよ」
マサキの目が鋭いものになる。そうして。
「いっけええええーーーーーーーーーっ!」
サイバスターの胸が光った。そこから凄まじい光と衝撃が起こり。
「コスモノヴァ!」
巨大なオーラの弾丸が戦艦を襲う。そしてその中心部に炸裂した。
その攻撃を受けてである。さしもの巨大戦艦も動かなくなった。まさに一撃必殺であった。
「くっ、何という攻撃だ」
「マーグ様」
またロゼが彼に対して言ってきた。
「最早この艦は」
「動かないというのか」
「機能を完全に停止しようとしています」
実際にこう述べる。
「このままでは」
「・・・・・・わかった」
ここまで聞いて歯噛みして頷くマーグだった。
「それではだ」
「はい、それでは」
「撤退だ」
遂にこの決断を下すのだった。
「そうしよう」
「では司令、ここは」
「我等にお任せ下さい」
「是非です」
またモニターにジュデッカ=ゴッツォ達が現れてマーグに告げる。
「我々はここで」
「引き続き戦わせて頂きます」
「それで宜しいでしょうか」
「わかった」
それでいいと頷くマーグだった。
「ここは頼んだ」
「それでは」
「お下がり下さい」
「後はお任せして」
「頼んだよ」
「司令、では」
またロゼがマーグに注げる。
「撤退しましょう」
「ロゼ、君は」
「私はここに残ります」
微笑んでマーグに告げるのだった。
「ですから司令はお先に」
「いえ、それはなりません」
「副司令もです」
「ここはお下がり下さい」
しかしジュデッカ=ゴッツォ達は彼女に対しても言うのだった。
「ここは是非」
「御願いします」
「しかし」
「ロゼよ」
拒もうとするロゼだったがバランが言ってきた。
「好意は受け取っておくものだ」
「ですが」
「よいのだ。一足早く冥王星に行っておれ」
優しい声で彼女に告げる。
「よいな」
「わかりました。それでは」
それを聞いて頷くロゼだった。
「私もまた」
「さて、面白い戦いになってきたのう」
バランは楽しそうに笑っていた。
「小童だけではないからのう」
「さて、僕はですね」
孫は彼とは違っていた。ここで言うのであった。
「下がりますか」
「下がるというのか?」
「僕はまだやることがありますので」
悠然と笑っての言葉である。
「それではこれで」
「去るというのか」
「そういうことです。それでは」
こう言って孫はその真龍王機と共に姿を消した。キャリコとスペクトラは残る。
彼等はそのまま戦う。だがヘルモーズは一隻、また一隻と大きなダメージを受けていく。
「くっ、ここは」
「ズフィルードシステムを発動させろ!」
「こうなればだ」
「それはまだだ」
バランは彼等も止めるのだった。
「まだだ」
「まだだと仰るのですか」
「バラン様、まだだというのですか」
「左様、そなた達も冥王星に下がれ」
こう言うのである。
「それではだ。よいな」
「わかりました。それでは」
「我々も」
「ホワイトスター、惜しくはある」
バランはその星をちらりと見て呟いた。
「だが。今はだ」
「最終的な勝利の為に」
「今は」
「あの星をくれてやる」
これが彼等の決断であった。
「それでわかったな」
「では」
「我等もこれで」
「全軍冥王星に撤退せよ!」
バランが指示を出した。
「いいな、そこで決戦とする!」
「はっ!」
「了解しました!」
ジュデッカ=ゴッツォ達が頷いてであった。それぞれ戦場から姿を消す。こうしてバルマー軍はホワイトスターから姿を消したのであった。
ホワイトスターは占領された。しかしである。
「なあ」
「そうよね」
「やけにね」
「大人しく引き下がったっていうか」
皆バルマーの引き際に疑問を感じていた。
「あのバルマー帝国が簡単に?」
「ズフィルードも出さずに」
「おかしいな」
こう口々に言うのであった。
「やはりこれは」
「何かある」
「そうだな」
「これはどうも」
「かなり」
「何がどうなったんだ?」
周りはそれを話して怪訝な顔になるのだった。
「まさかとは思うが」
「そうだな、これは」
「まだ戦うわね」
それを察したのだった。
「ここは」
「だとするとこれは」
「何処にある?」
「バルマーの基地は」
そのことについて考えることになった。しかしである。
「何処にあるんだ?」
「一体」
「何処に」
「諸君、待つのだ」
ここでグローバルが彼等に告げた。
「今はここは落ち着くのだ」
「落ち着くんですか」
「けれど」
「今は焦る必要はない」
その必要はないというのである。
「ここはだ。いいな」
「そうです。すぐに出て来ます」
今度はクローディアが言ってきた。
「彼等はです」
「だとすれば何処に」
「何処に出て来るんだ?」
そのことについて考えるのだった。そうしてである。
すぐに報告が入った。それは。
「諸君」
「!?タシロ艦長」
「どうしたんですか?」
「一体何が」
「すぐに冥王星に来てくれ」
こう言うのだった。
「すぐにだ。いいか」
「?冥王星に?」
「何故ですか?」
「それは」
「冥王星にバルマー軍が姿を現した」
そうだというのである。
「だからだ。すぐに来てくれ」
「噂をすればか」
「ここでか」
「来たのか」
それを聞いて頷く彼等だった。
「それなら好都合だな」
「そうね」
「冥王星に」
選択肢はなかった一つしかなかった。
「エクセリオンも冥王星に向かう」
「エクセリオンもですか!?」
「ですがそれは」
「安心するのだ」
だがタシロは一同に言うのだった。
「ブリタイ艦長が守ってくれる」
「だからですか」
「ここは」
「そうだ。守ってくれる」
「左様ですか」
「だからこそだ」
大文字に対しても答える。
「今はだ。冥王星に来てくれるか」
「はい、それなら今は」
「ここは」
こうしてであった。総員で冥王星に向かうことになった。
問題はである。行き方であった。どうするかである。
「ボゾンジャンプです」
まさにそれだと話してきたのはルリだった。
「それで一気に冥王星にです」
「またか」
「それでか」
「一気に行くんですね」
「はい、行きます」
ルリははっきりと答えた。
「ことは一刻を争います」
「しかしよ」
ここでオルガが怪訝な顔でルリに言ってきた。
「あんた達前もそれしたよな」
「そうだよね。ゲストとの戦いからこっちに戻る時も」
「使った」
クロトとシャニも言う。
「それ考えたらさ」
「疲れてる筈だ」
「いえ、大丈夫です」
しかしそれでもルリは言うのだった。
「ボゾンジャンプは大丈夫です」
「本当にか?」
「いけるの?」
「そは思えない」
三人はその言葉を信じようとしない。それは他の面々もであった。
「止めておけ」
「そうよ」
忍と沙羅も言う。
「冥王星までの距離は半端じゃねえぜ」
「それを考えたらね」
「確かに遠いけれど」
「このまま行くべきだ」
雅人と亮もそれを考えて話す。
「ここはね。その方がいいよ」
「どちらにしろ敵はそこにいるのだからな」
「いや、そうはいかないよ」
今度はアキトが言ってきた。
「ここはね。やっぱり一気にバルマーを倒さないと」
「しかしだ」
今度はアランが言ってきた。
「ここは止めておくべきだ」
「そうですね」
フェイもアランに続く。
「ルリさん達に負担がかかります。多少時間がかかっても」
「しかしここは」
「どうしても」
こう言い合う。しかしここで。
ホワイトスターにある人物が現れた。それは。
「お困りの様ですね」
「!?クリストフ」
「シュウ様!」
セニアとモニカが二人を見てそれぞれ言う。
「あんたここで出て来るってことは」
「何かおありですね?」
「はい」
二人の問いにいつもの様に慇懃に答えるシュウであった。無論チカも一緒である。
「その通りです」
「俺達の事情もわかってるんだな」
「冥王星に向かわれるのですね」
今度はマサキに対して答える。
「そうですね」
「はい、そうです」
まさにその通りであった。
「それでなのですが」
「まさかと思うけれどね」
「御前も冥王星に行くつもりか」
リューネとヤンロンがそれに問う。
「あたし達と一緒に」
「その為にか」
「それもあります」
それだけではないというのである。
「それにです」
「それに?」
「まだあるのね」
今度はテュッティとミオが応える。
「だとするとそれは」
「何なのかしら」
「冥王星にすぐに御案内致しましょう」
シュウはまた言ってきた。
「お望み通りね」
「そうか。ネオ=グランゾンはだ」
「はい」
次はロジャーに返すのだった。
「その力で別の世界に行くことが可能だったな」
「冥王星位なら瞬間移動も可能です」
「そうか。それでか」
「そうです。すぐに冥王星までにです」
「そういうことだな」
それを聞いて頷くロジャーだった。
「それならばだ」
「よし、これでだ」
「決定?」
「何かいきなり出て来た人に頼ってだけれど」
「御安心下さい」
シュウはいぶかしむ彼等に対してまた話す。
「皆さんをすぐに冥王星に御案内できますので」
「何か別の世界を行き来する時みたいに」
「そうだね。そんな感覚で」
「冥王星に」
ティスとラリアー、デスピニスもここで話をした。
「とにかく。こっちの世界の冥王星で」
「あのバルマー帝国と決戦だね」
「それに」
デスピニスはここでタケルをちらりと見た。そのうえでの言葉であった。
「タケルさん」
「わかってるわよね」
「うん」
ラリアーは真剣な顔でのティスの問いに頷いた。
「タケルさんは何があっても」
「願いを叶えてもらわないとね」
「僕達も力にってね」
「絶対よ。本当にね」
二人に対してあらためて告げるティスであった。
「タケルさんには絶対にお兄さんを救い出してもらうから」
「わかってるよ」
「私も」
ラリアーとデスピニスも頷く。
「タケルさんを見ていたらね」
「何があっても」
「あの人見てるとどうしてもそう思うのよね」
ティスも今はそのタケルを見ていた。
「絶対に望みを叶えて欲しいって」
「そうだね、タケルさんだったら」
「本当に」
「だからこそ」
それを聞いて頷く彼等であった。
ティスもである。タケルを見続けてさらに言うのであった。
「絶対に望みがは適うからね」
「そうだよ、あの人なら」
「絶対に」
「お兄ちゃんだってそうだったしね」
三人のところにナナが来て話してきた。
「だから絶対にね」
「そうだ、一矢はできた」
京四郎も来ていた。
「あいつにもできる、絶対にだ」
「恋人と肉親の違いはある」
ケンジも言う。
「けれど。想いは同じだ」
「だからこそここは」
「絶対に」
「適うんですね」
ティス達は彼等の言葉にも頷いた。
「タケルさんの願いは」
「何があっても」
「本当に」
「それにしても」
ここでティスは思うのだった。
「あたし達はただ生まれてきただけだったのに」
「今はこうしてね」
「誰かのことを考えている」
「人間だからだな」
京四郎はそうだと告げた。彼等三人に対してだ。
「それはな。人間だからだ」
「そう。人間だから」
「だから」
「こうして想うことが」
「できる。デュミナスはそのことを思って御前達を作って残した」
あの時のことも話される。
「だからだ。タケルをだ」
「ええ、何があってもよ」
「お兄さんを取り戻してもらう」
「私達もその為に」
「おい、三人共」
「そこにいたのね」
ラウルとフィオナが三人に声をかけてきた。
「丁度いい、こっちに来いよ」
「ゲームでもしましょう」
こう言って三人を誘うのである。
「時間はちょっとあるみたいだからな」
「暇潰しにね」
「あっ、ゲーム?」
「いいね」
ティスとラリアーがそれを聞いてまず言う。
「それならね」
「僕達はそっちに」
「失礼します」
デスピニスがナナ達に一礼する。
「私達はこれで」
「何かかんだでな」
「どうしたの?京四郎さん」
「あいつ等も完全にロンド=ベルの一員になったんだ」
彼が今言うのはこのことだった。
「だからな。タケルのことだってね」
「マーグさんも」
「絶対にうまくいくさ」
微笑んでの言葉であった。
「何があってもな」
「そうね。必ずね」
ナナも確信していた。これからのことに。確かに困難は多い。しかし望みは適うものだと。彼等は確かに見ているのであった。その希望を。
第百八十五話完
2010・1・22
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