ヘタリア大帝国
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TURN56 ゲイツランドの壁その七
「それでインド洋までの植民地は全部なくなったよ」
「ですが彼等が枢軸側につけば」
「植民地の独立を認めた奴等が連合からいなくなるか」
「後はソビエトとの関係がこじれれば」
本質的に資産主義と共有主義の違いがありしかも階級も君主制も否定しているソビエトならばだというのだ。
「後はです」
「ソビエトと手を切れれば」
「植民地奪回に動けます」
「そうなるか」
「このことも考えておきましょう」
「そうだよな。正直インドとか東南アジアがないとな」
イギリスも腕を組み難しい顔になり言う。
「かなりな」
「辛いですね」
「エイリスは植民地でもってるからな」
だからだというのだ。
「アフリカだけじゃな」
「どうにもならないです」
「今はドクツが来ないけれどな」
「もうすぐソビエトとの本格的な戦争に入りますね」
「どうやらそうみたいだな」
エイリスはその優秀な諜報部の活躍からこのことを察知していた。これもまた彼等にとってかなり重要な情報である。
「どっちが勝つかは」
「それはまだわかりませんが」
「ソビエト大丈夫かよ」
イギリスはドクツの勢いと兵器の質から言う。
「確かに数じゃ圧倒的に優勢だけれどな」
「ですがドクツ軍は強いです」
「こっちの本土での戦いだってな」
「危うかったですね」
「ああ、本当にな」
イギリスが最もよくわかっていることだった。
「あそこでロンメル元帥の軍が北アフリカに行ってないとな」
「我々は敗れていました」
「しかもあの時は東南アジアとかの戦力を回してだよ」
「ですが今はです」
「ああ、ないからな」
その植民地が独立したのだ。このことがまた話される。
「今度ドクツが来たらな」
「その場合ソビエトに勝利した後です」
つまり彼等の力を手に入れた状態でエイリスに来るというのだ。そうなれば。
「それではです」
「やばいな」
「出来ればソビエトには今回はです」
勝って欲しい、セーラはエイリスの切実な願いを口にした。
「敗れて欲しいですが」
「どうなるかな、あっちは」
「確かに国力はソビエトが圧倒しています」
広大な国土と無尽蔵とも言える資源、そして多くの人口。ソビエトはその全てにおいてドクツすら圧倒していた。
だがそれでもだと。セーラはここで言う。
「しかしドクツ軍は強いです」
「兵器の質は段違いだし将兵も訓練されてるしな」
「ドクツ軍はよく訓練され戦争に慣れ」
「しかも軍規軍律は厳正だな」
「その厳正さはまさに鋼です」
それだけ軍規軍律が厳しいのは他には日本軍位だ。ドクツ軍の軍規軍律の厳しさはプロイセン以来だがレーティアがそれをさらに厳格にさせたのだ。
「それ故に精兵となっています」
「ああ、本当に強いよ」
イギリスもその強さを認める。今もアフリカで戦っているだけに。
「あんな強い奴等は今までなかったな」
「そのうえ率いる提督達も名将揃いです」
レーティアがその目で登用している者達だ。凡将である筈がない。
「その三つが揃っているからこそ」
「ドクツは強いか」
「何よりも総統であるレーティア=アドルフ」
何といっても彼女だった。ドクツの強さの全ての源は。
「彼女がいます」
「あの総統がドクツを支えてるか」
「彼女が健在ではソビエトも勝てません」
「じゃあ負けるか」
「そうなうると思います」
セーラもそう見ていた。
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