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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百五十七話 囚われた騎士

                 第百五十七話 囚われた騎士
  ストーンサークルに向かう中で。エクセレンは闇の中で何かと話をしていた。
「エクセレン・・・・・・」
「貴女は?」
「私は貴女」
こう彼女に言ってきたのである。
「貴女ですの」
「私?」
「はいですの」
さらに話してきた。
「ここは私達の宇宙と貴女達の宇宙の狭間」
「この何も無い場所がそうなの」
「そうですの」
また答えてきたのだった。
「扉の向こう側ですの」
「扉の」
「そして」
声はさらに彼女に語ってくる。不思議と彼女のそれと同じ声で。
「貴女は変わっていきますの」
「私が?」
「はいですの」
言葉の返しが続く。
「より純粋な存在へ」
「純粋な」
「器と共に純粋なる存在へ」
ここで言葉は終わった。そしてエクセレンは現実の世界に戻るのだった。
「あれっ、何か」
「どうしたのエクセレン」
「何か変な夢見てたけれど」
こうエマに返すのだった。
「何だったのかしらん」
「夢って時々そうよね」
エマはエクセレンに対して微笑んで述べてきた。
「わからない時あるわよね」
「何でかね。覚えていない夢とか」
「誰だってそうよ。そうした夢だったのね」
「ええ、そうなのよ」
まさにそれだというのである。
「おかしな夢だったわ。本当に」
「わからない夢はそのままであることが多いわよね」
フォウも彼女に言ってきたのだった。
「そのままね」
「そうね。じゃあ今はそのままでいいのね」
「夢はわかるべき時にわかるものですよね」
ファもこの場にいた。
「だからその時にわからなくても」
「そういうことよ。はい」
エマはファに答えながらエクセレンに対して一杯のコーヒーを差し出したのだった。
「飲んで。目が覚めるわよ」
「有り難う」
礼を述べてからそのコーヒーを受け取るエクセレンだった。そしてそのうえで飲むのだった。
そして言う言葉は。
「美味しいわね」
「そう言ってもらえると嬉しいわ」
エクセレンの今の言葉を受けて微笑むエマだった。
「淹れがいがあるわ」
「これ大尉が淹れたの」
「そうよ。私がね」
そうだというのである。
「美味しいって言ってもらえて何よりよ」
「これに濃くって」
エクセレンはさらに飲みながら言う。
「一発で目が覚めたわ」
「起きる時はやっぱりコーヒーよ」
エマはあらためて言うのだった。
「いつも朝にはこれを最初に飲むようにしてるのよ」
「いいね、それは」
ライラもまた彼女の淹れたコーヒーを飲みながら微笑んで言った。
「朝のコーヒーが最高のコーヒーだからね」
「ライラ大尉もそれは同じなのね」
「これでもコーヒーには五月蝿いつもりだよ」
そうだと自分で言うライラだった。
「充分以上にね」
「そうね。ティターンズの頃からだったわね」
「ライラ大尉もコーヒー淹れるの上手なのよね」
今度はマウアーが言った。彼女もその手にコーヒーを持っている。
「お料理も得意だし」
「和食はできないよ」
こう言いはするライラだった。
「あれはちょっと以上に癖が強くてね」
「駄目なの?」
「あの醤油を入れ過ぎてしまうんだよね、どうしても」
エクセレンへの返答はこれであった。
「中華料理なら美味くいくんだけれどね」
「和食ってその加減が難しいですよね」
ファもここで言った。
「どうにも。私中国系なんでお醤油もよく使いますけれど」
「ジェリドなんかは和食は味が薄いって言うからね」
ジェリドはアメリカのテキサス出身である。
「カクリコンにしろヤザンにしろね」
「ヤザンさんは如何にも濃い味が好きそうね」
フォウはぽつりと言った。
「何かそんな感じが」
「それで私が作った和食はそういった面々には評判がいいんだけれど」
「日本人には?」
「さっぱりなんだよね」
エクセレンに対して苦笑いで返した。
「もうね。本当にね」
「うちの部隊は日本人多いからそこが問題になるのよね」
マウアーが言った。
「一体どれ位の割合なのかしらね」
「日系も入れたらそれこそ」
エマは真面目に述べた。
「もうかなりの」
「一応うちのシンも日系よ」
タリアがここで彼女達に言ってきたのだった。彼女は今指揮をアーサーに任せて休憩に入っている。それで彼女達と一緒にいるのである。
「あれでね」
「そうなのよね、あいつ」
「日系なのよね」
ルナマリアとメイリンもここで言った。
「うちの部隊日本人とか日系人多過ぎるけれど」
「あいつはもうその中でも」
一番あれだというのである。
「困ったことにね」
「シンジ君も日本人だけれど」
「結局日本人って何なのだ?」
今言ったのはクランだった。
「他の星から来た私には一番わからないことだ」
「女形?」
こう言ったのはソーマだった。
「何でこの言葉が出たのかは自分でもわからないけれど」
「それはアルト君からね」
エルフィにはすぐにわかったことだった。
「あんたマクロスであの子と結構一緒にいるからね」
「そういえばあの子もいい顔立ちしてるわよね」
キャシーがここで言った。
「奇麗なね」
「っていうかうちの部隊って」
「何か」
キャシーの言葉で皆あることに気付いたのだった。
「女装似合うメンバー多いし」
「エイジ君なんかあれで」
今言ったのはエクセレンであった。
「女装凄い奇麗じゃない?美形っていうか」
「そうですね。確かに」
キムもそれは否定しなかった。
「綾人君にしても」
「日本人って華奢だからね」
今言ったのはキャラである。
「そういうのが似合ってしまうんだろうね」
「シンジ君なんかかなり」
エクセレンはさらに言う。
「女装したら怪しいような」
「中には例外もいるけれど」
「確かに」
こんな話をしていた。するとだった。
「艦長」
「出番ね」
「はい、そろそろです」
アーサーが扉の向こうからタリアを呼んだのである。
「艦橋に御願いします」
「わかったわ。それじゃあ」
タリアは彼の言葉に頷く。そのうえで言うのだった。
「総員戦闘配置よ」
「了解」
「それじゃあ」
「さて、どうなるかしらね」
タリアの言葉は幾分か楽しそうなものだった。
「鬼が出るか蛇が出るか」
「アインストはどっちかっていうと」
「鬼かしら」
皆もあえてリラックスした言葉を出した。
「それじゃあ鬼対峙に」
「いざっ」
こう話して出撃に入る。遂にストーンサークルが見えてきていた。
「あれっ!?」
「いない!?」
しかしであった。アインストはいなかった。それも一機も、である。
「何でかしら」
「盛大にお迎えしてくれると思ったのに」
皆このことに少し拍子抜けだった。しかし警戒を解いてはいない。
「来るな」
「そうね」
ヒューゴの言葉に鋭い顔で頷くアクアだった。皆既に出撃している。
「すぐに」
「確かに動体反応、熱源反応はありません」
エドレアが言う。
「しかし」
「しかし?」
「重力反応が・・・・・・これは」
それがというのである。
「何だこの大きさは」
「そうか」
ヘンケンは彼の言葉を聞いて頷いた。
「それだな」
「はい、ストーンサークルの中心からです」
「来るぞ」
最早展開は言うまでもなかった。
「いよいよな」
「さて、アインスト」
「今度はどう来るのかしら」
全軍に緊張が走る。彼等が来るのを待ち。
その中でショーンが言った。
「これはですな」
「これは?」
「罠だったのですな」
こうユンに述べるのだった。
「間違いなく」
「罠だったんですか」
「そう、我々をここに誘き寄せる為の」
それだったというのである。
「その為の罠だったのです」
「それでロンドンを包囲してだったんですか」
「そうすれば我々が動くとわかっていてか」
テツヤも言った。
「それでアインストは」
「しかしです」
ショーンはさらに言うのだった。
「それに乗るしかありませんでした」
「それになのですね」
「はい。アインストとは何か」
ショーンはまたユンに応えた。
「その謎を導き出す為にも」
「まだこの世界に来て間もないですけれど」
八雲がショーンの話をここまで聞いたうえで述べてきた。
「アインストというのも尋常な存在ではありませんね」
「ラーゼフォンの反応が」
そのラーゼフォンに乗る綾人の言葉である。
「いつもよりもずっと」
「どうなっているの!?」
「警戒しています」
こう遥に答えたのだった。
「ずっと。警戒が」
「ラーゼフォンが警戒している」
「はい、そして僕自身も」
綾人自身もだというのである。
「感じています」
「そうなのね」
「これがアインストなんですね」
綾人の言葉は実際に警戒するものだった。
「これが」
「ねえクスハ」
リオはクスハに対して尋ねた。
「真龍虎王は?」
「警戒しているみたい」
そうだと答えるのだった。
「どうやら」
「そう、やっぱり」
「じゃあ間違いないね」
クスハの言葉を聞いて頷いたのはリョウトだった。
「来るんだね、もうすぐ」
「それに」
今度言ったのはブリットだった。
「まだ何か来るみたいだ」
「まだ!?」
「っていうと一体!?」
皆今のブリットの言葉に目を鋭くさせた。
「何が来るの?今度は」
「シャドウミラーか?それともゲスト!?」
「そこまではわからない」
ブリットはこう答えるしかなかった。
「けれど真龍虎王が」
「そう、感じてるのね」
「確かに」
「一体何が来るんだ?」
カイはそのことを真剣に考えていた。
「何がだ」
「敵なのは間違いねえな」
ジャーダはこう考えた。
「確実にな」
「敵だっていうのね」
ガーネットもパートナーの言葉に考える顔になる。
「そうね。そう考えるのがね」
「じゃあまとめて叩き潰してやるさ」
カチーナは至極単純な答えであった。
「どいつもこいつもな!」
「前方に転移反応!」
そしてここで、であった。ユンが叫ぶ。
「パターンアインストです!」
「来たか!」
「遂にね!」
ユウキとカーラが同時に叫ぶ。
「それならだ」
「やってやるわよ」
「その数二万!」
ユンは今度は数も報告した。
「前方にです!」
「全機迎撃準備!」
「わかりました!」
ラッセルがカイの言葉に応える。
「戦艦を中心にフォーメーションを組め!」
「他にも転移反応です!」
ユンの報告はまだ続いていた。
「これは一分後にです」
「数はわかるかしら」
「五つです」
それだけだというのである。
「五つです、間違いありません」
「五つ!?」
「またそれは少ないですね」
ユンの今の報告にレフィーナもショーンも少し意外な顔になった。
「それで大きさは?」
「どの程度ですかな」
「大体バーチャロンと同じ位です」
大きさも述べるユンだった。
「それだけです」
「一体何かしら」
「わかりませんな」
「OH!まさか」
ここでハッターが言った。
「俺達の同志かも知れないな、それは」
「誰よそれ」
フェイがそのハッターに問う。
「ハッちゃんが五人もいたら騒がしいわよ」
「御前が言うな御前が!」
すぐにそのフェイに言い返すハッターだった。
「御前が五人でも大変だぞ!」
「確かに」
シンジは今のハッターの言葉に納得した顔で頷いていた。
「アスカやカガリがあと五人いたら確かに」
「そうだな」
「全くだ」
テムジンとライデンが彼の言葉に賛成してきた。
「あまりにも騒がしい」
「フレイもそうだが」
「ちょっと待ちなさいよ」
「私達だというのか!?」
「聞き捨てならないわね」
すいぐにその言葉に反応してきたその三人娘だった。
「大体何でそこであたしが出て来るのよ」
「私が五人だと!?」
「人をアメーバみたいに言わないで欲しいわね」
「けれどさ」
シンジはその五人に対して言い返した。
「アメーバは喋らないよ」
「少なくとも静かなものだ」
「アメーバは喧嘩をしないぞ」
テムジンとライデンもシンジの側についている。
「それを考えたらさ。それこそアスカ達がもう五人いればそれこそ」
「悪夢だ」
「考えたくもないな」
「あのね、そんなこと言ったら」
「まず御前等から死んでもらうぞ」
「ドラグーンいる?あげるわよ」
今まさに攻撃せんとしていた。しかし幸いにしてそうはならなかった。
「来たわよ」
「向こうからね」
ミサトとリツコがここで言った。
「正面からね」
「いいわね」
「はい」
シンジはすぐに二人の言葉に応えた。そして。
「戦闘開始ですね」
「喧嘩は後にしてね、いいわね」
「喧嘩なんてしてないわよ」
アスカは今のミサトの言葉に顔を顰めさせていた。
「そんなのはね」
「じゃあすぐに前方に攻撃開始よ」
ミサトはそのアスカに対してすぐに告げた。
「いいわね」
「わかったわ。それじゃあ!」
その前から来たアインストの大軍にすぐに射撃をはじめた。
「こうやってね!」
「全機火力を前方に集中させて!」
ミサトは次に全機に指示を出した。
「それでまずは敵を寄せ付けないで」
「前に撃てばいいんだよな」
「ええ、そうよ」
ディアッカの問いにも答える。
「だからね」
「よし!それなら俺の十八番だ!」
ディアッカはミサトの言葉を確認するとすぐに。フリーダムの攻撃を前方に放ったのだった。
「グレイト!数が多いだけに狙いやすいぜ!」
この言葉と共に七色の光を放つ。それで前方の敵をまとめて撃墜していた。
「突進はなしよ!」
「今は陣形を整えて!」
ミサトだけでなくリツコも指示を出している。
「それで今は敵の数を減らすことに専念して」
「いいわね」
「わかりました」
ダバはバスターランチャーを出していた。それを一気に放つ。
一条の光が飛びそれが敵を撃った。忽ち光の周りに幾つもの誘爆が起こる。
そうやって一撃で相当の敵を倒したのだった。
「やったわね、ダバ」
「うん、これでまた数が減ったな」
「けれどまだ」
言っている側からだった。敵はまだいた。彼等がすぐに向かって来るのだ。
「来るわ」
「わかってるさ」
こうエリスに対して答えるダバだった。
「だからまだ・・・・・・!」
またバスターランチャーを放つ。彼も本気だった。
そして一分経った。するとだった。
まずはロンドン方面からだった。またバルキリーが来たのだ。
「バルキリー!?」
「まさか」
「いや、そのまさかだ」
モニターにミスマルが出て来て彼等に告げてきた。
「ロンドン防衛戦で活躍したゼントラーディ出身のエースだ」
「テムジンだ」
そのパイロットが名乗ってきた。
「階級は少尉ということになっている」
「今回の活躍で中尉に昇進予定だ」
ミスマルはまた彼等に話してきた。
「君達に参加することになった。宜しく頼むぞ」
「わかりました」
「新規加入ですか」
「以上だ」
ミスマルからの話はこれで終わりだった。しかし彼はまだ言うのだった。
「ユリカ、くれぐれもな」
「ナデシコは今最前線ですよ」
「何っ、最前線だと!?」
他ならぬ娘の言葉にかなり動揺する父だった。
「お父さんはな、それはな」
「大丈夫です」
しかしここでルリが言うのだった。
「いつものことですし」
「いつもだというのか」
「ロンド=ベルですから」
ルリの今の返答は何の反論のしようもないものだった。
「それ位は」
「むう、確かにそれはそうだが」
「それにですけれど」
今度はメグミが言ってきた。
「さっきの五体が出て来ましたよ」
「何ですか?それで」
ユリカは一旦父から顔を離して尋ねた。
「それで」
「バーチャロンの様です」
こう答えるメグミだった。
「これはバーチャロン!?」
「あら、ここって」
「何処なのかしら」
「テムジンとハッターがいるけれど」
まずは赤い三体のロボットから声がしてきた。
「他は知らないし」
「あれっ、フェイと少尉もいるじゃない」
「確かに」
「!?御前達は」
テムジンが彼女達の姿を認めて言った。
「御前達もここに来たのか」
「そうだ」
その中の一人が答えたのだった。それはテムジンと酷似している外見だった。
「久し振りだな、テムジン」
「全くだ」
テムジンはその相手に対して言葉を返した。
「まさかここで出会うとはな、クリアリア」
「お久し振りです、ギル少尉」
「そうだな」
ライデンもまた自分と同じ姿の相手に応えていた。
「レドン軍曹」
「少尉と軍曹って?」
「まさか」
皆それを聞いて唖然となった。
「ライデンって一人じゃなかったの?」
「しかも階級なんてあったの」
「あるに決まっている!」
ここで叫んだのはハッターだった。
「その証拠がこのアーム=ド=ハッター軍曹だ!」
「そういえばそうだったよな」
「確かに」
「ハッターって軍曹だったんだ」
皆ここであらためてこのことに気付いたのだった。
「何かただ言ってるだけだって思ってたけれど」
「軍曹だったんだ」
「自称ではない!」
それはムキになって否定するハッターだった。
「俺はハッター軍曹だ!絶対に覚えておくのだ!」
「今思い出したっていうか」
「何か」
皆また頭の中に入れたのだった。もっともまた忘れるものだった。
「そういうことだ。我々の世界にも階級はあるのだ」
「その通りだ」
ギルとレドンが皆に話す。
「それはな」
「よく覚えてもらおう」
「それで私達だけれど」
「いいかしら」
「自己紹介して」
今度は先程の三体が言ってきたのだった。
「何か次から次に個性が強いのが出て来るわね」
「個性のことは言いっこなしよ」
ルナに対してミヅキが微笑んで突っ込みを入れる。
「お互い様じゃない」
「それもそうね」
言われてこのことに頷くルナだった。
「そういえば」
「だからよ。お互い様ってことでね」
「わかったわ」
そしてそのうえで、だった。その三人が言ってきたのだった。
「私はシルビー」
「デボラ」
「ジェニファーよ」
こう名乗るのだった。それが三人の名前だった。
「この娘達はレディーなのよ」
「レディー!?」
「そうなの」
「そうよ、レディーよ」
また皆に話すフェイだった。
「私と同じでね」
「レディーっていうか」
「フェイと一緒かよ」
このことに皆いささか以上に引いていた。
「だとしたらかなり」
「騒がしくて口が減らないのね」
「あら、私をそう見てるの」
フェイはその皆の話を聞いて述べた。
「こんなレディーを捕まえて」
「御前がレディーの筈があるか!」
ハッターが速攻でそのフェイに対して突っ込みを入れてきたのだった。
「御前みたいな女がだ!」
「あら、言ってくれるわね」
いつもの様にハッターに返すフェイだった。
「私に対して」
「何度でも言ってやる!」
そしてハッターもだった。
「御前がレディーな筈があるか!」
「私が嘘をついてるっていうの?」
「事実誤認だ!」
それだというのである。
「御前のはだ!」
「あら、じゃあこれから見せてあげるわよ」
フェイは臆面もなくハッターに言葉を返した。
「私のレディーぶりをね!」
「くーーーーーーーーーーっ、相変わらず口の減らない女だ!」
「何かいつものパターンだな」
「そうだな」
豹馬と健一がそれを見て話す。
「この二人だけはな」
「変わらないな」
「変えるつもりはない!」
しかも居直るハッターだった。
「このアームド=ザ=ハッター軍曹のアグレッシブさはな!」
「それはわかったから」
「本当に変わってないけれど」
「ハッター、聞きたいことがあるけれど」
三人はこうハッターに対して言い返してきた。
「いいかしら」
「ん!?何だ?」
「私達の相手は誰?」
「あの植物みたいな連中?」
「それともあんた達?」
こう問うのだった。
「どっちなのよ」
「どっちでもいいけれど」
「あんたならぶちのめしてやるし」
「何だと!」
三人の言葉にまた激昂するハッターだった。
「俺もだ!御前等が相手でもだ!」
「いい加減にしろ」
ここで横からテムジンが彼に言ってきたのだった。
「御前達の相手だな」
「そう、それよ」
「一体誰なのよ」
「どっちなのよ」
「選ぶといい」
こう返すテムジンだった。
「御前達自身でな」
「俺はわかっている」
「私もだ」
クリアリアとレドンは既になのだった。
「テムジンと共に戦おう」
「少尉と共に」
二人は最初から決めていた。そして次はだった。
「じゃあ私達も」
「何かあの植物やたら不気味だし」
「それ見たらね」
答えはもう出ているというのだった。そして。
「では早速だ」
「やらせてもらおう」
彼等もまたロンド=ベルに合流した。そうしてそのうえで一直線に敵に向かうのだった。
敵の数は多い。しかしだった。彼等はそのまま二万の敵を一掃してしまった。
しかしまだ敵はいた。正確には出て来たのだった。
「また出て来たのかよ」
「お決まりのパターンだわさね」
甲児とボスがそれを見て言った。
「もうよ。何ていうかよ」
「わかっていたし」
「そうね。倒すだけで」
さやかもさばさばしたものだった。
「それでいいわよね」
「よし、何か何時の間にか囲まれてるけれどな」
「そんなの気にしないで」
「やってやるだわさ」
こうしてロンド=ベルは全軍で向かうのだった。四方八方から襲い掛かって来る敵を片っ端から倒していく。彼等は戦いには勝っていた。
しかしだった。その囲んできた敵を倒すうちに。あることに気付いたのだ。
「おかしいな」
「どうしたの?鉄也」
ジュンが鉄也に対して問うのだった。
「何かあるのかしら」
「あのアルフィミィリィだったな」
その彼女の名前を出すのだった。
「彼女がいないな」
「そういえばまだ」
言われてそのことに気付いたジュンだった。
「いないわね。どういうことかしら」
「そうだ。どういうことなんだ?」
皆ここで気付いたのだった。
「一体これは」
「どういうことなのかしら」
「そうだな。何かあるな」
大介もここで疑問に感じたのだった。
「間違いなくな」
「絶対に出て来るわよ」
マリアはそれを確信していた。
「いるのは間違いないから」
「そうね。これもいつものことだからね」
ひかるも話すのだった。
「これも」
「何処かにいる」
また言う大介だった。
「彼女はな」
「ちっ、いるならよ」
ここでさらに言う甲児だった。
「何処にいるんだよ」
「まあ焦ったらだめね」
さやかはその甲児を宥めた。
「ここはね」
「ちっ、また待つっていうのかよ」
「そういうことよ。いつもだし」
「何ていうかね。お決まりでやんすけれど」
「疲れるんだよなあ」
ヌケとムチャは自分達もいつも通りなのには気付いていない。
「そういうのはでやんす」
「どうしたものかな」
「ここは待つしかない」
鉄也もまたいつも通りだった。
「じっくりとな」
「そうね。待ちましょう」
そしてそれはジュンもだった。
「じっくりとね」
「ちっ、仕方ねえな」
「ここはね」
ここは護るしかなかった。そのうえで戦いを続ける。そして今度の敵の数も減ってきていた。
しかしまだアルフィミィリィは出て来ない。そのことにさらに不審に思っているとだった。
「むっ!?」
「出て来たか!?遂に」
「時が来ましたの」
そのアルフィミィリィの言葉だった。彼女が確かにいた。
「私の動くべき時が」
「動くべき時!?」
「何、それは」
「エクセレン=ブロウニング」
「私!?」
「そう、貴女ですの」
彼女だというのだった。
「貴女ですの。もう一人の私」
「もう一人の私!?」
「そうですの」
こう彼女に話していくのだった。
「貴女を迎えに」
「迎えにって何よ」
エクセレンには全く訳のわからない話だった。
「大体私は貴女とは・・・・・・えっ!?」
「同じですの」
急にだった。エクセレンの動きが止まった。
「どうした!?急に」
キョウスケはそのエクセレンを見て眉を顰めさせた。
「エクセレン、どうした!」
「・・・・・・・・・」
返答はなかった。沈黙したままである。
そしてエクセレンは動かない。そのヴァイスリッターもである。
「おかしい・・・・・・」
「これは」
キョウスケ以外の他の者も不審に思った。
「洗脳!?」
「まさか」
「違いますの」
やはり違うというアルフィミィリィだった。
「私は呼び掛けているだけですの」
「呼び掛けている!?」
「そうですの」
こうキョウスケにも返してみせてきた。
「私がですの」
「一体何を考えている」
キョウスケは目を鋭くさせてアルフィミィリィに対して問うた。
「貴様は」
「私の運命のままですの」
キョウスケにはこう返すだけだった。
「ですからこれで」
「むっ!?」
「行くのですの」
静かに微笑みそしてまたエクセレンに声をかけるのだった。
「私と共に」
「・・・・・・・・・」
「ま、まさか」
「エクセレンさん!」
皆エクセレンに対して声をかけた。
「行くな!」
「行っちゃ駄目よ!」
全員で止めようとする。しかしであった。
エクセレンはその虚ろな目のままで前に出た。そしてだった。
そのままアルフィミィリィのところに来て。消えていくのだった。
「そんな・・・・・・」
「嘘だろ」
「エクセレンさんが」
こう言って呆然としながら見る。今はアルフィミィリィだけが残っていた。
「それではですの」
「待て!」
「消えるつもり!?」
「そうですの」
ロンド=ベルの沿面に対して微笑んで返すのだった。
「それではこれで」
「待て」
その彼女を行かせまいとするキョウスケだった。
「エクセレンは御前だと言ったな」
「はいですの」
それも認める彼だった。
「そして私もまた」
「貴様もまた?」
「消えるのですの、今は」
そして彼女も消えた。後には誰も残っていなかった。
残ったのはロンド=ベルの面々だけだった。彼等はまだ唖然としていた。
「何だっていうの!?」
「一体」
彼等は話をするだけだった。
「エクセレンさんがあいつってよ」
「どういうことなの!?」
「いや、そういえば」
ここで気付いたのはアラドだった。
「エクセレンさんとあいつよ」
「あの娘が!?」
問うたのはゼオラだった。
「あの娘とエクセレンさんがどうしたの?」
「顔、似てるよな」
アラドが言ったのはこのことだった。
「それに声も」
「そういえば」
言われてこのことに気付いたゼオラだった。
「確かに」
「クローンとかそういうのじゃないよな」
「いや」
キョウスケがここでそのアラドに対して言ってきた。
「そんな話は俺も聞いたことがない」
「そうなんですか」
「それは」
「しかしだ。似ているのは確かだ」
それは間違いないと言うのだった。
「あの女とエクセレンは間違いなく似ている」
「そうですよね、やっぱり」
「エクセレンさんとあの娘は」
「だが今は言っても仕方がない」
キョウスケはまた話した。
「あの女は消えた」
「そうね」
オウカはキョウスケのその言葉に頷いた。
「今はね。消えたわ」
「また姿を現わす」
キョウスケは冷静だった。少なくとも表面上は。
「その時だ」
「その通りだ」
彼の今の言葉に応えたのはダイテツだった。
「今は何を言っても仕方がない」
「じゃあどうするのですの?」
ラトゥーニが彼に対して問うた。
「それでは」
「全軍基地に入る」
そうするというのだった。
「イギリスに手頃な基地といえばだ」
「スカパフローですね」
エイタが応えてきた。
「あの基地なら」
「そうか。ではそこに向かうか」
「はい、そうしましょう」
これで話は決まった。彼等はとりあえずはスカパフローに入るのだった。しかしこれはただの戦いの合間の息抜きに過ぎなかった。

第百五十七話完

2009・10・9  
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