スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
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第百五十三話 明かされた謎
第百五十三話 明かされた謎
イール達を退けまずは街の港に入り落ち着いたロンド=ベル。ここでロジャーが仲間達に話すのであった。
「つまりこの街はだ」
「ええ」
「何なんですか?」
「前からおかしなことばかりの街でしたけれど」
「鏡だったのだ」
こう話すのであった。
「表の世界の鏡だった。
「鏡!?」
「鏡っていうと」
「表の世界は一万二千年」
まずはこの数字を出す。
「そしてこの世界は四十年だ」
「四十年」
「それで入れ替わる」
「そうだ。四十年で入れ替わる世界だったのだ」
ロジャーは言葉を続けていく。
「パラダイムシティは」
「成程な」
不動はそれを聞いて頷いた。
「我等の世界は一万二千年ごとにリセットされるが」
「はい」
「そしてこの街は」
「四十年ごとにリセットされる」
こう話すのであった。
「その都度な」
「おそらくこの街は表の世界のテストだったのだ」
また言うロジャーだった。
「その為に常に四十年ごとに切り替えられていたのだ」
「そうなるな。そして切り替えを行っていたのは」
「あの神達だ」
ロジャーは言う。鋭い声で。
「アル=イー=クイスという者達だ」
「あの連中が世界を切り替えていたっていうのかよ」
闘志也がそれを聞いてふと言った。
「じゃあよ」
「どうしたんだ闘志也」
ジュリイがその闘志也に尋ねた。
「何かあるのか?」
「いやよ、ロジャーさんもそうだけれどな」
こう前置きしてからまた言う闘志也だった。
「じゃあこの街の人達は何なんだ?」
「この街のっていうと」
「パラダイムシティか」
ジュリイだけでなく謙作もここで言った。
「この街をか」
「そうだよ。四十年ごとに切り替えられるんだよな」
「そうだ」
ロジャーは闘志也に対しても述べた。
「その通りだが」
「じゃあよ。この街の、いや」
ここで言葉を替えた闘志也はあることに気付いたのである。
「この世界の俺達もよ」
「全てはあの連中に作られたんじゃねえのか?」
甲児が言ってきた。
「あのアル=イー=クイスによ」
「ってことは俺達はだ」
「つまりは」
闘志也だけでなくカティも言った。
「我々はイミテーション、いや」
「いや?」
「駒だったのだ」
彼女はこう分析した。
「あの神々のな」
「神々の駒か」
「その遊戯の」
「遊戯の中で出て来て動かされる」
カティの分析は続く。
「そして消される。そうした駒だったのだ」
「何だ?そりゃ」
黒銅がそれを聞いて目を顰めさせた。
「俺達は駒かよ。奴等の遊びの」
「遊び。そうだよね」
「アル=イー=クイスの口調だと」
錫石と青銅も言う。
「この場合は」
「そうなるな」
「ふざけた話だ」
刹那はそれを聞いて一言で述べた。
「奴等がそう思っているだけだ」
「そう思っているだけ?」
「刹那、それは」
「奴等の目論見は既に崩れている」
彼は言うのだった。
「天使達も世界を滅ぼすことを放棄してイノベイター達も捨てられた」
「つまり奴等の目論見は崩れている」
「そういうことなのね」
「ではまた崩すだけだ」
素っ気無く言ってみせた刹那だった。
「奴等のその目論見をだ」
「そうか。それなら」
「私達は」
「戦うだけか」
ロジャーがここで言った。
「我々はここで」
「そうですね。ここは」
「どちらにしろ」
「戦い勝てばだ」
ロジャーの言葉は続く。
「それで道が開けることになる」
「それじゃあ」
「行きましょう」
「だが」
ロジャーはここでまた言った。考える顔になって。
「この街から出る手段は」
「そうだな。シュウの野郎もいねえ」
マサキが言った。
「今度は街から出ることはできねえってわけか」
「そうね」
テュッティはマサキの言葉に暗い顔になった。
「戦いに勝ったとしても」
「そう悲観的に考えることもない」
ここで言ったのは宗介だった。
「入ったからには出ることもできる」
「入れられでも?」
「だとしたら出られる」
メリッサにこう返すのだった。
「そういうことだ」
「そうだな。じゃあな」
クルツも言った。
「今はこのまま戦おう」
「さて、それなら」
「行くか」
皆戦いに心を向けた。戦いに向かうその意気をだ。
「それではな」
「向かいましょう」
「レーダーに反応です」
ここでテッサが告げた。
「パラダイムシティに敵軍です」
「そうか。やはり来たか」
ロジャーはそれを聞いて呟く様にして述べた。
「ここで」
「ですが」
「どうした?」
ロジャーは今のテッサの言葉に顔を向けた。
「敵機の数が多いのか?」
「数は千機程度です」
今までの戦いと比べればかなり少ない数であった。
「ですがその種類は」
「種類は?」
「何なんですか敵機は」
「ビッグオーです」
必死に冷静さを保とうとしている今のテッサの声だった。
「それが千機です」
「ビッグオー!?」
「まさか、そんな」
それを聞いて誰もが驚きの声をあげた。
「それはロジャーさんの」
「それがどうして」
「つまりだ」
ここでロジャーはまたあることに気付いたのだった。
「ビッグオーは本来はこの街をリセットする為の存在だったのだ」
「この街を」
「消す為の」
「だが私に依頼した。それはおそらく」
ここで推理した。その結果導き出された答えは。
「それもまた『神』だったのだ」
「神!?」
「けれどこの世界の神は」
「アル=イー=クイスとは別の神だ」
彼は言った。
「その神が私に仕事を依頼したのだ。彼を仲介して」
「それが四十年前」
「ロジャーさんがこの街の謎を解く様にと」
「そういうことだ。神も様々だ」
彼はこのこともわかったのだった。
「どうやら対立する二つの軸があるようだな」」
「そしてその神がロジャーさんにビッグオーを一機手渡した」
「パラダイムシティの謎を解く為に」
「そうなる。そしてそれならばだ」
ロジャーの考えは決まっていた。それならばであった。
「私の取るべき手段は一つ」
「ビッグオーに乗るのね」
「そうだ」
ドロシーに言葉を返す。
「それだけだ」
「わかったわ。それじゃあ」
「乗ろう、ドロシー」
自分から彼女を誘ってみせた。
「そしてこの街での最後の戦いに」
「ええ」
「ビッグオー」
早速そのビッグオーに乗り込む。そして高らかに言うのであった。
「ショーーータイム!」
その言葉と共に今ロジャーのビッグオーが姿を現わした。そして他のロンド=ベルのマシンも。彼等は千機のビッグオーに向かうのだった。
戦いはまずはあっけなく終わった。しかしそれに留まらなかった。
「何っ、また出て来た!?」
「またビッグオーが千機」
そうなのだった。あらたなビッグオーが出て来たのだ。また千機であった。
「倒してもまた出て来るのかよ」
「それじゃあキリがないの?」
「いや」
しかしここでロジャーは言った。
「必ず何かがある」
「何かが」
「じゃあそれを見つけるまでは」
「戦い続ける」
こう言うのであった。
「そうすれば必ず道が開ける筈だ」
「そうね」
彼の今の言葉に頷いたのはドロシーだった。
「それはきっとあるわ」
「そう。アル=イー=クイスは完全の存在ではない」
今度はこうしたことを言うロジャーだった。
「今まで私達はその目論見を崩してきた」
「なら今度も」
「崩すだけですね」
「その証にだ」
またロジャーは言った。
「今姿を出してきている」
「何っ!?」
「姿を?」
「そこね」
ドロシーが気付いた声を出した。
「ロジャー、あそこなのね」
「そうだ、行くぞドロシー」
「ええ」
街の一際高いビルに向かう。見ればそこには。
「亀裂!?」
「ビルに亀裂が」
「空間の裂け目だ」
ロジャーはその亀裂が何かを見破っていた。はっきりと。
「神はそこにいる。ならば」
「ビッグオーで」
「やってみせる!」
サドンインパクトを浴びせる。するとそこから。
アル=イー=クイスの神々が姿を現わしたのだった。ビルが崩れるのと共にその姿をそれぞれ出してきたのであった。パラダイムシティに。
「何故だ」
「何故我等がこの街にいるとわかったのだ」
「しかもここに」
「崩壊しようとする世界には必ず亀裂が生じる」
その彼等に対して告げるロジャーだった。
「まずそれが一つだ」
「それが一つ」
「では他にも」
「あるというのか」
「そうだ。この世界は御前達が作り出した世界だ」
次に彼が言うのはこのことだった。
「世界を作り出すのは神とても尋常なことではない」
「そうね」
彼の今の言葉に頷いたのはまたドロシーだった。
「そして壊すのも」
「それだけのことをするのに自分達がいない筈はない」
ロジャーの読みだった。
「だからだ。必ずいるとわかっていた」
「だからだというのか」
「神の心を読んだのか」
「まさか」
「そのまさかということだ」
ロジャーの声は強いものだった。
「読んでみせた。神とて万能ではない」
そしてこう言い切ってもみせた。
「神が世界を壊すというのなら人間はその世界を維持してみよう」
「愚かな」
「神に逆らうだと」
「戯言を」
「言っておく。私は戯言は言わない」
ロジャーはそれを否定した。
「真実を言うことはあってもだ」
「じゃあよ。あの連中を潰せばいいんだよな」
「そういうことね」
「そうだな、ロジャーさん」
ゴウ達がそのロジャーに尋ねてきた。
「ならよ。俺達だってな」
「やらせてもらうわ」
「その神様とやらを倒す」
「そうするといい。少なくとも私はそうするつもりだ」
「この街の為?」
ドロシーが彼に問うた。
「その為なの?」
「そうだ。ここは私の生まれ育った街だ」
彼はドロシーの問いに答えて述べた。
「言うならば私にとって全てだ」
「そうね。確かに」
「それに」
「それに?」
「私は依頼された仕事は必ず果たす」
彼はこうも言った。
「ネゴシエイターとして。その責務を果たす」
「その為に神を倒すのね」
「アル=イー=クイス」
彼女達を見据えていた。
「今ここで御前達を倒しその責務を果たさせてもらう!」
「戯言を」
「人が神を倒すなどと」
「しかもだ」
彼女達は口々に言ってきた。
「我等はイノベイター達とは違う」
「正真正銘の神である」
「人とは明らかに違う。それを倒すなどとは」
「さあて、それはどうかな」
万丈は彼等の言葉を鼻で笑ってみせてきた。
「何でも思い通りになると思うのはよくないよ」
「何っ」
「神の言葉を否定するというのか」
「人間が」
「何度も言うけれど君達は僕達に計画を阻まれている」
またこのことを指摘してみせる万丈だった。
「レムリアンのこともそうだね」
「あの者達は世界を影から治める筈だった」
「イノベイターが表ならば」
「しかしそれは」
「僕達が阻んだ」
そういうことだった。少なくとも最早レムリアンが動ける状況ではなくなっている。
「そして天使達もだね」
「あの者達が世界を崩壊させる筈が」
「その目的を離れた」
「それも御前達によって」
「最後は僕から言わせてもらうよ」
あえて神の先手を打ってみせた万丈だった。
「そしてイノベイター達もね」
「所詮は人形であった」
「だがそれを倒すとはな」
「何処までも我等の邪魔をする」
「君達は僕達に計画を阻まれてきている」
その事実を彼女達に突きつけてみせるのであった。
「そして今回もね」
「今もだと」
「まだ言うというのか」
「その戯言を」
「残念だけれど戯言じゃない」
万丈は自信に満ちた笑みと共に言ってみせた。
「君達の計画は失敗する。そして」
「そして?」
「滅びるのは君達だ」
堂々とした言葉であった。これ以上はない程に。
「今それを言わせてもらうよ。君達は滅びる」
「くっ、ならばだ」
「滅ぼしてみせることだ」
「その我等を」
「言われずともそうさせてもらおう」
今度はロジャーが言ってきた。
「それが私の果たすべき責務なのだからな」
「俺達もだ!」
「やらせてもらうわよ」
「今ここで!」
ゴウ達もここで叫んだ。
「ゲッターの力!」
「見せてあげるわ!」
「真ドラゴンがいなくとも!」
こう言ったその時だった。何と街の空が裂けた。暗雲であったそこから今巨大な禍々しいまでに異様な形のマシンが姿を現わしたのであった。
「何っ!?」
「あれは」
「ゲッターか!?いや違う」
あちらの世界の面々はその姿を見てまずは否定した。
「大き過ぎる。それに」
「あの異様な形は」
「化け物か?」
「いえ、違います」
しかし彼等の言葉はテッサによって否定された。
「あれこそが真ドラゴンです」
「真ドラゴン!?あの」
「四年前のこの世界での戦いで人類が勝利を収めた切り札になったっていう」
「あれがなのか」
「そうです」
まさにそれだと。テッサは答えた。
「まさかそれがここで出て来るとは」
「久し振りに見るな」
「そうね」
メリッサは宗介のその言葉に対して返した。
「確かにこんなところで出て来るとは思わなかったけれど」
「神ですね」
今言ったのは八雲だった。
「どうやら僕達に味方をしている神もいるようです」
「確かあのドラゴンは」
キムは降臨するその巨大な真ドラゴンを見ながら述べた。
「あの戦いで時空の中に消えた筈」
「俺達ごとな」
「けれど私達はこの世界に出て」
「そして今ここにいる」
ゴウ達も言う。彼等にしろまだ信じてはいなかった。自分達の前に再びその異形かつ究極の力が降臨したということを。まだ信じられなかった。
「俺達が戻って来れたのも」
「まさか」
「神が」
「そういう神様もいるってことかな」
万丈はここでは少し気楽に考えて述べた。
「つまりはね」
「色々な神様がいるのか?」
勝平はそれを聞いて述べた。
「つまりは」
「だから神様は一人じゃねえだろ」
「そうよ」
考える彼に宇宙太と恵子がいつものように言う。
「だからな。俺達に味方する神様がいてもだ」
「おかしくないんじゃないかしら」
「それもそうか」
柄にもなく考え込んでいたがそれは一瞬に終わった勝平であった。
「ならよ。今はその力頼りにさせてもらうぜ」
「よし、真ドラゴン!」
「貴方達の力、借りるわ」
「行く!」
三人はドラゴンからすぐにそれに移った。そして。
「うおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーっ!」
ゴウが叫ぶ。それと共に真ドラゴンが動いた。そうして今アル=イー=クイスに対して向かうのだった。
「この力なら!」
「やれる!」
「例え神であろうとも!」
「私も行こう」
ロジャーもまた動いた。
「この世界を、パラダイムシティの為に」
「ええ、ロジャー」
傍らにいるドロシーが彼の言葉に応える。
「行きましょう。今からね」
「ビッグオーショータイム!」
ここでも高らかに叫ぶロジャーであった。
そうして一気に向かう。勢いを飲まれたアル=イー=クイスの面々はまずは真ドラゴンのその巨大な攻撃を受け大きく退いた。
「くっ、これは」
「神を退かせるとは」
「何という力だ」
「力だけじゃねえ!」
攻撃を出したゴウの言葉だ。
「俺達の心だ!」
「それがあるから今は!」
「神でも負けることはない!」
彼等は一斉に彼女達に言ってみせたのだった。
「今こそこの力で」
「世界を救ってみせるわ!」
「絶対にだ!」
「その通りだ」
ロジャーもまた来ていた。ビッグオーに乗り。
「このビッグオーも最早御前達の造り出したビッグオーではない」
「何っ!?」
「それはどういうことだ」
「ただのビッグオーではないのか」
「そうだ」
その通りだというのである。
「御前達のビッグオーはただの御前達の駒だ」
「そうだ」
「それがどうかしたのか」
「それが一体」
「しかしだ」
ここでロジャーはさらに言うのであった。
「このビッグオーは私の、そして人間のものとなっている」
「人間のだと?」
「我等の駒がか」
「そんなことは」
「あるのだ。だからこそ今このビッグオーは動いている」
言いながらだった。彼もまた攻撃に入った。それは。
「ビッグオーファイナルステージ!」
神々に向けた攻撃だった。既に真ドラゴンの攻撃を受けていた彼等はこれでさらに退いた。まさに今神が圧されたのであった。
「くっ・・・・・・」
「これは一体」
「神が。神である我々が」
「さあ、このままな」
「やらせてもらうわよ」
「そしてこの世界を」
ゴウ達は再び彼女達の前に立った。
「倒させてもらうぜ」
「いいわね」
「ここでな」
「くっ・・・・・・」
しかしであった。アル=イー=クイス達にも意地があった。彼女達はここで動いたのであった。
「この街は後でいい」
「世界を無に戻すのもだ」
「今はそれよりも」
「何っ!?」
セツコは今の彼女達の動きを見て声をあげた。
「何をするつもりなの!?一体」
「何だ、一体」
「これは」
その時だった。ロンド=ベルは皆謎の白い光に包まれた。
「消える!?」
「いや、違う」
「これは」
「御前達を倒す」
「世界よりもまずは」
「我等の邪魔をする御前達をだ」
アル=イー=クイスの面々の声が光の中で響く。
「然る場所において」
「御前達を倒し」
「そのうえでだ」
「へえ、面白いじゃない」
光の中で万丈の余裕綽々の声がした。
「何処で僕達の相手をしてくれるのかな」
「世界を見る場所だ」
そこだというのである。
「そこで見せてやろう」
「神の力を。そして」
「貴様等自身の最期をな」
「面白いね。是非そうさせてもらうよ」
そう言われても万丈の態度は変わらない。
「そこでね」
「では行くとしよう」
ロジャーも言う。
「その場所にな」
「ロジャー」
そのロジャーにドロシーが声をかけてきたのだった。
「そこで最期の戦いなのね」
「この世界ではな」
ロジャーの言葉は限定されたものだった。
「少なくとも終わる」
「この世界では?」
「どうやら」
ロジャーの目が考えるものになっていた。
「私達は途方もない因果の中に身を投じたらしい」
「因果?」
「そうだ。因果だ」
それだというのである。
「その中に入ってしまったようだ」
「それはどういうことなの?」
「この世界だけの戦いでは終わらないということだ」
具体的にはこういうことであった。
「おそらくは向こうの世界にも行くことになる」
「そうなの。甲児やアムロ中佐の世界に」
「そこでも戦うことになるだろう」
「わかったわ。じゃあ」
ドロシーはその言葉を受け入れたのであった。そのままに。
「行きましょう、あちらの世界にも」
「君はそれでいいのだな」
「ええ」
いいとまさに言うのであった。
「それが私達のやるべきことなら」
「そうか。君はそれでいいのだな」
「貴方はどうなの?」
ドロシーは今度は彼に対して問うてきた。
「ロジャー、貴方は」
「それが私の果たすべきことなら」
彼は言った。
「喜んで向かおう」
「そう。それじゃあ」
「来たか」
光が消えた。そして彼等がやって来たのは。
「そうか、ここか」
「ここなのね」
彼等は今自分達がいるその場所を見てそれぞれ言った。
「ここで俺達を倒すっていうのかよ」
「舞台としては見事なものね」
「そうだ、ここでだ」
「ここで御前達を裁く」
「我等の手で」
三人の女神達がその彼等の前に立っていた。そのうえで言ってきたのであった。
「覚悟はできているだろう」
「世界と共に滅びることを」
「ここにおいて」
「また言わせてもらおうかな」
その彼女達に対してまた言ってみせる万丈だった。ここでも態度を変えてはいない。
「僕達はそう簡単に滅びるつもりはないんだよね」
「では我等を倒すというのか」
「この我等を」
「神である我等を」
「そうさ」
やはりその態度を変えない万丈だった。
「倒してみせるよ。今ね」
「よし、俺もだ」
「僕も」
「私もよ」
皆万丈の言葉に続いた。
「倒してやるぜ」
「この世界を消させはしないよ」
「何があろうともね」
今まさにこの世界での最期の戦いがはじまろうとしていた。世界は今消滅の瀬戸際にあった。その中での最期の戦いであった。
第百五十三話完
2009・9・26
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