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ガールズ&パンツァー もう一人の転校生

作者:stk
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鎌倉と言えば大仏様

「此処が鎌倉ですか。予想とは違いますね。」
私と絵里は偵察のため鎌倉に来ていた。
また絵里が鎌倉に来たのが初めてだったらしいので案内をしながら歩いてまわった。
それにしても大仏様は大きいよね。
「梨華、幕府があったんでしょ。跡地とかないの?」
たしかに幕府はあった。
けれど何処に跡地があるかは分からなかった。
と言うか私は鎌倉の地理に詳しくはない。
歴史上有名だから知っているような物だ。
「ゴメン絵里。それは私も知らないんだ。」
絵里は私の方に顔を向けて、
「しょうがないよ。元々は福島県出身なんだから。」
絵里は言葉ではそう言っているが顔をとても残念そうであった。
「そうだね。あっ。あそこに鎌倉歴史高校の制服を着た人がいるよ。」
「すみませーん。」
走っていく絵里。
こんな性格では無かったような。
「何でしょうか。」
絵里に呼ばれて振り返ったのはつい最近見たことのある顔だった。
「げっ。あなたは。」
私の記憶が正しければ鎌倉歴史高校の隊長の源菫さん。
去年はあまり目立たない選手だったのに隊長になってからずいぶん変わったね。
「梨華さんに絵里さんですか。珍しいですね。観光ですか?」
あながち間違ってはいない。
「そうです。」
それにしても運がない。
いきなり隊長に会うなんて。
これじゃ偵察なんて出来ないじゃん。
「それで私に何か用ですか?」
「鎌倉幕府跡地を見たいのですけど。」
私は先程絵里が言っていた鎌倉幕府のことをいった。
「此処から行くのでしたらタクシーか江ノ電からタクシーに乗り換えるかのどちらかがお勧めです。」
「そうなんですか。ありがとうございます。それでは失礼しま「ちょっと待ってください。」えっ。」
菫さんと別れようとしたらとめられた。
「何でしょうか?」
私は恐る恐る菫さんの顔を見た。
「どうして脅えているのですか?私は頼みが有るだけですけど?」
「頼み?それは一体何ですか?」
「観光が終わってからでいいから私たちの学校に来て下さい。」
なんかとてもオープンな学校。
一様次の対戦校何ですけど。
「分かりました。それでは幕府跡地は後にして今から行きますか。」
「えー。」
残念な顔をする絵里。
て言うか絵里は最初の目的を忘れてるのでは。
「絵里。今回鎌倉に着た理由は?」
私は簡単な質問をした。
普通なら偵察と答えるのだが、絵里は違った。
「鎌倉観光。」
「後でお話をしよ。」
頭がいたい。
どうして今日に限ってはやが風邪なんて引いているの。
はやなら素早く目的を終わらせることが出来るのに。
「話は終わった?」
菫さんが私たちを待っていた。
どうやら学園艦は近くに止まっているらしい。
「どれくらい掛かるの?」
私は所要時間を聞いた。
私たちが使った港からだと約1時間。
「あなたたちと同じ港ですので1時間位だと思います。」
やっぱり。
学園艦を止められる港は限られていますものね。
そう言えば熊本中央高校は専用の港が県内に有りましたっけ。
羨ましいですこと。
修善寺女子高は陸地に有りますよ。
大会の移動は大変でしょう。
~移動中~
と言うか一時間もかかるのになんで大仏なんか見に行ったんだろう。
「これが私たちの学園艦です。」
大洗と比べて大きいのが分かる。
約1.3倍。
「私たちが使っている戦車はP40です。」
イタリアが1943~1944年にかけて作った戦車で、生産数は103両。
その内の10両を鎌倉歴史高校が所有している。
「準決勝の相手にそこまで教えて良いの?」
私は罪悪感を感じたから聞いた。
「問題ないよ。私たちは一回戦から戦車を変えていないから。」
「そうなんだ。それでは練習を拝観させていただきますね。」
私は学園艦に乗るなり練習を見せてもらった。
そこで気づいたのは効率の悪さ。
一つの的にたいして全車両で撃っている。
「1両につき一つの的を狙わないと効率が悪いよ。」
つい口が滑ってしまった。
「梨華さん。これにのって的になってくれませんか?」
菫さんが指差したのはOF-40。
第二次大戦後に作られた戦車の一つである。
「分かった。絵里。苦手なのは知っているけど操縦士お願い。」
「任せてください。」
私は砲手、装填手、車長をしないと。
「それでは行きますよ。」
私は菫さんに開始を伝えた。
「囲まれないように逃げて。」
絵里に指示を出した。
鎌倉式(鎌倉流)は敵を囲いこんで倒すことに拘る筈だから囲まれなければ勝機がある。
「梨華。今真っ直ぐ進んでるんだけど大丈夫なの?」
確かに。
何処までが演習場かわからない。
「ドォーン。」
私たちの戦車の真後ろから聞こえた。
私は戦車から身を乗り出して確認をすると、後ろに二両、右側に1両左側に二両いた。
此処は右側を行動不能にして逃げるのが一番いい。
「絵里。右側に向かって。」
「了解。」
私は砲弾を装填して、狙いを定めないと。
丁度このあたりかな。
「絵里。一旦止めて。」
絵里は私の指示通り戦車を止めた。
「発射。」
私は引き金を引いた。
「絵里。発車。逃げるよ。」
私は行動不能にした1両の方から避難した。
「砲塔回すよ。」
私は後ろから追ってくる1両にもう一度標準を合わせる。
相手も撃ってくるが当たらないのは絵里の運転のおかげ。
「発射。」
私は私と絵里を凄いと思った。
たった二人で二両もの戦車を行動不能にした。
それも次の相手。
二回目に行動不能にしたのは隊長の戦車。
「絵里。左側に向かって。」
私は次の狙いを左側の戦車に定めた。
全車両行動不能にしてやる。
「絵里。止まって。」
私はまた引き金を引いた。
それと同時だった。
戦車が大きく揺れた。
「そんな。」
私の勘が正しければ一弾だけではない。
二弾。
私は外を見てみると、今さっきまで左側にいたもう1両が前方に移動していた。
「こりゃー。参ったね。」
私は戦車を降りて。開始地点まで送ってもらった。
「菫さんは良い仲間を持っていますね。前方にいた戦車の車長さんはどちらで?」
私は行動力の凄い車長さんが誰か尋ねた。
「彼女です。」
私の目に映ったのは見たことのない人だった。
「彼女は北条渚さん。冷静な判断力をもつ選手よ。」
身知らずの人に負けたなんて。
「貴女、是非大狩流をやってみませんか?」
私は有力な選手だと思いスカウトしたが、
「遠慮します。」
はっきり断られてしまった。
「梨華さん。今日の練習は終わりです。偵察になりましたか?」
やっぱりバレてた。
「そうですね。試合では絶対に負けたくないと思うようになりましたよ。そこの彼女には。」
絶対彼女は倒す。
私はそう決めた。
「精々頑張ってください。大洗の学園艦まで送ります。」
私と絵里は菫さんに連れていかれて鎌倉女子高校の学園艦から出て、大洗の学園艦に戻った。
「それでは試合を楽しみにしていますね。」
菫さんは笑っていた。
絶対に負けるわけにはいかない。
大狩流の名にかけて。
 
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