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ヘタリア大帝国

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TURN56 ゲイツランドの壁その五

「よかったよ、本当に」
「全くです。ではこれからの戦いは」
「うん、人間と人間のね」
 そして国家と国家の戦いだけになるというのだ。
「それでよかったよ」
「そうだな。機械の兵士は一見魅力的だがな」
 ここで東郷も言う。
「それは結局はな」
「いい結果にはなりませんね」
 秋山はその東郷に応える。
「マインドコントロールや洗脳が解ければ」
「そうなる可能性は零じゃないからな」
「ですから」
「ではこのまま作戦に移ろう」
 こう言ってそしてだった。太平洋軍はカナダ方面からゲイツランドに入ることにした。このことは既にそのゲイツランドのガメリカ軍にも伝わっていた。
 ゲイツランド防衛戦隊を率いるキャヌホークは難しい顔でこう部下達に言っていた。
「何ていうかかったるいな」
「お疲れですか?」
「そうなのですか?」
「いや、そうじゃなくてな」
 その整ってはいるが軽薄な感じは否めない顔での言葉だ。
「俺は元々諜報部の人間だからな」
「ですが今は提督ですよね」
「そうですよね」
「そうさ。けれど艦隊指揮は今一つ好きじゃないんだよ」
 だからかったるいというのだ。
「どうもね。まあそれでも」
「戦争ですからね」
「戦うしかないですね」
「そういうことさ。もうすぐここに妹さんが来るし」
 今回来るのはアメリカ妹だというのだ。
「妹さんと一緒に頑張るか」
「はい、是非共」
「そうしましょう」
 部下達もキャヌホークに答える。そしてだった。
 太平洋軍への備えを進めていく。キャヌホークは自身が乗る指揮艦からコロニー、明らかに軍事用のそれを見て言う。
「このノートンさえあれば」
「ゲイツランドの守りは万全ですね」
「まさに難攻不落です」
「そう。既にソーラレイパネルも用意してあるし」
 要塞の周りには無数の鏡を張り合わせたかの様な巨大な板も幾つかあった。キャヌホークはそうしたものを見ながら言う。
「幾ら太平洋軍が来ても」
「勝てますね」
「ここで防げます」
「ただ。コントロールがな」
 キャヌホークは部下達に応えながら苦笑いにもなる。
「厄介なんだよな」
「そうですね。どうにも」
「下手をすればですから」
「この指揮艦もコンピューターがパンクしそうだよ」
「コントロールは万全ですか?」
「大丈夫ですか?」
「今のところはね」
 何とかいけているというのだ。
「大丈夫だよ。けれど」
「それでもですか」
「パンク寸前ですか」
「スーパーコンピュターに超AI も随分入れたけれど」
 それでもだというのだ。
「それでもね」
「大変ですか」
「そちらは」
「まあそれでもその価値はあるさ」
 キャヌホークはまたノートンとソーラレイ達を見て言う。
「ガメリカ最大の防衛戦力だからね」
「ではこれで太平洋軍を防ぎましょう」
「何としても」
「そうしないとな。そういえばダグラスさんだけれど」
 キャヌホークは太平洋艦隊司令長官の名前も出した。
 
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