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ヘタリア大帝国

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TURN56 ゲイツランドの壁その三

「この石がね」
「それであらゆる者を篭絡する」
「そうされますか」
「そうするよ。その時はね」
「そしてそのうえで」
「我等が教団をですね」
「ドクツの国教にしよう、まずは」
 それが段階の一つでしかないというのだ。
「そしてそうなる為にも」
「手を打っていきますか」
「今は」
 ヒムラーの周りにいる不気味な者達はこうヒムラーに話す。ヒムラーもその彼等に囲まれながら怪しい笑みを浮かべている。欧州の大部分を押さえたドクツだがその中に妖星があることは今は殆どの者が気付いていなかった。
 カナダを占領した太平洋軍は次にケベック、そしてアラスカに進出した。両星域では戦闘らしい戦闘もなくあっさりと太平洋軍の手に落ちた。
 それを受けてカナダも妹と共に日本の前に出た。そして東郷、秋山を交えてそれで彼にこう言ったのだった。
「ケベックまで占領されたからね」
「では」
「うん、慣例通りね」
 それに従ってだというのだ。
「降伏するよ。そしてね」
「太平洋軍に加わって頂けますね」
「そうさせてもらっていいかな」
「どうでしょうか」
 カナダだけでなくカナダ妹も言ってくる。
「日本君達さえよかったらだけれど」
「私達もまた」
「はい、是非共」
 微笑んでこう答える日本だった。
「宜しくお願いします」
「じゃあこれからはだね」
「私達は太平洋軍の一員なのね」
「そうなります。ただ」
「ただ?」
「ただっていうと」
「艦艇のことですが」
 日本はカナダ兄妹にすぐに軍事のことを話した。
「カナダさん達はこれまでカナダ軍といいますかガメリカ軍やエイリス軍の艦艇を使っていましたね」
「うん、旧式のね」
「それを使っていたけれど」
「我が軍からお渡ししましょうか」
 日本はこうカナダ兄妹に申し出た。
「カナダさん達さえ宜しければですが」
「えっ、日本君が艦艇を貸してくれるの?」
「そうしてくれるんですか」
「はい、どうでしょうか」
 再びこう申し出る日本だった。
 カナダ兄妹も日本の申し出を聞いてお互いに顔を見合わせる。その上で二人でこう話すのだった。
「それじゃあ」
「そうよね。私達にとっても悪い話じゃないし」
「それならね」
「日本さんの好意に甘えて」
 こう話してそのうえで日本に向かいなおり答える。
「軍艦お願いするよ」
「そうして下さい」
「はい、それでは」
 日本も頷く。こうしてカナダ兄妹の参戦が決定した。
 東郷はそのことを決めてからカナダにこう声をかけた。
「それで何だが」
「あっ、東郷さんだよね」
「そうだ。日本帝国海軍長官東郷毅だ」
 東郷は微笑んでカナダに名乗る。
「これから宜しく頼む」
「こちらこそ」
「それでなんだが」
 東郷は挨拶の後でカナダに単刀直入に言う。
 
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