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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-22 battle for the second time

 
前書き


二度目の戦い。


この場合は、夜神鳥麗矢。シルバリオ・ゴスペル。


 

 


箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラの五人は福音に向かって飛んでいた。
それぞれがあの二人のどちらかのことを思いながら飛んでいる。


――――一夏。早く帰って来い、お前がいないと私は……


――――麗矢さん。わたくしはまだあなたに気持ちを伝えていません。わたくしより先に行くおつもりですか?


――――一夏、何やってんのよ。さっさと帰ってきなさいよ。


――――一夏、みんなに心配かけちゃだめだよ。


――――麗矢。私に返事を返さないまま行くつもりか? そんなことは許さんぞ!


五人の想いがあの二人に届いているとは限らない。
だから、声に出して言わないのだ。


福音まであと6000メートル。
間もなく、二次移行した福音と接触する。
五人はお互いの顔を見て頷き合う。それぞれがなすべきことは――――


      ◯


麗矢はもがいていた。
深い海の中で。


――――グウッ


福音に落とされたときにISが解除されることなくてよかったとそう思った麗矢。
でなければ今頃水圧で押し潰されて、海の藻屑と化していただろう。
だが、今はそれとは別だ。


水面に向かって水の中を飛んでいるが、その時に押し寄せてくる圧力に負けそうなのだ。
圧力が道をふさぐ。
何度も何度も意識が飛びそうになる。
だけどそれでも上に向かって飛んでいく。


ようやく海の中にも光が入ってくるようになった。
あと50メートルぐらいだろう。
一気にブースターをふかして加速する。


――――ドッパァァァン!!!!


水飛沫が大きくたち、その中心から麗矢が飛び出した。
水飛沫は高く高く舞って、麗矢の黒い機体に当たり、綺麗な漆黒に見えていた。。


戦闘区域まで500メートル。
麗矢は、二次移行した機体で普通に飛んでいく。
気づいたことがあった。
水中では気づかなかった事、普通にして飛んでいるのだが、スピードが速すぎる。
おそらくこの3メートルほどになった翼のせいだろうか。
翼《ドラグノフ=ロード》が小さくなったことが影響しているのかもしれない。


接触まで一分だ。


予想時間より7秒早く着いた。
麗矢がそこで見たものは、水面にあった小さな小島にあの五人がいて、たった一人で福音と戦う一夏の姿だった。


麗矢はそれを見て口を歪めた。
あの一夏が三か月程度で二次移行させていたのだ。
麗矢でさえ四年かかったのに。
そんな嫉妬を覚えながら、けれでも顔に出すことはせずに二次移行してようやく手に入れた遠距離武装を出して、福音に照準を合わせた。


ようやく手に入れた遠距離武装《バルフィニカス》
セシリアの持つライフルよりも砲身が長く、口径も大きい。
黒で塗り固められている《バルフィニカス》の射程距離はおよそ7000メートル。
今いる距離から余裕で届く。


『一夏、今から撃つから離れてくれ。』
『へ? 撃つってどうゆう――――!!』


一夏の言葉は続くことはなかった。
なぜなら遠くからでも見えるほど大きく、黒くて禍々しい球形の何かが福音に向かって撃たれていたのだ。
その球形の何かは四つに分裂して、十六個に分裂した。
十六個のそれは福音の逃げ場を埋め尽くすように散らばり殺到する。


麗矢が撃ったチャージショットは福音にほとんど当たらなかった。
福音は上に隙間を見つけて逃げていた。
だが、それを麗矢は見逃さない。
避けて次の攻撃行動に移る前に福音に接近していた。


《バルフィニカス》を《スラッシャー》に変えていた麗矢はすぐさま斬りかかる。
振り切る前に福音は逃げたが軽く胸部装甲を斬りつけることが出来た。
今ならあのスピードについていけると確信した麗矢。
しかし、決め手に欠けるため一夏に頼む。


――――とどめは任せた。


エネルギーウィングから放たれる砲撃に注意しながら、二人は接近していく。
攻撃の手を休めることの無い様に交互に攻撃を仕掛ける。
一夏がひたすら近づいて斬りつける。
麗矢が距離を取り、遠距離から銃弾を放つ。


「一夏ぁ!!」


不意に箒の声が響いた。
目でこちらを伺ってくる一夏に言ってやれと指をクイッてやって伝える。
頷くことで了承の意を伝えた一夏と入れ替わる。


両手に《スラッシャー》を持って、いつか見せたように華麗に舞うように戦い始めた麗矢。
華麗なのだが、雄々しく力を全身で伝えているような感覚に陥る。
周りが遅くなったように見え、麗矢と福音だけの世界になった。
視界には福音しかいない。
だが、いくら二人だけの世界のように見えても冷静さは失わない。


「麗矢ぁ!!」


一夏が麗矢の名を呼ぶ。
それに応えるようなことはしないが意図は分かった。
あいつの準備が終わったんだ。


そして麗矢が何度切ったか覚えていないが、エネルギーウィングを切り裂いた。
再生する前に速く――――


「やれぇぇ!! 一夏ぁぁ!!」


麗矢が大声を出して叫んだ。
答えるように一夏が叫んで、福音に突っこんでいく。
新たに二次移行して手に入れた《雪羅》が福音を切り裂いた。
絶対防御が働いた福音は、今までの戦いで蓄積されたダメージがここにきて一気に来た。
エネルギーを削り切って機体が粒子となって消えていく。
乗っていた操縦者が落ちるが、麗矢が受け止めた。


終わったのだ。
いつの間にか辺りは赤く染まり、見ると夕日が沈むところであった。
東の空はもう暗くなっている。


戦いは終わったが、自身の身にノックバックされたダメージは大きかった。
おそらく両手両足の骨は折れているだろう。
ISが自己治癒しているが、短くて全治三日だろう。


七人は意気揚々と帰投していった。



 
 

 
後書き

 
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