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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第九十四話 もう一つのゲッター

              第九十四話 もう一つのゲッター
オーストラリアから日本に移るロンド=ベル。目指すはその東京ジュピターだった。
そこに向かいながら彼等は。また作戦会議に入っていた。
「それでだ」
「はい」
テッサがアムロの言葉に応えている。
「その東京ジュピターだが」
「突如として世界が分かれまして」
「突然なのか」
「あれは十二年前でした」
「十二年前。そうだったな」
ブライトが今のテッサの言葉に頷く。
「突如東京だけ分かれ」
「はい、あのようにして中空に漂ったままになってしまったのです」
「そしてドーレム達が出て来た」
「今まで彼等により受けた損害もかなりのものになっています」
遥もここで一同に述べる。
「ですから今度の作戦は」
「東京ジュピターを攻略する」
大河が言った。
「それだな」
「はい、そうです」
「だからこそ今」
「それではだ」
シナプスが言った。
「この手元のドーレムのデータに従い」
「彼等を攻略し」
「そのうえで東京ジュピターを占領するのか」
「ただしです」
だがここで遥が一同に忠告する。
「その際ガルラ帝国の介入も予想されます」
「彼等もか」
「ガルラ帝国は東京ジュピターも敵視しています」
「ああ、そうだな」
クワトロはそれが何故かすぐにわかった。
「彼等にとっては地球にあるものは全て制圧すべき対象だからな」
「だからです。しかし彼等もまた」
「退けられている」
「そういうことか」
「彼等もまた手強いのです」
テッサの声はいささか申し訳なさそうなものだった。
「ですから。私達も今までは」
「だが。今回は違うな」
ヘンケンが口を開いた。
「我々がいる。少なくとも数はある」
「いないよりいいってな」
フォッカーの言葉は少しシニカルだった。
「雑魚も数いりゃそれで力になるってものさ」
「雑魚とは。そのような」
「いいってことさ。とにかくだ」
「はい」
遥がフォッカーの言葉に応える。
「東京ジュピターに殴り込みだな、今から」
「御願いします」
彼等は完全にそのつもりだった。マクロスクウォーターの中でも既に臨戦態勢にありバルキリーの面々もピクシー小隊も格納庫に集まっていた。
「東京ジュピターか」
アルトは己のバルキリーの側で一人呟いていた。
「果たしてどんな戦いになるんだ?」
「激しい戦いになるのは間違いないだろうな」
ミシェルは既に割り切っているといった感じだった。
「どうもドーレムも手強いようだしな」
「そんなになのか」
「あのa小隊も他の面子もその侵攻を抑えるのがやっとらしい」
「エルフィさん達でもか」
「そうさ。覚悟はしとくんだな」
「わかった」
真面目な顔でミシェルの言葉に頷くアルトだった。
「生き残る。何があっても」
「そうですよ、先輩」
ルカがここでアルトに声をかけてきた。
「元の世界に帰ってそこでゆっくりしたいですし」
「元の世界か」
その言葉を聞いてふと顔をあげるアルトだった。
「思えば。因果なものだな」
「因果ですか」
「バルキリーのパイロットになってマクロスに乗り込んで」
「それでロンド=ベルに入ることになったと思ったら」
「今この世界にいるんですからね」
「そうだ。しかし」
彼はミシェルとルカに対してまた言った。
「それでもマクロスには設備が充実しているな」
「それはな」
ヘンリーがアルトに答えてきた。
「小型でもマクロスはマクロスだ」
「だからですか」
「そうだ。民間人も収容している」
マクロスの特徴の一つでもある。
「保養の為にもな」
「なあアルト」
ミシェルがまたアルトに声をかけてきた。
「今度の戦いが終わったらな」
「何だ?」
「皆で何か食いに行くか」
「新スカル小隊でか」
「そうさ。あの中華料理店あっただろ」
話が完全に食べ物に関するものになる。
「そこでどうだ?」
「そうですね。いいですね」
ルカがそれに賛成して頷く。
「だったら僕達も」
「そうか。中華料理か」
アルトはそれを聞いてまた考える顔になった。
「いいな。それも」
「じゃあそれで決まりだな」
「終わったら中華ですよ」
「ああ」
「ところでアルト」
不意にここで彼に声をかけてきた者がいた。
「話に聞いたんだけれどな」
「んっ!?」
声の方に顔を向ければそこにいたのはハワードとダリルだった。
「御前さんあっちの世界じゃ役者の家だったのか」
「歌舞伎だったか?」
「・・・・・・そうです」
いささか不機嫌な声で二人に答えるアルトだった。
「家族は今宇宙に出ていますが」
「宇宙にか」
「またどうして」
「移民で。このことはもう御聞きですよね」
「ああ、それは」
「何でもマクロスで」
二人もアルト達の世界ではマクロスによる移民が大々的に行われていることを知っているのだ。アルトの家族もそれで出ているというのである。
「外宇宙に出たのか」
「移民として」
「俺は残りました」
こう述べるアルトだった。
「バルキリーのパイロットとして」
「そうだったのか」
「それでだったのか」
「フロンティアでした」
アルトは言う。
「親父達の移民団は」
「あれは随分と大きかったな」
「一千万でしたからね」
ミシェルとルカがまた言う。
「一番大きかったですよ」
「そうだったな。今どの辺りにいるかな」
「そちらの世界も随分面白いみたいだな」
ジョシュアも来て面白そうに述べてきた。
「こっちの世界もかなりのものだけれどな」
「そういえばそっちの世界にも」
ヘンリーがここで言う。
「ヒュッケバインとかグルンガストとかあるんだな。これには驚いたよ」
「ああ、あれですね」
「こっちもですよ」
パトリシアとミーナが彼の言葉に応える。
「まさか別の世界にもあるなんて」
「しかも全く同じものが」
「モビルスーツや特機のせいか?」
アーウィンは真面目な顔で考えを述べた。
「だからその影響のせいでヒュッケバインやグルンガストが同じ世界で」
「そうかもな」
ジェスが彼の言葉に頷く。
「偶然にしては出来過ぎているが」
「まあ同じ人間だしな」
ヘクトールは随分と割り切っていた。
「そういうこともあるさ」
「そうですよねえ」
グリースの声はかなり呑気なものだった。
「そういうことも。やっぱりい」
「少なくとも戦力としては有り難いな」
イルムは純粋にそのことを感謝していた。
「それにあんた達とはな」
「俺達と?」
「どうも馬が合うな」
こうジェスに返すのだった。笑いながら。
「何処かで一緒だったような気もするしな」
「私もだ」
それはリンも同じだった。
「何故かはわからないが」
「どちらにしろこの世界でも派手に暴れるってことだ」
今度のイルムの言葉はワイルドにまとめたものだった。
「それならやってやるか」
「その考えいいよね」
「そうね」
パトリシアとミーナがまず彼の言葉に頷いた。
「じゃあさ、イルム」
「リン」
「ああ」
「そういうことで御願いする」
二人もそれに応える。不思議な縁を感じる八人だった。
「早速神奈川に進出したロンド=ベル。まずは相手の見方を見るのだった。
「いきなり来るわよ」
エルフィが一同に告げる。
「それも急にね」
「ステルス能力でもあるのですか?」
「そうじゃないけれどね」
ニコルに言葉を返す。
「それでもなのよ。いきなり来るわよ」
「そうなんですか」
「あれか。瞬間移動みたいなものか」
それを聞いたヘンケンが言った。
「そういう感じで来るのか」
「そんな感じよ。だから気をつけて」
こう返すエルフィだった。
「充分にね」
「了解」
「それじゃあ」
「レーダーに反応です」
メイリンが一同に述べる。
「その数千」
「多いかね」
それを聞いたアレックスが言う。
「前まではうんざりした数だったけれどな、これで」
「今はそんなふうには思わないですね」
テッサが彼に述べた。
「今は。やはり」
「俺達がいるからってわけだな」
それを聞いたジュドーが少し得意そうに述べた。
「それなら御期待通り」
「待って下さい」
「!?どうしたんだメイリンちゃん」
ジュドーはメイリンがまた言ってきたので思わず動きを止めた。
「ひょっとしてあれかよ」
「はい、あれです」
これだけで話が通じた。
「来ます。ガルラ帝国です」
「やれやれってわけね」
ルーがそれを聞いて溜息を出してみせる。
「予想はしていたけれど」
「それでメイリンちゃん」
エルがメイリンに尋ねる。
「数は?」
「三千ってところか?」
「そんなところじゃないの?」
モンドがビーチャに対して言う。
「大体さ」
「まっ、そんなところだな」
「五千です」
だがメイリンはこう答えるのだった。
「五千来ました」
「五千・・・・・・じゃあ六千だね」
イーノはすぐにドーレムとの数も頭の中で足した。
「六千も来たのか」
「そんなに驚くことないじゃない」
「そうだな」
弱気になるイーノにこう話すプルとプルツーだった。
「そんなの今までだって普通だったし」
「なら相手をするだけだ」
「その通りだ」
ハマーンも二人と同じ考えだった。
「来た相手を倒す。それだけだ」
「何か今それでやれそうな気がしてきました」
見ればゴットンが乗っているモビルスーツはズサではなかった。
「これに乗っていると」
「そんなにバウが気に入ったか、ゴットン」
「当たり前ですよ」
こうマシュマーに言葉を返す。
「だって今までのズサって重かったじゃないですか」
「確かにな」
そういうモビルスーツである。
「それにひきかえこのバウは」
「変形もできるしな」
「それもありますよ。これなら」
「ただしだゴットン」
ここでマシュマーは彼に言う。
「変形して二つになるが」
「ええ」
「操縦は難しいぞ。用心しておくようにな」
「わかってますよ。二つに分かれますからね」
「それがバウの特徴だがな」
「それでも嬉しいんですよ」
ゴットンは喜びを隠せない。
「バウって速いですからね」
「そうか」
二人はまたしても変なやり取りを演じていた。何はともあれ戦闘がはじまる。ガルラ帝国は数を頼んでかドーレムにもロンド=ベルにも兵を向けてきた。
「愚かな」
それを見たカワッセが言う。
「兵力を分散させるとはな」
「その通りです」
彼の言葉にシーラが頷く。
「それならば我々は」
「はい」
「まずガルラ帝国軍をうちます」
「まずは彼等ですか」
「ドーレムとはまだ干戈を交えてはいません」
こう言うのである。
「ですから今は」
「様子見ですね」
「そうです。だからこそ今は」
「わかりました」
カワッセもシーラのその言葉に頷いた。
「そのように」
「全軍そのままガルラ帝国軍へ」
あらためて指示を出す。
「そしてまず彼等を倒します」
「了解ってね。それじゃあよ!」
トッドがシーラの言葉を受けて真っ先に突っ込む。
「気合は充分だ。やらせてもらうぜ!」
オーラ斬りを一閃させてガルラのマシンを三機まとめて両断する。それが開戦の合図となった。
ロンド=ベルは序盤から大規模な攻勢をガルラ帝国軍に浴びせる。五千の戦力も彼等の前には無意味だった。
「よし、このままなら」
「いける!」
勢いにのり忽ち一千機倒し押し潰していく。ガルラ帝国軍は戦力を分散させていたことが完全に仇となってしまった形になっていた。
「このままいけば」
「次はドーレムか」
「ドーレムのマシンは癖が強いわよ」
またエルフィが仲間達に告げる。
「覚悟しておいてね」
「見ればそうだな」
ライトはそれをドラグナー3から見て述べた。
「このデータ。これはまたな」
「ジャミングはできてるんだよな」
「それはな」
タップに対して答える。
「安心してくれ。効いている」
「そうか。じゃあとりあえずは大丈夫か?」
「いや、どうなんだよあれ」
だがここでケーンが言うのだった。
「何かやけにでかいしよ」
「むっ、確かに」
タップもあらためてドーラムを見る。見ればその大きさはどれもかなりのものだった。
「そうだな。タフそうだな」
「一撃で沈めたいだけれどな」
「無理かね、ありゃ」
「それならそれでやり方があるさ」
だがライトは至って楽観的だった。
「充分にな」
「じゃああれか?」
「あれをやるのかよ」
ケーンもタップも今のライトの言葉が何を意味するものかすぐにわかった。
「光子力バズーカでよ」
「まとめてかよ」
「その通り。デカブツはデカブツでやり方があるってわけさ」
彼は最初からそれを考えていたのであった。
「派手にやるかい?ここはまた」
「そうだよなあ」
「やっぱりここはな」
二人もそれに頷くのだった。
「相手がでかいとな。やっぱり」
「数潰しときたいしな」
「じゃあ決まりだな」
ライトは二人の言葉を受けて述べた。
「やるか、二人共」
「よし、それならよ」
「やりますか」
三人はすぐにそのバズーカを出してきた。フォーメーションに入る。
「タップ、ライト!」
「ああ!」
「よし!」
二人はケーンに動きを合わせた。
「やるぜ、あれを!」
「わかったぜ!」
「それなら一気に!」
「いけええええーーーーーーーーーーっ!」
三人のバズーカが放たれドーレム達をまとめて吹き飛ばす。彼等に対しても光子力バズーカは健在だった。まずは幸先のいい勝利だった。
ガルラ帝国軍を蹴散らしたロンド=ベルはそのままドーラム達を倒していく。彼等に対しても戦局は優勢だった。しかしここで目の前に奇妙なマシンが姿を現わしたのであった。
「んっ!?何だありゃ」
「あのマシンは一体」
「何なんだ?」
「あれはアレグリットです」
「アレグリット!?」
「何だそりゃ」
「ドーテムを操るムーリアンのマシンの一つ」
こう述べるテッサであった。
「それです」
「とにかくやばい相手なんだな」
「はい」
こう豹馬の問いに答える。
「強敵です、迂闊に攻めないで下さい」
「あんたがそう言うからには相当なものなんだな」
豹馬はテッサの言葉を聞いて納得して頷くのだった。
「それだったら」
「それはええけどや」
「豹馬どん」
ここで十三と大作が彼に声をかけてきた。
「御前あまりテッサさんに声かけるんわ」
「止めた方がいいでごわす」
「!?何でだよ」
何故そう言われるのか理由がわからず目を丸くさせる豹馬だった。
「いいじゃねえか。作戦のこと聞いてるんだからよ」
「それでもですよ」
たまりかねたように小介も彼に言ってきた。
「あのですね、コンバトラーチームにはちずるさんという頭脳がおられますし」
「参謀は御前だろ」
こうまで言われてもわからない豹馬だった。
「それで何でそんなこと言うんだよ」
「あのですね、ですから」
「わっかんねえなあ、おい」
本当にわかっていないから恐ろしい。
「御前等何が言いたいんだよ、ったくよお」
「・・・・・・御前、ホンマ一回周りよお見ろ」
「すぐにわかるでごわすよ」
「全くです」
三人の言葉は完全に呆れたものになっていた。
「こんなんでホンマ」
「何と言っていいでごわすか」
「困ったことです」
「何かよくわからねえがあいつはやばいんだな」
「はい」
テッサは一応は答えた。だがここでマデューカスとカリーニンに対して問うのであった。
「まさか豹馬さんは」
「間違いありません」
「全く気付いていません」
「そうですね」
二人の言葉を聞いて頷くテッサであった。
「あの御様子では」
「ですが艦長」
「それはあまりにも」
二人はここでその厳しい顔を顰めさせて言うのであった。
「我々ですら気付きました」
「それもはっきりと」
「私もです」
そしてそれはテッサも同じなのであった。見れば彼女も困った顔をしている。
「私でも。まだコンバトラーチームの皆さんと知り合って間もないというのに」
「どうやら前からのようで」
「葵君は。あのようで」
「ちずるさんも大変ですね」
ふう、と溜息をつくテッサだった。
「あれだけはっきりしておられるというのに」
「全くです」
「困ったことです」
とかく鈍い豹馬だった。だがその鈍さも戦場においては関係なく目の前のガルラ帝国軍もドーレムも蹴散らしていく。しかしそのアレグリットの相手はしなかった。
そのアレグリットを見ながら勇がテッサに尋ねる。
「それで大佐」
「はい」
「あのマシンはどうすればいいんですか?」
「まずは様子を見て下さい」
こう勇に答えるテッサだった。
「今は」
「様子見ですか」
「アレグリットの戦闘力はかなりのものです」
だからだというのだ。
「ですから」
「わかりました。それじゃあ」
そしてテッサの言葉に素直に頷く勇だった。
「そうします」
「それで御願いします。無理な攻撃は禁物です」
冷静であった。
「ですから」
「けれど大佐」
だがここでヒメがそのテッサに問うた。
「このままじゃ。どうにもならないよ」
「それもわかっています」
ヒメにはこう答えた。
「ですが。やはり」
「攻めちゃ駄目なんだ」
「アレグリットの行動も攻撃もあまりにも不明な部分が多いので」
だからだというのである。
「ですから。今は」
「けれどよ、大佐さんよお」
忍がテッサに対して言ってきた。
「何もしねえでこのままってのもどうかと思うぜ」
「このままでは、ですか」
「そうだろ?東京ジュピターに殴り込むんだろ?」
「はい」
これは既に作戦として決まっていることである。
「その通りです」
「じゃああいつ一機に足止めってのもな。どうかと思うぜ」
「そうだよね。そういうのってどうもね」
雅人も言う。
「嫌だっていうか割に合わないしさ」
「攻めるのも手だがな」
亮はじっとそのアレグリットを見据えていた。
「さて、どうするかだが」
「あたしとしちゃ一気にいきたいんだけれどね」
沙羅は相変わらず強気だった。
「断空剣で真っ二つにってね」
「いや、待て」
しかしここでアランが獣戦機隊を止める。
「やはり迂闊な動きは避けるべきだ。今はな」
「じゃあ暫くこのままかよ」
「そうだ」
今度は忍の言葉に答える。
「今はな。慎重に行くべきだ」
「へっ、性分じゃねえぜ」
実に忍らしい言葉であった。
「そういうのはよ」
「ですが今は」
テッサはここでも慎重であった。
「何もわかりませんので」
「では何かダミーを送るか」
ヘンケンがふと述べた。
「何かを」
「どうされるおつもりですか?」
「とはいってもだ」
ナタルに対して述べる。
「これといってない。困ったことにな」
「確かに。残念なことです」
その通りであった。やはり今は手が出せなかった。一同そのことに困っているとここでだった。不意にまたマシンが姿を現わしたのであった。
「むっ!?あれは」
「まさか!」
竜馬達がそのマシンを見て声をあげる。
「ゲッター!?いや、違う!」
「大きいぞ!」
「ああ。大きいなんてものじゃねえ!」
隼人と武蔵も思わず声をあげて叫んだ。
「何キロあるんだよ、あれ!」
そして弁慶もだった。
「ゲッターなのはわかる」
「だがあのシルエット」
「それにばかでかさ」
「何なんだ、ありゃ・・・・・・」
「真ドラゴン・・・・・・」
カリーニンが呻くようにして述べた。
「それだ」
「真ドラゴン!?」
「何だそれは」
「まさかこっちのゲッターだっているのか!?」
「あれがかよ!」106
四人はまた驚きの声をあげる。それを隠すことができなくなっていた。
「そういえば」
ここでカミーユが思い出したように声を出した。
「この世界では四年前に」
「そうだ。早乙女博士とインベーダーとの決戦があった」
グラハムが彼に対して答える。
「これは前に君達に話したな」
「はい。その時にガンダムマイスターは崩壊したと思われていたんでしたね」
「その通りだ。その時にあのゲッターは獅子奮迅の働きをした」
「あの真ドラゴンが」
「彼等とガンダムマイスターの活躍により世界は救われた」
この世界での話であった。
「だが。その時に」
「その時に!?」
「何があったんですか?」
ファもグラハムに対して問う。
「一体何が」
「あの真ドラゴンは早乙女博士と共に時空の彼方へ消え去った」
「早乙女博士と共に」
「そうだ。早乙女博士は断末魔の力でブラックホールを作り上げ」
この世界の早乙女博士は間違いなく尋常な人間ではなかったようだ。
「それに真ドラゴンも道連れにしたのだ。パイロット達と共に」
「パイロット達も」
「それで。あの真ドラゴンは」
「そうだ。だが彼等は今ここに姿を現わした」
その真ドラゴンを見据えていた。
「何故だ。一体」
「ここは何処だ!?」
「地球!?」
「おい、馬鹿を言え」
ここでその真ドラゴンから三人の声がした。
「俺達はブラックホールに飲み込まれたんだぞ。宇宙で」
「それはわかっているわ、ガイ」
少女の声だった。
「けれど。ここは」
「何処なんだ?見たところこれは」
「ゴウさん、ケイさん、ガイさん」
テッサが真ドラゴンに通信を入れた。
「貴方達ですか?」
「!?この声は」
「間違いないわ」
「大佐なんだな!?」
「はい、そうです」
テッサは三人の問いに答えた。
「テレサ=テスタロッサ。連邦軍大佐です」
「見れば皆いるな」
「そうね。確かに」
「皆な」
「だが」
ゴウと呼ばれた少年がここで声をあげる。
「見慣れない奴等もいるな」
「そうね。それもかなり」
「しかも連中は何だ?」
ケイとガイも言う。
「インベーダーじゃないな、あれは」
「そうね。どう見ても」
「それに宗介達が」
ガイもケイもゴウも口々に言う。
「随分老けたな。何があったんだ?」
「当然だ」
その宗介がクールに三人に返す。
「四年だ」
「四年!?」
「そうだ。四年経っている」
こう三人に述べるのだった。
「御前達がブラックホールの中に消えてな」
「馬鹿な、四人だと!?」
「そんな。今さっきブラックホールの中に放り込まれたのに」
「どうなっているんだ!?」
三人にとってはもう何が何だかわからないことだった。
「それにあんた達は一体」
「何処の誰なの!?」
「しかもゲッターまで。何が一体」
「お話は後です」
驚きを隠せずに声を出し続ける彼等にテッサが告げた。
「それは後で御願いします」
「後!?」
「今度は何なのよ」
「いや、待て」
最初に気付いたのはガイだった。
「あれは」
「ドーレム!?」
「それに見たこともないマシンが」
「来たぞ!」
アレグリットに気付いたその時だった。そのアレグリットが三人の真ドラゴンのところにやって来たのである。大きなマシンだがそのことを感じさせない速さだった。
「こちらに」
「どうするの?それで」
「決まっている」
ゴウがガイとケイに対して答えた。
「敵ならば倒す。それだけだ」
「そうね。それじゃあ」
「行くぞ!」
「行け、ドラゴン!」
ゴウがメインパイロットとなって動かした。そしてアレグリットに対して斧を一閃させた。
「ギャああああああああああああっ!」
紙を引き裂くような女の声があがった。そしてその一撃を受けるとそのまま東京ジュピターに消えた。他のドーレム達もそれを見て姿を消すのであった。
「あれっ、あれで終わりかよ」
「思ったより呆気なかったな」
「そうね」
ザンボットチームがそれを見て言った。
「何かよ。心配して損だったな」
「そうだな。けれどわかったな」
「ええ。アレグリットでも私達で相手ができるわ」
わかったのはこのことだった。
「それがわかったし。だから今回は」
「よしとするべきですね」
テッサが恵子の今の言葉に頷いた。
「この場は。それでは」
「はい」
すぐに次の指示を出すのであった。
「真ドラゴンは合流して下さい」
「そっちにか」
「そうです」
ゴウに対して答える。
「まずは合流して下さい。色々とお話したいことがあります」
「ああ、わかった」
ゴウもテッサの言葉に頷くのだった。
「そうだな。本当に四年経ったのか」
「まだ信じられないし」
「俺もな。それを考えれば」
これについてはケイもガイも同じだった。何はともあれ彼等はロンド=ベルに合流しそのうえで何があったのかを聞くことにしたのである。
「そうだったのか」
「本当に四年経っていたのね」
「まさかとは思ったけれどな」
そして口々にこう言うのであった。
「そしてガルラ帝国とやらが出て来て」
「そのうえ天使まで出て」
「そしてあんた達ってわけか」
「そういうことだ」
大河が彼等に対して答える。
「我々も正直驚いたものだ」
「そうだろうな」
ゴウは大河のその言葉に対して頷いた。
「俺達だってまだ信じられないからな」
「私も。本当にまさかという感じよ」
「四年経っていただけじゃなかったんだからな」
三人はあらためて述べる。とにかく信じられないことであった。
しかしそれで終わっている暇はないのであった。
「それでです」
「ああ、大佐」
ゴウがテッサの言葉に応える。
「まだ何かあるのか?」
「はい。我々はこれから東京ジュピターに向かいます」
「東京ジュピターじゃああれか」
「はい。この方々が加わって頂きましたので」
大河達を指し示しての言葉であった。
「ですから。これから一気に」
「そうか。いよいよなんだな」
「あの東京ジュピターを陥落させる」
「遂にか」
「何かよくわからねえがあんた達にとっては悲願だったんだな」
隼人が三人の意気込む声を聞いてテッサに対して言った。
「東京ジュピター攻略は」
「あそこにはね」
遥がその隼人に対して答えてきた。
「まだ東京都民達が残っているのよ」
「そういえばそうだったか」
竜馬は遥のこの話でそのことを思い出したのだった。
「十二年前に急に、だったな」
「そういうことよ。その都民を解放して」
「だからか」
ここまで聞いてようやく納得する一同であった。
「そこまでこだわっているんだな」
「その通りです。それでは」
「ああ」
「いよいよだな」
「整備及び補給が整い次第東京ジュピターに攻め入ります」
はっきりと告げたテッサだった。
「そして都民達を」
「よしっ」
「それじゃあな」
皆彼女の言葉に頷く。こうしていよいよ東京ジュピターへの進軍となったのであった。
だがその中で。ヒメはエルフィと話をしていた。彼女の方から聞いていた。
「それでエルフィさん」
「どうしたの?ヒメ」
「東京ジュピターにいるんだよね。あの」
「アレグリットね」
「そう、それ」
ヒメが問うのは彼等についてだった。
「あの人達もいるんだよね」
「ええ。青い血のね」
エルフィはこうヒメに答えた。
「彼等がいるわ」
「青い血・・・・・・」
「彼等ムーリアンは私達と同じ赤い血じゃないのよ」
「そうなのよ。これは前に話したわよね」
「うん」
ヒメはキャシーの言葉に頷いた。
「前私達に話したことだよね。覚えてる」
「彼等に何があるのかはまだわからないわ」
これについてはまだ誰も知らないのだった。
「けれどね。それでも」
「ムーリアンもまた」
「この世界に来ているんだ」
「来ているというかね」
「侵攻ね」
こう言う二人だった。
「だから厄介なのよ」
「しかも血が青い以外は変わらないから」
「そうなんだ。一緒なんだ」
そこに妙に反応するヒメだった。
「私達と」
「それじゃあそろそろね」
二人は今のヒメの言葉の意味は気付かなかった。
「行きましょう、遂に」
「東京ジュピターよ」
彼等にとっては念願の東京ジュピター解放がはじまろうとしていた。しかしこれもまた新たな戦いのはじまりでしかなかったのであった。

第九十四話完

2008・11・26
 
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