魔法少女リリカルなのは -Second Transmigration-
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第17話 すれ違い
前書き
久々の更新です
ではどうぞ~
フェイトとなのはの戦闘の翌日、なのはは本格的に魔法の練習を開始した。
やはり、先日に負けたフェイトの事が大きいようだったが。
そういう事もあって、授業中になのははレイジングハートと共にイメージトレーニングをしていた。
そして、もう一つの問題が……
「ふざけるんじゃないわよ!!」
廊下を歩いていると、教室内からアリサの大声が聞こえてきた。
なんだと思って教室内を覗くと、アリサが怒りながらなのはの机に手を叩きつけていた、
俺は、こちらに気付いたすずかの方に行って事情を説明してもらう。内容は案の定と言うか、なのはが悩みを話してくれないためにアリサが痺れを切らしたみたいだった。
そうこうしている内に、アリサは教室を出て行ってしまった。俺はその場に居なかったため残り、ハルはすずかとアリサのフォローに向かった。
「なのは」
「あ、悠里くん」
「悩みって……昨日の?」
「うん……」
やはり内容は昨日のフェイトのことだった。確かにアリサとすずかには話せないよな。
「やっぱり、話した方がよかったのかな……?」
「いや……今はまだ話さない方がよかった。……落ち着いたら2人に謝ろう」
まだ出会って間もない魔法の力だ。自分の力を知ってなければ危険だし、なのはの意見を尊重したいしね。
陽翔side
アリサを追って、すずかと俺は屋上に来た。
屋上に出てアリサを探すと、屋上の片隅にいるアリサを見つけた。
「なんなのよ……私達は役にたたないって言うの?」
「誰にだって、言いたくない事はあるよ」
「だからよ!それなら尚更、私達に話して欲しかった!もっと頼って欲しかった!それが『友達』なんじゃないの!?友達だったら、心配するのが当たり前でしょ!?なんで何も言ってくれないのよ!?」
アリサは叫ぶように言う。
わかっていた事だが、アリサもすずかも、なのはの事を本当に心配している。
……だからこそ、そんな簡単にこの3人の友情は壊れて欲しくないと思う。
一度、壊してしまった、俺のようになって欲しくはない。
「でもアリサ、本当にそう思うなら、待ってあげるのも必要なんじゃないか?」
「……どういう意味よ、ハル」
「優しく接して、話を聞いてあげるだけが優しさじゃない、って事。確かに、話を聞かないとわからないけど、さっきみたいに自分が聞いてるのに、さっきみたいにこっちがイラついて怒ったら本末転倒だろ?だったら、待ってあげた方がいいだろ」
「それで、遅かったらどうするのよ?」
「だから俺達がいる。……違うか?」
「……ふん」
アリサがそっぽを向くと、俺は少し苦笑を漏らした。多分、アリサもわかってはいるんだろう。
でも、放ってはおけないから、だからなのはにあんな風に言ってしまうんだろうな。
そんな事を思いながら、俺はすずかと屋上を後にする。
「……少し臭かった、かな?」
「そんなことないよ。陽翔くんの言ってること、間違ってないし、アリサちゃんもわかっていると思う」
「……元々、向いてないんだよな、こういうの。悠里なら、もっと気の効いたこと言うんだろうけど」
「ううん。多分、私が言ったら途中で終わってたから、陽翔くんが言ってくれてよかった。それに、陽翔くんが真っ直ぐに言えるのは、アリサちゃんやなのはちゃんの事をしっかり見ているからだよ。だから、陽翔くんは優しいと思うな」
すずかの言葉に俺は少し照れてしまう。
……なんでこの子達はこんなにもいい子なんだろうな。
「それと、陽翔くんに1つ言っておくね」
「え?」
「陽翔くんも悠里くんも、私達にはとって大事な友達なんだよ?
だから、陽翔くん達も困った時は、頼って欲しいな」
「ハハハ…。その時は、ね。」
すずかのセリフに俺は苦笑するが、少し疑問が湧く。
あの悠里に、助けがいるのか?…
「悠里に必要なのかな?あいつ、なんでもやれるイメージあるけど……」
「そうだね。……でも、やっぱり誰にでも必要だと思うな。
陽翔くん、私がアリサちゃんに虐められてるときに、相談に乗ってくれたよね?」
「それは……でも、解決したのは結局なのはだったろ?俺は大したことなんて……」
「そんなことないよ。話を聞いてくれただけでも嬉しかったし、陽翔くんのお陰で辛くなかったから。……陽翔くんにとっては大したことじゃなくても、私にはすごく嬉しかったんだよ」
すずかは嬉しそうに話すが、俺にはどうしても恥ずかしかった。
確かに、アリサに虐められてるときにすずかの話し相手をしてはいたが、別にそんなことを考えていたわけではなかった。
少しでもすずかの不安を取り除けたら、ただその一心だったのだから。
「にしても……なんですずかはそう思ったの?」
「う~ん……勘、かな?結構鋭いんだよ?」
うん、知ってます。
悠里side
「……ということがあったのさ」
「ふ~ん……よかったな、すずかお前に気があるんじゃないの?」
「なにをバカな」
他愛もない話をしながら、俺とハルは目の前の光景に視線を移した。そこには、街中で高速戦をするなのはとフェイトの姿がある。
何故離れてみているのかと言うと、なのはに2人で対決させて欲しいと言われたからだ。
ユーノとアルフは別の場所で戦闘を開始したみたいだな。
「……なぁ悠里、最近になって思うんだけどさ」
「ん?」
「……やっぱりさ、いくら俺達の世界ではアニメでも、今俺達がみてるのが現実だろ?……だから、なのはやフェイト、アリサにすずか、士郎さん達だって、みんな『生きてる』」
「……」
「……なんで初めから気付かなかったのかって、思うんだ。いくら転生の特典で強くても、それを決めるのは俺達じゃない。いくら強くても、自分の中身がダメなら意味ないよな」
「まぁ……そうだな。俺達はこの世界に転生した。そして、そこで『生きてる』。……形はどうであれ、そこに生きているからには感情も心もある」
俺達はこの世界が二次元のモノだと思うが、俺達と同様生きている。多少、容姿も関係あるとは思うが、結局は人格ものを言うのだと思う。
「あと、そんなハルに先輩として一言贈っておく」
「なに?」
「どんな結果が待っていようとも、どんな事が起きようとも……
『それでも世界は回っている』」
「……どういう意味だ?」
「後悔はするな、ってことでいいさ。今はな」
今はそれでいい。あとは自分で考えないとな。
「……っと、そろそろだ」
俺は呟くと、なのはとフェイトの方を向いた。2人の対決もいよいよ佳境に入り、タイミングを見計らったフェイトはジュエルシードへと跳んだ。
「んじゃハル、予定通りよろしく!」
「簡単に言ってくれるよ全く!」
俺とハルは同時に飛び出してなのはとフェイトの所へ向かう。
すると、なのはとフェイトが互いのデバイスでジュエルシードを挟む形になり、ジュエルシードを中心に爆発が起きた。
「レン!」
『ラウンドシールド』
シールドを張って衝撃に耐えると、なのはの位置を確認して超加速で一気に接近する。
爆風に飛ばされたなのはをキャッチして、地面を滑る。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう悠里くん」
なのはを見ると、バリアジャケットとレイジングハートはボロボロで、杖のコアに当たる宝石部も点滅を繰り返していた。
フェイトside
吹き飛ばされたあの子は、昨日の子に無事助けられたのが見えた。
私はジュエルシードの爆発を間一髪で避ける事ができたが、バルディッシュはボロボロで、コア部が弱々しく明滅していた。
「ゴメン……戻って、バルディッシュ」
『イエッサー』
バルディッシュを戻すと、私はジュエルシードを見据える。
今は魔力を放出して、かなり危険な状態にある。バルディッシュも使えないから封印もできない。
(危険だけど……やるしかない)
地上に降りて助走を着ける。
足に集約した力を一気に解放して……
「はい、ちょっとストップ」
止められた。
飛び出しそうにした時に、目の前にいきなり腕が飛び出してきて、私は思わず踏み留まった。
「や、1日ぶり」
「は、陽翔……?」
その人はつい昨日知り合った男の子、陽翔だった。
陽翔side
フェイトの方へ駆けつけ、飛び出す寸前のフェイトを止める。
「なんで、陽翔が……」
「離れて見てた。……で、危なそうだったから来た」
「でも、あの状態のジュエルシードは……」
「大丈夫。少し休んでなよ」
そう言って俺はスパーダを構えて飛び出す。
狙いはジュエルシードの『魔力』そのもの。
以下、回想
「だーかーらーさー!『魔力を斬れ』ってなんだよ!!煙みたいに見えるもんでもねぇだろうがそんなもん!!」
「見るんじゃなくて感じるんだよ。精神を研ぎ澄ませて……」
「アホかお前は!!俺は悠里みたいにマスタークラスの武人じゃねぇの!一般人なの!!」
もう何度目かわからない叫びが、早朝の公園に響き渡った。今現在行っているのは封印もとい、魔力を『斬る』練習。
「しかしマスター、実際にデバイスを使ってない悠里が斬れると言うことは、マスターにもできると言うことだぞ?」
「それでも説得力薄いだろ!大体、物体は切らずに魔力だけ斬れってのも可笑しいわ!!」
この練習の最大の問題がそこだった。悠里はスパーダが軽く魔力を張ったリンゴや卵を木刀の一閃で、魔力だけを断ち切ったのだ。
本人は長くやってきたので当たり前のようなことらしい。
それも、息をするのと同じくらい。
「大事なのはその時の感覚を覚えることだ。やることは煙を斬るのと変わらない。あとは本人の集中力と精神力次第だ」
(結局、俺が練習で出来たのは10回中2回だけ……)
確率にして五分の一の確率、しかも殆ど偶々だったから、まだコントロール出来てない。
『マスター、落ち着いて意識を集中しろ。失敗した場合ではなく、成功したした時のことを想像するんだ』
「アドバイスどーも、スパーダ。……やるさ、もう腹は括ったからな」
目視でも見える、ジュエルシードから放たれる青色の魔力の揺らぎ。俺は一瞬目を閉じて、再び目を開く。
「……葬刃!!」
素早くからスパーダを抜いて放つ居合術。威力もスピードもまだまだだが、今の俺にとって出せる最高のタイミングで放った。
葬刃を受けたジュエルシードは、徐々に魔力が弱くなり、数秒後には魔力放出が完全に止まっていた。
『魔力放出の停止を確認。お見事だ、マスター』
「はぁ……成功した、か」
成功したことにひとまず安心すると、俺はジュエルシードを持ってフェイトの所に向かう。
「はい」
「あ、ありがとう……」
一方で、フェイトは今の光景に驚いていた。
確かにジュエルシードごと斬った筈なのに、ジュエルシードは無事だった。しかも、封印もされているのだから驚きだった。
「陽t「フェイト!終わったらすぐに逃げるよ!」……!」
フェイトは何か言おうとするが、陽翔が目で「行け」と合図を送る。フェイトは「……ゴメンね」と呟き、その場から飛び去っていった。
その後、なのはとユーノから色々と追求があったが、悠里が助け船を出してくれたのでなんとか回避した。
後書き
17話でした
ケータイをスマフォに変えたため、更新が遅れました。
アットノベルスがまた繋がりにくく、いよいよ終わりかと思い始めてます。
何故か更新できないしね。
とりあえず遅れていた分頑張ります。
P.S.
一人だけマジ恋!のキャラを入れることにしました。
誰かは秘密です。
ヒロインではないのであしからず。
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