ハイスクールD×D ~ 元聖女の幼なじみはエクソシスト ~
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第三話『決闘 ―― 十三機関の実力(前編)』
前書き
すいません、今気づいたらこの作品が最新話まで投稿してないことに気づいたので投稿させてもらいます。
それでは暇つぶしにでもどうぞ。
私――――アーシア・アルジェントは困惑しています。どうしてこうなってしまったんでしょう…。
私たちの目の前には駒王学園で球技大会を行った運動場があり、そこには三人の男の人が立っていました。
1人はイッセーさん、もう1人は祐斗さん。そしてその2人と対峙するのは…。
「シオン君…」
数年ぶりに会えた幼なじみ、シオン君でした。今は腕を組みなにか考え事をしているのか眼をつむって、沈黙しています。
そんな彼らを、部長さんが張ってくれた紅色の結界の外で見守るのは、私たちオカルト研究部。そして、
「まったく、シオンもひどいな。自分1人だけで彼ら相手をするなどと」
「まあまあ。ラザ君にもなにか思うことがあるんでしょ。それに元々はラザ君の売られた喧嘩だし」
シオン君の仲間の二人の聖剣使い、『ゼノヴィア』さんと、『紫藤しどうイリナ』さんでした。
二人人はイッセーさんと祐斗さん。二人を相手にしているシオン君そっちのけで雑談をしています。
それは目の前の決闘の結果はすでにわかってるから見る必要はないといわんばかりの態度でした。
そんな御二人に部長さんは話しかけます。
「お喋りに夢中みたいだけれど、心配しなくていいのかしら。いくら十三機関の人間でも、素手のみで相手ができるほど私の眷属は甘くないわよ?」
今回なぜこのようになったのか。それはイッセーさんがゼノヴィアさんや、シオン君たちと口論になった時に、優斗さんがわってはいってきたので一触即発になった部室で、シオン君が一つの提案をしたことがきっかけでした。
それが、この目の前の決闘でした。シオン君曰く、「グレモリー眷属の実力を試してみるのも一興」だそうで、祐斗さんとイッセーさんに決闘を申し込んだのです。教会には知らせない、あくまで私的な決闘として。
それに反発したのは、部長さんと、…意外にもゼノヴィアさんでした。
部長さんは、単純に十三機関の人間であるシオン君と御二人を戦わせるのを心配して。ゼノヴィアさんは、「シオンだけずるい!」ということでした。…ゼノヴィアさんは「ばとるまにあ」と呼ばれる人みたいです。
そんな部長の反応に、(ゼノヴィアさんのは無視してました)シオン君はさらなる提案をしたのです。それは、「自分は一切の武器を使わない」ということ。聖水や、光の弾。そして聖剣など、通常悪魔払い(エクソシズム)に使う道具は一切使わないと。
つまりは『ハンデ』の提案でした。
これには部長さんも、そして乗り気ではなかったイッセーさんも頭にきたようで、これを受けました。それもそうでしょう。部長さんは上級悪魔の方々のなかでも特に眷属を大事にし、誇りに思っているお方。その眷属を甘く見られて黙っていられる方ではありませんから。
だから、決闘そっちのけで雑談していた御二人を不愉快に思ったのでしょう。その声も若干のいらつきがあります。
しかし御二人はそんなことはどこ吹く風のように、ほほ笑みさえ浮かべてこたえます。
「ああ、シオンにそんな心配は必要ないよ。グレモリー、君こそ自分の下僕の心配でもしたほうがいいんじゃないかい?それと君の眷属は甘くない、だっけ?君こそ彼の、シオン・ラザフォードの力を甘く見ている」
「そうそう、ラザ君の心配するだけ無駄だよ。彼は私たち二人がまとめてかかっても勝てないんだから」
「「「「!?」」」」」
その紫藤さんの言葉に私たちオカルト研究部は驚愕しました。
紫藤さんとゼノヴィアさんは、聖剣の所持を教会から一任された、いわば教会に認められた戦闘者のはず。
その彼女たちが二人がかりで…?
「そんな彼女がいくらグレモリー眷属といえど、下級悪魔に負ける?それこそありえない」
そのゼノヴィアさんの言葉には、シオン君に多大な信頼を寄せていることがわかります。
ちく
ゼノヴィアさんのシオン君を信頼しきっているその表情に胸が痛みます。…わかってます。私はゼノヴィアさんに嫉妬しているのでしょう。私の知らない彼を知っている彼女たちに。
思い出すのは彼の言葉、
『関係ない』
その言葉は、魔女といわれ、いままでうけてきたどんな罵詈雑言よりも私の心を抉りました。
…やはり私は嫌われてしまったのでしょうか。もうあなたと笑いあえる日は来ないのでしょうか。
「始まるぞ」
そのゼノヴィアさんの言葉に、視線を運動場へと移す。
(シオン君…)
そこには私の仲間と対峙する幼なじみがいた。
(隙が見当たらない。噂通りの実力者ということか…)
僕、木場祐斗は目の前で構える男を見てそう思う。
シオン・ラザフォード。
あの十三機関所属の悪魔払い(エクソシスト)。レイナーレの時に戦ったフリードなどとはまったく格の違う相手だ。
…喧嘩を売っておいてなんだけど、僕が戦いたい相手は彼ではなかった。
『ゼノヴィア』と『紫藤イリナ』。二人が持つエクスカリバーを破壊するために僕は喧嘩を売ったのに。
だから彼の挑発染みた提案に乗った部長とイッセー君の2人と違い、この決闘にはあまり乗り気ではなかった。
しかし、彼の言葉で僕はこの決闘に乗ることに決めた。
“聖剣に怨みがあるようだが、今のお前では聖剣どころか、ただの人間である俺すら殺す(こわす)ことはできないぞ”
部長たちには聞こえないように、こいつは僕の耳元でそう囁いた。
おそらく、こいつは僕の事情を察した上でそう挑発したんだろう。ならば僕は引くわけにはいかない!!
僕は魔剣創造で炎の魔剣と氷の魔剣を造り、イッセー君も赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を発動させる。
イッセー君の神器(セイクリッド・ギア)を見たシオン・ラザフォードは驚いたというように、「ほう」と声を漏らした。
「そっちの騎士ナイトのセイクリッド・ギアはさっき見たから知っているが、神滅具(ロンギヌス)、『ブーステッド・ギア』か。まさかこんな極東の地で『赤い龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)』の力を持つ者に出会うことになるとは」
そういう彼の口は愉快気に形を変える。
「ロンギヌスを相手にしているわりには、随分と余裕じゃねえか」
そんなイッセー君の挑発に、しかし彼は苦笑して答えるだけだった。
「例え、ロンギヌスとはいえ、そのセイクリッド・ギアの能力が倍加にあることは分かっているからな。能力が知れているならそれなりに戦いようがある。それに俺がみたところ、君はあまり戦闘経験がないように見える。感じられる力も未だ下級の、それも平均より低いもの。ならば恐れる必要がないだろう?」
「んだとこらぁっ!?」
「イッセー君、挑発に簡単に乗りすぎじゃないかな?」
ちょっと心配だよ僕は。
僕の言葉にイッセー君は「ハッ!」と目覚めたような仕草を見せる。
よかった、正気に戻ったようだ。
というか、前回から君ケンカっぱやくなってない?
「いやあ、あのイケメン面みたら、なんか苛立ちがこみ上げてきてな?」
「…なんというか、ぶれないね君は」
というか、その「イケメン」って、ひょっとして僕も入ってる?よくイッセー君、僕にむかってそんなこといってるし。
「そろそろいいか?」
どこか呆れたように、シオン・ラザフォードが僕とイッセー君の会話に入ってくる。どうやら今までのやりとりを律儀に待っててくれたらしい。
「ああ、僕はもう準備はできたよ」
「俺もだ」
僕とイッセー君の声を聞き、彼は再び構えをとる。
「それじゃあ―――――――いくぞ?」
そして僕らはぶつかりあった。
絶対に負けない!!
後書き
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