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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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驕り

<ルビスの塔>

「心の狭い女だな…」
リュカのふざけた態度にブチ切れているマーサ似の女神ルビス。
しかしリュカはルビスの怒りに怯むことなく、クスクスと笑いながら更に怒りを煽っている。
「こ、心が狭いとは…神に対して何という言いぐさ!少しは弁えたらどうですか!?」
態度を改めない(リュカ)に対し、喚き散らすルビス…

「弁えるのはお前だろバカ女!」
しかしリュカの態度が一変する。
「………!」
強烈な怒気を発し、先程まで怒り心頭だったルビスを何も言えなくする。

「一体どれだけの人間に迷惑をかけていると思っているんだ!?…それを考えたら、僕がちょっとくらいアンタをバカにしたって、金切り声を上げるべきではないだろうに!それが何だ?この世界を創造したのなんのって偉そうに…お前この世界を造った後に、外敵からの侵略に対し何ら対策を講じてないじゃないか!しかもアッサリ封印されて手も足も出なくなってるし…」
「そ、それは…し、仕方ないじゃない…不意を突かれて、どうしようも出来なかったんだもの…」
数分前には大激怒していたのに、人間(リュカ)の怒りの前に萎縮して胸の前で両手をモジモジさせている。

「そんな程度の奴が、『自分は神だ。皆崇めろ!』と偉そうにするなと言っているんだ!僕がアンタをどう呼ぼうと、サラッと受け流す寛大さを見せてみろってんだ!何より僕は、最大の被害者なんだぞ…アンタとあのヒゲメガネに、無理矢理連れてこられた被害者なんだからな!」
「ヒゲメガネ?…誰ですかそれは?私が助けを求めたのはマスタードラゴンですよ。ヒゲメガネ…(ひと)違いでは?」
「え!?マスタードラゴン様が今回の件に関わってるんですか?」
触らぬ神に…と言う事で傍観を決め込んでいたティミーだが、一連の原因にマスタードラゴンが関わっていると聞き、思わずルビスに詰め寄った。

「え?…貴方も異世界から訪れた方ですか?おかしいわね…マスタードラゴンは、最も頼りになる男を1人差し向けると言っていたのに…」
「僕を追って自力で来たんだよ」
「そ、そんな…不可能です!本来、この世界と貴方達の世界とは繋がっておらず、人間の力だけで行き来する事は出来ないんです!我ら神々が力を合わせて、初めて可能になる事象なのです!」
あり得ない現象を前に驚き戸惑うルビス…

「ふざけんなバカ!そうやって神は人間より上だと思っているから、今回みたいにダッセー結果に陥るんだ!この世界の混乱は全てお前の驕りによるものだ!人間は大切な人の為なら、持てる実力以上の結果を出す事が出来るんだ…創造主のクセに何も知らないんだな!」
人間(リュカ)に説教され、目を見開いてショックを受ける女神(ルビス)
しかし直ぐに穏やかな表情へと戻り、リュカを優しく見つめ語り出す。
「どうやら貴方の言う通りです…私は奢っていたのですね。リュカ…と申しましたね…ありがとうございますリュカ。私の心を覚ましてくれて…」
ルビスは己の未熟さに恥りながらも晴れやかな笑顔でリュカに感謝を述べる。

「マスタードラゴンが貴方を送ってくれた理由(わけ)が解りました。貴方の様な偉大な人物こそが、世界を救い人々に希望の光をもたらすのです」
「知らねーよそんなこと!」
「………は!?」
ルビスはリュカという人間の素晴らしさと、彼を派遣したマスタードラゴンの人物眼を高く評価し、最大級で敬意を表したのだが、期待を大きく裏切る(リュカ)の一言。

「さっきも言ったが、こっちは被害者だぞ!僕にだって生活があり、仕事だってあるんだ…なのに無理矢理こっちに来させられて、勝手に大冒険に巻き込まされて…何が『世界を救い人々に希望の光をもたらす』だ!僕はこれでも一国の王なんだぞ…現役の王様なんだぞ!なのに王様拉致ってどうすんだよ!僕の国はどうなってると思うんだよ!大混乱してたらどうする?誰がそれを償うんだ!?人的・物的被害を誰が補填するんだ!?」
「ほ、補填!?そ、そんな…私は…」
「あぁ、そうだったな…アンタは石にされてただけで、なぁ~んにも悪くはないのですよねー!」
「そ、そんな言い方って…い、いえ…申し訳ございませんでした!私が不甲斐ないばかりに、異世界のリュカさんにまでご迷惑をお掛けして…私に出来る事があれば、可能な限り貴国の損害補填に尽力します!………とは言え、マスタードラゴンがこちらの世界で力を使えない様に、私は貴方の世界では無力です。その事だけはご容赦ください」

「…可能な限り…ねぇ………じゃあさ、口添えしてよ」
「口添え…?」
「うん。帰ったらヒゲメガネに『天空城よこせ!』って言うから、お前は峰不○子みたいに『プサ~ン♥』ってオッパイ押し付けてお強請(ねだり)りしろ!」
「だ、誰ですかその峰○二子って?………そ、それに私は貴方達の世界に行けないので、オッパイ押し付けるのは………」
何ともふざけた会話を繰り広げるリュカとルビス………ってかリュカだけだな。
最早2人にマリーの呟きは届かない…
「『プサン』と『ルパン』じゃ『ン』しか合ってないじゃない…」
と言う呟きは届かなかった。

「あーもー使えねーな!お前一体何出来るんだよ!?」
「な、何と言われましても…そ、そうですね…今の私は長時間封印されていた影響で力を殆ど失っております。しかし世界を覆う大魔王の力が消え去れば、現状の私にでもマスタードラゴンと連絡を取る事が出来るでしょう…そ、その時に最大級口添えをする………と言う事でどうでしょうか?」
どうやら完全に立場が逆転している様で、人間(リュカ)の機嫌を女神(ルビス)が胸の前で手をモジモジさせながら伺っている。

元よりマーサ似という事で美女なのだ…そんな可愛らしい仕草をすれば男共には効果抜群!(母親にしか見えてないリュカには無効)
「リュカ殿…もう許してあげましょうよ。ルビス様だって反省しておりますし、口添えのお約束は得たのですから…」
「そうだぜ旦那!あんまし女神様を苛めちゃ可哀想だ…それに旦那のお袋さんに似てるんだろ?親孝行だと思って許してやれって」
「そうですよリュカさん!美女を泣かすのは良くないって言ってたじゃないですか…もうルビス様泣きそうですよ」
「父さん…みんなもそう言っているんだし、僕もこの世界へ来た事を恨んでません…この辺で許してあげてくださいよ」

「あ゙…何だお前等………ふぅ…まぁいいか」
ちょっとだけ美女を前に脆くなる男共に苛ついたリュカだったが、ラングストン以外は己の彼女に折檻されるだろうと簡単に推測出来る女性陣の表情をみて、今は許してやる事に決めた様だ。
「あ、ありがとうリュカ…ありがとうございます皆さん!」
満面の笑みで謝意を述べるルビスの姿に、リュカ・ティミー以外がだらしない顔で見とれる。
祖母に似ているので皆程だらしなくはないが、頬を染め嬉しそうにするティミーもここに…


さて…
無理矢理勝手に召還事件も一応(一旦?)の終息を迎え、ルビスは近くで彼氏をジト目で睨んでいたアルルに、1つのお守りを手渡した。
「勇者アルル…これは『聖なる守り』です。これを『聖なる祠』へ持って行き、『太陽の石』と『雨雲の杖』と共に神官に見せれば、魔の島へ渡る為に必要なアイテム『虹の雫』へと換えてくれるでしょう」
「あ、ありがとうございます…これがあれば魔の島へ行く事が出来るのですね!?ありがとうございますルビス様!」
アルルは聖なる守りを握り締め、何度もルビスへ礼を言う。

「勇者アルルよ…礼には及びません。どうか大魔王ゾーマを倒し、世界に平和を取り戻してください…私の望みはそれだけです。貴女達なら出来ると信じております。どうか気を付けて………」
ルビスはそこまで言うと魔法力を高め、ルーラを唱えようと両手を翳す………が、

「おい、ちょっと待て!」

リュカが大声でルビスのルーラを止める…
まだ何かあるとでも………?



 
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