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黒ミサ

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第二章

 その二人の名前を言ってからまた言う智秋だった。
「二人共部活は吹奏楽部ね」
「はい、そうです」
「そこにいます」
「けれどうちにも入りたいのかしら」
「何か魔術に興味を持ちまして」
「掛け持ちってことで」
 それでいいかというのだ。
「入部の願書はもう書いてます」
「それでも持って来てます」
「用意がいいわね」
 まずは感心して言う智秋だった。
「そうね。じゃあ」
「はい、願書を出しますので」
「後は」
「いいわよ」
智秋はにこりと笑って二人に言った。
「願書出してくれたらそれでね」
「入部ですか」
「それで」
「魔術部は来る者は拒まずよ」
 そうした部活だというのだ。
「誰でも入部届けを持って来てくれたらね」
「それでいいんですか」
「入部出来るんですか」
「そういうことよ。ただね」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「魔女っていっても色々よ」
 智秋はその実際の年齢よりもずっとあだっぽい、色気のある顔を思わせぶりに笑わせてそのうえで二人に言った。
「箒に乗って飛ぶ魔女だけじゃないわよ」
「まあそれはファンタジーですよね」
「実際はいませんよね」
「多分ね」
 おそらくだというのだ、このことは。
「いないわよ」
「まあそんな如何にもって魔女はですね」
「いないんですね」
「あと黒ミサもやるけれど」
 二人がどんなものか考えていたかこの魔女独特の儀式の話にもなった。
「あれだって赤ちゃん生贄にしたりしないから」
「まあそれは当然ですよね」
「幾ら何でも」
「魔女ってのはそういうのじゃないのよ、本来はね」 
 今明かされる真実だった。
「実際はそういうのじゃなくてもっと平和なものだから」
「そんなおどろおどろしいのじゃなくて」
「平和ですか」
「異端審問の言ってることは嘘だから」
 欧州を恐怖で支配したこの組織の様なことは実際にはないというのだ。
「毒薬も作らないわよ」
「じゃあ魔術部って白魔術ですか?」
 麻美は智秋の話を聞いてこう思った、だが智秋のその色気を見ると白魔術とはあまり思えずこうも言った。
「けれど部長さんを見ていたら」
「黒に近いっていうのね」
「実際そうなんじゃ」
「ちなみにつける下着は両方黒よ」
 女子高生だがそうだというのだ、こうしたジョークも笑って入れる。
「ストッキングはガーターでね」
「絶対に白魔術じゃないですよね」
 繪里子もすぐに察した。
「そうですよね」
「白もあるけれど黒がメインね」
 やはりこちらだった、智秋自身のイメージ通りだった。
 二人は自分達の前で足を組み妖艶に座っている彼女を見た、その組んでいる足の付け根から見えてしまいそうである。
「けれどその黒魔術もね」
「人を殺したりするのじゃないんですね」
「やっぱり平和なものなんですね」
「ええ、だから黒魔術っていっても悪いのじゃないから」
 智秋はこのことは強調した。
「安心してね」
「安心して入部して、ですね」
「部活をしていればいいんですね」
「そう、その黒魔術も黒ミサも見せてあげるわ」
 そしてだった。 
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