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八条学園怪異譚

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第十七話 舞と音楽その七

「ちゃんとしたお饅頭だよ」
「商店街のお店で買ったのだよ」
「間違ってもお馬さん達のあれじゃから」
「勿論牛さんのでも豚さんのでもないよ」
「安心していいよ」
「だといいけれどね」
「正直まさかって思ったから」
 狐狸達の化かす際の常の一つだ。他には風呂と思ったらそこが肥溜めだったり池だったりする。そうした化かしが彼等の生きがいなのだ。
 だがそうではないと聞いてまず安心して言う二人だった。
「よかったわ。じゃあね」
「これも頂きます」
「お酒はお菓子があるからね」
「今はってことで」
 だからいいというのだ。
「お菓子食べたら日本酒はね」
「味とかわからなくなるから」
「それにね」
 愛実は狐狸達にこんなことも言った。
「実は自転車に乗って来たから」
「お酒飲んだら自転車は駄目だよ」
 狐のうちの一人が言ってきた。
「それはね」
「わかってるわ、私もね」
「だといいけれどね」
「ええ、だからいいわね」
 酒は今はというのだ。
「お菓子だけで」
「お茶もあるよ」
 お菓子と来ればこれもだった。
「お抹茶がね」
「へえ、いいものあるわね」
「あっ、お抹茶好きなんだね」
「味もいいしそれにね」
「味だけじゃなくてなんだ」
「身体にもいいから」
 だから好きだと言う愛実だった。
「栄養の塊でもあるから」
「お茶の葉自体がそうだけれどね」
 聖花も狐狸達に話す。
「お抹茶はビタミンが豊富なのよ」
「じゃあ人参みたいな?」
「そんな感じなんだ」
「そうなの。それに私達かるた部って茶道部仲いいし」
 その縁もあると言う聖花だった。
「時々ご馳走になってるの」
「だからお抹茶もいいのね」
「私が血が飲んでも」
「そうなのよ。まあ吸血鬼じゃないからね」
 聖花はこのことは笑って述べた。
「その辺りは安心してね」
「これだよね、これ」
「これとかね」
「それでお水はどうしてるの?」
 聖花は二人に茶を飲む当たってこのことも狐狸達に尋ねた。
「お茶のお水は」
「ああ、それね」
「そのことだね」
 狐狸達は聖花にこのことについてこう述べた。
「井戸のお水だけれどね」
「そこ使ってるのよ」
 女の狐狸達もいてこう答えていた。
「ちょっと向こうにあるのよ」
「ほら、あそこ」 
 女の狐狸達が指差したのは井戸の方を指し示した。今彼等jがいる場所からは少し離れている。
 そこを指差してこう言ったのだ。
「あの井戸人間さん達は知らないけれどまだお水出るのよ」
「今じゃ覆いをしてるけれどね」
「実はお湯がまだ出るの」
「あそこから汲んでるのよ」
「ふうん、そうなんだ」
「あの井戸からなの」
 二人も話を聞いて納得して頷いて述べた。 
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