(聖刻シリーズ)創造の紡ぎ手と異世界、そして妖精
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序章 願い
森の中にて
少しずつ薄暗くなっていく森の中。
空を見上げれば美しく輝く赤い夕日。
何もないときならそのまま見いってしまうほどの輝きと美しさを放つ夕日を背にして走りながら、金髪の星霊魔導士ルーシィは叫んだ。
「これタダのバルカン退治じゃないの~!!」
空に空しく消えていくルーシィの心からの叫び。
今にも止まりそうな足を懸命に動かしながら、ルーシィはこれまでの出来事を思い出していた。
きっかけはいつもと同じ、クエストだった。
ナツにグレイ、エルザとのチームで行ったクエスト「バルカン退治」
最近、依頼者の住宅近辺の森にに大量出没して困っているため、退治してくれという討伐クエストである。
このチームなら、バルカン程度へっちゃらのはずなのだが、一匹バルカンの中でも異例の強さを誇る群れのリーダーがいたのだった。
ナツ達なら大丈夫だったかもしれないが、あろうことかルーシィを狙い打ちされ今のこの状況である。
もうそろそろ限界だ。
足ももう感覚がない。
苦しい。
誰か。
「誰か、助けて・・」
その小さな呟きも赤い空に消えていく。
バルカンがルーシィを引き裂こうと、手を振り上げた。
ぎゅっと目を瞑るが、いつまでたっても痛みはこない。
ゆっくりと目を開けると、目の前に所在無さげに立ち尽くす少年と倒れているバルカンが目に入った。
「え・・?」
呆けたように口を開けたままのルーシィに、少年が振り返る。
「あたしを助けてくれたの?」
「あのままだとまずいと思ってね。大丈夫か?」
呆然としてルーシィは少年を見つめた。
後書き
12/19 加筆修正
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