茨の王冠を抱く偽りの王
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06.攻略
「大変よ、みんな!!」
ツグミが緊急事態を知らせる。
「ルーカサイトが今、ポイントδに発射されたわ!」
「ガイのいる場所に」
「ルーカサイトは純天頂衛星構成される衛星コンステレーションです。完成すれば24時間死角なく常に日本から任意の目標を打てるようになる」
四分儀さんが説明するのなぜそんなものが。
「どうしてそんなものを」
集が四分儀さんに聞くとNO IMAGEと表示されていたモニターから誰かの声がする。
『日本人を抹殺するためだ』
その声にその場にいた誰もが驚いた。
その声はガイのものだった。
「ガイ!!」
「無事ですか、ケガは」
ツグミと綾瀬が声を上げる。
『かすり傷だ』
「キョウたちは」
アルゴの問いに少し間を開けてガイは.....
『運がなかった』
その場の全員が驚く。
『増援も全滅。補給物資も回収不能だ』
「一旦立て直しますか」
こんな状況にガイの口から出された言葉は.....
『いや、もはや一刻の有余もない......行動を開始する』
戻ってきたガイに集められ俺と集を含む葬儀社は仮設テントに集められた。
いのりはガイの傷の手当をしている。
「ガイ、よろしいですか?」
ああ、といいガイは立ち上がる。
「揃ったようだな。今回の作戦目標は月河ダムの底、ルーカサイトのコントロール施設だ。俺たちはその最新部に潜入し、コントロールコアを停止させる」
「ブッ壊すんすっか」
研二、とガイは城戸に説明させるようだ。
「はいよっ。これがルーカサイト、地上からの了承暗号システムでコントロールされてるってわけだ。で、ダムの地下200mにダーン」
モニターに映し出された映像には赤く光る球体が透明な円柱に守られている。
「これがそのコントロール装置、コアは超電脳のフロートゲージに格納されてて物理刺激を受けると自閉モードに切り替わる。こうなったらもうお手上げさ。外部からの操作を一切受け付けなくなる。つまり、停止信号を送るにはコントロール操作を触れずに行なうしかない」
触れずに操作するって無茶な。でも、俺と集なら可能かもしれない。
「そこに集と研二の役割がある。二人の能力、王の右手と重力制御のヴォイド、それがこの作戦の鍵だ」
「しかし、増援が絶たれたことについては」
ガイは緑色のデータが収納されたメモリーを取り出す。
「ここに新たな作戦案がある。こちらの損害予測が5%から35%になったら実行は可能だ。各人共有を頼む」
そのメモリーを四分儀さんに渡す。
「それは、三人に一人はやられるってこと」
集がいきなり立ち上がる。
「いずれ危険はこの国全体に広がる。俺たちが食い止める他ない」
「やだよそんなの。僕が失敗して誰かが死んだら犬死にってことでしょ」
「責任は俺が負う」
「キョウたちの責任も。言うだけなら簡単だよ。.......僕は参加を辞退します」
集の言っていることもあながち間違えではないが.......そう思っているとアルゴが.......
「おい、集!好き勝手言ってんじゃねぇぞ!」
「みんなのために言ってるんです。あの人について行くのはおかしいって」
テメェ!、アルゴが集の胸ぐらをつかむ。
「ちょっとちょっと、今この場で厄介なのは君とガイどっち。空気読もうよ」
「だってよ」
アルゴは胸ぐらを離す。
この空気に耐えられなくなった集はテントから出て行く。
「どうします?」
「あぁ、作戦の変更は無しだ。以上」
外に出て集を探しに行くも見つからない。
テントを出てすぐにシオンが来た。
「王様、どうしたの?そんなの浮かない顔して」
「あぁ、今回作戦......集の考えもガイの考えもどっちも間違ってないから.....俺はどうしたらいいのかって」
「うーん、どっちでもいいじゃない」
シオンは笑顔でそう答える。
「私はあなたのものだから、王様が行くなら私は行く、行かないなら私は行かない。自分を信じてよ王様」
シオンの笑顔にまたも引き込まれそうになる。
「そうだな」
いつの間にか雨は上がっていた。
日没の時間......作戦開始の時間だ。
「作戦開始」
ガイのその小さな声とともに作戦は開始された。
『ブラックスワンより全ユニットコンバットオープン』
激しい警告音が辺りにあり響く。
『ガイ、陽動は概ね成功、もう入れた』
「あぁ、しばらく通信を切る。祈っていてくれ」
『早く帰ってきてね』
それでツグミとの回線はきれた。
「走れ!」
「全然あってないね、桜満集君、茨壊君」
「走るのに精一杯なんだ」
「はなから、使う気なんてないよ、俺は」
「早く慣れなよ、人殺しに」
城戸は笑みを浮かべてそういうと手榴弾の線を抜き、そーれい、とおもちゃを投げるように投げた。
爆発により壁が破壊される。
「コアはこの奥だ。行くぞ」
銃弾が飛んでくる。ガイはかわし、打った相手を銃で撃ち抜く。
先に進むに連れて人数が増えていく。
「どんどん増えてくる」
「うざいなここまでくると」
「ここは私が.....いい、ガイ」
いのりが言う。
ガイは少し驚いたような顔をして言う。
「好きにしろ」
「ありがとう」
いのりが一発打つ。見事に命中。
「できれば殺したくない.....だから、来ないで」
兵士はやけくそと言ってもいいようにこちらに迫る。
「バカな人たち」
いのりが両手に銃を持ち腕をクロスさせて銃を連射する。
「いのりなんで」
「ほら、グズグズしてないでさぁ、早いとこ取っちゃてよ出番んでしょ。俺のヴォイドの」
コントロールルームへと侵入。
「うっ、真ん中」
「そうだ慎重にいけ、回転が止まったらふゅーねるが停止信号を書き換える」
集が集中している。
王様、とシオンがいきなり小さな声で話す。
「嫌な予感がする」
「嫌な予感?」
次の瞬間、銃声が響き渡った。
無数の銃弾はガイと集の間を通過する。
そこに現れたのはエンドレイブだ。
『ハロー、会いたかったよ恙神涯、僕をコケにした報い存分に受けてもらおうか』
エンドレイブが徐々に近づいてくる。
「ガイ!」
「お前は集中しろ!イバラ行くぞ!」
「おう!」
「王様、私を使って壊れるくらいめちゃくちゃに」
シオンの胸が光だす。
「使わせてもらう、君の魂を」
右手を突っ込み出てきたヴォイドはハンドガンのヴォイド。だが、先は拡声器のようかたちをしている。
『うぉぉおおぉ!!』
エンドレイブがデタラメに銃弾を打つ。
ガイはそれをよけながらエンドレイブに向かい走る。
「イバラ、そのヴォイドでこいつを撃て!!」
ガイはワイヤーを上にある鉄パイプにくくりつけ飛び上がる。
「うぉぉぉおお!!」
エンドレイブに向かい銃口を向け放つ。
すると音波のようなものが出て、飛んできた銃弾が全て下に落ちていった。
どうやら、このヴォイドは物体にかかる力を静止させるヴォイドのようだ。
俺はもう一度エンドレイブに銃口を向け、音波を放つ。
するとエンドレイブの動きが止まる。
『どうなってるんだ、動かない』
ガイは飛び上がり、エンドレイブの上に乗るとエンドレイブの首の辺りに複数、銃弾を打ち込む。
『うっ!このクソがっ!!』
エンドレイブが急に動きだし、銃を再び乱射。
エンドレイブが動きを完全に止める。
ガイ!、集が叫ぶ。
コアを確認するとさっきのエンドレイブの乱射の数発がコアにあったたようで、コアが砕けている。
『大変よ、ガイ!!』
ツグミの慌てた声が通信機に届く。
「どうした」
『ルーカサイト1の様子がおかしいの。このままだとルーカサイト1は質量のほとんどを保持したまま、東京に落ちるわ!!』
とりあえず状況を確認のため俺たちは地下から出て地上へと向かう。
その扉の前で、いのりはふゅーねるを使い扉のロックを解除している。
「シュウ、ペンを出せ。.....お前がGHQに持たされたペンだ。あれを出せ」
ガイが言うと集がためらって出そうとする。すると誰かの声がする。
「気づかれていましたか。どうやら押さずに済んだようですね、桜満君。すこし残念ですが今はありがたい」
後ろから聞き覚えのある声がする。
あの時の紫色の髪の男......嘘界だ。
「貴様が嘘界か」
「始めまして、恙神涯君」
「取引だ。これで衛星を何とかしてやる。その代わり、一連の事件で得た桜満集に関するデータを全て抹消しろ」
ガイはペンを突き出し、嘘界に条件を出す。嘘界はなぜか笑みをこぼす。
「お前のペンのシグナルはルーカサイトに繋がっていたんだ。ボタンを押したらそのペンを表的に発射されるようになっていた。だから、撃つ衛星と落下する衛星、そして標的となるこのペンを一直線に繋げば、うち落とせるはずだ」
「でも、それって誰かが自分を的にするってことじゃないか」
ガイは地上に出るとダムの上のある場所に立つ。
すると、集が巨大な剣のヴォイドを持って、ガイの横に現れる。
『ガイ、大変よ。ルーカサイト1が破壊されると他のルーカサイトがそのペンをめがけて発射されるわ!!』
ってことは集がヴォイドでルーカサイト1を破壊しても何処か他の場所から発射されるってことかよ!?
「ねぇ、王様、みんなを........集を......ガイを救いたい?」
「当たり前だ」
その瞬間、俺の右腕が光り、処刑刀のヴォイドが姿を現す。
その処刑刀は空中へと浮かんでいった。
「王様、私を使って壊れるくらいメチャクチャに」
シオンの胸が光り、その中に右手を入れると、金属の結晶が処刑刀を貫く。
そして、新たなるヴォイドを誕生させた。
見た目は処刑刀だが、結晶化していた部分が銃のような形に変わっていた。
俺は集とガイがいる場所へと向かう。
「集!ガイ!俺も協力する!!」
「ツグミ、発射までの時間と他のルーカサイトの場所は」
『あと、30秒。場所は、落下してるルーカサイトの真逆の方向だよ。みんなを聞こえた、30秒こらえて』
エンドレイブがこちらを狙う。その瞬間エンドレイブを綾瀬のエンドレイブが撃退する。
『今だよ!!』
「うおぉぉぉぉおお!!」
集のヴォイドから電撃のレーザーが放たれる。
それは見事に命中する。
すると後ろに赤い光が徐々に近づいてくる。
「カイ、今だ!!」
「うおぉぉぉぉおおっ!!」
ヴォイドから巨大な斬撃が放たれた。その斬撃は赤い光を砕く。
空に赤い光が消えたとともにオレンジ色の光に変わりそれも時期に消えた。
空にはオーロラが浮かぶ。
「どうして来た、罪人は俺だけで十分だ」
ガイがそう言うと集が.....
「言ったろ.....手伝うって。これで、僕も共犯だね」
「僕もじゃねぇよ、僕たちも....だろ」
俺がそう言うと、集は少し笑い声、そうだね、と言う。
集はガイに手を出す。
ガイはそれを少し笑いながら手を握る。
次にガイは俺に左手を出す。
俺は左手でガイの手を取る。
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