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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第四話 竜魔帝王

              第四話 竜魔帝王
    「ふむ、そんなところか」
「はい」
地下の王の間にて。フローラは竜魔帝王と話をしていた。
「敵の戦力は思った以上のものでした」
「それはわかっている」
帝王はその言葉に応える。
「奴等がデータ異常の戦力を持っているのはな」
「左様でしたか」
「それでだ」
帝王はさらに言う。
「今後のことだが」
「はっ」
「バルマー帝国とは融和策を採ることはない」
「宜しいのですか?」
フローラはそれを聞いて帝王に問うた。
「バルマーの勢力はかなりのものですが」
「よい」
しかし帝王の言葉に迷いはなかった。
「どのみちあの者達は我等とは相容れぬ存在。精々ロンド=ベル、人間共と潰し合い、滅び合ってくれるにこしたことはないのだからな」
「わかりました。それでは」
「それはどうやら新しく現われた異星人の勢力についても同じだ」
「確かインスペクターだったでしょうか」
フローラは考えながらまた問うた。
「確か」
「うむ、奴等だ」
帝王も彼女に言う。
「奴等もまた結構な力を持っているな」
「では彼等もロンド=ベルと争ってもらい」
「そうだ。しかしだ」
「しかし?」
「もう一つの地底の勢力が気になるところだ」
「そのもう一つの勢力ですか」
フローラももう一つの勢力の存在を感じだしていた。それが彼女の目を顰めさせていた。
「それは一体」
「わかるのはまだだ」
しかし帝王にも彼等の存在は完全にはわかってはいなかった。
「もう少し待て、いいな」
「わかりました。それでは」
「今はこちらも地上への橋頭堡を築く」
「はい」
フローラはその言葉に応える。
「それでは」
「ただしだ」
だが彼はまた言う。
「場所は選びたいのだが」
「それならば帝王よ」
フローラがここで言った。
「何処かいい場所があるのか
「そうです、格好の場所が」
彼女は自信に満ちた声で述べる。
「金沢ではどうでしょうか」
「あの街か」
北陸きっての街である。また地下の道が竜魔帝国にも直接つながっている。彼等にしてみればまさに絶好の街であった。フローラはそこを候補地に出してきたのだ。
「如何でしょうか」
また帝王に問う。
「あの街では」
「よい」
そして帝王はその言葉に頷く。
「ではそちらに兵を進めよう」
「それでは私が」
フローラは出撃しようとする。しかし竜魔帝王がそれを止めたのだった。
「待て」
「何か」
「御前が行く必要はない」
こう言ってだ。
「それは何故でしょうか」
「御前には他にやってもらいたいことがあるのだ」
「もう一つの地底勢力への調査でしょうか」
「その通りだ」
フローラに言った。
「よいな。金沢に関しては然るべき規模の勢力を派遣しておく」
「わかりました。ではそのように」
「そうだ。では頼むぞ」
「はい」
フローラはあらためて彼に応える。
「敵となるか味方となるかわからないのですから」
「鬼だというのはわかっている」
帝王は思わせぶりに述べてきた。
「鬼!?」
「そうだ、奴等は鬼だ」
こう言うのである。
「鬼の一族なのだ」
「鬼、ですか」
「そうだ。詳しいメンバー等を調べておくのだ」
彼はそうフローラに命じる。
「わかったな」
「はっ、それでは」
「うむ」
こうして竜魔帝王の次の作戦が決まった。彼等は地下で全てを決めていた。それはロンド=ベルには全くわからないことであった。彼等は地下にはいないのだから。
その頃ロンド=ベルはトウマとミナキの歓迎パーティーを開いた後だった。しかし彼等の多くはかなり浮かない顔をしており何人かは青い顔をしていた。
「まさかなあ」
「そうですね」
キースにボーマンが応えていた。
「彼女もああだったとは」
「何かお約束ではあるな」
「大丈夫、二人共」
そこにセランが来て二人に尋ねる。
「かなり辛そうだけれど」
「ああ、俺は大丈夫だ」
キースはそう彼女に返す。
「何とかな」
「そうですか。兄さんは?」
「僕も一応はな」
あまりそうは見えない顔で妹に述べる。
「大丈夫だ。しかし」
「ミナキさんの料理も地雷でしたね」
「ああ、それもとんでもないレベルのな」
「何か意識が遠くなったぜ」
リュウセイが言う。
「あんなもん食ったらよ。流石に俺でも」
「リュウセイサンドイッチ一切れだけだったよね」
アヤがその彼に問うた。
「確か」
「一切れでも劇薬は劇薬だぜ」
しかし彼はこう返す。
「そんなもん食ったらよお。やっぱり」
「全くだ」
ライも沈痛な顔で言うのだった。
「マリュー艦長のそれに匹敵した」
「大丈夫なのはあの三人だけか」
レビはオルガ、クロト、シャニの三人を見ていた。見れば彼等はいつも通り平気な顔をしてミナキの料理を食べている。
「おお、こりゃうめえぜ」
「そうだね」
「・・・・・・いける」
それぞれ手掴みで乱暴に口の中に入れての言葉であった。
「あんた可愛いだけじゃねえんだな」
「料理の才能もあるよ」
「そうだ」
「有り難うございます」
ミナキは三人のその言葉に笑顔になる。
「じゃあどんどん食べて下さい。まだまだありますんで」
「おう、じゃあな」
三人はそのままミナキの料理を食べ続ける。周りの皆はそれを見て顔を顰めさせていた。やはりここもいつものパターンであった。
「何かあの三人だけは何があっても死にそうにないわね」
アスカが三人を見て言う。
「一体どういう胃袋してるのよ」
「そういえばアスカの料理も美味しいって食べてたわよね」
フレイがアスカに尋ねてきた。
「確か」
「ええ、ドイツ料理をね」
実は彼女は料理もできる。
「何か失敗したんだけれど平気で食べてたわよ」
「やっぱりどうかしてるわね」
フレイはそれを聞いて言う。
「あんたの料理ってそんなに悪くはないけれど」
「あたしだって一応女の子だし」
何故かここでバツの悪い顔を見せる。
「そりゃあまあ。こういうことだって」
「アスカちゃん女の子なんだな」
光はそれを聞いて彼女に声をかけてきた。
「料理も上手だし。そういうところが」
「まあね。食べるのは彼氏じゃなくて仲間・・・・・・まあそれはそれでいいわ」
「アスカさんのバームクーヘン美味しいですしね」
ウッソはシンと違う。普通に言ってきた。
「また今度御願いしますね」
「わかったわ。けれどここでバームクーヘン作ってもねえ」
しかしアスカは今度は難しい顔になってきた。
「紅茶やケーキじゃなくてワインとかと一緒に、だしね」
「ここ皆お酒飲むのね」
「最初は驚きましたわ」
海と風はこう言った。
「未成年じゃないのかって」
「けれどまあ。いいのですね」
「ううん、そういうのはかなりどうでもいいね」
シンジが二人に応える。
「僕だって最近かなり飲んでるし」
「あんた最近飲み過ぎよ」
アスカがすかさず彼に言うのだった。
「うっ」
「それもかなり」
「何でかな、最近お酒が美味しいんだ」
言い訳になっていない言い訳を述べる。
「それでついつい」
「それはそれでいいけれどあれよ」
アスカはまた顔を顰めさせる。
「飲み過ぎもよくないのよ」
「そういえばあんたも結構そうじゃないの?」
「うっ」
フレイの言葉はアスカにかかっていた。アスカはそれを受けてバツの悪い顔になる。
「何か随分と」
「まあね。何か色々とあってね」
「言っておくけれど飲んでも胸の大きさは変わらないぞ」
ここで誰かが言った。
「これは忠告だが」
「貴女が言うとまたやけに説得力があるわね」
皆その声の主を見て言う。そこにいたのはアイビスであった。
「あたしも飲む方だけれどな。胸は全然だからな」
「それがアイビスさんの魅力っていえば魅力!?」
フレイはこう言う。
「胸が小さいのも好きな人多いし」
「そうだな」
アイビスもそれに頷く。
「最近はそうみたいだな」
「僕はどっちかっていうと」
「はい、言わなくてもわかってるから」
アスカがシンジに言う。
「あんたは大きいのよね」
「ま、まあそうかな」
「キラもよね」
フレイはキラに話を振った。
「そうでしょ?」
「えっ、僕も!?」
「そうよ。だってこの前だって」
「この前!?」
フレイの言葉に首を傾げさせる。
「僕何かしたっけ」
「サイ達と言ってたじゃない。胸がどうとかって」
「あっ、それはその」
「で、あんたはどうなの?」
アスカは少し剣呑な目でキラを見てきた。
「大きいの?小さいの?」
「そう言われるとちょっと」
キラは難しい顔を彼女に見せて言う。
「何か言いにくいな」
「言いにくくてもいいなさい」
アスカはキラに逃げるのを許さなかった。
「あたしだって言ったのよ」
「えっ、何時!?」
「これから」
かなり滅茶苦茶なことを言い出していた。
「あたしはトランクスに限るわ」
「それって下着のことだよね、男ものの」
「そうよ。同じじゃない」
かなり強引に話を進める。
「まあこの部隊は皆トランクスか褌だけれどね。柄は色々だけれど」
「皆の下着の柄知ってるんだ」
「あんたもそれ位知ってるじゃない」
アスカは目をさらに剣呑にさせてキラに言ってきた。
「お互い飲んだ後とか洗濯の時に見てるでしょ」
「ま、まあね」
これは事実だ。何気にロンド=ベルの面々の関係は深いものがある。
「白とか多いよね、アスカは」
「そういうこと」
そうキラに返す。
「あたしは下着はシンプルなのよ」
「はあ」
「で、あんたはどっち?」
あらためてキラに問うた。
「大きいの?小さいの?」
「どっちかっていうと何か言いにくいけれど」
「どういうことだ、それは」
カガリが彼に突っ込みを入れる。
「決められないっていうのか?」
「それぞれだから」
それがキラの言い分であった。
「一概にはね」
「あら、逃げたわけ」
フレイは今のキラの言葉を聞いて言った。
「何か拍子抜けしちゃった」
「アスランに聞いてもな」
カガリはここでアスランに顔を向ける。
「何か今一つ。要領を得ていないしな、あいつは」
「そうなのよね、アスランは奥手だから」
フレイもそれに合わせて述べる。
「言われても顔真っ赤にさせて言うし」
「あいつは問題外だしな」
「ええ」
カガリとアスカは同時に誰かのことを言った。
「どうせ大きいのがいいとか言い出すに決まってる」
「それ以外に価値はないとかね」
「おい」
そのシンが来た。
「また俺の話か」
「ええ、そうよ」
アスカは敵対心を向けて言ってきた。
「あんたのことよ。悪い?」
「御前等みたいなのに言われても面白くとも何ともないんだけれどな」
シンは喧嘩を売られたと認識して反撃を仕掛けてきた。
「どうせ御前等また胸がどうとか話していたんだろ」
「悪いか?」
カガリがシンを睨んで問う。
「それが」
「悪いっつうか無駄なんだよ」
やはりシンはこう言うのだった。
「どうせ何やっても大きくならないんだよ。さっさと諦めて貧乳派でも探しやがれ」
「何だとっ!」
カガリが今のシンの言葉に激昂した。
「よく考えたら御前の妹さんはまだそこにもいっていないだろうが!」
「マユは胸が大きくなるんだ!」
シンは何故かそれを知っていた。
「だからいいんだよ!」
「何、このシスコン!」
「あんた、まだ言うつもり!」
「ああ、ついでに言ってやるぜ!」
そうしてまたしても言わなくていいことを言うのだった。
「御前等みたいなのは万が一大きくなってもすぐに垂れるぜ!」
「言ったわね、よくも!」
アスカはそれを聞いてカガリと同じように激昂してきた。
「ああ、言ったぜ!そのままミサトさんやリツコさんみたいにな!垂れてどうしようもなくよ!」
「へえ」
ここで後ろから殺気に満ちた声が聞こえてきた。
「ミサトさんやリツコさんみたいに、ね」
「面白い例えね、シン君」
「おばさんだからな、二人共」
シンはそれに応えてさらに言う。
「おまけにビールとかレトルトばっかだしよ。そのうち身体全体がブクブクってよ」
「ブクブク、ね」
「つまり太ると」
「そういうのが一番あれだよな」
「あ、あのシン」
「ちょっとさ」
キラとシンジが蒼白になってシンに声をかけてきた。
「これ以上言わない方が」
「そうだよ。あとすぐにここから逃げるべきだよ」
「逃げるって馬鹿言えよ」
しかしシンはまだ言うのであった。後ろの殺気には気付いていない。
「何で俺が逃げなくちゃよ」
「いや、今すぐ逃げろ」
何故かカガリも言う。
「さもないと御前は」
「そ、そうね」
続いてアスカまでもが。
「逃げないと。死ぬわよ」
「何だ?あのおばさん二人がいるってのか?」
全然気付かずにさらに言った。
「乳が垂れて肌も荒れてきてしかも厚化粧のな。やっぱりあれだよな、おばさんってのは」
「おばさんってのは?」
「もう女じゃねえな。おばさんっていう独自の生き物だよ」
「そう、わかったわ」
後ろの声が純粋な殺気だけになった。
「おばさんのことは」
「じゃあシン君」
「あん!?」
「覚悟はいいかしら」
「ちょっとこっちへ来てね」
「こっちって・・・・・・・何だ?」
後ろの二つの殺気にまだ気付かない。それは異様ですらあった。
「俺は別に動かねえぜ。まさかあのおばさん達がここに来るわけじゃねえんだろ?」
「何て言えばいいのかしら」
フレイはシンの後ろでミサトとリツコが般若の笑みで立っているのを見ながら激しく汗をかいていた。
「これから起こる事態については」
「それは簡単よ」
レイが彼に答える。
「簡単なの?」
「ええ」
またフレイにこくりと頷いて言う。
「地獄絵図」
「まあそうね」
それしか言いようがなかった。今まさに鬼が二人シンに襲い掛かろうとしている。
「いつものことだけれど」
「さあ、場所変えよう」
カガリが他の面々を何処かに移動させる。
「もうすぐ恐ろしいことになるから」
「そ、そうね」
アスカが彼女の言葉に応える。
「触らぬ神に何とやらで」
「じゃ、じゃあねキラ」
「後宜しく」
「宜しくってよお」
そそくさと立ち去っていくキラとシンジに対して言う。
「御前等一体」
「すぐにわかるわ」
「それじゃあ」
一時間後医務室には残骸になり果てた赤服があるだけだった。皆その恐ろしい姿を見て何も言えなかった。そうこうしている間にパーティーは終わり敵への情報収集が再び本格化した。その日のうちに大塚長官からロンド=ベルに連絡が入った。
「金沢ですか、今度は」
「うむ」
大塚はヘンケンの問いに答えていた。
「そうだ。地下からかなりのエネルギー反応を感じる」
「では邪魔大王国」
「おそらくはな」
また彼の問いに答えた。
「今金沢には最低限の防衛戦力しかない。今そこを衝かれれば」
「危険ですね」
「そうだ。それで君達に向かってもらいたい」
そうヘンケン達に言う。
「頼めるか?」
「勿論です」
ヘンケンはすぐに即答してきた。
「それでは今からすぐにでも」
「うむ、頼むぞ」
「はい、それでは」
こうしてロンド=ベルは金沢に向かうことになった。すぐに金沢に到着した。
「さて、ここですね」
イーグルは金沢の市街地から少し離れた場所にNSXを置いて言う。
「ここにこの前の敵が」
「そのようですね」
その言葉にタトラが答える。
「おそらくはもうすぐ出て来ます」
「彼等が」
「だとすればいきなり下から来る」
アスカは和菓子を食べながら話に入ってきた。
「随分と考えておるわ、相手も」
「そうですね。敵もさるものです」
イーグルはアスカのその言葉に頷く。
「それにしても」
「それにしても?何じゃ?」
「いえ、こちらの世界は私達のいた世界と同じように戦争が多い世界だと思いまして」
「そうじゃな」
アスカは彼のその言葉に頷いて応えてきた。
「それはやはり人だからじゃろうな」
「そうなるのですね」
タトラがそれに応える。
「人だから争うと」
「姿形は違えどじゃ」
アスカはその幼い姿からは想像もできないしっかりしたことを述べてきた。
「そういうものじゃとわらわは思う。人間なのじゃからな」
「そうですね」
イーグルはその言葉に同意してきた。
「いいのか悪いのかはわかりませんが」
「あの邪魔大王国の者達も人間なのじゃろう?」
「そういう奴もいた」
宙がアスカに応えた。
「とんでもねえ奴も一杯いたがな」
「そういうことじゃな。さて」
アスカはあらためて身構える。
「そろそろ来るな。ならば」
「地下からエネルギー反応無数」
ナデシコでメグミが報告してきた。
「金沢を囲むようにしています」
「了解」
ユリカはそれを聞いてすぐに応えてきた。
「それでは全軍戦闘用意」
「了解」
ルリがその指示に頷く。
「敵が出現し次第攻撃を。街には一歩も入れないで下さい」
「よおおおおおおし!」
ダイゴウジがユリカのその指示を聞いて声をあげる。
「わかった!じゃあ一歩たりとも入れん!」
「その意気ってことだね」
サブロウタも意気揚々と彼に合わせてきた。
「市民の皆さんには迷惑がかからないようにねってね」
「おい、わかってんじゃねえか」
リョーコはサブロウタの今の言葉を聞いて楽しそうに声をかけてきた。
「御前も案外真面目なところは真面目なんだな」
「何か漫画でこういう人結構いますよね」
ヒカルも言う。
「締めるところは締めるっていうか」
「締めるのは鯖。シメサバ」
「何ていうかよ」
リョーコは少し脱力しながら述べてきた。
「イズミの駄洒落も段々訳わかんねえふうになってるよな」
「そうですか?面白いですよ」
しかしヒカルはこう返すのだった。
「イズミさんの駄洒落もロンド=ベルの名物じゃないですか」
「名物なのかな」
ジュンはそれには懐疑的に首を傾げる。
「それって」
「少なくともなくてはならない」
ナガレはそう言う。
「イズミもな。ロンド=ベルだしな」
「はあ」
「貴方もよ、アキト」
ユリカはアキトに声をかけてきた。
「今日も御願いね」
「ああ・・・・・・って言いたいけれど」
「何?」
ユリカはアキトが問うてきたのでそれに合わせてきた。
「どうしたの?」
「何か最近ユリカテンションあがってないか?」
「そうかしら」
自分では自覚がない。
「私は別にだけれど」
「いつもと同じじゃないの?」
ハルカがアキトに言う。
「艦長は」
「そうかな。じゃあ俺の気のせいか」
「そうそう」
ユリカは笑って述べる。
「まあイルイちゃんが助かって」
「イルイちゃんが?」
「私も早く子供が欲しいなっていうのは思うけれど」
「えっ、それってまさか」
「そっ、アキト」
にこりと笑ってアキトに声をかける。
「この戦いが終わったらね。いいでしょ?」
「ま、まあそれは」
アキトは急に口ごもってしまった。
「別に。戦いが終わったらね」
「決まりね。それじゃあ」
「敵出現です」
タイミングよくルリが述べてきた。
「来たか」
アキトはルリの言葉を受けて顔を真剣なものにさせる。
「それじゃあ」
「金沢を囲むようにして来ています」
その言葉通りだった。敵は完全に金沢とそこを守るロンド=ベルを包囲していた。
「数は三千です」
「何かいきなり派手だな、おい」
マサキはそれを聞いて言った。
「邪魔大王国も余裕がないっていうわけかよ」
「さて、それはどうかな」
しかしそれにはアハマドが異議を呈する。
「違うっていうのかよ」
「むしろこれだけの戦力を平気で送れる余裕があったならばどうだ?」
「余裕っておい」
マサキはその言葉に眉を顰めさせた。
「二度も崩壊してるってのにまだそれだけの力があるのかよ」
「いや、その可能性はある」
その彼に宙が言ってきた。
「宙、マジかよ」
「ああ、父さんが言っていた本当の恐怖の魔王が竜魔帝王だとしたら」
彼は言う。
「それだけの力があって当然だ」
「へっ、邪魔大王国もしぶといこったぜ」
「けれど指揮官がいないわね」
リューネはそこに注目した。
「どうなってるのかしら」
「さてな。だが」
ヤンロンがそれに応えて言う。
「それならば僕達にとって好都合だ。そうじゃないのか?」
「そうね」
ヤンロンのその言葉にテュッティが頷く。
「それじゃあ敵は好き勝手に街に来るみたいだし」
「狙い撃ちってわけね」
ミオがそれに応える。
「そういうことなら」
「よし、全機金沢の防衛にあたれ」
ブライトが彼等の声を聞いて断を下した。
「敵を引きつけて各個撃破しろ。いいな」
「了解」
アムロがそれに応える。
「そういうことならな」
「敵、来ます」
サエグサが報告する。
「よし、総員健闘を祈る!」
こうして金沢の戦いがはじまった。しかし緒戦でじゃなりの決着がついてしまった。僅か数分でハニワ幻人達はその数の殆どを減らしてしまったのだ。
「何だよ、この程度かよ」
アラドはあっという間にいなくなった敵達を見て言う。
「何か拍子抜けだぜ」
「そ、そうか?」
しかしトウマはそれに異議を述べてきた。
「俺は結構」
「大丈夫か、トウマ」
凱がそれを聞いて彼に声をかけてきた。
「御前はまだ実戦経験が浅いんだ。無茶はするな」
「あ、ああ」
トウマは凱のその言葉に応える。
「わかってるけれどな。それでも」
「まあさ。慣れるからさ」
「そうよ。トウマさんも」
アラドとゼオラも彼を気遣って声をかける。
「気にしないでいいわよ」
「済まない」
トウマは二人のその言葉に感謝して述べる。
「けれど俺は」
「だからそんなに自分を責めるな」
凱がまた言った。
「責めてもどうにもならないんだからな」
「ああ」
凱のその言葉に頷く。
「わかった」
そんな彼をミナキは見ていた。何かを見定めるように。
戦い自体はすぐに終わった。結局ロンド=ベルはその戦力で敵を圧倒したのであった。こうして戦いを終えて金沢郊外に集結した。
「何かあっけないっつうかよ」
マサキがまた言った。
「あの連中にしては大した攻勢じゃなかったよな」
「そうね」
それにシモーヌが頷いて同意する。
「邪魔大王国もしつこいしね」
「それでだよな。何かこの作戦はあまり力入れてないんじゃないかね」
マサキはまた言う。
「他に重要なことがあったとかよ」
「重要なこととな」
ティアンがそれを聞いて声をあげる。
「してそれは一体」
「何か他の勢力と交渉しているとかは」
デメクサは何気なく述べてきた。
「だとしたら何処なのでしょうね」
「バルマーはないな」
ファングはそう分析を立ててきた。
「あの連中は地球にいる全ての勢力を敵対視しているからな」
「そうね」
彼の言葉にベッキーが同意して頷く。
「それはないわよね。少なくともバルマーは」
「じゃあ一体何処なのでしょう」
エリスがあらためて問う。
「他にはインスペクターが出ていますけれど」
「あの連中はまだどっかと交渉できる程地球のこと知らんやろ」
ロドニーはそう読んでいた。
「わい等のことかてまだ調べ中みたいやしな」
「そうだな」
ジノもまたそう読んでいた。
「おそらくは地球の勢力ではないだろう」
「じゃあ一体・・・・・・いえ」
ロザリーはふと何かに気付いた。
「ひょっとしてまだ地下勢力がいるとか」
「残党とかか?」
マサキは何となくそう考えた。
「ミケーネとかのよ。あいつ等勢力かなりでかかったからな」
「他にまだいたとか?」
プレセアはそう考えた。
「また何とか帝国かも知れないわよ、お兄ちゃん」
「またかよ」
マサキはそれを聞いて嫌そうな顔になった。
「何かそういう勢力ばかり多いな」
「だとしたら問題はそれがどういった勢力かね」
セニアはいるという前提で話を進めてきた。
「どうせまたいつもみたいな感じの勢力なんでしょうけれど」
「やれやれってところだな」
マサキはそれを聞いて上を向いたうえで溜息をつく。
「どうしたもんだよ、いつもいつも」
「地下勢力同士なら有り得ることがある」
ヤンロンがここで言う。
「有り得ることって?」
「同盟だ」
そうリューネに告げる。
「同盟、ねえ」
「地下勢力同士なら利害が一致する可能性がある」
彼はそう主張する。
「あくまで可能性だが」
「何かそういう勢力も多いよな、本当に」
マサキはそれを聞いてまた述べる。
「何でもかんでもよ」
「しかし竜魔帝王」
宙はその中で一人呟く。
「一体どんな力を持っているんだ」
それについて思う。ロンド=ベルはこれからのことにまた脅威を感じていたのだった。
彼等がその脅威を感じていたその頃。地底から新たな勢力が出て来ていた。
「百鬼ブラーーーーーーーーーーーイッ!」
「百鬼ブラーーーーーーーーーーーイッ!」
口髭を生やした軍服の男と科学者めいた男がそう叫びながら敬礼していた。何処かナチスめいた敬礼なのは何故であろうか。
見れば彼等はいずれも角を生やしている。そうして同じく角のある髭だらけの異様なまでの威厳を醸し出す男の前にいたのであった。
「遂に我々の時が来た」
「はっ」
二人の男はその男の言葉に応えた。
「では偉大なる我等が帝王ブライよ」
「うむ」
ブライはまた彼等に顔を向ける。
「これより地上への侵攻を開始する」
「はっ」
「そして」
ブライはさらに言う。
「地上を我々のものとする。よいなヒドラー元帥」
「はっ」
口髭の男が応える。
「ジラー博士」
「はっ」
科学者もまた。
「これより我等鬼の時代がはじまるのだ」
「それで陛下」
ジラーがブライに述べてきた。
「何だ?」
「邪魔大王国から使者が来ていますが」
「邪魔大王国からか」
「はい。如何為されますか」
「ふむ」
ブライはジラーの言葉に一旦考える顔を見せてきた。
「何でしたらすぐにでも消しますが」
「いや」
しかし彼はヒドラーのその言葉を退けた。
「それには及ばぬ」
「では追い返して」
「それもする必要がないな」
「では一体」
「会おう」
ここで彼は言った。
「会われるのですか」
「何ならば手を結んでもいい」
こうまで述べる。
「今我々の覇業ははじまったばかりだ。少しでも戦力が欲しい」
「それでは」
「うむ。利用すればよい」
ブライはそういう考えであった。
「それでどうか」
「わかりました。それでは」
ヒドラーとジラーはその言葉に応えて頷いてきた。そのうえでまた言う。
「そのように」
「うむ、それではな」
ブライもそれに応える。
「ここに呼べ。よいな」
「はっ」
「では皆の者よ」
あらためて彼等に対して言う。
「我等の未来の為に」
「我等の未来の為に」
ヒドラーとジラーは動きを合わせるかのようにして述べるのであった。
「百鬼ブラーーーーーーーーイッ!」
「百鬼ブラーーーーーーーーイッ!」
再びブライを讃える声が木霊する。こうしてまた地球を、人類を脅かさんとする勢力が姿を現わしたのであった。

第四話完

2007・5・24  
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