DOG DAYS 記憶喪失の異世界人
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序章 記憶喪失の男
前書き
こんにちはblueoceanです。
前からあった要望で今回DOGDAYSの二次創作を書くことにしました。
本編に差支えないように、書いて行き、大体15話程で完結させる予定です。
後、作者は本編をまだ完全に把握してないペーペーです。
まあ原作とは違った展開にする予定なので、内容はともかく、一人称とか相手への呼び方とか全然把握出来てません。
詳しい方は出来れば指摘頂けると助かります………
「………ここは?」
男が気がつくと辺り一帯は森の中だった。
風が木を揺らす音や、鳥の奏でる歌声が響く。
「俺は………一体………」
色々と辺りを調べてみるが、とくに不自然な点は見当たらない。
「俺は………」
頭の中をフル回転させ、自分の事を思い出そうとする。
………だが、
「………思い出せない」
取り敢えず思い出そうとするのを一旦止め、森の中を歩くことにした。
「ふむ」
「どうなされた閣下?」
自国の領内の視察をしていたレオンミシェリ・ガレット・デ・ロワ王女はお供に弟の直属の部下、ゴドウィン・ドリュールは城に戻る途中に付近の村から聞いていた魔物の情報を確かめにその村の近くの森に立ち寄っていた。
「不穏な空気を感じる………何かいるぞ」
「はい………これは魔物ですかな?」
「しかし何故フロニャ力も高いこの地に………」
「分かりません、ですがこれは最近起きている魔物出没事件に関係あるのでは………?」
「分からん………だが、見過ごす訳にはいかん。行くぞゴドウィン」
「御意」
2人は鳥のような乗り物にまたがり、森の中を走っていった。
「さて、どうしたのもか………」
森の中をふらふら歩いていると、どう見ても普通の人じゃない変な人が二人現れた。
「キシャー!!」
「クシャー!!」
「何だこいつら!?」
姿から人に見えたが、よく見ると人とは大いに違っていた。
毛が一本も生えていない体、普通の人よりも長い爪。
「くっ!?」
襲ってきた2人の爪を転びながらも何とか避ける。
「くそっ、何か………」
そう呟きながら辺りを見る。
すると近くに丈夫そうな木の棒が落ちていた。
「よし!!」
何とか木の棒を拾い、構える。
「俺、戦えるのかよ………」
木の棒だが、それを見て、警戒する2人。
しかし、そのお陰で余裕ができた。
(今のうちに何か戦いのヒントになるような事を思い出せ俺!!)
と自分に言い聞かせる。
実際に自分でもそんな都合の良い事など起こるとは思っていなかった。やけくそ気味で目を瞑り、殆ど記憶が残っていない頭をフル活動する。
すると………
(あれ?マジで………?)
頭の中に何かが浮かび上がってきた………
『くそっ………また手も足も出なかった………』
『いや、中々様になってきたじゃないか』
『でも、本当に汚いよ………あんな弾幕の様な攻撃避け切れる訳無いじゃないか………』
『だったらそれをどうすれば良いか悩め。そして自分なりの答えを見つけろ。それがお前の武器になる』
『………分かったよ。ならまた付き合ってもらうよ先輩!!』
『またその抜刀の構えか………さて、どう出るレイジ?』
「レイジ………?それに抜刀………」
そう呟き俺は木の棒を記憶にあった様に抜刀の構えをする。
「フゥフゥ………」
「グルル………」
相手も警戒したままこっちに突っ込んで来る気の様だ。
「来い………」
暫くこの膠着状態が続く。
相手も静かにタイミングを待っていた。
俺も何故か落ち着いていた………
この構えが馴染むと言う訳では無いのだが、何故か落ち着けた。
「「ガアア!!」」
「魔神剣!!」
我慢しきれず向かってきる相手に抜刀の様に振り抜いた木の棒から出る斬撃。
「………ってえっ!?何だこれ!?」
その斬撃は2人にぶつかり、2人とも吹っ飛んだ。
「………あれ?」
起き上がってこない2人に少し拍子抜けになりながらゆっくりと近づく。
すると………
「何だあの黒い霧………」
2人の体から出た黒い霧は、煙みたいにモアモアと空に上がっていく。
そして黒い霧が完全に消え去ると………
ボン!!
「えっ?」
小さい音と共に、異形な形をしていた2人が小さな丸い可愛らしい生き物になった。
「………猫?」
まんじゅうの様な丸い身体に小さい耳と可愛らしい尻尾。
「可愛いなぁ………」
ついナデナデしてしまった。
そんな時………
「この痴れ者が!!!」
いきなり現れた大男が俺に目掛けて斧を振り下ろしてきた。
「な、何だ!?」
かろうじて避けられたが、俺がいた場所には小さなクレーターが出来ていた。
「貴様、我らの民を嬲るなど許せん!!」
「いや、ただ単に可愛かったからナデナデしてただけ………」
「うがあああ!!!」
獣の様な咆哮と共に斧を振り下ろしてくる大男。
その後ろには鎖でつながれた鉄球が。
「くっ!?」
咄嗟に木の棒で受け止めたが、受けきれず吹っ飛ばされた。
「ぐおっ!?………って木の棒が!!」
さっきのを受け止めた時に折れてしまったようだ。
「ちくしょう、何か………何か………」
「これを使え!!」
不意に俺に投げられた剣を………捕ることは出来ず、地面に突き刺さった。
「何をしておる、取らんか」
「無理言うな!!ってかアンタ誰だ!?」
「いいから、ほら来てるぞ」
「はっ!?って!!」
慌てて突き刺さった剣を抜き、横薙ぎに斬り掛かってきた斧を受け止めた。
「ぐっ!?」
「ほう………今度は耐えたか」
「おかげさんでな………今度はそう簡単にいかない!!」
「ふん、面白い、ならば見せてみよ!!」
強がりで言ったが、どうやっても不利なのは変わらない。
元々記憶が無い俺にとって剣の使い方なんて分かる訳もない。
剣を落とさないようにするのに精一杯だった。
「ははは、また口ばかりか!!」
「く、くそっ………」
一体どうすれば………
『何だレイジ、もっと魔力を使えよ………せっかくの高ランクの魔力が勿体ない』
「魔力………?」
「隙あり!!」
斧による強打が剣越しから身体全体に響いた。
「ぐぅ………」
「これで………終わりだ!!」
大地に振り下ろした斧により、割れる大地。
そこから出てきた岩の槍に吹っ飛ばされた。
(………終わりか。剣も素人、我の思い過ごしか………)
レオンミシェリが溜め息を吐きながらそう思った。
「ゴドウィン、もう良い。奴を回収し、城に戻るぞ。これ以上ガウルからお前を借りていれば奴も拗ねる」
「いえ閣下、そんな事は………」
「待てよ………」
そう言って俺は立ち上がる。
「何………?」
「貴様、何故立ち上がれる!?」
「これが魔力による身体能力強化か………でも痛いのは痛いなぁ………まあいい、今度は俺からでかいの行かせてもらう!」
そう言って剣の先を相手に向け、構える。
「閣下、お下がり下さい!!」
「何だ!?アイツ、紋章陣も無しに………!!」
「行くぞ!!」
地面を蹴って走り出す。
「なっ!?さっきよりも速い!?」
「でやっ!!」
回転しながら横薙ぎに剣を振るう。
「くっ、中々重い!」
「まだまだ!!」
その後も何度も剣を振るう。しかし斧で完全に受け止められてしまい、決定打には程遠かった。
「そんな剣の腕で!!」
「だったら!!」
そう言って一旦下がり、剣を下に向け………
「魔神剣!!」
下からすくい上げるように斬撃を飛ばした。
「うおっ!?」
いきなり飛ばされた斬撃に対応出来ず、ゴドウィンはもろに受けてしまった。
「ゴドウィン!!」
「閣下、大丈夫です!!」
不意に助けようとしたレオをゴドウィンは止め、立ち上がる。
「これは私の戦いです、手出し無用!」
「………分かった、しかし負けは許さぬぞ!!」
「御意!!」
再び斧を構えるゴドウィン。
しかしさっきよりも集中して俺を見ている。
「小僧………名は?」
「俺の名前か?俺は………」
とそこで会話が止まる………
俺の名前………俺の名前………
「おい………何を唸っている?名前を聞いているだけだぞ?」
「と言われてもな………記憶喪失の俺は名前も分かんないんだよ………ちょうど思い出したのは俺が剣の修行をしていた所と、魔力の事。………と考えると俺の名前はレイジで良いのかな?」
「いやそう言われても分からん………」
「決めた。取り敢えずレイジでいいや」
そう言ってレイジも剣を構え直す。
「魔力………魔力とは何だ?」
「魔力は………分かんね。さっきも言ったけど記憶が無いんだ。教えたくても教えられない」
「閣下!」
「ゴドウィン、奴は記憶喪失らしい。一旦戦闘は………」
「悪いけどもう少し付き合ってくれ。戦って記憶が多少戻ったんだ。もしかしたらもう少しやってればもっと新たに何か分かるかもしれない………」
そう言って剣を構える。今度はゴドウィンに向かって。
「ハッキリ言って剣の使い方なんて分かんないし、いくら魔力で身体強化出来たからって、あんたに勝てるとは思えない………だった、今俺の出来る最高の技でアンタに喰らいつく」
「………その構えからだと突きか?肉を切らせて骨を断つ………捨て身か?」
「さあ、だけど俺にはこれが一番勝てる確率が高い」
「面白い、私はゴドウィン!!私はこの場で貴様を迎え討とう!!」
そう言って斧を構え、身構えるゴドウィン。
対してレイジも体勢を深くし、一気に踏み出す準備をした。
「いざ………」
「尋常に………」
「「勝負!!」」
そう互いに言った瞬間、レイジは駆け出し、ゴドウィンも斧を振り上げる。
「なっ!?さっきもよりも速……」
「風牙絶咬!」
レイジの神速の突きはゴドウィンの振り下ろす斧よりも先を行き、見事に溝を貫いた。
「ぬおおおおおおお!!!」
その突きにより吹き飛ばされるゴドウィン、斧も吹き飛ばされたのと同時に手から離れ、地面に突き刺さった。
「ゴドウィン!!」
慌ててレオが駆けつけた。
「ゴドウィン、しっかりしろ!!」
「お見苦しいところをお見せしました………」
「構わん、見事な戦いだった………」
そう言ってその場から立ち、風牙絶咬を与えた後、その場に膝を着いたレイジに駆け寄った。
「見事な戦いだったぞ。まさがゴドウィンが倒されるとは………」
「いや、実は俺も結構体がガタガタだったり………無理やりな魔力強化は負担が大きいんだな………今度使うときは気をつけよう………」
そう言ってその場に座り込むレイジ。
「なあ、良ければ詳しい話を聞きたいのだ。ワシの城に来てくれぬか?」
「………良いのか?あんたの部下を倒したんだからむしろ仕返しとばかりに再び襲われるのかと………」
「ワシを何だと思っているのだ貴様は………まあいい、取り敢えず歓迎するぞ、レイジ」
そう言ってレイジに手を差し出すレオ。
レイジとレオンミシェリ、今回のこの出来事が2人の初めての出会いだった………
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