(聖刻シリーズ)創造の紡ぎ手と異世界、そして妖精
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序章 願い
prologue
それは、雪のしんしんと降る中で起こった。
ある古城の部屋の一室。
そこはある魔術師の研究室だった。
白の石畳の床に書かれた、謎の記号などが羅列する魔法陣。
目の前に立つ人物の純白の魔力を受け、ほのかに輝き魔力の風が吹く。
部屋の隅に置かれ積まれたままの本の束が、今にも倒れそうな勢いで揺れた。
部屋は薄暗い。
魔方陣の明かりが、人物の顔をその部屋の窓に映し出す
少し長めの銀髪に蒼い瞳の端正な顔付きをしている美少年。
黒い袖無しの長いコートに黒いズボン、それに白シャツに黒いネクタイを適当にしめた、魔術師とは思えない格好をしている。
唯一、魔術師だとわかるのは彼の持つ純白の分厚い「本」であった。
今はページをひとりでに開き、自らの主の前に浮かんでいる。
「異世界。まさか自らが行ける時がくるなんてな。あっちは"面白い"と良いんだがね」
そう言って、床の魔方陣の上に立つ少年。
途端、少年から膨大な魔力が溢れ出した。
魔方陣の輝きが増す。
仄かだった明かりが部屋を染め上げるほどの眩しい輝きに転じ、一瞬閃光が光って収まったとき そこから少年と本の姿は消えていた。
魔方陣の名は「転送魔方陣」
後書き
12/20 加筆修正
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