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ソードアート・オンライン stylish・story

作者:黒神
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第二十六話 妖精の国


エギルからのメールを見た翌日。
修也と同じようにメールが届いた和人と修也はエギルが営んでいるバーに足を運んだ。内容は言うまでもないが届いたメールの詳細をエギル本人に聞くためだった。

カランコロン

「よお!キリト!シュウ!」

「来たぜ、エギル。相変わらず不景気な店だな」

「そうでもないぜ?キリト。この店は夜になったら結構、人が来るんだよ。俺もここで何回か飲みに来たしな」

和人は未だに未成年だが、修也に至っては成人を迎えているためここにはよく来ていた。
修也と和人は席に着き、エギルからコーヒーを淹れてもらうと修也がそれを口にしながら話を始める。

「それで・・・あの写真は何だったんだ?エギル」

「ちょっと長い話なるんだが・・・こいつを知ってるか?」

エギルが台の下から何かを取り出し、テーブルに滑らせるように投げ渡し、修也と和人に見せる。

「これは・・・ゲーム?」

「アルヴ、ヘイムオンライン?」

「そうだ。シュウの言った通り、これは【アルヴヘイム・オンライン】。通称【ALO】と呼ばれ、ナーヴギアの後継機『アミュスフィア』対応のMMOだ」

「って事は。これはSAOと同じVRMMOか?エギル」

修也の問いにエギルは頷き、同意する。続いて和人がエギルに尋ねる。

「この絵から見るとまるで妖精の国のゲームみたいだが、まったり系なのか?」

「いや。内容はそうでもないぜ?【ドスキル制】【プレイヤースキル重視】【PK推称】だそうだ」

「ドスキル制?」

和人は初めて聞く名称に首を傾げていたがこう言った事を専門に習ってきた修也が変わりに答える。

「簡単に言ったら【ドスキル制】ってのはレベルが存在しないって事だ、キリト。今までの事を聞くとALOってのは、殆ど自分の腕しだいって事みてぇだな?エギル」

「ああ。ソードスキル無し兼、魔法ありのSAOって訳だ。そしつが今大人気なんだとよ。理由は『飛べる』からだそうだ」

「飛べる!?」

和人は目を見開き、驚きの表情を浮べる。
本来なら通常移動だけでもかなりの電子技術を要するが飛ぶとなるとさらに高度となる。和人はそう言った技術には興味津々のようだが本来の目的を忘れていたため修也がエギルに尋ねる。

「エギル。このゲームとアスナがどう言った関係なんだ?」

「あの写真の風景はゲームの中で撮った物なんだよ。ALOのな」

エギルの言葉を聞いた修也は和人からALOのCDパッケージを取ると裏返して、製造企業の名前を見た。そしてそこには修也の考えていた企業の名前が書かれていた。

「キリト。この名前を見てみろ」

「ん?レクト、プログレス・・・はっ!!」

和人はあの時に聞いた須郷の言葉を思い出し、顔を顰めた。そして修也は未だに還ってこないSAO未帰還者とレクトプログレスのALOの事で一つの関連性を導き出していた。

(繋がってきたぜ。どうやら真相を知る鍵はこのALOにありそうだな。だがこのゲームにインするって事は須郷に自分の事を一気に知らしめることになるが・・・でけぇリスクを犯してでも守らなきゃならねぇ事に四の五の言っちまったら終いだな。今回はテメェの思惑に乗ってやるぜ!須郷!!)

その後、ALOのソフトを譲ってもらい、ナーヴギアで稼動可能の事を聞くと修也と和人はエギルに必ず明日奈を連れて還る事を約束し、自分の家に急いだ。

~~~~~~~~~~~~

修也は自宅に戻ると早速ナーヴギアを取り出した。

「またこいつに頼る事になっちまうとは・・・皮肉なモンだな」

修也はPCにALOのソフトを入れ込み、ナーヴギアを被った。

「今度こそ・・・助ける!!ナーヴギア!!リンクスタート!!」

修也の宣言と共にゲームは稼動され、修也の意識は落ちていった。
そして眼を開くとSAOでも通ったキャラクター設定の空間に出ていた。

【ALOにようこそ。まずは性別とキャラクターの名前を入力してください】

「男性で名前は・・・」

この時、修也は迷っていた。修也も和人同様にSAOでかなり有名になったため同じ名前にする必要はあるのかと。しかし今更変えても堂々としていれば良いと取ったのか・・・

「シュウで良いか。また頼むぜ?」

修也・・・シュウは名前を入力すると次に種族の選択に入った。所属は全部で九つあり、中でもシュウに眼に止まったのは暗闇の中でも行動できる【インプ】と言う種族だった。

「これにするか。闇討ちは俺の得意分野でもあるしな」

設定が終わり、種族の町に転移されようとした瞬間・・・

ガガガ!!!

「な、何だ!?バグか!?」

周りの風景が歪み、地面が崩れるとシュウはそこから暗闇に落ちて行った。そして・・・

ゴスッ!!!

「グハッ!!まさか設定した途端にバグられて、地面に顔を打ち込むなんて思わなかったぜ。さてとここは・・・」

シュウが周りを確認しているとシュウ同様に突然空間が裂けるとそこから黒を中心とした影妖精【スプリガン】がシュウの上から落ちてきた。同然シュウはスプリガンの下敷きになってしまった。

「痛ってー!!何だよ、あれは!!」

「おい、早く退いてくれないか?重いぞ」

「ん?ああ!悪い!」

直にスプリガンに退いて貰い、体勢を立て直すとスプリガンと向き合った。

「さっきは悪かったな?」

「気にすんなよ。お前もバグにやられた・・・ん?」

シュウはそのスプリガンの顔を見始めると思い当たったのか尋ねる。

「お前・・・キリトか?」

「えっ!?・・・と言う事はシュウ?」

ALOでは顔立ちや髪型は自動設定されるため、パッと見ではリアルとも見分けが付かないがキリトは少し顔立ちが変わり、髪がバック寄りになっていた為、和人の面影見せていた。それを見たシュウは確証は無かったが尋ねたみたいだが正解だったらしい。
シュウはインプを設定したため、髪は紫で、オールバックになっているが顔立ちはキリト同様にあまり変わっておらずに修也の面影を見せていた。

「正解。俺だ、シュウだ。運が良いぜ。始めたばっかりでお前と会うことが出来てよ」

「俺もだ。しかし、また戻ってきてしまったな」

「まあな。おっとまずはあれがあるか確認しようぜ?」

シュウはウィンドウを開き、それがある事を確認した。それはログアウトだった。
やはりSAOでの事を気に掛けていたのかそれだけは確認して置きたかったみたいだった。

「とりあえずログアウトは出来るみてぇだな。後はステータスだな」

「ああ・・・何だこれ?バグってるのか!?」

キリトがステータス画面を見て驚愕の声を上げた。そのステータスはどう見ても初心者のステータスとは思えないほぼ最高値に達しようとしていた。シュウがキリトのステータスを見て、自分のステータスを開くとやはりキリト同様だった。しかしシュウにこのステータスには見覚えがあった。

「これって・・・SAOのステータスそのものじゃねぇか?」

「確かに・・・と言う事はここはSAOの中なのか?あっ!!」

キリトは何かを思い出したのかアイテム欄を開く。その中は文字化けなどで使用できない物が殆どだった。そしてそんな中に使用できるアイテムがあった。

「キリト。それは?」

シュウが尋ねるとキリトは答えずに自分の手元にそれを出す。それは涙の形をした水晶・・・そうシュウが嘗て助けた【ユイの心】だった。
キリトはそのままその水晶に触れるとそれが砕け散り、光が現れるとキリトとシュウの頭上に上がると大きく光った。

「「くっ!?」」

キリトとシュウは光を手で遮り、光が弱まるのを待つと二人の眼に入ったのはキリトとアスナの愛娘・・・ユイだった。

「おいおい・・・これは夢か?」

シュウは眼の前で起きた事が未だに信じられないみたいだった。
そんな中キリトはユイに話しかける。

「ユイ?俺だ。パパだ」

ユイはキリトとシュウを見ると嬉し涙を少しずつ流し始めた。

「また・・・会えましたね。パパ、おじさん」

ユイはゆっくりとキリトの腕の中に飛び込んだ。キリトもユイの温もりを感じ、優しく抱き締める。

「奇跡は起こるんだ」

「みてぇだな。今ここにある事は真実で、奇跡だ」

シュウはキリトとアスナに囲まれていたあの風景を思い出していた。 
 

 
後書き
シュウの種族は闇関係で【インプ】にしました。

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