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対決!!天本博士対クラウン

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第五百四十話


                  第五百四十話  もうすぐ
 華奈子は晩御飯の時に自分の隣に座って自分と同じものを食べている美奈子に顔を向けてこう言った。
「明日よね」
「うん、明日ね」
「充分頑張ったからね」
「明日のマラソン大会大丈夫よね」
「絶対いけるよ」
 華奈子はにこりとした笑みで美奈子に告げた。
「美奈子いけるから」
「完走できるわよね」
 美奈子の第一の目標はこれだった。
「できるわよね」
「そうね。まずは完走しないとね」
「リタイアはしたくないから」
 美奈子の言葉に切実なものが宿る。食べながら双子の相方に言うのだった。
「それだけはね」
「じゃあ何があっても最後の最後まで走るって思うといいわよ」
「何があってもなのね」
「そう。立ち止まらずに」
 ましてや途中で歩かずにだった。
「最後の最後まで走るって思うとね」
「走られるわよね」
「あたしも実はいつも完走できるかどうか不安なのよ」
 華奈子はマラソンでもいつも学年の女の子の間でトップクラスだ。だがその華奈子でもだというのだ。
「それでも絶対に最後の最後まで走るって決めて走ってるのよ」
「華奈子も完走できるか不安だったの」
「うん、マラソンは距離が長いから」
 それでだというのだ。
「いつも不安なのよ。けれどまず完走するって決めて」
「それからなのね」
「後は全力を出し切るの」
 それこそ最後の一絞りまでだというのだ。
「そう考えて走ってね」
「わかったわ。じゃあね」
「今日はこれからお風呂入って寝て」
「そしてよね」
「明日全力で最後の最後まで走ろう」
 華奈子はそのにこりとした顔で双子の相方に告げた。
「二人共全力で完走よ」
「うん、二人共ね」38
 美奈子も華奈子の言葉に頷く。そして。 
 今度は美奈子から華奈子にこう言った。
「寝る前に温かい牛乳飲んで寝ましょう」
「牛乳なの」
「そう。あっためた牛乳飲んで寝たらよく寝られるから」
 それでだというのだ。
「そうして寝ましょう」
「わかったわ。じゃあね」
 華奈子も美奈子のその提案に頷く。二人で実際にその温めた牛乳をお風呂、二人一緒に入った後で飲んでだった。
 この日は早いうちに寝た。そうして次の日に備えるのだった。その次の日こそ美奈子にとって運命のマラソンの日だった。


第五百四十話   完


                2012・11・7 
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