対決!!天本博士対クラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百三十一話
第五百三十一話 走ると
美奈子は華奈子と一緒に目前に迫ってきている校内マラソン大会に備えて毎朝走っていた、それこそ雨でもだ。
雨の日は上からウェアを着て走る、そうしながら一緒に雨の朝の中走る華奈子にこう言うのだった。
「そういえば華奈子って毎朝走ってたわね」
「うん、そうよ」
「それこそこんな日でも」
「朝走らないと調子が出ないのよね」
華奈子は雨の中走りながらにこりとして美奈子に答える。
「だからなのよ」
「それでなの」
「こうしてウェア着てると大丈夫だし」
雨を弾くからだ。
「だから毎朝走ってね」
「この前まで寝坊してたのに」
実は少し前まで華奈子も朝走っていなかった、本当にこの前に思い立った様にして朝のランニングをはじめたのだ。
華奈子の足は速い、短距離でもそうだが長距離もだ。美奈子にとっては追いつくだけでも全速力になっている。
その中でこう華奈子に言うのだ。
「まさかこんなに変わるなんて」
「だって。朝走った後お風呂入ってすっきりするでしょ」
「ええ」
「それにその後の朝御飯だってね」
それもどうかというのだ。
「凄く美味しいからね」
「だから走るの」
「そう。そうしたら学校の授業にも張り合いが出るし」
実際にそれで華奈子の成績は上がってもきている。
「いいこと尽くめよ」
「走るだけじゃないのね」
「走ってそれで張り合いが出るっていうかね」
「楽しいのね」
「うん、それに最近美奈子も一緒じゃない」
華奈子は今度は美奈子自身に言う。
「一人より二人の方が楽しいしそれに」
「それに?」
「一緒にお風呂も入られるしね」
「前から一緒じゃない」
朝の入浴から二人はいつも一緒だ。尚二人の部屋のベッドは二段で華奈子が上、美奈子が下だが結構それぞれのベッドで一緒に寝ている。
「それは」
「走ってからだと気分が違うのよ」
「そうなの?」
「うん、結構違うから」
華奈子は笑顔で美奈子に語る。そうして雨の中楽しく走っている。
美奈子はその華奈子に必死に追いつきながら言った。
「楽しみって走ることだけじゃないのね」
「そこからも色々あるわよ」
「そうなのね」
そのことを華奈子から教わった美奈子だった、朝の雨の中のランニングにおいて。
第五百三十一話 完
2012・10・10
ページ上へ戻る