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対決!!天本博士対クラウン

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第五百十六話


                第五百十六話  天才の音楽でも
 赤音もモーツァルトについて春奈に尋ねていた。学年きっての秀才であると評判だから彼女にしたのである。
「ねえ。モーツァルトって」
「モーツァルトがって?」
「音楽は奇麗だけれど」
 だがそれでもだというのだ。
「凄い変な人だったって?」
「そうらしいわね。どうやらね」
 春奈もこう赤音に話す。
「紙一重の人だったらしいのよ」
「紙一重だったのね」
「そう。本当に一歩間違えるとね」
「変な人だったのね」
「もう変な人だったから」 
 春奈もこう言う。
「それ以上にね」
「頭がおかしいとか」
「そういう人みたいだったのよ」
「ううん、ちらってそういう人って本で読んだけれど」
 そこから春奈に問うたのだ。
「実際にそうだったのね」
「みたいね」
「結構偉人って言われてるけれど」
「あっ、偉人っていってもね」
 どうかとだ。春奈は真面目な顔になって赤音に話した。
「性格とかはね」
「また別なのね」
「モーツァルトは確かに変な人だけれど」
 まさに紙一重のそれだというのだ。
「ベートーベンとかはね」
「ベートーベンってどんな感じだったの?」
「頑迷でね」
 頑固どころではなかった。
「尊大で気難しくて癇癪持ちだったのよ」
「物凄く付き合いにくい人だったのね」
「そうだったみたい。だから人付き合いも下手で」
 そうした才能は全くなかったのだ。
「寂しい人生だったみたいよ」38
「家族の人とかは」
「養子の人がいたらしけれど」
 だがそれでもだったのだ。ベートーベンの場合は。
「いい加減な人だったらしいから」
「家族には恵まれていなかったの」
「そう。全然ね」
「本当に寂しい人だったんだね」
「敵は多かったけれど」
「私がそうした立場だったら幾ら才能があっても困るわ」
「明るく楽しく過ごしたいからね。皆ね」
 赤音は考える顔で話す。そして春奈も赤音のその言葉に頷く。幾ら偉人でも寂しければ何にもならないというのだ。


第五百十六話   完


                          2012・8・13 
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