対決!!天本博士対クラウン
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第四百八十七話
第四百八十七話 博士も暇だと
博士は今も暇だった。それでだ。
小田切君にだ。ワインを飲みながらこんなことを言いだした。
「暇だから暇潰しを考えたぞ」
「今度はどんな暇潰しですか?」
「実験をしようと思う」
博士の趣味の一つのだ。それをするというのだ。
「少しのう」
「人体実験ですか?」
「その辺りに不良か何かはおるかのう」
「まあ。適当にいるんじゃないですかね」
「それかヤクザ者でもな」
博士が人体実験に使うのはヤクザ者や不良や暴走族と決まっている。別に悪を正すとかいうことではない。そうした連中がただ嫌いだからそうするのだ。
その博士がだ。こう言うのだった。
「おらんかのう。何人かな」
「その連中から探しますか?」
「そうじゃな。拉致用ロボットを放つとするか」
いきなり非人道的なロボットの名前が出た。
「町にのう」
「それで暴走族なりを拉致してですか」
「人体実験に使う」
そうするというのだ。
「それからじゃな。何の実験をするかのう」
「やっぱり実験に使うヤクザ者とかはですね」
「死ぬぞ」
確実にだ。そうなるというのだ。
「まあそんなことはどうでもいいじゃろ」
「博士にとてはそうなんですね」
「本当にどうでもよい」
博士にとって人命なぞはその程度のものでしかない。
「だからじゃ。今から拉致用ロボットを放つぞ」
「それで何人程さらってくるんですか?」
「十人位かのう」
つまり今日はそれだけの人間を殺戮するというのだ。
「少し少ないかのう」
「人一人殺すだけでも立派な犯罪ですよ」
「犯罪?わしにはそんなものは意味がない」
「まあ。完璧なマッドサイエンティストですからね」
「だからじゃ十人程度さらってじゃ」
そしてだというのだ。40
「はじめるとしよう」
「ですか。じゃあ拉致用ロボットを今からですか」
「町に放つとしよう」
「十人の命が無駄に消えますか」
小田切君はふとこんなことも思った。
「ヤクザ者とか暴走族はどんどん日本から消えますね」
「小悪党なんぞおらんでよいじゃろ」
「そうなりますかね」
「わしは大きな悪をするのじゃ。小悪党なぞはいらんわ」
こうした理屈でだ。博士によりまたしても犠牲者が出るのだった。博士のほんの暇潰しで。
第四百八十七話 完
2012・4・29
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