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とある星の力を使いし者

作者:wawa
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第24話

次の日の夕方。

「ふふふ~ん♪」

「どうしたの、ルイコ?
 ものすごく機嫌がいいね。」

佐天とその同級生は学校の補習が終わり、帰りにどこかに寄るか話をしている時だった。
同級生は隣で上機嫌で鼻歌を歌っている佐天に気が付いた。

「そういえば補習の時も先生、驚いてたね。
 先生が出題した問題を全部ルイコが解いちゃうんだもん、私達も驚いたよね。」

「もしかして珍しく勉強でもしたの?」

「ふふ~ん、まぁそんな所♪」

先日、麻生に勉強を教えて貰ったおかげで今日の補習の問題を難なく解く事が出来た。
佐天はまた麻生にお礼を言わなければ、と思った時だ。

「ルイコ、もしかして彼氏とかできた?」

「ぶぅぅ!!!!!
 な、ななな、なに言ってんのよ!!」

突然の質問に思わず動揺してしまう。
その反応を見た同級生達はまさか本当に出来たのか?と真剣に話し合う。

「そんなんじゃないよ。」

佐天の答えに一同はえ?、と聞き返す。
佐天は麻生の姿を思い浮かべながら答える。

「その人とはあまり話をした回数も少なくないし、そんなに親しくもないよ。
 私はあの人に憧れてると思う。」

「憧れ?」

「うん、その人は私と3、4歳しか歳が離れていないのに凄く大人で、頭も良くて、最初初めて会った時は正直とても冷たい印象を持ってたの。
 でも、昨日久しぶりに会った時、その冷たい雰囲気が無くなってて前よりも何だか暖かくて、私と同じ無能力者なのにとても強くて・・・・」

麻生の事を思い浮かべ気づいたらそんな事を話していると同級生達は佐天の顔をじー、と見ていた。
その視線に気づいた佐天は首を傾げる。

「どうしたの?」

「ルイコ、そりゃあ恋だ。」

「へ?」

「うんうん、ついにルイコに春が来たのか。」

「おめでとう!私、応援しているからね!!」

何だか話が脱線している事にようやく気付いた佐天だが、もう修復は不可能なくらい脱線していた。
佐天は分かっていた。
これは恋ではなく純粋な憧れである事を。
同級生達が佐天を置いて話を進めている事に気づき、その拡大を防ぎつつどこに行くか話し合う。
楽しく話している佐天達の後をつけるかのように、一人の男が笑みを浮かべながら佐天達を見ていた。






「なるほど、麻生さんも無能力者狩りに出くわしたのですね。」

麻生は風紀委員(ジャッジメント)の支部にいた。
何故かと言うと昨日、麻生も無能力者狩りに出くわしそれをどうにかして止める為に、風紀委員(ジャッジメント)の支部に訪れて情報を交換し合いに来たのだ。
例の如く、支部には初春と白井がいた。

「他の風紀委員(ジャッジメント)が現場に向かった時にはその能力者達は既にどこかに逃走したようでした。」

「おそらく無能力者に倒された時の事を考えて、実行班と回収班の二つのグループに分けて行動しているのだろう。
 捕まれば読心能力(サイコメトリー)などの能力者に記憶を覗かれてしまったらそこでゲームオーバーだからな。」

「相手はわたくし達が思っている以上に大きな組織のようですわね。
 それにしても珍しいですわね。
 麻生さんが自分からこの支部に訪ねてくるなんて。」

以前の麻生がどういった人物なのか、少し知っている白井からすれば麻生の行動はらしくない行動なのだ。
白井の問いかけに麻生は少しだけため息を吐いて答える。

「俺だってこんな面倒な事に関わりたくなかった。
 だが、無能力者狩りが続いている限り、散歩の邪魔をされてしまう可能性があるからな。
 お前達の為でなく自分の為に動いているんだよ。」

麻生の答えに白井はしばし麻生の顔を見つめている。

「なんだ、俺の顔に何かついているか?」

「い、いえ、何も・・・・」

そう言って白井は初春の首根っこを掴み、麻生と距離をとり初春にしか聞こえない声で話し合う。

「あのお方に何かあったのですか?
 以前とはまるっきり別人の様ですわよ。」

「私も同じ事を思いました。
 でも、前の麻生さんより私はこっちの麻生さんの方が良いです。」

「それに関してはわたくしも同意しますけど、急な変化に驚いて「何が驚いているんだ?」・・ひゃあ!!」

いつの間にか白井と初春の後ろに麻生が立っていて、声をかけられたので驚く白井。

「な、なにも驚いていませんわよ。
 さ、さて、作戦会議でもしますわよ。」

急に話を変えられたので麻生は怪しいと思ったがどうでもいい事だな、と考え近くにある机に腰を預ける。

「まず、わたくし達が調査する事は二つ。
 一つ目はどうやって無能力者と能力者と見分けているのか。
 二つ目は組織の規模、その目的。」

「見分ける方法について何かわかったか?」

「いえ、候補が何個か上がったのですが詳しく調べてたらてんで的外れでした。」

「見分け方が分かれば、それを辿って組織などの詳細が分かるのですが。」

麻生は捜査がそれほど進んでいない事に二人に気づかれないようにため息を吐く。
しかし、幻想御手の件は木山の単独の犯行だったので操作があまり進まなかったが今回は明らかに組織的な犯行。
なのに、捜査が進まないという事は相手はかなりの頭がきれるという事だ。

「地道の捜査しかありませんね。」

「そうですわね。
 ですが、わたくし達が路地に入ってわざわざ巡回しているのに、無能力者狩りの犯行は一度も出会っていませんの。
 逆にわたくし達が巡回していない所で犯行が行われていますの。
 まるで、わたくし達の行動を先読みしているかのようですわね。」

「・・・・・・」

初春は白井の推測に笑いながら否定しているが麻生はある推測が浮かぶ。
麻生は初春にある疑問を尋ねる。

「初春、風紀委員(ジャッジメント)達が巡回する路地や時間などは全員で打ち合わせしているのか?」

「はい、全員で決めた後その資料を配るといった形ですね。」

「あともう一つ・・・・・」




「確かに可能ですけど・・・・」

「そうか、分かった。」

麻生はそう言って立ち上がり支部から出て行こうとする。

「何か分かったのですの?」

「まだ仮説の段階だ。
 少し調べに行ってくる。」

そう言って麻生は支部を出て行った。




佐天達は喫茶店でくつろぎながら、おしゃべりをするなどして楽しんでいた。
すると、同級生の一人がある事件について話題を出した。

「最近、無能力者狩りって言うのが流行っているらしいよ。」

「何それ?」

「何か能力者達が無能力者を倒して、その倒した数とかを点数にしてその順位を決めるらしいよ。
 一位になった能力者は賞金としてお金がもらえるらしいよ。」

「何かそれ最低だね。
 能力をそんな事に使うなんて。」

佐天も同じ感想を抱いている。
そんな話をしても気分が悪くなるだけなので、別の話切り替える。
そして、外を見ると日も暮れ始めているのでそろそろ帰ろうと言う話になった。
さっきの無能力者狩りみたいな事件が起こっているので暗くなると何かと危ないのだ。
皆で帰っていると突然、男が佐天達の前に立ちはだかった。

「やぁ、こんばんは。」

優しく笑いながら佐天達に話しかけてくる。
同級生達は見た目はなかなかかっこいいので話しかけられて、少し浮き足立っているが佐天はその男の笑顔がなぜか怪しく感じた。

「君達、これから時間空いている?」

「え~と、少しだけなら。」

「なら、これから僕達と一緒に遊ばないか?」

男がそう言うと何人かの男がいつの間にか佐天の周りを取り囲んでいた。
佐天達はとても嫌な予感がした。
そしてその予感が見事に的中する。

「遊ぶ内容は無能力者狩りっていう遊びなんだ。」

「ッ!?
 皆、逃げるよ!!」

男の言葉を聞いて佐天は素早く行動する。
佐天の言葉を聞いてみんな佐天の後についていく。
周りは囲まれているが路地に入る道だけ開いていたのでそこに駆け込む。
男達は佐天達が路地に逃げられたのにも関わらず笑みを浮かべていた。
佐天に話しかけた男がポケットから携帯を取り出して誰かと通話する。

「ああ、予定通り路地に追い込んだ。
 後はそちらで誘導を頼むぞ。」

そう言って電話を切ると何人かは佐天達を追いかけに行き、他の男達は路地とは別の道を通っていった。 
 

 
後書き
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