対決!!天本博士対クラウン
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第三百八十七話
第三百八十七話 ワインを飲んだ後で
博士はワインを飲んだ。赤ワインのボトルを二本空けた。
そのうえでだ。こんなことを小田切君に言うのだった。
「赤ワインの色はじゃ」
「それがどうかしたんですか?」
「あれじゃな。血じゃな」
こんなことを言うのであった。
「キリスト教で言うあの主の血じゃな」
「それはいいですけれど」
何気にだ。悪い予感をだ。小田切君も感じていた。
そのうえでだ。こう博士に尋ねた。
「まさかと思いますが」
「そうじゃ。血じゃ」
予感は的中した。残念なことに。
「その血を集めようと思うのじゃがな」
「人間の血ですね」
「そうじゃ。すっぽんの血を飲むのもいいが」
精をつける為だ。博士は他に蝮の血も飲んだりする。
「ここはやはり人間の血じゃな」
「人間、ですか」
「血を集めそのうえでじゃ」
ここからがだ。よからぬことだった。実に博士らしく。
「また何かに使う」
「それはいいですけれど」
それはもうだ。諦める小田切君だった。博士が残虐な実験なり何なりするのはもういつものことだからだ。それでもう諦めて話すのだった。
「それで血はどうして集めるんですか?やっぱり生きている人間からですよね」
「だから人間の血じゃ」
博士の返答は実に素っ気無い。
「そこいらから集めるつもりじゃ」
「そこいらからですか」
「何、不良なり暴走族なりヤクザ者は何処にでもおる」
ここでも彼等だった。博士の嫌いなだ。
「その連中から集めるとしようぞ」
「そうするんですね。また」
「気に入らん者はわしの崇高な実験や研究の糧になってもらう」
そこに人権思想はない。皆無だ。
「血を抜かれる者も浮かばれよう」
「絶対に怨んで死にますよ」
「怨めばその魂を強引に地獄に送ってしんぜよう」
今度はそうするというのだ。
「ではじゃ」
「早速はじめるんですね」
また尋ねはする小田切君だった。最早博士が止まらないことはわかってだ。
「そこいらのならず者を捕まえて」
「さて、いい血が手に入かのう」
「血は全部抜き取るんですね」
「一滴も残さずじゃ」
まさにだ。そうするという博士だった。
そうして実際にだった。博士はだ。すぐに再び殺人をはじめるのだった。尚博士にとって殺人はだ。まさにパンを食べるようなものなのだ。
第三百八十七話 完
2011・5・17
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