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対決!!天本博士対クラウン

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第二百八十七話


               第二百八十七話  小田切君と二匹
 小田切君は博士の助手だ。しかしである。
 それでも人間なのだ。これは間違いない。
「何か成り行きでここに来たよな」
「その辺り運命めいてるよね」
 ライゾウとタロがその小田切君に言う。
「気付いたらここにいるっていうかね」
「そんな感じだからな」
 タロとライゾウはそれぞれ言うのだった。
「しかも全然辞めようと思わないんだな」
「それが一番不思議だけれどどうしてなのかな」
「お給料がいいからね」
 まず言うのはそれだった。
「各種保険とか税金とか抜いても手取り四十万だよ。しかもボーナスは年三回なんて普通の職場じゃ絶対にそこまで貰えないよ」
「しかも結構暇も多いしな」
「いてるだけでよかったりするしね」
「だからいるんだ」
 その辺りは実に現金なのだった。
「まあ博士の恐ろしい研究を見ることはあってもね」
「けれど小田切君はそうした研究に関わらないよな」
「それは」
「というか博士って自分の趣味は独占する人だからね」
 その生体実験やら危険な兵器の開発である。
「だから必然的にね。僕は何もしなくなるね」
「まあ関わったら犯罪だからな」
「それはね」
 そのことについても言う二匹だった。
「犯罪どころじゃないけれどな」
「実際のところはね」
「まあ僕も博士と一緒に南極に隔離されたことがあったし」
 今となっては懐かしい思い出だったりする。
「大変なことも沢山あったけれど」
「というか大変なことばっかりだよな」
「有り得ないことばかり起こすしね」
 起こるのではなく起こすのである。
「あの博士ってな」
「生粋のトラブルメーカーだし」
「けれど実は普通の人には何もしないんだよね」
 実はそうだったりするのだ。
「本当にね」
「だよな、それは」
「一般市民には興味ないからね」
「そこはいいと思うよ」
 博士の隠された美点なのかも知れない、小田切君も二匹もこう思った。
「そこだけはね」
「暴走族とか不良とかヤクザには容赦しないからな」
「これまでどれだけ殺したかな」
「さあ」
 首を捻って二匹に答えたのだった。
「どれだけだろうね」
 しかし殺した人間の数が桁外れなのは事実だった。そんな博士であるのだ。


第二百八十七話   完


                   2010・5・11 
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