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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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精霊の祠

<アレフガルド 南端の地>

アルル達はメルキドより南に位置する『精霊の祠』を目指し進んでいる。
ビアンカの唱えたトラマナを周囲に纏い、広大な毒の沼地を突き進む一行。


メルキドの屋敷で、トラマナの効果をカンダタの身を持って試したリュカ等は、安全である事を確認できると、我先にと魔の島へ渡る方法を知る老人の下へと近付き、カンダタ・モニカを呆れさせた。
「ア、アンタ等何なんだ!他の奴はともかく…マリーは言い出しっぺだろう。率先してバリアに踏み出せよ!…ビアンカもそうだ。アンタの唱えた魔法なんだから、自信持って先行しろよ!」
彼女(モニカ)が流石に怒り出す。
「え~…だってリュカが、『カンダタで試そ!』って言うから…従順な妻と娘としては、家長に従わなきゃ…ねぇ…」
「え!?僕の所為なのソレ?…勝手だなぁ~」
そんなやり取りをしながらバリアの床を歩き、寝たきりの老人の下へと近付く一行。

老人は最後の力を振り絞る様に語ってくれた…
魔の島へ渡るには『太陽の石』と 『雨雲の杖』…そして『聖なる守り』の3つが必要になる。
その3つを持って、メルキドの東…リムルダールの南にある『聖なる祠』へと赴けば、魔の島へ渡る方法が手にはいると…

そして更に教えてくれた…
メルキドより南に、精霊神ルビス様の住む『精霊の祠』があると言う事を…
一度尋ねて協力を仰いだ方が良いだろうと…
ただ、メルキド南には小高い山脈が連なっており、一度西の峠を越えて迂回をしなければならないという…


そして今アルル達は、ドムドーラまで2日という距離まで引き返し、山脈を迂回する様にメルキドより南の毒の沼地を突き進んでいる。
「歩きにくいなぁ…魔法で何とかなんない?」
「我が儘言わないでよ!毒の沼地でダメージを負わないだけでもマシでしょ!」
相変わらずのリュカがボソッと文句を言うと、無視すれば良いのにアルルが一々突っかかる。

「魔法を改造するのが得意なのだから、文句があるならお父さんが何とかしてくださいよ」
「えぇ~勝手だなぁ………ウルフに抱っこされながら移動している子は、ちゃんと自分の足で歩いている真面目な人に文句言わないでよ」
そうなのだ…最初はマリーも自力で歩いていたのだが、沼地が深すぎてマリーの膝まで埋まってしまい、一行の進む速度に著しく影響した為、ウルフがお姫様抱っこで進んでいるのだ。
尚、ラーミアはリュカが…ミニモンはカンダタが背負って歩いている。

「えへへへへ…良いでしょ♡」
可愛く自慢するマリー…
ビアンカが羨ましそうに娘を見つめている。


アレフガルド南部に、ひっそりと隠れる様に存在する『精霊の祠』にアルル一行は辿り着く。
「あ~…やっと着いた………何だってこんな辺鄙な所に住んでんだよ!?馬鹿なんじゃないの?」
祠の中に入って早々、リュカの愚痴が炸裂する。
一行の正面には、来訪を労おうとするエルフが、リュカの言葉に青筋を立て何も言えなく固まっている。

「リュ、リュカさん!失礼ですよ…」
不躾な(リュカ)を叱り、住人が居る事を教えるアルル。
「ん?…あ、あぁ………君ここの人?」
「は、はい…ここで暮らしております」
「んじゃ…君がルビス?」
「……………いえ…私はアスカリー…この世界の創造主、精霊神ルビス様に代わり、ここをお守りしているエルフです!」
『ルビス』の名を呼び捨てにされ不満を露わにし『様』を協調するアスカリーと、ワザとなのか一切気にする様子のないリュカ…

「じゃ、ルビスは?…僕達『魔の島』に渡る方法を探してるんだよね!ルビスが協力してくれるって聞いたんだ…何処行っちゃったの?」
「ぐっ!…ル、ルビス様は…ゾーマの手により、とある塔に封印されてしまいました…」
アスカリーはルビスの事を呼び捨てにするリュカを睨みながら、現状がかなり悪い事になっているのを伝える。

「そ、それではルビス様の事を救わないと!」
「アスカリーさん…ルビス様が何処に囚われているのかご存じでしょうか?」
リュカを押し退け、アルルとティミーがルビス救出を打診する。
「お、お願いしても宜しいですか!?…ルビス様はアレフガルドの北にある、『マイラ』と言う村の直ぐ西の塔に、石化されて封印されております」

「え~………この世界を作った神様とか名乗っているクセに、封印されちゃったのぉ?ホームでアウェイの奴に負ける様な神様なんかに、何が出来るの?そんなん放っておいて、先にゾーさんを倒しちゃわない?」
「いい加減にしなさい!ルビス様は偉大なるお方なのです!…黙って聞いていれば、先程から無礼な事ばかり…弁えなさい!」
遂に堪忍袋の緒が切れたアスカリー。

「知らねーよ!僕の世界の神様じゃないし………そう言えば僕の世界の神様とか言われている奴も、情けない奴だったなぁ………どの世界でも、神様とか崇められている奴は、ダッせーんだな!(笑)」
リュカの言葉を聞き、みるみる顔が真っ赤になって行くアスカリー!
「だ、黙りなさい!お、お前の世界の神などとルビス様を一緒にするな!お美しく、聡明で、お優しい方なんだぞ!」
「え、美人なの!?どんくらい美人?アスカリーちゃんくらい?」
「わ、私など足下にも及ばない!世界…この世界だけでなく、お前の世界を併せてもナンバー1だ!」
もう怒りすぎて、何に対して怒り、何を自慢しているのか分からなくなっているアスカリー。

「違うね…世界ナンバー1は、僕の奥さんのビアンカだね!」
しかしリュカは、この混乱に拍車をかける様に、自分の妻を自慢する。
まさに売り言葉に買い言葉…
互いが美しいと信じる相手を褒める事に大熱中する2人…
小一時間ほど討論した結果、ルビス本人を確認してから再度吟味するとの結論に至り、取り急ぎルビス救出する事が決定され、この討論会は閉幕した。

その際、魔の島へ渡る為に必要なアイテムの1つ、『雨雲の杖』をアスカリーより手渡され、マイラに行くのに必要な船も譲渡された。
船と言っても中型のクルーザータイプで、今のアルル達だけで操船可能な物だ。



 
 

 
後書き
神様の使いと意味の分からない喧嘩をするリュカさん…
流石ですね。 
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