久遠の神話
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第六話 上城の初戦その一
久遠の神話
第六話 上城の初戦
上城は決意した。戦いを止めるか終わらせることを。
しかしその決意した日から暫くはだ。平穏な日々を過ごしていた。
学校に行き授業に出て部活に出てだ。食堂でもだ。
今はうどんを食べている。その彼にだ。
一緒に食事を採っているクラスメイトがこう声をかけてきた。
「なあ、最近阪神どうだよ」
「最近よかないか?」
こうだ。野球の話をしてきたのだ。
「このままAクラス維持できたらいいな」
「それでクライマックスで優勝してな」
「今度こそ日本一ってなって欲しいけれど」
「そう思うよな」
「まあね」
そうだとだ。上城も答える。そのうえでうどんの中の揚げを箸に取る。今彼が食べているのはきつねうどんだ。それとかきあげ天丼を食べているのだ。
その揚げを食べつつだ。彼はさらに言う。
「僕も阪神が優勝してくれたら」
「やっぱり嬉しいよな」
「野球は阪神だろ」
「そうそう」
「あんないいチームないぜ」
どうやらだ。彼等は全員阪神ファンらしい。阪神の話題になると嬉々としている。
そしてだ。さらに話す彼等だった。
「巨人なんかな」
「あんなチームずっと最下位でいいしな」
「今年はあのまま借金まみれになっていて欲しいぜ」
「全くだよな」
「巨人が負けると気持ちがいいんだよ」
巨人に対してはこうだった。
「あんなチーム応援する奴の気が知れないな」
「金持ってるだけの悪党じゃねえかよ」
「関東じゃ巨人ばっかりだってな」
「誰がそんなところ行くかよ」
「それに関東ってな」
巨人からだ。関東の話になる。
「うどんもつゆ真っ黒だしな」
「あれ滅茶苦茶辛いらしいな」
「っていうか食えるのかよ、そんなの」
「真っ黒のつゆってな」
「それ何なんだよ」
こうした話をしているとだ。不意にだ。
上城はこのうどんの話を出したのだった。
「ああ、真っ黒なうどんっていったらさ」
「あれか?伊勢うどん」
「うちの食堂にもあるけれどな」
「あれもつゆ真っ黒っていうんだな」
「それか」
「そうだよね。あれも真っ黒だけれど」
どうかとだ。彼はその伊勢うどんについてこう話した。
「美味しいよね」
「あれは美味いよな」
「関東のうどんと違ってな」
「関東はそばもまずいけれどな」
「そばもやっぱり関西だろ」
「あとラーメンもな」
話がどんどん飛躍していく。
「関東美味いもんないからな」
「まずいものしかないからな」
「鱧も出ないしな」
「鰻なんて背中から切るしな」
鰻の話までだ。彼等は言及する。
「で、野球は巨人かよ」
「巨人なんか応援するからうどんもまずいんだよ」
「全くだよ。やっぱり野球は阪神でな」
「醤油はうす口醤油」
「だしは鰹節と昆布」
「じゃこも入れてな」
こう話しながらだ。彼等も学食を食べている。見ればうどんが多い。それにそばだ。
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