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久遠の神話

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第五話 剣士の戦い十三


「自分を鍛えて心を成長させて律する為にあるものだから」
「だからなのね」
「そう。だから勝ち負けにこだわったらいけないって」
「それよりもなのね」
「自分がどうなのか」
 やはりだ。話の原点はそこにあった。
「それが大事だからって」
「だから上城君の剣道は」
「確かに僕も勝ちたいよ」
 このことは否定しないのだった。彼自身も。
「けれどそれでもね」
「勝ち負けよりも」
「そう。活人剣だから」
 またこの言葉を出して話す。
「願いを適える為に戦うことは」
「しないのね」
「それで決めたんだ」
「戦いを終わらせるのね」
「誰も倒さないよ」
 このこともだ。上城は強く決意していた。
「そうして誰も倒さないで」
「そうして戦いを終わらせる」
「そうするよ」
 また言う彼だった。
「絶対にね」
「だったら私も」
 樹里もだ。彼女の決意を話す。
「その上城君をね」
「支えてくれるんだ」
「戦いを終わらせたい、けれど一人じゃ難しいから」
 聡美の言葉をだ。彼女も反芻して話す。
「だからね」
「二人でなのね」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 にこりと微笑んでだ。彼に顔を向けての言葉だった。
「決めたから」
「それじゃあ」
「三人で。そうしていきましょう」
 こうした話をしてだった。
「聡美さんとね」
「そうだったね。僕達はね」
「三人だから」
 二人だけではないともいうのだ。
「何とかできるかも知れないから」
「うん、じゃあ」
「そういうことでね」
「やっていこうか。じゃあ戦う相手は」
 それは避けられないことはわかっていた。しかしだ。
 上城はだ。その相手を限定して言うのだった。
「魔物だけだね」
「そうね。怪物達を倒していって」
 そうしてだというのだ。
「力を備えていって」
「戦いを終わらせよう」
「そうしましょう」
 笑顔でこのことを誓い合う二人だった。
 そしてだった。彼等は。
 今度はだ。こんな話をし合った。
「とりあえず。化け物が出たら」
「それを倒してなのね」
「そうするよ。出て来たらね」
「けれど普段は」
「学生だから」
 ごく普通のだ。それだというのだ。
「それでいこうね」
「そうしましょう」
 そこは割り切って考えることにしたのだ。つまり日常の中には存在していくというのだ。
 そうした話をしてだった。二人は。
 共に帰りやがて別れだ。それぞれの家に入ったのだった。


第五話   完


                 2011・8・12 
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