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久遠の神話

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第四話 中田の告白その十


「しかしです」
「戦いはですか」
「それはしてもらいます」
 戦いについてはだ。そうしてくれというのだ。
「宜しいでしょうか」
「それが運命だからですね」
「はい」
 まさにだ。その通りだといのだ。
「だからです」
「僕は戦う運命にあった」
「まあそういうことだ」
 中田がここでも彼に言う。
「御互い頑張ろうな」
「って。十三人の中で一人ですよね、残るのは」
「ああ、そうだよ」
「じゃあ僕も中田さんも」
「その時はその時だ」
 中田はあえて明るく笑ってだ。上城に言った。
「まあ。その時以外はな」
「それ以外の時は」
「楽しくやろうぜ。お互い憎い訳じゃないしな」
「憎いなんて」
 こう言われてもだった。上城は。
 困惑した顔でだ。こう答えたのだった。
「そんなことは」
「御互い知り合ったばかりだしな」
「はい。それに」
 しかもだとだ。上城はさらに言う。
「僕は中田さんのことは」
「嫌いじゃないか?」
「そうです」
 まさにそうだというのだ。
「それなのに。戦うのは」
「因果だよな。俺もそう思うさ」
 中田もだ。このことは苦笑いと共に言う。
 しかしだった。それと共に言うのだった。
「けれど。どうしてもな」
「戦わないといけないですか」
「俺には願いがあるしな」
「願い?」
「そのことは今はな」
 どうかというのだ。今は。
「話さないでおくさ」
「そうですか」
「何か。言う気になれなくてな」
 それでだという彼だった。
「悪く思ってくれるなよ」
「別に悪くは」
 上城は思わなかった。実際にだ。
 だが、だった。このことはどうしても言わずにはおれず。
 中田にだ。また言ったのである。
「けれど。他の剣士の人達とも」
「俺達を入れて全部で十三人な」
「逃げることはできなくて」
「はい、それは無理です」
 声もだ。逃げることはできないというのだ。
 そうしてだ。また彼に告げた。
「ですから」
「わかりました。それでは」
 上城は自分の手にあるその長い刀を見てまた言った。
「僕も戦います」
「戦わないとな」
 どうなるかもだ。中田は彼に話した。
「生き残れないぜ」
「その為にもですね」
「ああ、戦うんだな」
「ですか」
「そういうことさ。じゃな」
 ここまで話してだ。中田は。
 上城に背を向けて。こう言ったのだった。
「今日はこれでな」
「帰られるんですか」
「ああ、そうする」
 それでだというのだ。背を向けたのは。 
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