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戦国異伝

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第七十六話 九十九茄子その五


「御主達も行け」
「してそこで筒井殿達と合流して」
「そのうえで」
「攻めるのじゃ。そうせよ」
 滝川に対して命じた。そうしてだ。
 信長は彼にだ。こんなことも述べた。
「兵は一万を超える」
「多いですな」
「しかし三好はおそらく五万程じゃ」
 その三好の兵も話した信長だった。
「摂津、河内、和泉の兵に加えて讃岐に阿波、淡路の兵も入る」
「四国の兵もですな」
「さすればそれだけになる」
 まさに三好の総力、それを合わせばそうなるのだった。
「それに対して我等は六角の兵じゃった近江の兵に山城の国人や三好から下った兵も入れて六万五千」
「それに加えてです」
 林が主に話す。
「若狭、丹後の武田殿と一色殿の兵」
「して播磨じゃな」
「かつ大和の兵を入れまして」
「九万といったところじゃな」
「尾張、美濃に残している兵も入れて九万五千位になります」
「増えたのう。兵の数でも三好を大きく引き離したわ」
 信長はこのことを実感しつつ微笑み話す。その話もしてからだ。
 滝川にだ。こう話すのだった。
「御主にはそのうちの一万を預けじゃ」
「大和から河内に入り三好の横を衝くのですな」
「そうせよ。御主は一万じゃ。してじゃ」
 さらにだった。信長は話した。
「わしについた播磨の者達にも人を送れ。そのまま摂津に入れとな」
「ではそこから三好の摂津を攻めてですか」
「そこからも横を衝きますか」
「そうする。三好は東西からも攻める」
 ただ攻めるだけではないというのだ。そうするというのだ。
 そしてだった。信長はさらにだ。こんなことも述べたのだった。
「してわしはこの都から五万の兵で淀川を下り摂津に入りじゃ」
「そこから三好を攻める」
「そうされますか」
「都には一万の兵を置いておく」
 これは予備だった。いざという時に備えてのだ。
 そしてさらにだった。
「丹波には一万向ける。若狭と丹後からも攻めさせ二万の兵で攻める」
「では波多野の悠長にはいきませぬな」
 山内がそれを聞いて笑みになって述べた。
「北と南からそれぞれ攻められては」
「丹波はそうする。五郎左よ」
 まずは丹羽だった。彼もまただった。
「御主にはその大将を命じる」
「それがしが丹波攻めのですか」
「そうじゃ、大将じゃ」
 まさにだ。そうだとい述べる信長だった。
「御主に任せる。よいな」
「有り難きお言葉」
「では丹波を確実に攻め落とすのじゃ」
「そうさせて頂きます」
「権六や牛助だけでなくじゃ」
 織田家の武の二枚看板以外にだというのだ。
「これからは久助や御主にも兵を率いてもらうぞ」
「それがしもですか」
「そう仰るのですか」
「そうじゃ。織田家も兵が増えじゃ」
 それ故にだと。笑って話すこともしたのだった。
「戦をする場所が増えてきたしよう」
「それ故ですか」
「兵の数と戦場の数が増えた故に」
「それが故に」
「うむ、では頼むぞ」
 まただ。信長は彼等に話した。 
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