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久遠の神話

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第三話 見てしまったものその四


「そうなってもだ」
「えっ、いいんですか!?」
「俺達が離れてもですか」
「それでもいいんですか」
「それは俺に問題があったからなることだ」
 先生は毅然としてだ。彼等に話した。
「だからだ。それでそうなってもだ」
「構わないんですか」
「そうなんですね」
「そうだ。それならそれで仕方ない」
 先生はまたこう言った。
「俺はそう思う」
「ううん、何か潔いっていうか」
「先生ってそうじゃないといけないんですか」
「それで人間もそうなんですね」
「そうしたことを受け入れないといけないんですね」
「そういうことだ。自分が招いた禍は避けられない」
 孟子にあることをだ。先生は強く意識しながら言葉として出したのだ。
「それはもうな」
「ですか。そうなんですね」
「生徒が離れるのは顧問の先生にこそ問題があるから」
「だからですか」
「俺もだ」
 そのだ。先生にしてもだというのだ。
「そんな教師には教わりたくない」
「そうした暴力教師にはですね」
「教わりたくないんですね」
「そうだ。絶対にな」
 まさにそうだというのだ。
「何があってもな」
「ですね。それは誰でもですよね」
「正直何されるかわかりませんから」
「じゃあ俺達も気をつけます」
「そんな先生には」
「それでこうも思うな」
 先生は話を変えてきた。
「そんな人間にはなりたくないと思うな」
「ですん。そんな暴力的な人間にはとてもですよ」
「なりたくないですよ、それこそ」
「本当に何があってもですよ」
「なりたくないです」
 そのことについてもだ。彼等も答えた。
「何ていいますか。最低ですから」
「自分がやられても嫌ですし」
「自分がそんな人間になったらですよ」
「最低ですから」
「そういうことだ。自分がやられて嫌なことはだ」
 まさにだ。そうしたことはだというのだ。
「絶対に他人にはしない。そしてだ」
「自分がそうした嫌な人間にはですね」
「絶対になったらいけない」
「そうですよね」
「そうだ。まああの教師はな」
 中田に成敗されただ。その暴力教師はどうかというのだ。
「いい反面教師だ」
「そうした教師なんですね」
「つまりは」
「最悪の教師は最高の反面教師だ」
 学校はそうした反面教師の宝庫でもある。これも日教組の影響だろうか。
「あんな人間になるものかと思わせるな」
「そうですね。じゃあ俺達そんな人間になりたくないですから」
「気をつけます」
「そうします」
「ああ、そうしてくれ」
 先生もそのことを心から願うのだった。そのうえで上城達と共に走るのだった。部活は確かに体力を使うが確かなものだった。その部活の後でだ。 
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